今回も本編をお送りしたいと思います。ちなみに前回の続きからとなっておりますので、前回見てない人は読む事を推奨します。
それでは、本編をどうぞ。
「さて、次の問題はレグナスさんの処遇ですね」
夕飯が終わって間もなくして、シェアハウスにいる全員がリビングに集まって、今一番の問題であるレグナスについての話し合いが行われるのであった。
……といっても、希美と千歌は優奈に命じられて夕飯後の皿洗いやお風呂掃除に取り掛かっているため話し合いの場にいないため、全員という言葉には語弊はあるが。
「あのー……なんで話し合いが行なわれるのですか?」
「今のままだと貴女に色々と不都合や不自由になるからあたし達で考えようって話よ」
唯一理解していなかったレグナスはおそるおそる手を小さく手を上げて尋ねるも咲恋が分かりやすく説明した。今のレグナスの立場はあくまでお忍び。だから目立つのは極力控えなくてはならないのだ。
「それならまずは偽名…もとい日本で活動するにあたっての名前から考えたらどうだ?」
「名前を……ですか?」
「嗚呼。過去に見た漫画を参考にするなら、日本人がイタリアで暮らす都合上本名をイタリアに合わせて変えているんだが……これも逆で日本で暮らすならそ日本の名前に合わせた方が周りに溶け込めて『お忍びしてる』って可能性が少なからず減ってくるぞ」
まず真っ先に挙げられたのは名前からである。もし
「なるほど……『木を隠すなら森の中』とも言いますし、いい案ですね」
「確かに……周りに溶け込めれば見つけるのに時間はかかるし、その間に対策する時間を大いに稼げるぞ」
京介の提案を聞いた優奈と颯樹もそれで賛成するように頷いた。2人も、京介の案は理に適ってるようで否定する理由も無いようだ。
「でも相手はそこを見過ごすほど馬鹿じゃないわよ?戸籍とか調べられたらどうするの?」
「
「そっちの方が問題でしょうが‼︎」
万が一バレた時はどうするのか咲恋は指摘するも、京介がとんでもない事を言い始めたので頭を叩いて止めた。もしそうしたらレグナスの立場が危うくなるのは目に見えているからだ。
「ま、まあそれはあくまで最終手段として取っておくとして……」
「(結局やるのね……その『最終手段』が来ない事を祈るわ……)」
「名前を決めてしまいましょう。それを決めた上で次の事を決めていきましょう」
京介の妙案(?)を一度置きつつ話を進める颯樹であった。しかし、否定をしてないので、遠回しに聞けば『余裕が無かったらやろう』と捉えられてしまう。
「それじゃあレグナスの名前を颯樹に決めて貰おうか」
「待て、何故僕なんだ?こういうのは話し合って決めるか女性陣に決めて貰ったほうが……」
「元を辿ればお前の好奇心が動いた結果だ。千歌が引き止めたのにも関わらずかすみの初デュエルを見届けるのも途中で放り出した……なら最初にレグナスに関わったものとしての責任を取るべきだ。あとはレグナスの身の回りの世話を担うのは主にお前だからそのくらいの義務を果たすべきだ」
『好奇心は猫を殺す』から来ているからか、京介は颯樹の起こした行動を咎めると同時にレグナスの身の回りの世話を果たすという約束を指摘した。
もしこれがレグナスから尋ねられた場合ならまだ分からないが、今回のケースは颯樹の方から尋ねてきたのだ。だからその責任を果たすのは颯樹になるのは必然だと捉えたようだ。
優奈と咲恋も京介の主張に同意のようで、無言で首を縦に振った。
「……分かったが、少し時間をくれ。由来とかも考えなきゃいけないから、流石にそう簡単には決められん」
京介の主張に観念したからか、颯樹はその意見に従う事にした。だが、流石の颯樹でも、一朝一夕で名前を決めるのは不可能と感じたからかスマホで名前辞典や姓名判断のサイトを調べながらレグナスの名前を考え始めた。
途中、京介や咲恋、優奈から「名前の画数は少なすぎず多過ぎず」「簡単な物はかえって安直すぎて気づかれる」「レグナスに配慮して漢字2文字で収めた方がベスト」という助言を貰い、そこから1時間近く思考し続けた。
「……決めたぞ、レグナスの名前を」
暫くすると、颯樹はレグナスの名前を決めたようで、紙とペンを取り出して書き始めた。書いて1分も経たないうちに、書き終えて全員に見せた。
その紙には『結夢』と書かれていた。
「ちなみに聞くが、何て読むんだ?」
「それは
『夢』を『
「……なるほど、いいセンスだ」
「私も。それでいいと思いますよ」
「あたしも。ちゃんと考えられていいじゃない」
「レグナスはそれでいいか?」
「……はいっ!
京介達から同意を得た颯樹は、最後にレグナスに確認を取るが、笑顔で即座に肯定した。その時のレグナス…改めて
「あの……少しよろしいでしょうか?」
そんな中、誰かが声を掛けてきた。その人物は先程まで皿洗いとお風呂掃除をしていた千歌と希美がちょこんと体育座りをしていた。
「どうしました。愛川さん、水澄さん?」
「お風呂の準備が出来ました……」
「お皿洗いを終えました……」
どうやらお風呂が沸いたようなのでその報告をしに来たようだ。しかし終わったのは数十分前のようで、2人が終わった時には颯樹はまだ結夢の名前を考えている最中であったため中々声を掛けづらい状況だったためか、何処か気まずくなっていた。
「そうですか……それなら2人はお疲れでしょうから先にお風呂に入ってきて下さい」
「ありがとうございます。それでは行きましょうか、希美」
「うん。もうクタクタ……」
優奈にそう促されるも、千歌は希美の手を引いて共にリビングを出た。普段の千歌なら考えられない行動であるが、今の希美の顔は疲れと捉えられる表情であったためか、流石に可哀想と感じたようだ
「でも優奈さん、なんであの2人を先に入らせたの?」
「あの2人の事です、「颯樹とお風呂に入りたい」と騒ぐ事が目に見えていたので対抗策として出したまでです。まあ、あの2人は疲れていてそこまで頭が回っていなかったからスムーズに話は進んでくれましたが」
ただの労いかと思ったが、何か裏があると思い咲恋は指摘するも、その予感が当たったようだ。確かに
それを聞いた結夢以外の全員は、これ以上は時間の無駄と捉えたのか、リビングで
「京介、《
「確かに……手札からかシールド・トリガーかで変わるが、【アビスロイヤル】にとってはシナジーもあるから数枚入れても問題は無さそうだな」
リビングのテーブルで京介は颯樹のアドバイスを受けながらデッキ調整を行なっていた。京介が最近使い始めた【アビスロイヤル】はまだ使い手の京介ですら未知数と感じるデッキ…なら色々なカードを闇文明を中心に採用してどの型がしっくり来るか検討しているのであった。その傍ら、咲恋と優奈もそれを覗き見するように眺めていた。
「これは……なんでしょうか?」
そして結夢も不思議そうにその光景を眺めていた。どうやら彼女のいた国ではデュエル・マスターズはそんなに有名では無いようだ。幾らカードゲーム人口が数億人を超えてるこのご時世とはいえ、それでも世界の総人口は81億。その中では多く見積もって1割程度…またはそれを下回るためか、そこまで浸透している国は無いことが改めて実感した。
「これはデュエル・マスターズ…さっき
「カードゲーム、ですか……もしかして先程
「そこまで耳にしてるのね。そうよ。【THE BRIGHTER】は颯樹が立ち上げたチームよ」
「颯樹様、凄い
咲恋の簡単な説明を受けた結夢は目を輝かせながら颯樹を尊敬する目て見た。
「……興味があるから結夢もやってみる?」
「いいのですか⁉︎是非ご教授お願いします!」
「『教授』ってレベルじゃないけどね……」
結夢にそう言われて苦笑いするも、颯樹は一度リビングを出て暫くすると、デッキを入れてるケースとストレージとプレイマットを持って戻ってきた。
そこからまもなくして、京介のデッキ調整から結夢のプチ初心者講習が始まった。颯樹は結夢に自分が過去に使用したデッキをカスタマイズした物を与えて早速実践形式でティーチングを始めた。
要所要所でルールやデュエマで使う用語を教えながらデュエルを始めるが、多少のプレイングミスはあったがそれを除けば着実に理解していった。というよりも、学習能力が高かったこともあったためであるが。
その後は颯樹のシールドを全ブレイクまで追い込むも、経験と年季の差が遥かに多すぎたのかダイレクトアタックまでは届かなかった。そして颯樹のターンが回ってきた事により形成逆転され、彼に軍配が上がった。
「対戦ありがとうございます、颯樹様」
「多少のムラはあるが、なかなかスジはいいぞ。これなら数日時間を費やせば現役の
「ありがとうございます」
デュエルが終わると、颯樹は結夢の初デュエルの腕前を称賛した。颯樹のその言葉はお世辞でもない、彼はただ純粋に結夢の腕前を評価したのだ。周りに居る全員は、颯樹の意見に賛同する様に肯首していた。
「みんなー、お風呂出たよー!」
2人のデュエルが終わったちょうどその時、リビングに部屋着に着替えた希美が入ってきた。希美の後ろには同じく部屋着に身を包んだ千歌が控えており、希美に続いて同じくリビングに入った。
「それなら香月さん、一緒に入りましょうか?」
「そうね。そうしましょう」
優奈はそう言いながら咲恋を見やる。咲恋の方も優奈と同意見のようで軽く頷いてお風呂に行く準備をしていた。
「それじゃあ風呂の番が来るまで結夢の相手を務めるとしましょうかね「何を言ってるんですか?」…はい?」
時間が来るまで結夢の対戦相手を買って出ようとした京介だが、優奈と咲恋に肩を掴まれた。しかも当の本人達は笑顔になっていた。
「あのーお2人とも……何をする気でございましょうか?」
「何って……そんなの子供でも数秒で理解出来る事よ」
「
なんと優奈の口から告げられたのは京介との入浴…もとい混浴(?)であった。
「ちょっと優奈ちゃん!何言い出すのっ⁉︎」
「そうですよ!今言った事は風紀を乱す行為を好まない貴女らしからぬ発言ですっ!」
「黙りなさい。その言葉、そのままお返しします」
当然希美と千歌が食ってかかってるように優奈に詰め寄ってきた。それを皮切りに3人の口喧嘩が始まってしまった。京介や咲恋も仲裁に入ろうとするも、入る余地もないまま、ただたじろぐだけであった。
「…………」
「どうした結夢?」
しかし、その光景を黙って見ていた結夢に疑問を抱いた颯樹は彼女に声を掛けた。
「私……颯樹様とお風呂に入りたいですっ!」
『えっ⁉︎』
此処で場違いとも取れる結夢の爆弾発言が投下された。もちろん、この場に居た希美と千歌は結夢の方を見た。
「ち、ちょちょちょちょちょっと結夢ちゃん!ドサクサに紛れて何言ってるのっ⁉︎私だって一緒に入りたいのに!」
「そうです!幾ら日本に来たのが初めてだからって……ましては颯樹とは…羨ま、ゲフンッゲフンッ‼︎けしからぬ事を……!」
もちろん希美と千歌も結夢の爆弾発言に対して即座に反論した。その時、自分達が抱えている本音を漏らしながらであるが……。
「貴女方、五月蝿いですよ。その煩悩を取り除くために徹夜で坐禅したいのですか?」
しかし優奈の鶴の一声で2人は黙ってしまった。明日から行なわれる優奈の個人レッスンが始まるのだ。もし優奈の言った事が実現されれば寝不足の状態で剣道に望まなければならない。それだけは避けたい2人は大人しく黙る事になった。
「さてと五月蝿いのは黙らせましたし……早速お風呂に入りましょうか♪」
「あのちょっと⁉︎入る事は確定なのでしょうか⁉︎」
「当然でしょう?それと、アンタにはもう逃げ道なんて存在しないから腹括って覚悟なさい」
「ちょっと待って!あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ‼︎」
そして京介は優奈と咲恋に無理矢理引き摺られてお風呂場に連行されるのであった。それを颯樹は右手を振りながら見送る事しか出来なかった。
ちなみに余談だが、この数分後、お風呂場から色々と声が聞こえたのだが、颯樹は聞こえないフリをして、自分の番が来るまで結夢のデュエルの相手を務める事となったのだ。
京介達がお風呂に入って数十分経って、お風呂が終わったからか京介達が部屋着に身を包んでリビングに入ってきた。
しかし優奈と咲恋は異常に肌艶が良くて、逆に京介はやつれていたが、颯樹はこれ以上指摘すれば今度は自分の身に危険が及ぶと判断して、追及するのを諦めた。
で…現在颯樹はお風呂場で身体を洗って湯舟に浸かっているのだが……
「ふふっ……男の人の背中、とても大きいですね…ふふっ♪」
「ちょっ、やめてよ恥ずかしい……こんなのあの二人に見られたら」
……今は結夢が颯樹の背中に密着している状態であった。ちなみにこれは、優奈から「せっかくですので、お2人で入ってきたらどうですか?」と余計な横槍が入ってきたので結夢と一緒にお風呂に入る羽目になったのであった。
「良いではありませんか。今この場にはわたしと貴方の二人っきり……♪それとも……歳下は、お嫌いですか?」
「ぐっ……!」
颯樹の反応にお構いなしに、結夢はそのままの状態で颯樹の身体に手を回して抱きついた。それに加えて更に追い討ちを掛け始めた。
「その反応は、満更でも無いんですね?顔が赤くなってます♪」
「……」
結夢にそう指摘されたからか、颯樹も言葉に詰まったからか、顔を赤く染めながら何も反論しなくなった。確かに今の颯樹は背中に抱きついているのもあってか、結夢を直接見ていなかった。
「颯樹様にこんな可愛い顔があるなんて……もう少し、イジワルしたくなりました♪」
そう言うと結夢は颯樹に更に抱きつく力を強めて、ガラ空きになっている彼の左耳に軽く息を吹き掛けた。
「ひゃうッ!何するんだっ⁉︎」
「フフフ……お顔はカッコイイのにとても可愛い声をあげるのですね♪」
颯樹の反応を見て微笑んだ結夢はそのまま更に抱き締めている力を強め、ただでさえ密着させているのに更に限界ギリギリで近づいた。
「それに…わたしは嬉しいのです。わたしの存在に気づいてくれた事、誰とも知れない存在に手厚く優しくしてくれた事……感謝でしかありません」
突如結夢が言った感謝の言葉に颯樹は黙って聞いた。確かに結夢にとっては日本は未踏の地、そんな場所で当然彼女の知り合いはいない。もし颯樹との邂逅が無かったらどうなっていたか…母国からの追手が来たり人身売買をしてる輩に捕まって薄汚い権力者の元にいたかもしれない。だから結夢は颯樹にはただただ感謝するしかなかった。
「だからこれはわたしからの
「……⁉︎」
そう言って結夢は颯樹を無理矢理自分の方へ向かせた。するとそのスキを見計らって結夢は自分の唇を颯樹の唇と重ねた。重ね合わせた後は数分間浴室内は静寂が続いた。
「……プハァッ、それではわたしは先に上がりますので、颯樹様はごゆっくりしてください♪」
そう言って結夢は浴槽から立ち上がって浴室を出ていった。結夢が出ていくのを確認した颯樹は、安心したからか顔の半分まで湯舟に浸かった。
「……アレは色々アウトだろ」
そう呟くと、颯樹はその状態で数分間、その場から動かず浴室の扉をただ眺めているのであった。
「で、アレは何やってるの……?」
結夢がお風呂から出て数分経つと、颯樹も漸く落ち着いたようでお風呂に出た。そして部屋着まで着替え終えた颯樹が向かったのはリビングである。
しかし、そこで目にした光景は、ソファに座っている京介と結夢とリビングでお茶を淹れている咲恋……はまだいいのだが、問題は、坐禅を組んでいる希美と千歌と、竹刀を
「あの2人が颯樹と結夢の風呂中に突撃しようとした所優奈さんにとっ捕まって坐禅を組んでいるんだよ。これから2時間程行なわれるそうだ」
ソファに座っている京介は颯樹に何があったかを呆れながら説明した。2人の凶行を聞いた颯樹は(先程の件もあってか)立ち眩みを起こしそうになった。
「そうか……今更だけど、大丈夫か?」
「言うな。もう色んな意味で搾り取られたから手遅れだ」
「なんか、ごめん……」
そう言うと颯樹は京介の隣が空いていたのでため息をつきながらソファに座った。ちょうどその時、咲恋がお茶を運んできたので、希美と千歌以外はお茶を貰って一服した。
一方の結夢は、「これが日本のザゼン、お茶……ですか!」と感激したように呟くという外国人特有の当然の反応をするのであった。
「そういえば結夢は何処で寝かせるの?」
お茶を飲み干すと、颯樹は思い出したようにそう尋ねた。此処は女性陣の誰かだろうと勘繰っていたが、京介と咲恋と優奈は一斉に颯樹の方を見始めた。
「あのー、なんで僕の方を見てるのでしょう……?」
「颯樹が身の回りのお世話をするのだから、颯樹の部屋に決まっているでしょう。何を今更言っているのですか?」
優奈はさも当然な顔をしながら颯樹にそう告げた。もちろん颯樹も、それには思わず驚きを隠さなかった。
助けを乞うにも、京介と咲恋は既に優奈側に、希美と千歌はオシオキ中のため期待は出来ない、いわゆる四面楚歌の状態が出来上がってしまった。
逃げ道と助けを既に絶たれた颯樹はその場で崩れるかのように跪いてしまった。しかしそれを見ていた結夢は、すぐさま颯樹に駆け寄って寄り添った。
「今夜はわたしにとことん付き合って貰いますので……寝られるなんて、思わないでくださいねっ♪」
そして寄り添うと同時に結夢はそう言った。もちろん全員が驚くも、希美と千歌は立ち上がって結夢に詰め寄ろうとするも、優奈が持っていた竹刀と、もう一本の竹刀を2人目掛けて投げつけた。すると竹刀は2人の後頭部に直撃して、2人はそのまま床に倒れて気絶した。
「……さて、私はこの2人を寝かしつけてきます。結夢さんをどうするかは颯樹、貴方次第ですのでじっくり考えてください」
そう言って優奈は颯樹のポケットに何かを突っ込んだ後、希美達を抱えてそのままリビングを出ていった。
「ホントに、この娘はとんでもない起爆剤だよ……」
「確かにそうね……(あたしも今度やってみようかしら……?)」
京介と咲恋は結夢の色んな意味で恐ろしさを感じると同時に無意識の行動について呆れていた。しかし咲恋は、結夢が先程やっていた事を模倣しようかと心中考えるのであった。
しかしその時、京介のスマホに着信音が鳴ったので誰か確認すると、かすみであった。京介はすぐさま電話に出た。
「どうしたかすみ?……うん、うん…分かった。颯樹には俺から伝えておく」
そう言って京介は電話を切ってスマホをテーブルの上に置いた。
「電話の相手はかすみのようだな?どうしたんだ?」
「かすみの知り合いに、再来週に行なわれるデュエマの初心者講習会に行く事を勧められたそうでその事について俺の所に相談に来たとさ」
かすみ宛にデュエマの初心者講習会の参加を打診されたようで、それ関連の相談を頼まれたそうだ。確かにかすみは初心者だから、こういうセミナーに参加するのは当然といえば当然であるが。
「……分かった、それなら明日相談に乗ろう。京介、かすみに明日の午後2時に
「了解」
颯樹はかすみの話を汲み取ったようで、京介にかすみ宛の伝言を頼んだ。京介はチャットを開いて、先程颯樹が言った事をすぐさまかすみに送信した。
「……さてと、僕は部屋に戻るとするよ。京介達はどうする?」
「俺はまだ。優奈さんに呼び出し食らったからまだここにいるよ」
「あたしはもう寝るわ。明日はゼミがあるから」
「そうか。なら結夢、部屋に行くよ」
「分かりました」
そう言って、颯樹と結夢、咲恋はリビングを出た。一方の京介は、優奈を待つべく、ソファに座り直してテレビを見て暇つぶしをするのであった。
「……っと、ここが僕の部屋だよ。多少散らかってるかもしれないけど、気にしないで」
「ここが颯樹様のお部屋……。男性の私室は個人的に片付かれているイメージはありませんでしたけど、綺麗に整頓されていますねっ」
「まあ、大体はそうかもね」
優奈からの指示を受けた颯樹は、それに従って結夢に自分の部屋を見せていた。彼女から見えている範囲だとベッドには皺一つ残って居らず……そのベッドの頭に近い所にある本棚の本は、参考書や大学で使っている教科書等が綺麗に並べられ、颯樹本人の真面目さを伺わせる様な光景だった。
結夢が日本に入国する際持ち込んだキャリーケースは、颯樹のベッドの近くに横倒しになっていて、ハナからこの部屋に居候する事を決めていた様な物だ。
まあ、結夢を最初から接客対応していたのは、何を隠そう颯樹なので……これくらいの事はしないと割に合わないのだが。
「夜が明けたら先ずは、これからの事を──」
と言葉を紡いだ颯樹は、自分の背後を振り返った瞬間に唖然とする羽目になった。何故なら、先程まで部屋着を着ていた
部屋の明かりを点けずに入室したのだから、当然室内には窓から差し込む月の光だけが二人を妖しく照らしていて……その所為で顔を赤らめた颯樹と結夢(後者に至っては何かをモノ欲しげな様子だった事も追記しておく)の姿は、傍から見ればよく見なければ分からないくらいだった。
そんな上下純白の下着姿になった結夢は、自分の思いを悟られぬ様に音を立てず……颯樹に擦り寄って行った。
「ちょっ、結夢っ……!?」
「わたくし、先程……貴方に向けて、お風呂から出る時に申し上げませんでしたか?」
「えっ、一体何を……まさかっ!」
「そう、そのまさか」
京介たちと話していた時と一人称を変えた結夢は、ベッドまで追い詰めた颯樹を更に押し倒し……彼を上から見下ろす態勢になっていた。その言葉で何が起こるのかを察した颯樹は、話し合いを元に解決しようとしたのだが、結夢の押さえ付ける力がかなり強く……男としては不甲斐ない結果となってしまった。
「わたくしは……貴方を、一生お慕い申し上げます。その証として……」
「ちょ、ちょっと……結夢…っ」
その言葉を最後に、結夢と颯樹の影は重なり合った。
ただ一つだけ覚えている事があるとするなら……彼女にとって漸く自らの望む相手に巡り会えた、その気持ちから激しい行為になったのだろう、と言う事だけだったが。
まずは読んでくださった方、お気に入り登録をしてくれた方、こんな拙作を応援いただきありがとうございます!こんな拙作読んでくれるだけでもありがたいです。
最後の颯樹と結夢……いやぁ、会った初日にぶっ飛びすぎ(苦笑)これ希美と千歌にバレたら絶対ヤバいのは確かだ(笑)
ちなみに終盤、優奈さんが颯樹のポケットに入れたのは、例の『『こ』がつくアレ』です、はい。
それと余談だけど……京介は優奈さんに彼女の部屋に連れられた後、颯樹と同じ運命を辿ります。(どうなったかは…色々聞かないで貰えると助かります……)
とりあえずレギン関係の話は一旦置いておいて……本編はデュエマ初心者講習会の話に行きたいところです。しかし、次回は今現在(今回の投稿日)夏という事で、水着回をお送りしたいと思います。他の小説ではホラゲー回をやるので、今年はこの小説で水着回をする事になったんですけどね(笑)
それと、水着回は1〜2話を目処にお送りしたいと思います。
次の投稿スケジュールも告知しましたので……それでは、また次回。
5話連続で、『咲野 皐月』様考案キャラのプロフィールを掲載します。今回は此処暫くメインとなっていたレギン=レイルロッサ=シャルルさんです。
【名前】レギン=レイルロッサ=シャルル
【年齢】17【性別】女性
【性格】大人しく控えめだが、一度決めた信念は曲げない
【設定】
腰まで届くか否かの髪を束ねてお下げ髪にしている少女で、金髪に黒眼。日本にはあまり渡航経験は無いらしいのだが、彼女の元を訪れた客人の中に日本人が居た為、外国人には珍しく日本語が得意。その時にデュエマにも興味を持ち、真っ先に没頭するなど飲み込みと成長が異常に速い。
街中に出る際は黒い鍔付の帽子を被り、その中に自身の長い髪を隠す事で自分が王族だとバレない様にしている。その為……本人を知らない者から見れば、華奢な形をした男性として間違えられる事がよくあるのだとか。ちなみにその際は颯樹のファミリーネームを譲り受け、「
レイルロッサ王国の王女だが、あまり表に立って人前で自分の気持ちを表現する事が苦手な側面がある。それと身内に優秀な妹が居る為、常日頃から比較対象として見られる事が後を絶たない。
それが理由となり、学校の方へは行っておらず、世間一般的な知識とそれなりの技術は持っているが、他人との付き合いがあまり上手くない事が散見される。
ちなみに日本に来た理由だが、いつまでも王宮の中で何不自由無い生活をするのが耐えられなかったらしく、建前は日本文化を学ぶ為としているのだが、本当は外の世界を知りたかったから、と言う旨からの様で(彼女としては、全てが決められたレールの上を走っていくだけの未来がつまらなく感じたみたい)。
デュエマでは【G・リンク】を中心とした、文明問わず様々なデッキを使用し、扱える文明の多さからそれなりに豊富な知識を持っている。いずれは大会に出たいとも考えはあるのだが、前述の通り身分がバレる事を警戒して出場の機会に恵まれないのが通例。
【THE BRIGHTER】の中では、かすみに次いで加入歴は浅いが、習熟速度と適応力の高さは彼女と比べて群を抜いて高い。
ちなみにこれは余談ではあるのだが……どうやら、デュエマ初心者講習会に参加していたらしく、その時に颯樹のデュエルを見て憧れと羨望を抱く事になったのだとか。今は力及ばずとも、行く行くはいつか彼の隣で双璧を成す実力者になれる様努力しているのだとか。
本人曰く「颯樹様のお役に立てるのなら、私……どんな辛い事でも、乗り越えてみせます!」らしい。
【身長】157.4cm【体重】54.3kg【血液型】A型
【誕生日】10月7日【星座】天秤座
【服装】
①:自らが王族だとバレない様に、鍔付きの黒い帽子を被っていて(外限定で)、上下は暗めの色を基本とした格好をしている。……まあ、服越しで少し見えている箇所へ注視すれば、性別の判断や意外性などは伺えるだろうが。
②:白を基調とした煌びやかなドレスに身を包み、長く伸ばした髪は後ろでお団子に束ねている(こっちが王族として活動する時の服装)。首に掛けているネックレスは両親から譲り受けられた形見らしい。
【イメージCV】藤井ゆきよ(声のイメージとしては【魔弾の王と戦姫】のレギンがそれに相当)
【使用デッキ】《神人類 ヨミ》を切札に据えた『ゴッド・ノヴァ』デッキ(全色対応)