今回はかすみと莉々のデュエルの最中に起こった出来事から始まります。ちなみに注意点としてはオリキャラ視点となっております。
それでは、どうぞ。
「なかなか見所があるね。
「はい。しかし、
「そうだね」
莉々とかすみがデュエルをしている傍らで、僕と千歌はそんな話をしていた。実際かすみは初めて対戦したとは思えない程の上達ぶりを見せており、やっていた歴では先輩に当たる筈の莉々に負けず劣らずの展開を繰り広げていたのだ。
当然僕らとしては、それくらいの実力を持っている方が有難いと思っていて……何れ大会に出た際、チームの看板を背負って戦う時に使えるメンバーが居れば居る程対応がしやすいと思っている。
だからこそ、かすみのこの飲み込みと応用の速さには目を見張る物があり、一瞬たりとも目が離せないのが現状だった。
……そう思っていた、その時だった。
「ん?」
「……どうかしましたか、
「いや、今一瞬誰か入って来た様な気がしたんだけど……気の所為かな」
唐突に扉が開けられる音が響いたので、僕はその方向に視線を向けた。だがそれは他のメンバーには聞こえなかった様で、目の前のデュエルに意識が注がれたままだった。千歌にも何かあったのか問われたけど、僕はそれに確信を持って答えられなかった。
……何かあったのか?
今のこの状況で、無闇に入っては行けないと思ったのならそこまでだけど……それを気にするほど、僕たちは秘密の集まりをしている訳じゃない。なら、少し確かめてみるか。
「……
「私は一向に構いませんが、一体どちらに?」
「本当にごめん。
「ちょっ、颯樹っ」
僕は千歌が引き止めるのも構わず、デュエルスペースのある3階の一室から退室し、先程音を出した元凶の方へと意識を集中させる事にした。扉が開けられてから時間は経ってないので、まだ近くに……。
と思っていたら、建物を出た直ぐの所で、紺色のローブを身に纏っていて、頭にフードを被って顔を分からない様にしている人物を見かけた。
足元からその人物の様子は伺い知れないのだが、少なくともここを訪ねて来たと言う事は……何やら訳ありなのだろう。そして時折聞こえる小さな息遣いと声から、女……しかも、僕たちとそう歳が変わらない女の子だと言う事がわかった。
……先ずは、警戒されない様に。慎重に。
「……ねぇ、ちょっと良いかな」
「うひゃっ!? な、何でしょうか……?」
「さっき
「じゃ、じゃっじめんと……?」
……この様子だと、何処かも分からずに開けたのかな。
ここら辺に住んでる人なら、多少地理が弱くても先程まで居たお店は特に街の人たちに知れているので、迷わずここに来られるはずだ。でもこの話を聞いた限りだと、それを知らない……言い換えるなら、初耳とでも言いたそうな物だ。
それにフードの中を少しだけ覗いてみると、この辺一帯ではあまり見かけない髪色をしていた。チームメンバーの中には金髪の女の子こそ居るが、それよりはちょっとその明暗度にある程度の差がある様だ。
「あっ、自己紹介がまだだったね。僕は
「もりや、さつき……様……」
「……っと、キミの名前を聞いても良いかな? 今から少し時間を貰って話も聞きたいし、名無しのままだと色々不都合が起こるからね」
僕は自分の身分を明かして、彼女に自己紹介を促した。とは言えど、迂闊に名前はまだしも自分の身分を明かすのは、アイドルのマネージャーをしてる身でどうなのか……と思っていた時、その女の子はゆっくりとフードを取って素顔を見せた。
金色の髪を肩口でセミロングにして、翡翠色の眼をしたその少女は……自分の名前を口にする。
「お初にお目にかかります。わたしは……レギン=レイルロッサ=シャルル、と言います」
「……え、それってガチな話?」
「……はい、お恥ずかしながら……。この国には、お昼前の飛行機で来たばかりなんです」
「だからこの辺りを知らなかったのか。で、その格好……暑くない?」
「ご心配ありがとうございます。来る途中で、少し汗は掻きましたけど……特に気にする事は……えっ?」
……紺色のローブを身に纏って、空港からここまで来たのならば、朝晩はまだ寒さが残る春先とは言え、汗は当然の様に出てしまう。それなら、彼女に手渡すのはジュースよりは……これの方が良いかな。
そう思った僕は、今し方会談に使っている公園に常設されている自販機へ向かって……百円玉を2枚投入して、冷たいお茶を購入した。そしてレギンと名乗る少女の元に戻って、それを手渡す事にした。
……全くもう、なんでそんな無茶をするかな……。
今は夕方だからそこまで暑くは無いはずだけど、そんな格好で街中を歩いてたら目立つ上に暑いでしょうに……。
「あ、ありがとう……ございます。お、お代は」
「良いよ、これくらい。気にしないで」
「では……遠慮無く、頂きます」
僕にそうお礼を言ったその少女は、お茶の入ったペットボトルのキャップを手慣れた様に開栓し、一口飲み始めた。飲んでいる時間が長かった事から、余程喉が渇いていたんだな……と思えたのだが、まあ格好も格好だしなぁと納得出来る自分が居たのはここだけの話だ。
そして少しした頃、僕は彼女にある事を聞く事にした。
「それじゃあ聞きたいんだけど」
「はい、何でしょうか」
「先ず……お店の押し扉を開けて入って来たのは、キミで間違い無いの?」
「……はい、その通りです。近くを通り掛かった時に涼める場所があったので、その中に入ったら、店長さんと思しき方から3階の方が賑やかだから見て行くと良い……と言う話を聞いたので」
なるほどね、これで疑問が解消された。
レギンにとって見れば、ここは見るモノ聞くモノ全てが新しい新天地……そんな中で訪れた建物は、彼女から見るとそう言う認識になるのか。1階や2階にも一応スペースはあるけど、専ら多く使われるのは3階だし、そうなるのも分かる気がする。
……そこまで分かったところで、二つめ。
「キミ、何処から来たの? この国……と言うからには、外国から来たんだと思うけど」
「え、えっと……」
「言いにくいなら、無理しなくて良いよ。人には言えない事の一つや二つあるんだし、無理矢理言わせるなんて事は「いえ、大丈夫です。お教えします」……そっか」
僕がそう聞いた後、レギンはゆっくりと深呼吸をした後に話し始めた。
「……レイルロッサ王国、です。こんな
……え? えっ?
レギンの返答を聞いた僕の表情は……たぶん唖然としていたんだと思う。でも、それくらいの衝撃が現在襲いかかって来ていたのだ。脳内で処理できる情報のキャパシティが満杯になって、今にもオーバーヒートしてしまいかねないくらいだ。
……ちょ、ちょっと待て。
僕や希美たちと変わらない位の女の子が、一国を背負って立つお姫様!?
……あ、でも何となくわかってきたぞ。彼女がこんな姿格好をしてる理由も、それをしたいと思った経緯も。この分だと彼女は相当本気な事が分かるし、もし仮に誰かに止められたとしても、梃子でも自分の意見を曲げない魂胆だろうね。
「颯樹様は、驚かないのですね。大抵の人はわたしが王女だと分かると、急に目の色を変えたり
「……貴女が何故こんな事をしてるのか、その理由と経緯がおおよそですけど見当が着いたので。全く……出会ったのが僕だったから良かったですけど、他の人だと何があるやら」
「わたしとしても、行けない事をしてる事はハナから分かっています。……ですが、一度で良いから王宮の外に出て、誰の眼も届かない所で、普通の女の子として遊んでみたかったのです……」
あー、一度こうなってしまうと色々言い訳が面倒臭い事になるぞ〜。希美はまだ良いかもしれないが、千歌は……いや、前言撤回。どっちも面倒臭い事になる!
懇切丁寧に事情を説明したら良いかもしれないけどさ、マジで他の女の子が僕に絡むとあの二人が異様に怖いんよ! 僕が本当に何したって言うのさ、理不尽極まりないでしょどうすんのさこれぇ!
「あー、分かりました……え、えっと……レギン殿下「今この場ではレグナスと呼んでくださいっ」そ、それじゃあレグナス殿下「殿下は禁止、敬語も禁止です」……じゃあ、レグナス。一応確認するよ?」
「はいっ♪」
「えーっと、この事は国王陛下や王妃様には?」
「当然、秘密です。王宮の誰にも話してないんですから、当たり前です」
僕はそれを皮切りに、レグナスに対して色々と質問をする事にした。ここに来るまではどうやって来たのかや、王宮で暮らしていた時はどうしていたのか……話してる内容が少しずつプライベートに土足で上がり込む様な物だったが、それは他ならぬ本人が気にしていなかった事もあり、出来る範囲で聴取を取る事にしたのだった。
そうして話していると……。
「あっ、やっぱり王宮育ちで王女様だとそれもあるか」
「知っているのですね。なら……話が早くて助かります。立場上嫌と言う訳にも行かないので、縁談はそれと無くあしらって誤魔化しては居るんですが……やはり、どうせなら自分で見初めた殿方と生涯を
添い遂げたいと思っているのです」
「なるほどね、その方が後々の自分のためになるし、理に適ってる」
「ご理解頂けて嬉しいです♪ わたくしに縁談を持ち掛けて来るお相手は、ほぼ例外無く自分の利益の事しか考えていません……その為ならば、わたくしなどただのお飾りに過ぎず、一国の王女と婚約を交わしたと言う実績が欲しい方ばかりなのです」
……あー、なーんとなく読めて来た。
確かにそんな相手が自分の未来の旦那様になるなんて、レギンじゃなくてもお断りのはずだ。それにほぼ例外無くと言う言葉を額面通り汲み取るのなら、そんなのが彼女にとっては日常茶飯事なのだろう。国の期待を一心に背負う王女だからこそ、自分が添い遂げる相手は自分自身で決めたい、と言うのが彼女の方針なのだろうね。
それに王宮だと、これは僕の偏見が混じるけれども……本意じゃない事であっても、表面上では笑って誤魔化しながら過ごし、本音では嫌だと言いたい事でも、それを押し殺して賛同し従う他に道は無い……世間一般の人と比べて、かなりストレスが溜まりやすいのかもしれない。
だからこそ、今回のこの大胆な国外逃亡に打って出たのかもしれないね。ここまで来るのに協力者こそ居るかもだけど、実際にその行動を起こしたのは……レグナス自身の独断に拠る物。
下手に入国時にパスポートを見せでもしたら、渡航した先を一発で調べられておじゃんだからね……彼女としては、今回の事を誰にも知られずに遂行し、暫しの間誰も自分の事を知らない日本に雲隠れを行ない、そのうえで周囲に溶け込んでしまおうと言う考えなんだろう。
「……全く、その行動力は大した物だよ……。下手したら道中でバレるかもしれなかったのに、よくここまで無事に来る事が出来たんだ……正直、感服したよ」
「え、えへへ……お褒めに預かり光栄です」
……まあ、これは別に褒めては居ないのだけど。
そんな事をしていたら、先程デュエルを終えたと思われる莉々やかすみと……千歌や京介を始めとした、いつものメンバーが僕とレグナスの前に集合していた。千歌の傍には希美の姿もあったので、恐らく彼女が事前に呼び付けたのだろうね……と内心悟る事になってしまった。
その表情は三者三様ではあったが、特筆するべきは千歌と希美の顔が同じモノになっていた事だろうか。例えるのなら……余計な発言をすれば、タダでは済まさないと言う意志の表れすら感じる程だった。
「それで、颯樹。チームメンバーの新加入のデュエル観戦を放り出してまで来客対応をしていた……その理由をお聞かせ願いますか?」
「俺も千歌から話を聞いた時はびっくりしたがな……。お前の事だ、意味の無い事はしないだろうと思っているが、念の為に聞いておきたい」
あ、あはは……それは説明したら長くなるよ……え?
「ねぇ、颯樹くん?」
「……は、はい」
「……お、仰せのままに」
希美から放たれた、周りを萎縮させる様な怒気に当てられた僕は、抵抗の意思の代わりに降伏のサインを出し……隣に居るレグナスと一緒に、何があったのかを説明する事となってしまったのだった。
まずは読んでくださった方、お気に入り登録をしてくれた方、こんな拙作を応援いただきありがとうございます!こんな拙作読んでくれるだけでもありがたいです。
次回の更新は未定ですが、この話の続きをお送りする予定です。
それでは、また次回。
※今回も、『咲野 皐月』様考案で、1話から登場しました『
【名前】
【性別】男【年齢】20【学年】大学2年生
【性格】冷静沈着だが、仲間想いで優しい性格
【設定】
私立八十葉大学に通う大学2年生で、文学部を専攻している。 曰く『現時点で満足する事無く、上へ上へと進んで行きたいから』 との事。学部内では教授や生徒からの人気が高く、入学当初は数多のサークルへの勧誘が多かったと悩んでいたのだとか。
その一方でアイドルのマネージャー業務にも力を入れており、最近はソロでのお仕事も増えつつある (主に俳優や歌手関連だが)。仕事もプライベートも一切の余念を許さない努力家。
趣味の延長線上として、デュエマチーム【THE BRIGHTER】のリーダーを務める実力者。対戦相手には礼儀を忘れず、己の持てる力を全て解き放って戦うのが基本スタイル。 だが、大切な存在を危機に晒された時の様が周囲から畏れられており、畏敬の念を込めて『魔王』と呼ばれている。
高校を卒業した現在は千歌や希美とシェアハウスをしており、彼女たちのまとめ役も買って出ている。……その二人から同時に求婚を迫られる事が今の唯一の悩みであるとの事。
【身長】172cm 【体重】 64kg 【血液型】 A型
【誕生日】 10月6日 【星座】 天秤座
【服装】
① : 普段は黒を基調としたジャケットを羽織り、
その中に白のTシャツを着用し、 紺色の長ズボン
を履き、左手首に銀色の腕時計をしている。
② : 黒髪のショートヘアで黒眼。 目元が吊り上が
っているのは母親譲りなのだとか。
【イメージCV】 松岡禎丞
【使用戦略】(使える物が多く存在する為、特に使用頻度の高い物を掲載)
①《無法神類
②《終焉の禁断 ドルマゲドンX》を軸とした火闇の【ソニック・コマンド】