デュエル・マスターズ Éclair   作:なかムー

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 皆さまお待たせしました。半年以上も更新止まっててすみませんっ!本業(BanG Dream!)を中心に執筆してたので疎かになってしまいました!m(_ _)m

 さて、今回はかすみの初デュエルの前座という事で、デッキ決めを中心に話を進めたいと思います。デュエルは次回になります。

 それでは、どうぞ!


かすみ、初陣っ!

 かすみの使うデッキ診断が終わって数分後、京介と千歌はファイトテーブルの端っこで診断結果と睨めっこしながら頭を抱えていた。

 

 「まさか『ゼロ文明』を引き当ててしまうとは……」

 「嗚呼、来るとは思わなかったよ……」

 

 初心者が滅多に引かないと言われた『ゼロ文明』を、まさか目の前の少女(かすみ)が見事に引き当てたのだ。京介も自分から『ほぼ無い』と言っていたのに出鼻を挫かれた感じになっていた。

 

 2人が頭を悩ませている最中、ファイトスペースの出入り口が開く音が聞こえた。ファイトスペースに入ってきたのは、颯樹とかすみにとっては見知らぬ少女2人であった。

 

 1人は、明るめの茶髪を腰まで伸ばし、その髪の一部をツインテールにしており、目元がパッチリ開いていて、その眼はルビーを思わせる様に紅いのが特徴だ。服装は動きやすい様にカーディガンと長袖Tシャツを組みあわせており、下はミニスカートで靴はスニーカーを履いている少女である。

 

 また、もう1人は、黒髪のロングヘアでアメジストを思わせる紫色の瞳が特徴であり、大和撫子と思わせる風貌の少女である。服装は紺色のブレザーにグレーを基調としたチェック柄のスカートであるが……かすみにとっては見覚えのあるものであった。

 

 「お待たせ。千歌、京介」

 「お待ちしてました、颯樹。随分早いですね、と言いたいですが……」

 「?」

 「何故希美(のぞみ)もいるんですか?」

 

 千歌はそう言うと希美(のぞみ)という茶髪の少女を睨みつけるように見てくる。しかし希美の方はなんて事ないような表情でドヤ顔をしていた。

 

 「だってお仕事早く終わったんだもーん♪その後は仕事オフだし、私だけ新人との顔合わせしないわけにはいかないよっ♪」

 

 希美はドヤ顔をしたまま事情を説明した。しかし千歌からしたら、希美のドヤ顔は悪意としか感じられなかった。

 

 「あの、そちらの方は……?」

 「あっ、そういえば会うのは初めてだったね。初めまして、かすみちゃん! 私は愛川(あいかわ) 希美(のぞみ)、アイドルやってます♪」

 「は、はじめまして…!き、霧札 かすみです!」

 「貴女の事は昨日颯樹くんから聞いてたんだ〜。『チームに将来有望な新人が入って来た』って! こんな早くに会えるなんて嬉しいよ〜!」

 

 そう言って希美は、かすみの両手をとって握手をする。それをされたかすみはと言うと、終始驚いていたのだが……颯樹達に至ってはいつもの事、だと心の何処かで割り切っていたが、千歌だけは心底呆れているようでため息をついた。

 

 「嘘っ!希美ちゃん⁉︎」

 「マジ⁉︎希美さんだっ!」

 「希美様ぁ!」

 「「「のぞみーん!」」」

 

 すると、希美が自己紹介する際に声が大きかった事もあってか、颯樹達以外のファイトスペースにいた全員が希美に注目した。すると全員がデュエルを中断して希美の周りに集まった。希美は苦笑いするも、メンバーやファンの気持ちに応えるかのように笑顔を見せながら全員に手を振った。

 

 「(結構アグレッシブな人だな……)」

 「希美。霧札さんが今の現状に着いて来れていないうえに困惑してます。それとここはファイトスペースです、少しは控えて下さい」

 

 希美の激しいスキンシップに若干引き気味なかすみを見兼ねた千歌は人混みを掻き分けながら止めるよう促した。

 

 「えーっ、アイドルは笑顔で元気が取り柄だもんっ!このくらいサービスサービス☆」

 「いくらサービスとはいえ少しは節度を考えなさい!だから貴女は危なっかしいと言われるんですよ!」

 「頭が固いなぁ千歌は。将来小皺だらけになっても知らないからねっ!」

 「っ!言わせておけば……!この前だって『体重が増えちゃったー!』って嘆きながら叫んでたくせにっ!」

 「あれは不可抗力だってー!」

 

 しかし希美は引き下がるどころか、逆に食い下がった。売り言葉に買い言葉とは正しくこの事を指しているのか、それを機に2人はかすみをそっちのけで口喧嘩が始まった。

 

 2人の口喧嘩を見ていたギャラリー達は苦笑いするメンツと、『のぞみんがっ⁉︎でもそれもギャップだから良きっ!』と推しが体重が増えたにも関わらずそれを拒否せず受け入れるメンツとで反応が違っていた。

 

 「はいはい2人とも、ステイ&クール。それと皆んなもだ。今から僕とデュエルするか?」

 

 本来の目的が逸れ始めたため颯樹が2人の間に割って入って仲裁に入った。その時騒ぎを起こしかけたメンバー全員も颯樹がデッキを構えながら放った一言で黙ってしまった。

 

 「しかし颯樹「だから落ち着いて。今回はそれが目的じゃないだろ?」…分かりました」

 

 仲裁に入った颯樹に食い下がろうとしたが、彼の正論な指摘に千歌は大人しく引き下がった。

 

 「それと希美。体重が増えたってどういう事だ?」

 「あははは、えーっと……」

 

 次に颯樹は希美を見て、先程千歌が言っていた事が初耳なのか希美を追及し始めた。一方で、問いただされた希美は冷や汗を掻きながら目を泳がせた。

 

 「とりあえず希美はあとでじっっっっっっっっっっくりオハナシしようか?」

 「……はい」

 

 とりあえずこの場で説教するわけにはいかないので、颯樹は希美に実質的な死刑宣告を告げた。希美はなす術が無いと悟ったのか涙目で受け入れるしかなかった。

 

 「それで兄様、私もそろそろ彼女に自己紹介したいのですが……」

 「そうだな。それじゃ手短かに自己紹介を頼むよ」

 

 先程まで黙って見ていた黒髪の少女は置いてけぼりになりたくないのか、漸く口を開いた。

 

 「初めまして霧札さん。私は白咲(しらさき) 莉々(りり)と申します。以後お見知り置きを」

 「は、初めまして……」

 

 黒髪少女…莉々(りり)は作法がなっているからか丁寧にお辞儀とカーテシーをしながら自己紹介をした。

 

 「その制服ってもしかして……桜来学園のものですか?」

 

 その時かすみは莉々の着ている制服に見覚えがあるのか指摘した。ちなみにかすみは、桜来学園の制服は作り終えたが、出来上がりには時間がかかるという事なので手元にまだ届いてないが、制服作りの採寸時に試着していたのと、作った日はほんの数日前なので記憶に新しかったのか頭の中にちゃんと入っていた。

 

 「はい、そうです。私は桜来学園の生徒で今年の春から3年生になります。あと貴女の事は学園長から話は存じております」

 「えっと、どうしてですか?」

 「今年度の生徒会長を務めるからです。先程まで学校で生徒会の仕事をしていたのですが、その際に学園長から貴女の事を話していたので覚えていたのです」

 

 まさか高校生活が始まる前に自分の通う学校の先輩と鉢合わせる事になろうとは……それに加えて目の前にいる先輩は生徒会長だからかすみは驚きを隠せずにはいられなかった。

 

 「そ、そうだったんですかっ!ご無礼申し訳ありません白咲先輩!」

 「『莉々』で構いません。その方が気軽でいいでしょう?」

 「分かりました、莉々先輩!」

 

 かすみは莉々が生徒会長と知ると、思わず姿勢を正してお辞儀をした。かすみのその姿勢に莉々は軽く苦笑いするも気軽に話すよう促した。

 

 「それで京介、千歌。何処まで決まった?」

 

 莉々の自己紹介を終えた事を確認した颯樹は、次にかすみのデッキ決めの進捗状況を確認した。京介と千歌は一度お互いを見て頷いた後、颯樹に先程までの出来事を手短に報告した。

 

 「……そうか。かすみは『ゼロ文明』になったか」

 

 京介達の報告を受けた颯樹は彼らと同じように頭を抱えた。颯樹もまた、かすみが『ゼロ文明』を握るとは思いもよらなかったである。

 

 「しかし逆に考えよう。これはかすみに何を握らせるか大いに絞り込む事が出来るぞ」

 

 だが颯樹はすぐに気持ちを切り替えて、これまでの発想を逆転できたようで何か良い案か思いついたようだ。

 

 「でも颯樹くん。初心者に【ゼニス】を握らせるのは流石に無理だよ?」

 「いや、【ゼニス】じゃありません。颯樹が差しているのは【ジョーカーズ】だと思いますよ?」

 

 隣で京介達の報告を聞いていた希美も口を挟むが、千歌が即座に一蹴して颯樹の言いたい事を補足した。千歌の補足に颯樹は無言で首を縦に振った。

 

 「【ジョーカーズ】か……。それでいいんじゃないか?一応過去に構築済みデッキも発売されてたし、初心者にはピッタリだぞ?」

 「そうね。下手にあれこれ考えるよりかはいいんじゃないかしら」

 

 京介も咲恋も、流石に下手な詮索をして場を混乱させるよりかは、此処は素直に従った方が賢明だと思い賛成した。晴也もそれに同意するかのように首を縦に振った。

 

 「それなら一度一階に行ってデッキパーツを探すとしよう。千歌、あとかすみは僕に着いてきて。京介、此処はお前に任せるよ」

 「「了解(しました)」」

 「わ、分かりました」

 

 そう言って颯樹は千歌とかすみを引き連れて一度ファイトスペースを出てエレベーターに乗って一階に降りた。降りるとショーケースでカードを確認するため売り場に行くと、ちょうどその時レジで売り上げを確認している店長の姿があった。

 

 この店のカードの在庫について一番詳しいのは店長であるから、もしかしたらすぐに揃えられる可能性もあるため先程の一件含めて店長に相談した。

 

 「そうか。しかし『ゼロ文明』を引き当てるとはとんだレアケースもあるもんだ……」

 「ホントに」

 

 店長は葉巻に火をつけながらかすみの一件について関心な表情をしていた。

 

 「……彼女、今のうちに鍛えた方がいいぞ。将来、大物になる」

 「まさか。でも素質はあるからそうしても悪くないかも」

 

 一息吐くと店長は颯樹に忠告に近い助言を施した。流石に言い過ぎではないかと内心笑ったが、案外悪くないようで時期を見てかすみを鍛える事に心に誓った。

 

 「それで【ジョーカーズ】のデッキを作るんだろ?在庫があるか探してくる」

 

 そう言って店長はレジの後ろにあるバックヤードに入って在庫確認をした。そして数分後、デッキケースらしき白色の箱状な物を片手に持ってレジに戻ってきた。

 

 「あったぞ」

 「ありがとうございます。しかし何だか埃っぽいですね……」

 「ちょうど初心者に貸出するデッキがあるのを思い出したが、肝心のデッキは部屋の奥底にあったから少し手間取っただけだ」

 

 店長はデッキケースをまずは颯樹に中身を確認させるために差し出した。颯樹はそれを受け取るとデッキケースを開けてデッキの中身を確認した。かすみと千歌もデッキ内容がどんな感じになっているか颯樹の後ろで覗き見た。

 

 「……OK。初心者向けのデッキだ。それなら店長、これらは僕が買い取「結構だ。そのデッキは無料でやる」…しかし」

 「どうせあのままにしても意味がない。それにデュエマを始める初心者にプレゼントをくれてやるのは大人として、カードショップの店長としてのプライドだ」

 「「「……ありがとうございます」」」

 

 店長のご厚意という事で、デッキをタダで譲ってもらったのだった。颯樹達は頭を下げてお礼を言った。

 

 デッキを受け取ると、颯樹はデッキケースをかすみに差し出した後は一度全員でファイトスペースまで移動した。

 

 「お待たせ京介……デッキ調整してたのか?」

 「嗚呼。このデッキはまだ未知数に溢れているからな」

 

 ファイトスペースに戻ると、周りはデュエルをしている中、京介は【アビスロイヤル】のデッキをカード毎に仕分けながら調整を施していた。京介のその一言に颯樹は何処か納得していた。

 

 確かに【アビスロイヤル】は颯樹でさえ聞いた事がない種族やデッキ…そんな誰も知らないデッキを回すのだからそれ程までのポテンシャルが秘められているのだと颯樹はそう感じた。

 

 「そうか。でも今からかすみの初デュエルを取り行うからまた後でしてくれ」

 「了解。誰がかすみの相手を引き受けるんだ?」

 「それはだな…」

 

 颯樹にそう言われると京介は自分のデッキをケースに仕舞いながら誰がかすみの相手を務めるのか尋ねた。かすみの初陣を担うわけだからそれに見合う相手ではなくてはならないからだ。

 

 「それは私が相手を務めます」

 「莉々ちゃんが?」

 

 颯樹が答えようとしたその時、莉々が小さく手を上げて自分がかすみの相手をすると意思表示をしたのだ。

 

 「私はこの春、霧札さんと同じ学校の先輩後輩になります。だからそのよしみ…というわけではありませんが、これも入学前の交流を深めるためです」

 「なるほど…それもまた一興ね」

 

 咲恋は当初は何故莉々が相手になるのか疑問に感じたが、彼女の理由を聞くと納得した。颯樹と希美は予め聞かされたのか納得しているようで、京介や千歌達も理由を聞くなり納得した。

 

 「それでは始めましょうか、霧札さん?」

 「はいっ!」

 

 2人はそういうと、ファイトスペースの中央を使ってデュエルを行なう事となった。その際、不慣れなかすみは京介や希美の助力を経てデッキのシャッフルや手札の準備まで終える事ができた。

 

 その間、ファイトスペースにいたギャラリー達は2人を取り囲むように集まりだした。新人の初デュエル…これがどれだけのものか期待を寄せている証であった。

 

 「(んっ、何だ……?)」

 

 一方、颯樹は集まりだしたギャラリーの中で一つ違和感を抱いた。人混みの中に、見慣れないフードを被った人物が一瞬目に入ったのだ。此処の常連かと思ったが、見ない顔だったのだ。(といっても、フードを被っていたから顔までは分からなかったが…)

 

 「どうしました、颯樹?」

 「いや、なんでもない」

 

 疑問に思った千歌に声を掛けられたが、颯樹はなんでもないと返した。しかし気にはなっていたがこれからかすみの初デュエルが始まるので余計に騒ぎを大きくして邪魔になっては台無しなのでデュエルの見学に専念する事になったのだ。

 

 見慣れない人物は、初めて来た客と割り切ると同時にデュエルが終わったら真っ先に探して尋ねようと決心した。

 

 「「デュエル、スタート(!)」」

 

 そして、かすみと莉々の掛け声が重なると同時にデュエルが始まるのであった。




 まずは最新話の読了とお気に入り登録をしてくれた皆様、ありがとうございます。こんな拙作にお付き合いいただいた事に感謝感激です。

 次回の投稿はまだ未定ですが、前書きにお伝えしました通りかすみの初デュエル回となります。

 それでは、また次回。

 ※最後に、今回初登場致しました希美のプロフィール紹介も掲載します。ちなみに彼女は私と親交の深い作者様…『咲野 皐月』様考案のオリキャラとなります。

【名前】愛川 希美(あいかわ のぞみ)
【性別】 女【年齢】 20【学年】大学2年生
【性格】明るく朗らかで笑顔を絶やさない性格
【設定】
 私立八十葉大学に通う大学2年生で、 颯樹と同じ文学部を専攻している。 曰く『アイドルと学業の兼任は大変だけどやり甲斐があるし、颯樹くんと同じ道に進みたい』らしい。颯樹とは生まれた時からの幼馴染で心からの信頼を寄せ、彼の事で知らぬ事など無いと豪語している。

 互いの両親が仲が良く、幼少期は互いの家にお泊まりをするなど積極的に親交があった。小学一年生の頃に颯樹の父親が原因して起こった不祥事をキッカケとして、颯樹の味方で居ると大々的に公言している。それが所以してかなりの世話焼き。...多少はドジを踏んでしまうが。

 入学当初は颯樹と千歌と同じくサークル等に引っ張りだこだったが、それに加えて学内の男子から求婚を求められた事もあり、千歌と同じく疲労困憊なのだとか。お決まりの口文句は『颯樹くん以外の男の子とは、お友達以外認めないからねっ♪』...との事みたいで。

 趣味の延長線上として、デュエマチーム【THE BRIGHTER】の副将を務める。自分も対戦相手も楽しくが基本スタイル。だが、彼女が盛り上げる雰囲気に魅せられた決闘者が後を絶たず、結果的に不戦勝などになりやすい事例が多い。その為、彼女の本気を知るのはチーム内でも颯樹や千歌を筆頭とした最古参メンバーのみ。

 高校を卒業した現在は颯樹や千歌とシェアハウスをしており、本人曰く『毒味担当』らしい。 本音はまだスイーツ系しか作れない彼女の事を案じて、颯樹と千歌が渋々任せているだけに過ぎないが。今の所の悩みは……颯樹がなかなか告白を受け入れてくれない、との事。
【身長】157.5cm【体重】49.8kg【血液型】B型
【誕生日】1月24日【星座】水瓶座
【服装】
 ①:橙色のジャケットを羽織り、その中に首元に小さいリボンとフリルが着いた白いTシャツを着ている。下は黄色のミニスカートを履いていて、靴は紺色のハイカットスニーカー。
 濃い茶髪のロングヘアで赤眼。髪の両端の一部を取って、ツインテールにしている。
【イメージCV】日笠陽子
【使用戦略】
 ①《終末縫合王 ミカドレオ》を主軸とした、光自然水闇の『ディスペクター』デッキ(大会とかで本気になる時は専らこっち)
 ②《天命賛歌 ネバーラスト》を主軸とした、光水の『エンジェル・コマンド』デッキ(アイドル活動用)
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