転生したら猫妖精だった件 作:スライム作者
「こ、これは………」
リムルたちがドワルゴンに出立して3日が経ったある日。
リオンは驚き、絶句していた。
何故なら、村に大量のゴブリンが押し掛けてきたからだ。
「リグルド、これは?」
「はっ!リオン様とリムル様のお噂を聞き、庇護を求めて近隣のゴブリン村から集まってきたのです!」
「そ、そうか……」
まさかこんなことになるとは思っていなかった為、リオンは困惑する。
「ちなみに人数は?」
「500名は居るかと!」
「ご、500だって!?」
「はい!」
リグルドの返事に驚くも、すぐに冷静になる。
ヴェルドラが居なくなったことで、この地にちょっかいを掛けてくる魔物は多い。
そんな中で、弱い種族とされるゴブリンなど、すぐに淘汰されてしまう。
生き残るには、自分達より強い者に従い、庇護を得る。
それしかない。
そんな中、ゴブリンを守り、牙狼族を返り討ちにし、生き残った牙狼族に慈悲を与え配下とし、配下となった者たちに名付けをするスライムと
(これを無視するのは流石に出来ないなぁ……リムルには帰って来た時に謝ろう………)
覚悟を決め、受け入れることを決め。
「わかった!ここにいる者たち、全員を受け入れよう!」
その言葉を聞いたゴブリン達は喜びの声を上げる。
「ただし!!この村での規則に従うこと。それが守れるものだけを受け入れる!!」
リオンがはっきりそう言うと、4人の年老いたゴブリンが前に出て、膝をつく。
「君たちは?」
「はい……私らはここにいるゴブリン達の住んでいた4つの村の長をしておった者です」
「そうか……続けてくれ」
「はい……我々は貴方様に忠誠を誓います。決して逆らうような真似は致しません。どうか我々をお側において下さい」
「よし、わかった。君たちの言葉を受け入れ、君たちを歓迎しよう。それと、この村の代表は俺以外にもう1人いるから、忠誠を誓うなら俺とそのもう1人にしてほしい」
「はっ!かしこまりました!」
4人は深々と頭を下げる。
こうして、ゴブリン達を受け入れたのだ。
まず手始めに、リオンは名付けから始めることにした。
「この村の住人になる以上、皆さんには名を持ってもらいます」
そう言うと、ゴブリン達は喜びだす。
「ですが、名を付ける人数には制限を付けます。一気に名付けをすると、俺は少なくとも3日動けなくなる。そうなると、この村で責任を背負う存在が居なくなる。そうなると、今後の支障をきたします。なので、俺が名付けをするのは100人までとします。残りの方々は、もう1人の村の代表のリムルが帰って着次第、名付けをします。良いですね」
「「「「「「「「「「はいっ!!!」」」」」」」」」」
ゴブリン達からの了承も得て、リオンは名付けを開始する。
まず4人の長の内2人に名付けし、その名付けした長の村から合計で98名のゴブリンに名付けをした。
「残りのゴブリンの方々は後日になりますが、必ず名付けをします。ひとまず、今は休養を取ってください。リグルド、彼らに食事と寝床を」
「畏まりました!」
リグルドはすぐに食事と寝床の準備に取り掛かる。
「さて、これからの事について話をしたいと思います」
「はい……お願いします」
年老いた長達が答える。
「まず、皆さんに守って貰うことが3つあります。1つ”人間を襲わない”、2つ”仲間内で争わない”、3つ”多種族を見下さない”。以上がルールとなります。これらを守る限り、貴方たちの身の安全はリオン=テンペストの名において保証します」
そう言って、リオンは右手を胸に添える。
暫くして、食事と寝床の準備を終わったことをリグルドが報告し、ゴブリン達は久々の食事と安心できる寝床で休息を取った。
「しかし、リオン様。全員に名付けしなくても本当に良かったのですか?」
「言ったでしょ。全員に名付けして、俺が3日も動けなくなったら大変だって」
「それは……確かに……ですが、3日程であれば我らでも村を守り、回していくことはできます」
「うん。それについては疑ってないよ。さっき言った理由も強ち間違ってないけど、本当の理由は俺1人に権力が集中するのを防ぐためなんだ」
「権力……ですか?」
リグルドが首を傾げる。
「この村のゴブリンは、俺とリムルで全員に名付けした。だから、この村における俺とリムルの権力は同じぐらい。だけど、そこにリムルの知らない内に新たに500人のゴブリンを俺が名付けしたら、その500人分だけ俺が権力を持ってしまう。そうなったら、俺とリムルの意見が対立した時、多数決になった場合、どちらが勝つと思う?答えは簡単だ。すでに500票分の票数を持ってる俺に軍配が上がる」
「な、なるほど……」
「そういう事態にならないようにするために、俺とリムルは常に対等でいないといけない。ま、俺も初めての友達で、兄弟分、相棒のリムルと争いたくないからね」
「流石はリオン様!このリグルド!リオン様の考えには感服いたしました!」
「いやいや、そんなことないよ」
リオンは照れながら言う。
「それよりリムルたちが帰ってくるまでに、いろいろやるごとが山積みだ。頑張らないとな、リグルド」
「はい!!お任せ下さい!!」
こうして、ゴブリン達を受け入れたことで、村は騒がしくなって行った。
一方その頃………
歩いて2ヶ月掛かる武装国家《ドワルゴン》までの距離を、ランガたちの頑張りもあり3日と言う驚きの速さで到着したリムルたちは、到着早々人悶着ありながらもなんとかお目当ての鍛冶師と出会えた。
リムルは早速、鍛冶師をスカウトするも鍛冶師は急ぎの仕事があるのですぐに返事
はできないといった。
急ぎの仕事とは、魔鉱石を使ったロングソードを20本納品しろ、と言うものだった。
材料の魔鉱石も手元になく、取りに行こうにも採掘中に魔物が現れ、取れず仕舞い。
仮に邪魔なかったとしても、今の鉱山からは魔鉱石はもう取れないだろうとの事。
ドワーフの鍛冶師“カイジン”は頭を抱えていた。
そんな時リムルが、洞窟に居た頃、暇で採取していた物の中に魔鉱石があることを思い出した。
リムルはカイジンの作った1本を見せてもらい、捕食、解析を行い、あっと言う間に20本のロングソードを完成させた。
無事に、納品をし終え、カイジンはリムルにお礼として、エルフの女性がいる店へと招待した。
エルフと言う言葉に浮かれたリムルは、ほいほいと誘いに乗り、カイジンとその弟子のドワーフ三兄弟と共に、エルフの店を堪能した。
「ねぇねぇスライムさん。これやってみない?」
楽しんでいると、1人のエルフが水晶玉を取り出し、そう言ってきた。
「水晶玉?もしかして、占いとか?」
「私得意なんだよ。結構すごいって評判なんだから」
「へぇ〜じゃあせっかくだし、お願いしようかな」
「やった!……それじゃあ何を占おうっか?」
「あ!運命の人とかは!」
「それいいかも!」
リムルの運命の人を占うことになり、全員が興味深そうに水晶玉を見る。
(運命の人か……と言うか運命のスライム?)
なんて事を考えつつ、水晶玉を覗き込む。
すると、水晶玉が輝き出し、映像が浮かぶ。
そこには、1人の女性が数人の子供たちと別れを惜しんでいるシーンが映し出された。
その女性の顔を見た瞬間、リムルはその女性が日本人だと気づく。
(この人、日本人か?なら、俺と同じ転生者?いや、転生じゃない方の異世界人のパターンもあるか。どちらにしろ、運命の人とか抜きにして、同じ日本人として一度会ってみたいな)
そう思い、リムルは心の中で呟くと、水晶玉は更に光り出す。
そして、今度は違う人物の顔が映った。
「ゔぇ!!?」
リムルは驚いた。
何故なら、水晶に映った人は、見覚えのある猫耳があり、見覚えのある尻尾があり、見覚えがある顔だったからだ。
「リ、リ、リ…………リオン!?」
2人目の運命の人、それはリムルの友達にして、兄弟分、相棒の