2021年8月2日ICT11:20 インドネシア共和国バリ州ベノア
道を行き交う様々な人々。
黄色、黒、赤。そして、白。
かつてこの島々を制圧し、圧政で人々を苦しめた
虫唾が走る。
今こそ害虫どもを駆除しなくてはならない。
観光地の安穏とした景色を見て、アーワイーマーは憤慨した。
白人どもは自分達の行いに責任を取らず、手前の都合で好き勝手した挙句、都合が悪くなれば素知らぬ顔で消えていく。
そのくせ、無法で得た利益は享受する。
故郷のビルマ。ミャンマーはそうして滅茶苦茶にされたのだ。
車が目的地に近づいていた。
街並みは徐々に姿を変え、現地の文化を
そこから先は車両が通行可能な道路はほとんどなくなる。
故に、立ちふさがる障害の存在は十分に想定していた。
「正面、警察です」
白・赤・紺で塗装された派手なパトカーが対向車線を走るのが見えた。
相手は即座にパトランプを点灯させ、スピーカーで怒鳴りつけた。
「そこの車列、止まれ!」
アーワイーマーの背後には6台のトレーラーが続いている。
ここまで大規模な移動は聞いていなかった勤勉な警察官か。
あるいは、賄賂のチャンスと小躍りしているか。
どちらにせよ、彼のやることは変わらなかった。
警告に従い、運転手に停車させるように命じる。
まだだ。部下を制してから、不機嫌そうな警官をアーワイーマーは柔和な笑顔で迎えた。
「やあ、どうも」
「この騒ぎはなんだ? 聞いてないぞ」
「はい。入港した客船に必要な荷物でして」
「知らないな。照会するから、この書類に記入を」
そう言って彼が差し出したのは公的な書類ではなく、一枚の法的拘束力を持たない、それでいてとても強い力を伴った紙きれだった。
『通りたければ、相応の額を出せ。騒げば拘束する』
推測は後者だったらしい。
彼が身に着けているボディカメラは汚職を防ぐために導入されたものだったが、現場は現場で対策を練っている様子だった。
「
「なに?」
聞きなれない言葉に、警官が聞き返した。
アーワイーマーがその問いに返答することはなかった。彼の部下が報告する。
「隊長。処理、完了したとのことです」
「そうか」
これは、まずい。
警官は長年の勘から相対する彼らを脅威と判断した。
咄嗟に腰の拳銃へと手をやったが───
人の反射神経は理不尽なものだ。
銃を指向し撃つべきか撃たざるべきかと悩むよりも、“撃つ”と覚悟を決めて銃を抜く方が早く引き金を引けるのだ。
二発の銃弾が交差した。
ひとつは人の胸部を撃ち抜き、もうひとつは車のルームミラーを撃ち抜いた。
その発砲を皮切りに、後部座席の男が飛び出してパトカーに残るもうひとりの警官を射殺した。
この警官は車載無線機で本部───
もうそこに、生存者はいないのだから。
「こちら赤の9、赤の9から各員へ。
開戦を宣言すると、最後尾を走るトレーラーから武装した兵士が降り始めた。
◆この男たちの正体は───?