夏休みに入ったころアルファから手紙が来た。
「暇なら聖地へ来て。」
シンプルな手紙を受け取った私たちは里帰りしようとしていたクレアさんを躱して聖地行きの汽車に飛び乗った。本気ダッシュすれば夜の間にでもついたんだけどモブ意識の高いわたしたちはそれをしなかった・・・そんな私たちを心底殴りたいと思ったのは・・・
ローズ「私は貴方たちに運命を感じました。シド君、アンさん、あなた達こそ・・・」
本気ダッシュすれば助けたローズ生徒会長に絡まれることもなく聖地につけたんだから・・・
シド「距離を置きたい・・・」
アン「ダメだよシド・・・こういうメルヘン脳には何を言っても無駄だから!」
私たちは読唇術でこの状況を愚痴る・・・まさかハートブレイクを披露したのが今になって首を絞めるとは誰も思わないだろう・・・
ローズ「聖地には明後日着きます。それまでゆっくりくつろいでいましょうね。」
アン・シド「そーですねー」(棒読み)
駅で偶然あってまさか一等車に乗せられるとは・・・
ローズ「二人ともお目当ては女神の試練ですよね?」
シド「あぁ、うんそうだよ。」
アルファの目的も多分それだろうし。
ローズ「私はちゃんとわかってますよ。シド君とアンさんの勇敢さを、私たちは茨の道を進むことになるでしょう。誰からも祝福されず認められない道です。」
うん・・・この世界の宗教では女神ベアートリクスを神としてあがめてるけど私たちも宗教には随分お世話になったけど全然だめだったしね・・・
ローズ「茨の道を抜けた先には必ず幸せが待ってるんですよ。」
アン「モテモテルートはシドだけかと思ったのに何で私まで!」
シド「いや、アンもアレクシアやこうしてローズ先輩とのフラグ立ててるからね?」
私たちは読唇術で喧嘩しながら聖地に向かうのであった・・・
そうして聖地にたどり着いた。途中魔人の左手を切り落とした伝承のアクセサリーを買いながら宿に向かおうとしたんだけど・・・
ローズ「ナツメ先生のサイン会が行われています!私大ファンなんです!」
ローズ先輩と一緒にサイン会に並んで作品を見ると・・・
シド「吾輩はドラゴンである、ローミオとジュリエッタ・・・」
アン「シンデレーラ、アラクネの糸、3ゴールド金貨・・・」
まさか・・・
ベータ「本をこちらに・・・」
やっぱり・・・ベータが文学好きだという彼女にこれを基にカッコいいの書いてって感じで教えたんだけどまさか丸パクリとは・・・
ベータ「作戦の詳細はこちらに・・・」
なんか古代文字を書かれてごまかされた・・・
こんな落ち込んだ日の夜は町を眺めるに限る・・・
シド「ふふふ・・・混沌をつげる鐘の音が響く・・・」
アン「我らは白き甘味を手に混沌を除くものである・・・」
私たちは路地裏を見ながら喋る・・・
シド「その選択を我らは許そう・・・」
アン「けれど結末は変わらない・・・」
そうしてスタイリッシュに降りてお祭りに乗じて活動を行うありふれた盗人の前に降りたつ・・・
シド「逃げられると思ったか?」
アン「我らの目はすでにここにある・・・」
私たちは振りかぶられた剣を受け止めながらどうかっこよく倒そうか考えていると馴染みの魔力反応が現れたので彼女に譲った。
ズバッ!
アン「また斬撃の腕を上げたわね。流石は緻密のイプシロン。」
イプシロン「いえいえ、ガーデン様には及びません。」
緻密のイプシロン。魔力操作なら7陰でも上位の子、私が教えた魔力斬撃もすぐに形にするしね。ちなみにシドにベタぼれで色々とスライムで体を細工する健気な子だ。
シド「アルファの手紙・・・いや、例の計画はどうなった?」
イプシロン「は、ターゲットが教団の処刑人に始末されました。処刑人は行方をくらましています。」
暗殺者を処刑人呼び・・・イプシロンも中々やるね・・・
イプシロン「計画を第二に変更します。」
アン「いいわ、けど覚悟はできてる?」
イプシロン「はい、覚悟の上です。」
シド「僕たちは僕たちで動く。ぬかるなよ。」
私たちはそうして会話を終える。
シド「今日もイプシロンのスライムの盛りは激しいね。」
アン「プライドましましだね。」
いい子だけどプライド高さに応じてスライムは盛られていく。
アラクネの糸・・・芥川龍之介の蜘蛛の糸より
3ゴールド金貨・・・江戸川乱歩の二銭銅貨より
シェリーの話、救済ルートに書き換えた方が良いですか?
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はい
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いいえ