今回はかすみの学校挨拶にと同時にデッキ決めの序章となります。そのため次回にはかすみの初デュエルのお披露目を目標に執筆したいです。
それでは、どうぞ!
「へぇ、お前さんもデュエマを始めるのか。まあ最近のカードゲーム人口は増えつつあるから仕方ないか」
かすみは今年の4月から通う私立桜来学園に挨拶をする為に惣次郎が運転する車に乗って向かっている最中であった。その際、惣次郎に昨日起きた事を話していた。
「ま、それがお前さんの選択なら俺は口を挾まねぇよ。でもカードの管理とか気をつけろよ?最近は盗難される話が後を絶たねぇからよ」
「確か閉店中のカードショップに強盗が侵入してきて店内のカードを盗まれる事件ですよね?」
「そうだ。カードを盗まれないようにしっかりと管理しとけよ、分かったな?」
「分かりました」
かすみの話を受けた惣次郎は、かすみがデュエマをする事については何も文句は無いが、カードの管理をしっかりするように忠告した。かすみも惣次郎の忠告は正論と定めて受け止めた。
その後は雑談していると、かすみを乗せた車は目的地である私立桜来学園の正門前に止まった。しかし正門付近には1人の男がいた。男が車が来たのを確認したのか、近づいて運転席側の窓を軽く叩いて何か語りかけた。聞き取りづらかったのか、惣次郎は運転手側のフロントドアの窓を全開にした。
「アンタが赤城 惣次郎さん?」
「そうだが…そういうアンタは誰だ?」
「おっとそうだった。紹介が遅れた、
男が尋ねると、惣次郎は肯定と同時に眉を顰めながら誰かと男に尋ねた。すると男は気怠げに桜来学園の教師であると名乗った。しかし、男…白鉄 健二の特徴は銀色に近い白髪頭の長身痩躯で目は赤茶色の瞳の半眼、服装もワイシャツとスラックスであるが、ネクタイは緩く締めていてワイシャツもヨレヨレ、それに加えて安物のサンダルといった身なりで、その上で咥えタバコもしていた。その外見からか、第一印象から教師…といえる人物ではなかった。
「教師?そんな身なりでか?教師にコスプレした不審者とかじゃあねぇだろうな?」
「身なりで判断すんのはともかくコスプレは流石にひどくね?ねぇお嬢さん?」
「ごめんなさい、私も不審者と勘違いしてました……」
「……ゴメン、泣いてもいいかな?」
惣次郎は勿論、助手席にいたかすみにまで不審者扱いされた健二は涙目で訴えかけてきた。しかし惣次郎に「男が泣くんじゃねぇ、気持ち悪い」と咎められたので何とか気持ちを切り替えて、自分は教師であると必死に説得した。そして30分にも及ぶ説得により、健二は漸く自分が教師であると分かってもらえた。
「はぁ、はぁ……やっと分かってもらえた……。それじゃあ学園の敷地内の駐車場なら何処でも使っていいから早く止めて校舎に入ってくれ。その後で学園長の元まで案内すっからよ」
「そうかい。なら好きに使っちまうぞ」
その後、健二の指示で車を学園内の駐車場に止めて降りた後は、「終わったかー。次は学園内に入れー、学園長室に案内すんぞー」と言って自分に着いてくるよう促した。
そして校舎の玄関口から入って靴からスリッパに履き替えた後は健二の案内が始まった。暫く歩くと、一行はプレートに『学園長室』と書かれた扉に到着した。学園長室に到着した健二は扉を2回ノックした。すると中から『どうぞ』と返ってきた。その言葉を受けた健二は「失礼しまーす」と言って扉を思いっきり開けて部屋に入る。かすみ達にも入るよう促した。それを受けてかすみは惣次郎と一緒に健二に続いて部屋に入った。
学園長室に入ったかすみ達が目にしたのは、来客用のソファとテーブルに、部屋の奥には偉い人物がよく座るであろうデスクであった。デスクには1人ほ男が座っていた。男は見た目が初老の、白髪をセンター分けの丸眼鏡と顎髭、健二とは違いスーツをピシッと着こなしている人物であった。
すると男はデスクから立ち上がって来客用のソファに座るようかすみ達に促した。それを受けたかすみと惣次郎は静かにソファに座った。
「貴女が霧札 かすみさんですね?」
「はい。もしかして貴方がこの学園の学園長さんですか?」
「その通りです。そういえば自己紹介が遅れましたね……私は
「此方こそよろしくお願いします、学園長先生」
男…倉井もデスクから来客用のソファまで移動してきて、かすみ達と向かい合いように自分もソファに座った。その際自分も自己紹介を済ませ笑みを浮かべながら右手をかすみに差し出す。かすみもこれを握手と捉えたようで、自分も右手を倉井に差し出して握手に応じた。
「さて、早速本題に入りましょう。まずは貴女の立ち位置は転校生という形になりますが、まだ高校に入学すらしてないので他の新入生と同じになりますが、大丈夫ですか?」
「はい、問題ありません」
そして早速話の本題に入った。それに伴い倉井も真剣な表情になって、かすみの待遇について簡単に説明した。かすみも倉井の話に理解できてるのですぐに返事した。倉井も小さく頷くと、一度デスクに戻って引き出しから一つの封筒を取り出した。そしてその封筒をかすみに差し出した。
「それと……これは貴女の分の春休みの課題です。
「分かりました」
封筒の中身は新入生全員を対象とした春休みの課題のようで、かすみもその内の1人なので、課題を春休み中にやるよう倉井に告げられた。しかしかすみも桜来に入学する身なので、文句を言わず課題をやると返した。
その後は入学式の詳しい日程や学校が始まった時のスケジュールを倉井から軽く説明を受けた後、学校の挨拶は終わるのであった────。
学校に挨拶を終えたかすみ達は、車内では桜来の事で話題になっていた。
「どうだ、桜来は?」
「中々良いところでしたね」
「そうかい。俺からしたら安心して何よりだよ」
かすみの反応から問題無いと判断した惣次郎は安堵の表情を浮かべていた。
『…速報が入りました、先程日本国内で行われたデュエマチャンピオンシップの優勝者は、世界トップクラスのプロ
その時、車のラジオから何やら速報が流れてきた。その内容は先程まで行われていたデュエマの国内大会の結果で、1人の選手が優勝したと発表されたのであった。
「またコイツが優勝したか。まあ世界でもトップクラスだから国内大会で優勝なんて準備運動みたいなもんだろ」
惣次郎はラジオを聞きながらやはりと言わんばかりに欠伸をしていた。
「誰なんですか、この赤井って人は?」
「プロの
赤井 翼について何も知らないかすみに、惣次郎は簡単に説明した。その際かすみにいつか会えるチャンスが来ると諭した。かすみも惣次郎の言った事を素直に受け止め、今日行なうデッキ決めに望もうと決心するのであった────。
自室に帰ってきたかすみは、思いのほか早く帰ってきたので約束の15時まで時間があったので、早速先程学園長に渡された課題に手をつけていた。そこから課題に取り込む事約40分、惣次郎から昼食のお誘いがあったので、プレリュードまで降りてきて一緒にお昼を取る事となった。
昼食を終えた時には時刻は13時30分を差しており、後片付けを軽く済ませてから自室に戻って出かける準備をして、目的地であるカードショップ『JUDGEMENT』に向かった。
その際、先日京介に教えてもらった店の場所の地図と住所を頼りに向かっている最中であった。
最寄駅から電車に乗る事約数十分、目的地のある最寄り駅で降りて徒歩で約10分くらいに目的地であるJUDGEMENTに到着した。そしてJUDGEMENTに到着したかすみは誰かいないか確認した後、そのまま店内に入っていった。
「「いらっしゃーい!」」
「あれ、貴方達は……」
「よう嬢ちゃん!」
かすみを出迎えてくれたのは、先日【THE BRIGHTER】に喧嘩を売ったが、返り討ちにされてそのまま京介達の舎弟になったテツとイシであった。2人とも顔の外見は変わってなかったが、服装が紺色のポロシャツと緑のエプロンで笑顔で接客をしていた。
「あの…お2人は何をしてるんですか?」
「俺ら此処の店長に拾われて今日からバイトに入ってんだ」
「そうなんですか……」
どうやらこの2人は此処のアルバイト店員になってたようで、更に詳細として『大学を卒業して就職するという理由で、此処で働いていたアルバイト2名が辞めて人手不足になってた所、店長に拾われたから』という理由である。その説明に納得したかすみは辺りを見渡していた。
「兄貴らは3階でデュエルしてるそうだ。早く行ってやんな」
「分かりました。では……」
かすみの行動を見て察したテツは京介達は3階にいると助け舟を出した。するとかすみは2人にお礼を言って店の奥にあるエレベーターに乗って3階にあるファイトスペースに向かった。
そして1分もしない内に、かすみはファイトスペース前まで到着して中に入った。すると、中では複数ある内の1つのファイトスペースで誰かがそこでデュエルをしているようで人混みが出来ていた。
「行くぞ、バウワウジャでダイレクトアタック。攻撃時効果でカーペラー・キリテムを破壊だ」
「……お見事、私の負けです」
どうやらデュエマをしていたのは京介と千歌のようで、京介が千歌に対してバウワウジャがカーペラー・キリテムを薙ぎ払ってダイレクトアタックをしかけている所であった。一方の千歌も防ぎきれなかったようで、自分の負けを認めたのであった。
「チューニングに付き合ってくれてありがとう」
「問題ありませんよ。まさか《
「Vol-Val-8のエクストラターンを防ぐために密かに仕組んでいたのさ」
デュエルが終わって京介と千歌は握手をしながら先程のデュエルについて軽く語り合っていた。このデュエルを見ていたギャラリー達も京介達に対して賞賛の拍手を贈った。
しかしかすみは何故このような結果になっているのか理解出来なかった(そもそもかすみが到着したのは京介達のデュエルが終わる直前であるため無理も無いが)。
「京介さん、千歌さん、お待たせしました」
「よう、かすみ」
「お待ちしてましたよ霧札さん」
『こんにちは!』
かすみは我に返り、流石に置いてけぼりを食らう羽目になりたくないので自ら京介達に声をかけた。かすみの存在に気づいた京介と千歌であったが、周りもデュエルに集中していたのか、かすみの事に気づいたのは今のようで、全員がかすみに挨拶した。
「あれ?颯樹さんはいないみたいですね……」
「颯樹なら知り合いを連れて来るという事で遅れて来るわ」
しかしかすみは辺りを見渡すと颯樹がいない事に気づいた。そこで咲恋は颯樹がいない理由を軽く説明した。
「本来は颯樹もかすみのデッキ決めに参加する手筈だったけど、知り合いの方が急遽参加する事になったから颯樹がその対応に当たる事になったから俺と千歌に任されたわけだ。ちなみに颯樹も途中から合流するとの事だ」
「なるほど、大変なんですね……」
そこから京介が詳しい経緯を説明した。それを受けてかすみは苦笑いしながら納得した。
「……さて、そろそろ本題に入りましょう。時間も無限ではありませんし颯樹も此処に来る以上、『決めてませんでした』では話にすらなりませんからね」
千歌は一度咳払いして、早く本題に入るよう促した。
「そうだな、それじゃあまずは軽くおさらいから始めるか。じゃあ早速かすみに質問だ。昨日の俺や千歌達のデュエルで、どの文明が出たか覚えているか?」
「確か……闇文明、火文明、水文明、自然文明、でしたよね?」
「そうだ」
千歌に催促された京介は早速本題に入った。しかし本格的には入らずにまずは確認のために、昨日の軽いおさらいからであった。
「その4つに加えて、まだ名前が挙がってない文明があるからこれも同時に説明しちゃおうか……まだ出てないのは光文明だな。光はブロッカーの多さやクリーチャーのタップやアンタップ能力、相手の攻撃や呪文をロックする能力にも長けているな。あとはディスペクターのようにシールド追加能力も多いのが特徴だな」
「守備が主体なんですね」
「でも結構クリーチャーのパワーもそれなりに多いぞ」
その時京介は基本的な知識をかすみに付けてほしいために、まだ触れてない光文明の特徴を説明した。
「では最後にゼロ文明も説明しましょう。ゼロ文明は色としては無色……そのため文明を持たないカード達の事を指します。これは多色カードとは対照になります」
「扱いが難しそうですね……」
「えぇ。ですが、初心者がいきなりゼロ文明を使うケースは1%あるかどうかです」
京介の説明を受けて、今のかすみがまだ触れる可能性が皆無なためか、千歌も軽い余談程度で『ゼロ文明』の説明した。
「ちなみにどの文明を使いこなせるかはプレイヤーの腕次第だ。あらゆる文明を使うか、文明を1つに絞ったりするスタイルもなくはないな。でも人によっては文明の得手不得手もある」
「なるほど……皆さんも得意分野があるんですね」
「そうだな。で、君の場合は無い…正確に言えばまだ分からない。だから……」
全文明の説明を終えた後は、プレイヤー1人1人によって自分のプレイスタイルは違うと説明した京介である。その時彼はそれを説明しながら持っていた鞄を漁る。
「これで決めてもらう」
「タブレット…ですか?」
鞄の中から一台のタブレットを取り出した。京介はタブレットを操作してかすみに差し出した。
「このアプリは簡単なデッキ診断が出来る。アンケートをある程度答えるとどの文明が得意か判定できるんだ」
どうやらかすみのデッキをアプリの診断結果で決めるようだ。かすみはタブレットを京介から受け取ると画面には『デッキ診断』と書かれていた。
「ちなみにアプリでの文明決めは気休め程度で利用する人が多いのですが、今回はこの診断で出た文明で貴女のデッキを決めてもらいます」
「分かりました」
千歌はアプリの診断結果だけが全てでは無いと補足程度で説明した。しかし、当のかすみはデュエマについて右も左も分からない初心者なので、最初に触れてもらう文明はアプリで決めてもらう事になるとなった。
「ちなみに初心者が出る診断結果はまず単色だ。多色が出るという事はない。ちなみに色は……赤が火文明、青が水文明、緑なら自然文明、黄色なら光文明、黒なら闇文明、白ならゼロ文明ってなってる。まあ最後のゼロ文明はほぼ無いと思った方がいい」
「分かりました。では早速始めます」
京介はそれに補足するように診断結果がどのような形で出るか説明した。かすみをそれを受けて早速デッキ診断を始めた。診断内容は何個もある質疑応答で、その質問内容は『性格は明るいか暗いか』や『運動が得意か否か』など、まずデュエマと関係の無い質問が来てから徐々に『自分にあった戦術は以下から選びなさい』といったテーマに沿った質問が来る。
「終わりました」
「お疲れ様。あとは診断結果を待つだけです」
そして質疑応答を始めてから数十分、漸く診断が終わってタブレット。京介に返した。タブレットの画面には『ただいま診断中。暫くお待ち下さい』と表示されていた。
かすみに返してもらったタブレットの画面を見ながら診断結果を待つ京介と千歌であった。
結果を待つ事数分後、タブレットから『診断結果が出ました』と通知と表示が出たので京介と千歌はタブレットの画面を見た。しかし画面を見た2人は結果が予想外だったのか目を見開いた。
かすみ以外の全員も結果が気になるのかタブレットを覗き込んだ。すると全員も京介と千歌ほどではないが、診断結果を見て驚いた。
だが目の前の起きている事は現実なので、2人はすぐに平静を保って咳払いをして冷静さを取り戻した。そして2人は真剣な目つきでかすみを見た。
「かすみ。君が使う文明は……
ゼロ文明だ」
京介の口から伝えられたのは、先程2人が初心者が扱う事はまず無いだろうとたかを括った文明であった。その証拠にタブレットの画面には白色の正方形に『ゼロ部分』と表示されてあった────。
まずは読んでくださった方、お気に入り登録をしてくれた方、こんな拙作を応援いただきありがとうございます!こんな拙作読んでくれるだけでもありがたいです!
今回は学校挨拶をしてからかすみのデッキ診断の話となりました。次回でデッキを決めてからデュエルに移りたいと思います。その際かすみの初デュエルの相手は新キャラが務めますので楽しみにしていただけたら幸いです。
それでは、また次回。
※今回のキャラのプロフィールは流れ的に咲恋…といきたい所ですが、まだ咲恋はデュエルシーンが無いので次回以降に回して、今回はサブキャラにあたるテツとイシの軽いキャラ概要を掲載します。
【名前】テツ/イシ
【イメージCV】三宅健太(テツ)/福島潤(イシ)
【容姿】テツがスキンヘッドの革ジャンを羽織ったガタイのいい大男、イシがグラサンの派手なシャツを着た痩せ型のチンピラ。
【概要】
どちらも男で20代後半。見た目通りのチンピラ2人組。
イシがかすみと咲恋にナンパしている所を京介に一蹴された事がキッカケで彼らを逆恨みをすることになる。その後京介らを尾行して兄貴分のテツに報告して一緒に【THE BRIGHTER】の本拠地のJUDGEMENTに殴り込みに行くが、そこで京介とテツがデュエルする事になる。その際、未知なる種族《アビスロイヤル》の踏み台になる。その後は手のひら返しで京介らを慕う様になる。それと同時に、京介らが帰宅した後にJUDGEMENTの店長にバイトとして雇われて完全に足を洗う事となる。
ちなみに彼らのモデルは[デュエル・マスターズ WIN]のマズキとケンドラから来ている。