デュエル・マスターズ Éclair   作:なかムー

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 皆さま大変お待たせしました。最新話の投稿となります。

 今回はデュエマ講習会を数回に分けてお送りします。

 それでは、本編をどうぞ。


デュエマ講習会

 「デュエマ、初心者講習会…?」

 「ああ、そうだ」

 

 莉々とのデュエマ初対戦や、私立桜来学園の編入挨拶を終えたその日の夜、かすみは夕食後に惣次郎からの呼び出しを受けていた。ここに居ない文恵はと言うと、自分の部屋へと戻っているらしい。

 

 「講習会……と言う事は、デュエマに関しての勉強会をするんですよね?」

 「そうだな。でもお前が想像してる勉強会とは違ってな、参加費は取られねぇし、相手も初心者揃いだからそれなりに良い練習機会になるぜ。それに……何と言っても、参加すると大会限定のプロモカードも貰えるうえ、特別ゲストも来るって話だ」

 「私と同じ、初心者揃い……」

 「だからよ、気難しく考える事はねぇ。概要も事前にわかってるし、日にちも今度の週末と良い期間に用意されてる。あとはお前のやる気次第だ」

 

 惣次郎からそう伝えられたかすみは、彼からパンフレットを借りてもう一度その内容に目を通し始めた。彼女の中では特別ゲストが非公開と言うのが気になっていた所だが、真剣に読み込んでいたその表情が、次第に少しづつ笑みを浮かべる様になった。

 

 「マスター」

 「おっ、やるか?」

 「はい、行きます。今度の週末なら、特に予定も入れていないので行ってきます」

 「そうか。吉報を楽しみにしてるぜ」

 

 かすみはそう言って自分の考えを惣次郎に伝える。その言葉を聞いた惣次郎は、腕を組んで満足そうに首を縦に振っていた。……しかしその後、かすみを再び呼び止めた。

 

 

 「? まだ何かあるんですか?」

 「その初心者講習会だがな、人気アイドルも来るぞ」

 「……へっ? アイドル……?」

 

 惣次郎の一言でかすみの脳裏に、つい数時間ほど前に会った希美の顔が思い浮かんだ。

 

 

 「アイドル……かぁ。何だかデュエマとアイドルって無縁の存在かと思ってたんだけど、意外とそう言う人も居るのかな……」

 

 かすみは惣次郎の話を聞いた後、自室に戻って自分のデッキを見直していた。これは京介からの入れ知恵にはなるのだが、彼曰く。

 

 『大会とフリーは違う。後者は楽しんだ者勝ちみたいな雰囲気こそあるが、大会本番は本気のヤツらが集う。お前がこれから経験するのはそんな世界……対戦する一試合一試合、全て吸収して強くなれ』

 「一試合一試合を吸収して強くなる……これって、試合の中でたくさん学べって意味で良いのかな」

 

 彼女のカードを動かす手が少し止まり、自分から一番見える所にあった……キーカードである《ジョリー・ザ・ジョニー》を手に取った。イラストに描かれている彼の表情は、無機質な鋼の中にある為に伺い知れないのだが、カードを手にしている方のかすみの手が小刻みに震えていた。

 

 それもそのはず。彼女はカードゲームの公式イベントに参加する事はもちろん、チーム外で自分と全く違う人と対面してデュエマをする、と言う事自体初めての経験なのだ。

 

 「(私に……出来るのかな。まだ始めたてだから、プレイミスをしないとも限らない……対戦する人に迷惑をかけちゃうかもしれない……でも)」

 

 かすみはその場から徐ろに立ち上がると、机の上に置いてあるパンフレットを手に取った。その時、惣次郎からの一言が頭の中を過ぎった。

 

 『だからよ、気難しく考える事はねぇ。概要も事前にわかってるし、日にちも今度の週末と良い期間に用意されてる。あとはお前のやる気次第だ』

 「(……そうだよね。やる前から諦めてたりしたら、何も始まらない。それこそ、先輩たちに怒られちゃう。だから……私は私のできる精一杯で、講習会に臨もう)」

 

 そんな事を考えながら、かすみは部屋の電気を消して布団の中に入った。そして彼女の机の上に置かれたカードの束は、窓から射し込む月の光を反射してキラキラと輝き、まるでかすみの初の対外試合を応援している様だった。

 


 

 「……おっ、来たな」

 「おはようございます、京介さん。今日はよろしくお願いします」

 「別に構わない。……まあ、家を出る前にちょっと面倒な事があったけど、そんなのいつもの事だ」

 「は、はぁ……」

 

 そして初心者講習会の日、当日の朝。

 

 かすみは朝早くから支度を整え、京介との待ち合わせ場所に訪れていた。指定されていた場所はカードショップ(JUDGMENT)であり、そこからの方が移動も近いと事前に通達を受けていたからである。

 

 ……ちなみに、何故京介がかすみと一緒に居る理由のかと言うと、前日の夜にその旨を伝える電話がかかって来たからだ。同じ女性同士で、かすみが東京に来て最初に出会った咲恋は予定が入っており、彼女と同じ理由で晴也、(颯樹曰く)私用あるとの事で千歌も断念したのだ。

 

 そして残るは颯樹か京介の二人だが、前者は仕事が入っていて付き添えないと言う事だったので、消去法で京介が共に向かう事となったのだ。

 

 「……」

 「緊張してるか?」

 「は、はい。今でも少し……」

 「そうか。緊張するのは良い事だ。ただ、緊張しっぱなしは良くない。自分の実力を出せなくなるからな」

 「わ、分かりました」

 

 そんな事を話しながら、徒歩で今回の講習会会場に向かう事十数分。会場が目に入った辺りで二人が見た物は……よく見慣れた背中だった。

 

 「待って下さい、京介さん」

 「? どうした?」

 「あれって……颯樹さん、ですよね? 今日はお仕事って言ってたのに、なんで……」

 「ん、ああ。話してなかったな。アイツがここに居るのにはちょっとした理由があるんだ」

 

 京介はかすみにそう言うと、懐に忍ばせていたスマホを取り出して、何か操作をし始めた。……すると。

 

 『……もしもし、京介?』

 「悪い、颯樹。その様子だと希美とお話中だったか?」

 『ご明察。と言うか、後ろに居るんでしょ? 二人の少し先に居るから、かすみを連れて来てよ』

 「了解した」

 

 颯樹との通話を簡単に済ませた京介は、驚くかすみをスルーして彼女の手を取って前へと歩き出した。そして少し進んだ先に居たのは……通話の相手である颯樹と、明るめの茶髪を腰まで伸ばし、その髪の一部をツインテールにした少女だった。

 

 京介とかすみは颯樹たちに追いつくと、それを追い越して前に立った。

 

 「……尾行なんて趣味が悪いと思うんだけど?」

 「すまないな。見慣れた背中が見えたので、つい」

 「あ、あの……颯樹さん。どうして、貴方がここに居るんですか……?」

 「事前に言ったと思うけど、仕事だよ。とは言っても……隣に居る希美の、だけどね」

 

 

 颯樹がかすみに事情を説明すると、その隣に居る少女は一歩踏み出したのだが、数日前に会った時とは思えない姿であった。目にはクマが出来ていて、腕や脚には絆創膏や包帯がつけられており、肌艶が悪く見えるほどやつれていたのだ。

 

 「やぁ、かすみちゃん……」

 「ど、どうしたんですか希美さんっ⁉︎」

 「い、色々とあって……剣道のお稽古中なの」

 「(一体どんな稽古をすればこんな風になるんですか……⁉︎)」

 

 変わり果てた希美の姿にかすみは驚愕するしかなかった。しかし、そこに割り込むように結夢が入ってきた。

 

 「貴女が霧札 かすみさんですね」

 「そうですが貴女は…?」

 「初めまして、かすみさん。 私は盛谷(もりや) 結夢(ゆめ)、よろしくお願いします♪」

 「結夢さん、ですね。はじめまして…!き、霧札 かすみです!」

 「貴女の事は颯樹様から聞いています。私がチームに志願して入る際に『チームに将来有望な新人が入って来た』と伝えられました。その事から前々から貴女とは会ってみたかったです」

 

 そう言って結夢は、かすみの両手をとって握手をする。

 

 それをされたかすみはと言うと、終始驚いていたのだが……颯樹と京介に至ってはいつもの事、だと心の何処かで割り切っていた。

 

 「(颯樹さんからはある程度話は聞いてたけど、結積極的に動く人だな……)」

 

 颯樹からある程度結夢の事情は聞かされているが、想像とは予想以上の人物である事に驚きを隠せなかった。

 

 「自己紹介が済んだことだし…希美、結夢、早く行くよ。開始までそう時間は残ってないんだ……特に希美は更衣とリハを済ませないといけないから先ずはそれが先だ」

 「あっ、そうだった。相変わらず颯樹くんは手厳しいなぁ……。あっ、良かったらリハーサル見て行ってね〜! それじゃっ♪」

 

 颯樹からの一言で今後の予定を思い出した希美は、かすみにそう一言伝えた後にその場を颯樹と結夢と一緒に離れて行った。この場をファンに見られていないかどうかが唯一の気掛かりだが、かすみとしてはそれどころでは無かった様だ。

 

 「まるで嵐の様ですね……」

 「悪い。あれでも自重してる方なんだ。あと一つ言い忘れてたからついで感覚で言っておくと、颯樹と希美は幼少期からの幼馴染だぞ」

 「お、幼馴染なんですかっ!?」

 「そういえば言ってなかったな。だからあの手の扱いには慣れてるんだ。俺が止めても良いんだが、颯樹の方が効果テキメンみたいでな」

 「そ、そうなんですね…」

 

 先程の光景をそう述べたかすみは、京介から齎された情報に驚きを隠せなかった。傍から見ればその様な存在が、自分のチームリーダーの幼馴染なのは勿論だし、事もあろうに人目も気にせず手を取って簡単な握手会までやっていたのだ。

 

 ……これで驚くなと言う方が、絶対無理な気がするが。

 

 「よし、人も少しずつ並び始めて来た。最後尾に行くぞ。受付さえすれば、あとはもうフリー対戦が出来る。気負わずに確りな」

 「……は、はいっ!」

 


 

 列に並んで受付を済ませた後は参加者全員に配られるPR(プロモ)カードを貰ったかすみは、京介と一旦別れた後はスタッフの案内で別室に移動して待つ事になった。

 

 「初心者の皆さま、お待たせしました!」

 「みんなー!来てくれてありがとー!」

 「(やっぱり希美さんだった!)」

 

 待つ事およそ数十分後、司会者と惣次郎が以前言っていたゲストのアイドルが来たのだが…かすみが予想していた通り希美だった。しかし希美はかすみが先程見た時とはいっぺん変わって身だしなみは整えられていた。

 

 その後は司会者からデュエマに関する基礎的なルールを中心に講義を約1時間弱掛けて漸くデュエルが始まった。ちなみに会場は体育館で行われるのだが、バンドのライブにも使われている幅広いタイプのものである。

 

 形式は実践も兼ねているが普通のデュエマである。だが、対戦相手は完全ランダム式で参加者は最低でも1回ずつは当たる方式である。デュエマが始まって今は3戦目でかすみの出番はまだである。

 

 「かすみさん、私達は誰とデュエルする事になるんですかね?」

 「完全にランダムだから、相手なんてわかりませんよ?」

 

 デュエマの見学をしている傍、かすみと結夢はそんな事を話をしていた。結夢は誰が相手になるのか期待に胸に秘めているが、かすみに対戦相手を決められない事を指摘された。

 

 数十分経つと3戦目が終わった。そこからまた新たにデュエルする相手を決めるのだが……その際は参加者全員に番号を割り振られて、電光掲示板に番号が表示されるになっているのだ。あと番号はかすみは14で、結夢は7である。

 

 そして次の対戦相手は……

 

 「おやおや、これは……」

 「まさか貴女と当たるなんて……」

 

 電光掲示板には『14』と『7』と表示…まさかのかすみと結夢が対戦する事になったのだ。ランダムとは言え、2人はもちろん驚きを隠せなかった。

 

 しかしこれも抽選の結果なので文句を言う事はなかった。2人は覚悟してファイトテーブルに対立するように並んだ。

 

 「かすみさん、お手柔らかにお願いしますね?」

 「こちらこそ、よろしくお願いします」

 

デュエマ、スタート!

 

 【かすみ ターン1】

「私のターン。マナチャージしてターンエンド」

  手札5→4/デッキ30/マナゾーン0→1/墓地0

 

 【結夢 ターン1】

 「わたしのターン、ドロー。マナチャージをしてターンエンドです」

  手札5→6→5/デッキ30→29/マナゾーン0→1/墓地0

 

 【かすみ ターン2】

 「私のターン。アンタップ、ドロー、マナチャージ。2コスト支払い《ヤッタレマン》を召喚してターンエンド」

 手札4→5→4→3/デッキ30→29/マナゾーン1→2/墓地0

 

 【結夢 ターン2】

 「私のターン。アンタップ、ドロー、マナチャージ。2コスト支払い呪文《フェアリー・ライフ》を発動します。デッキの一番上をマナゾーンに置いてターンエンドです」

 手札5→6→5→4/デッキ29→28→27/マナゾーン1→2→3/墓地0→1

 

 【かすみ ターン3】

 「私のターン。アンタップ、ドロー、マナチャージ。1コスト支払い呪文《ジョジョジョ・ジョーカーズ》発動。デッキの上から4枚見てジョーカーズ・クリーチャー1枚《パーリ騎士(ナイツ)》を相手に見せて手札に加えて、その後は残りをデッキの下に戻します。そのまま2コスト支払いパーリ騎士を召喚。パーリ騎士の効果で、墓地の《ジョジョジョ・ジョーカーズ》をマナゾーンに置いてターンエンドです」

 手札3→4→3→2→3→2/デッキ29→28→27/マナゾーン2→3→4/墓地0→1→0

 

 【結夢 ターン3】

 「私のターン。アンタップ、ドロー、マナチャージ。3コスト支払い支払い呪文《ボーンおどり・チャージャー》発動。デッキの上から2枚見て墓地に送ってこのカードはマナに置きます」

 手札4→5→4→3/デッキ27→26/マナゾーン3→4/墓地1

 

 【墓地に送られたカード】

 1枚目 《精霊左神 ジャスティス》

 2枚目 《神来(じんらい)のイザナイ 日蓮(にちれん)

 手札3→2/デッキ26→25/マナゾーン4→5/墓地1→3

 

 「更に《フェアリー・ライフ》を発動。デッキの上から1枚マナゾーンに置いてターンエンドです」

 手札3/デッキ25/マナゾーン5→6/墓地3→4

 

 

 「お互い出だしは()しゃ()らずに着実に次に備えて準備を進めているようだな」

 

 かすみと結夢のデュエルを、後攻3ターン目まで見届けた京介は観客席に座りながら呟いていた。

 

 「しかしこのままだとかすみが不利になるな……結夢のマナゾーンが6枚目まで来たから、おそらく次のターンで《大地と永遠の神門》を発動してくるか、コスト7以内のゴッドを召喚してゴッド・リンクまで持っていくパターンもあるな。となればかすみは次のターンで《超トッQ ダンガンオー》を召喚してヤッタレマンとパーリ騎士で攻めないと勝ち目は無いぞ。でもシールド・トリガーを踏む可能性もあるから、フィニッシュに持ち込まなくてもシールドを破壊して圧力をかけた方が…」

 

 かすみと結夢の盤面を見ながら京介は冷静に分析を始めた。確かに京介の言う通り、結夢のマナは後攻だというのに3ターン経過したのにその数は6、かすみはマナコスト軽減のクリーチャーもいる上に高マナのクリーチャーや呪文には追加でシールドを破壊する効果があるため、何方がどう勝負に出るか予想しているのだ。しかし周りに人はいるも、初心者は全くついていけてないのと、『ほう、結構な推測で…』と関心している経験者と、評価ぎ別れていた。

 

 「なんだ、アンタなかなか鋭いじゃないか」

 「?」

 

 その際、不意に隣から声を掛けられた。声を掛けてきた持ち主の顔までは分からなかったが、声の高さからして女の子であるのは判断できた。京介は声のした方に首を向けた。

 

 「結構いい分析力と観察眼の持ち主じゃないか。もしかしてアンタはデュエマの経験は豊富な方か?」

 

 京介の隣にいたのは、彼と同い年くらいのプラチナブロンドに染めたセミロングの髪の女性であった。それ以外にも他に挙げられる特徴といえる所は、赤を基調としたシャツを羽織って中性的な服装に身を包んでいた。あとは……片手にビール缶を持っていたくらいだ。

 

 「オタクもしかして誰かの保護者さん?ダーメーだよ、此処飲食厳禁の上にこんなところで飲み食いしてたら子供が真似しちゃうから。ましてや酒なんてもっての他だろ」

 「オタクじゃない(かなえ) 桃香(ももか)だ。それにあたしは去年の12月で20歳になったばかりで結婚すらしてねぇよ」

 

 京介は女性…桃香(ももか)に飲食厳禁について注意するも、彼女はそんな事お構いなしにビールをグビグビと飲みながらさりげなく自己紹介と(酒で酔ってたからか)聞かれてない身の上話までし始める始末であった。

 

 「20歳…優奈さんと同い年か」

 「へぇ、アンタもしかして歳下かぁ。今いくつ?」

 

 京介の反応を見てピンと来たのか、彼の肩に手を掛けながら絡み始めた。しかも桃香自身も結構酒をしこたま飲んでたから少し酒臭いと感じたのか京介は呆れながら桃香の顔を自身の顔に近づけないように手で抑えた。

 

 「19。でもあと数週間後に20歳になるが?」

 「あー、残念。だったら隣の席になったお近づきの印として一杯プレゼントしようとしたけど、ダメかぁ」

 「それ以前に飲食厳禁だって言っただろ?」

 

 しかも酔った勢いなのか桃香は空いてない缶ビールをチラつかせながら絡み酒をしようとしてきた。当然京介は未成年盾に断った。

 

 「……アンタ、もしかしてデュエマをやってるのか?」

 「おっ、どうして分かった?」

 「デュエマを知ってる口ぶりだからな、気になっただけだよ」

 

 これ以上絡み酒をされるのは溜まったものではないので、京介は話をはぐらかすために世間話をしようと先程から疑問に抱いている事を指摘した。すると、京介の指摘は尤もだったのか、桃香は缶ビールを飲む手を止めた。

 

 「あたしはな、地元では名の知れた決闘者(デュエリスト)なんだ。負け無しで常に地元の大会は優勝、そんなデュエマに明け暮れた学生生活を送ってたんだ。それもあってかプロ決闘者(デュエリスト)に憧れて両親に相談したけど見事に反対されてな……だから実家の北海道から家出同然で上京してきたんだ」

 

 桃香は京介の問いに応えるように、自分の身の上話を語り出した。夢を目指すために家出同然の上京は無謀にも思えるが、それと同時にそこまでやるのは凄いと京介は感じるのだ。

 

 「そこからバイトで食い繋いでプロの養成施設に入って特訓して…上京して1年でやっとプロデビューの話に漕ぎ着けたんだ。これでやっとプロの世界でデュエマが出来るって胸が躍ったよ。でも……」

 「『でも』、なんだ?」

 「デビュー戦の相手があの赤井(あかい) (つばさ)だったんだ。アイツの復帰戦の試合も兼ねてたんだ」

 

 そういえば京介は以前にこんな話を耳にしていた。赤井 翼がプロ入りしたのは5年前で、本格的に活躍し始めたのは2年も前の話だ。確か『短期間だけ学業に専念したい』という理由で一時期プロ活動を休止して日本有数の大学で飛び級で2年で卒業した、と。

 

 「そしてデュエルしたけど…当然負けたよ。休止したのにそのブランクすら感じさせないデュエマだったよ。そこから調子が悪くなったのか負け続きで半年も待たずにスポンサー切られてクビになって、今じゃバイトで食い繋ぐ日々を送ってる……」

 「そうだったのか……」

 「本来なら実家に帰る…といっても家出同然の身だからそれが出来ないんだよな。だからこうやった黄昏れながら初心者のデュエルを酒の肴にして見学してたんだよ……」

 

 まさか今自分と話している人物がプロ活動で挫折していた事に京介は驚愕していた。しかし少なからずデュエマに関わっている身として放っておくわけにはいかないと感じた京介であった。それがどんなにお節介だと揶揄されても、だ。

 

 「……ならまずはこのデュエルを見届けたらどうだ?今デュエマしてる2人はオレの知り合いでね…あの2人に限らず此処にいる参加者はいずれプロの世界で花を咲かす新芽だ。元プロ決闘者として全てを見届ける義務を果たしてからでも決断は遅くはないだろ?」

 

 デュエマに関わっている身として、まずはデュエルを見届けるよう桃香を諭した。もし今もデュエマが好きか、彼女を試す目的も兼ねているようだ。

 

 「は?何を言って…「まずは黙ってこの試合を観てみろ。そうすればアンタが抱いている何かが変わるはずだ」…わーったよ」

 

 京介にそう言われた桃香は渋々ファイトスペースでデュエルしているかすみ達に視線を向けた。京介も同じくデュエル中のかすみ達に視線を向けるのであった。

 

 「(さて、このデュエル……良い感じに燃え上げてくれよ?)」

 

 そう思いながら京介は顎に手を当てて見学に専念するのであった。




 まずは読んでくださった方、お気に入り登録をしてくれた方、こんな拙作を応援いただきありがとうございます!こんな拙作読んでくれるだけでもありがたいです!

 今回はデュエマ講習会という事でデュエルパートを挟みつつ新しいオリキャラを登場させました。次回はデュエルの続きとなりますのでお楽しみに♪

 それでは、次回をお楽しみに。

 ※今回は諸事情で長らく紹介のなかった咲恋のプロフィールを軽く掲載致します。今回初登場の(かなえ) 桃香(ももか)のプロフィールは早くても次回公開致しますので今暫くお待ち下さい。

 【名前】香月 咲恋(こうづき されん)
【性別】女 【年齢】17 【誕生日】10月4日
【学年】大学2年生
【性格】勝ち気かつ活動的な性格で、負けず嫌い
【学校】私立八十葉大学 【専攻】経済学部
【身長】163cm 【体重】本人の意向により非公開
【血液型】A型
【イメージCV】堀江由衣
【設定】
 私立八十葉大学に通う大学2年生。専攻は経済学部で、本人曰く『実家は経営者のため、自分も親と同じ立場になる身のため、経済について深く追求していきたいから』との事である。

  チーム【THE BRIGHTER】での立ち位置は幹部にして主に副将を務める。ちなみにチームの財務管理は千歌と共に行われているが、大半は咲恋が担っている。実力も颯樹と京介が認めるほどで、本人曰く『エレガント』を信条としており合理的なところはあるが、負ける他はに対戦相手のカードを記憶して徹底して対策するなど努力家の面も窺える。

【服装】
 金髪で毛先がウェーブがかっており、横髪に黒いリボンを留めている。服装は白いブラウスとワインレッドのスカートにハイヒールを履いている。

【使用デッキ】
《精霊王 アルファリオン》を主軸とした水光天門。 
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