転生したら猫妖精だった件 作:スライム作者
湊が、謎の世界に来て数週間が経った。
経ったと言っても時間も分からないし、太陽が昇ったのかも沈んだのかも分からないので湊は寝て起きたら一日として計算している。
状況が分からないまま、湊は洞窟内を彷徨っている。
洞窟内はあり得ない様な生物が闊歩しており、生きた心地がせず、眠るのにも一苦労だった。
とにかく湊は、危険な生物と遭遇しない様に慎重に洞窟内を探索していた。
「………これは」
そんな湊の目の前には水色のプルプルした何かが現れた。
「スライム的な何かかな?多分」
スライムに似た形状なので、スライムと呼ぶとこちらの言葉を理解したのか、軽く体を揺らしてプルプルとさせる。
一定の距離を保ちつつ、いつでも逃げれるように構える。
謎の猫の姿となった湊の身体能力は飛躍的に上がってるらしく、今のスライムとの距離およおそ3mぐらいの距離なら十分逃げられる距離だ。
「敵……には見えないんだよな」
しかし、湊はこのプルプルしてる見た目の所為もあるが、どうもスライムを敵とは思えなかった。
思わずゆっくり近づき、手を差し出す。
すると、スライムも体の一部を伸ばし、こちらの手に触れてくる。
それをゆっくりと握り、軽く上下させ振る。
「友達………かな?」
湊がスライムと出会って数週間が経った。
その数週間の中で湊は自分のことについて、色々分かったこともある。
まずは湊のユニークスキルの《
五感強化は、文字通り五感を強化するスキルで、耐圧耐性は圧力や外からかかる力に対して耐性を持つ。
そして、ユニークスキル《
まさに自由の名に相応しいスキルと言える。
そして、もう一つのユニークスキル《
これは湊が認めた者と繋がることが出来るスキルで、繋がることで思考の共有や言葉を発さずに脳内で会話、などと言ったことが出来る。
だが、何故湊が自分のスキルについて理解することができたのかというと………
「スライム君、今日はどうする?」
『いつも通り、薬草と魔鉱石の回収だな』
スライムのお陰だった。
スライムと出会ったあの日、手を差し出し握手をした時。
その時、湊の体が光り、胸の辺りから光る糸が現れた。
それがスライムと繋がり、次の瞬間に湊はスライムの言葉が分かった。
そして、スライムもまた湊と同じ日本人、そして、通り魔によって殺されてこの世界に来たことが分かった。
その時、スライムの持つユニークスキル《大賢者》により、湊の持つスキルが分かった。
更に、言葉による意思疎通以外にもスライムにしか聞こえない《大賢者》の声も聞こえるようになった。
意思疎通が可能となり、湊はスライムとこうして洞窟内の探索をしている。
探索と言ってもスライムは日課となりつつある、洞窟内にあるヒポクテ草と呼ばれる草と、魔鉱石と呼ばれる貴重な鉱石の回収をし、湊はそれに同行するだけだ。
「スライム君、はりきってるなぁ」
縦横無尽に草と鉱石を貪り食うスライム君を見ながら、湊は歩く。
その時、勢いよく疾走していた為、崖に気づかずスライムが飛び出す。
「『あ』」
湊とスライムの声が重なった。
そのままスライムはポチャンと崖下にある池に落ちる。
「スライム君!」
湊は慌てて崖下に飛び降りる。
そして、水に潜り、”五感強化”からの視覚を強化しスライムを探す。
(いた!)
沈んでいるスライムを見つけ、助けようと走る。
ユニークスキル《
(捕まえた!)
スライムの体を掴み、水面に出ようとした時だった。
突如、スライムの体が水を吸い込んで膨らみ、そして、勢いよく水を吐き出した。
「わあああああああああああ!?」
『あれ!?猫君!?どうしてここに!?』
「君を助けに来たんだよ!てか、止まって!」
『そ、それが!速過ぎて……止まれない!』
『スキル:《
何かが聞こえたが今の港にはそれ処じゃない。
速く止まれと念じた瞬間、スライムは岸辺にぶつかり、そのまま2人は投げ出される。
2人仲良く壁へと叩きつけられる。
だが、妙に弾力のある壁で、軽く弾かれた湊とスライムは地面に転がる。
「イテテ、スライム君。少しは気を付けないと」
『す、すまない……てか、痛くない?』
『解、痛覚無効により痛みは感じません。報告、身体損傷率1%、固有スキル《自己再生》発動』
《大賢者》の声が聞こえ、欠けていたスライムの体が治り、その光景に2人は感嘆の声を出す。
「凄いスキルだね」
「確かに。でも、痛みはなくともダメージはあるんだな。これからは気を付けないと」
『聞こえるか?小さき者たちよ』
その瞬間、何処からか声が聞こえた。
スライムのモノでも、《大賢者》のモノでもない。
何処からかと思い、あたりを見渡すと湊は目の前の何かに気づく。
半透明の虹色の何かに包まれた凄く大きな何か。
恐る恐る上を見上げ、思わず絶句した。
『どうした?聞こえているのだろう?返事をするがよい』
『もしかして俺達の事か?てか、こっちは口が無いから猫君以外には俺の声が届かないんだよ!』
『おい!』
『ああーもう!うるさいんだよ!ハゲ!』
『ちょっ!スライム君!いくら俺にしか聞こえないからってそんな暴言は!』
『ほほぉ、我をハゲ呼ばわりとはいい度胸だ!』
「『なっ!?』」
まさかスライムが何を言ってるのか分かるとは思わず、驚く。
『久方ぶりの客人だから下手に出ていたが……死にたいようだな!』
『わああああ!すみません、すみません!まさか思ったことが分かるとは思わず!自分、目も口もない状態でして!』
「すみません!スライム君の暴言は俺からも謝ります!どうか、御慈悲を!」
二人して平謝りして、許しを請う。
『グハハハハハハハハ!我を見ての発言かと思えば、目が見えぬのであったか!ならば許そう』
意外と温情ある方らしく、2人は一安心する。
『ついでだ、見えるようにしてやろう』
「『え?』」
『但し、条件がある』
「……条件って?」
『簡単だ。見えるようになっても我に怯えるな。それと、また話をしに来い。これはそこの小さき者もだ。どうだ?』
「俺は構いませんけど」
『お、俺もだけど……それだけでいいの?』
些か拍子抜けだったが、その程度ならと湊とスライムは了承した
『うむ。実は300年前にここに封印されてな、それ以来暇で暇でどうしようもなく退屈でな。どうだ?』
少ししょんぼり気味に言い、その姿には何処か愛着がわいた。
『封印ってのが気になるけど………分かりました、喜んで!』
スライムの返答にその者は嬉しそうな声を上げ、周りを見る方法を教えてくれた。
その方法とは、“魔力感知”と呼ばれる、周りの魔素(魔物の生命の元となる物質)を感知するスキルを使うものだ。
そんなスキル、スライムは持っていないが、気合で感知しようとする。
『エクストラスキル:魔力感知を獲得』
《大賢者》の声が聞こえ、スライムが、《魔力感知》のスキルを獲得したことが分かった。
「『エクストラ?』」
聞きなれない言葉に、湊とスライムが聞き返す。
『通常のスキルより威力性能が桁違いのスキルです』
『おっ!いいね、エクストラ!』
スライムが、エクストラスキルに歓喜する中、湊の頭にも声が聞こえた。
『スキル:《
(スライム君と同じスキルを獲得した?どういうことだ?)
少し疑問に思ったが、今はスライムの様子が気になったので湊は疑問を頭の隅に置く。
「スライム君、どう?」
『おお!見えるようになった!てか、猫君、顔可愛いっ!』
「うっ……ちょっと気にしてるのに」
いきなり可愛いと言われ少し凹む湊。
『どうだ?ま、その様子なら見えてるようだが』
『あ、はい!ありがとうございまえええええええ!!』
お礼を言おうとしたスライムだったが、スキルを教えてくれた者の姿を見て驚いた。
『ど、ドラゴンンンンンッ!!?』
そこに居たのは巨大なドラゴンだった。