別作品ばかり更新されたり、他の二次創作がお蔵入りしていたり、今回の引き伸ばし等で不安になるかもしれませんが、とりあえずこのシリーズは完結まで続けるつもりなのでそこは安心していただきたいです。
とりあえずアニメ版柱稽古編までには今作の柱稽古編も終わらせたいです。
番外:鬼狩り男
「今日もありがとうございました!師範!」
「おう!今日は良く休め!明日の稽古は今日より少し厳しいぞ!」
そこそこ大きな村に佇む立派な道場。
そこには若くして道場の師範になった青年と、彼に師事する門下生達がいた。
師範の名は
生まれつき異常なほど逞しい肉体を持ち、凄まじい怪力と人間離れした体格から村人達から恐れられていたが、彼の人柄の良さから今では村の中心人物であり、彼の門下生共々頼りにされている。
彼の異常な身体能力は五歳の頃に判明した。
五歳の誕生日に彼が求めたものは瓦だった。
彼の父は、今の彼と同じく武術の道場で師範を務める武道家であり、手本として数十枚の瓦を片手で軽々と割っていた。
斑尾はそれを真似してみたいと思い、五歳の誕生日に瓦を欲しがったのだ。
そして冗談半分に瓦を十枚詰んで見せたら、斑尾はその十枚の瓦を片手で粉砕したのだ。
力も桁違いだが、最も驚くべきはその体の丈夫さだろう。
瓦を粉砕したにも関わらず、彼の手は骨も皮膚も傷一つ着いていない。
彼の人並み外れた才能を目にした彼の父は、その瞬間から「道場の跡継ぎはこいつしかいない」と確信したそうだ。
それから十四年、今では身長235cm体重145kgの超巨体に成長し、人々から付けられたあだ名は「善良な怪物」だった。
門下生の稽古も終わって道場の掃除を済ませると、道場のすぐ隣にある家に帰る。
今年で十九歳になる斑尾は一人暮らしをしており、母は実家の祖父母の元で暮らし、父は強者を求めて海外へ旅立った。
なので家には誰もいないはずなのだが、暗闇の中から何やら物音が聞こえてきた。
「おい、泥棒か?俺の家に盗みに入るとはいい度胸だ!ぶちのめされたくなければ大人しく姿を見せるんだな!」
余談だが、彼が十二歳で道場の師範を引き継いで以降、彼の住む村で犯罪が起きた事は一度として無かった。
彼が「この村で悪さするやつは俺が許さない」と言ったことが主な理由だと言われている。
「やいてめぇ!いつまでやってるつもりださっさと出てこい!ホントに殴るぞ!」
「ウウウゥゥゥ……グアァァァァ!!」
扉の向こうから姿を現したのは赤い目をした変な男だった。
見たことの無い顔なので恐らくよその村の者だが明らかに様子がおかしかった。
「グォアアアァァァ!!」
「うおっ!いきなり噛み付くんじゃねぇ!てかその爪の牙は人間じゃねぇな!さては親父が言ってた人喰い鬼だな!ぶっ殺してやる!」
そう言うと斑尾は鬼の顔面を殴りつけた。
鬼は壁を突き破り、家の柱をへし折りながら吹っ飛ばされた。
「親父から聞いてるぜ!てめぇら人喰い鬼は太陽の光で焼け死ぬんだってな!つまり夜明けまで足止めすりゃいいってこった!上等だこのやろう!」
普通の人間は最初に鬼に噛み付かれた時点で片腕を失っているだろう。
というか、鬼殺隊の剣士でも普通腕を噛まれればタダでは済まない。
だが、斑尾の皮膚はクマの爪でも傷一つ付かないほど硬く、さらには骨もイノシシの突進を受け止めてもヒビすら入らないほど硬いのだ。
そして樹木すらへし折る打撃でひたすら殴られ続けた鬼の頭はもはや消滅していた。
というより、彼が殴った地面には大きな穴が空いていた。
その場に遅れてやってきた鬼殺隊は、その姿を見て真っ先に「鬼が村の人を殴り殺した」と勘違いしたという。
そして斬りかかった鬼殺隊の日輪刀が斑尾に素手でへし折られた事は言うまでもない。
刀は横からの攻撃に弱いのだ。
「なんだお前ら!切るならこっちの鬼を切れ!」
「も、申し訳ない!てっきり貴方が鬼かと思ってしまった!」
「おう!よく言われる!」
そしてその後彼が鬼殺隊に勧誘されるのもまた言うまでもないだろう。
斑尾も「俺の力は世のため人のために使うべきだろう!」と快く引き受けた。
その後、『育手』の元を訪れた斑尾は岩の呼吸を教わったが、脳みそまで筋肉で出来ていると言われた彼にとって刀は使いずらい物でしかなく、結局岩の呼吸を使って岩を素手で砕いた事で、わずか一週間の育成期間で最終選別へ向かった。
金髪の少女や痣だらけの少女が少し気になったりはしたが、鬼以外の有象無象など今は気にする必要も無いと思って無視してさっさと山に向かった。
その後一週間の間、日輪刀を使えないので鬼を倒せはしなかったが、大岩や丸太に押しつぶされて動けなくなった鬼が、金髪の少女によって複数発見されたという。
後日、斑尾は過去に類を見ない天才だが刀を扱えないので専用の武器が必要と刀鍛冶の里へ連絡が入り、彼の為だけに日輪刀と同じ素材で作られた篭手・脛当・甲懸が開発されたのだそう。
ちなみに篭手でも刀と同じく色が変わり、斑尾の篭手は銀色に変色した。
そんなこんなで彼は鬼殺隊の期待の新入りとして、そして天才剣士『月宮 明日香』の同期として他の隊士や柱にその存在を知られていくことになる。
そこから4ヶ月ほどが経った頃、斑尾は明日香より早く独自の呼吸と型を形にしていた。
呼吸の名は『鋼の呼吸』、岩の呼吸を原型とした派生系の呼吸だ。
六つの型があるのだが、なんと首を切れるのは六つの技のうち二つだけ。
その他はすべて頭から首にかけて殴り潰す技だ。
「斑尾、任務ダ。目的地ハ東ノ方角ニアル村ダ。急イデ向カウンダ。」
「おう、
斑尾の鎹鴉は團蔵という名前で、他の鎹鴉とは一目でわかるほど体格に差がある。
体がデカすぎて食べるものもデカいし羽ばたく音さえもデカい。
でも声はデカくないし態度もデカくない。
「さてと!これ以上被害が出る前にさっさと向かって軽く捻ってやるか!」
斑尾が街中を走っていると、不自然な事に人が一人もいない。
まだ日が落ちる前だと言うのに人っ子一人いないのだ。
結局町中歩いて回っても、日が落ちるまで人が現れることは無かった。
「あのぉ、そこのお方?街中走り回ってどうかなさいましたか?」
「ああ、やっと人が現れたか。なぁ爺さん、この街で鬼を見なかったか?」
「鬼?はて、その鬼と言うのは……こんな見た目でしたかな!?」
そう言うと老人は不気味な姿に変身し、斑尾に襲いかかった。
だが…
鋼の呼吸 壱の型 鉄拳
ドゴォ…
鋼の呼吸の基本の型、というか呼吸の力を乗せただけのただの正拳突きだ。
単純な攻撃だが、単純に強い。
殴られた怪物は崩れ落ちて、やがてただの乾いた土の塊になってしまった。
「妙に土臭いと思ったんだ!まさか血気術で作った土人形か?」
「クックックッ……まさか拳で土人形を……ん?まて、拳で砕いただと!?岩も砕く土人形だぞ!?」
「馬鹿め!ノコノコと姿を見せるとは間抜けな鬼だ!叩き潰してやる!」
そう言うと斑尾は馬鹿正直に鬼の方へ突き進んで行った。
「間抜けは貴様の方だ!死ねぇぇえええ!!」
斑尾の足元の土が変形し、サメの形になって斑尾を丸呑みにしてしまった。
バリボリと噛み砕く音が周囲に響く。
土を自在に操るこの鬼、足元に土がある限り油断出来ない相手なのだ。
「クヒヒヒヒヒッ!骨の砕ける良い音だ!どれ、残った血肉を食ってやるとするかなぁ。」
ゴゴゴゴゴゴゴッ
「な、なんの音だ!?」
驚いたことに、それは斑尾の呼吸音だった。
鋼の呼吸 弐の型 鋼連拳
ドガガガガッ!!
壱の型より威力が落ちる反面、連打として繰り出せるため削り攻撃として優秀。
単純に強い技だ。
「あ、ありえない!何故潰れていないんだ!」
「んな事は俺も知らねぇ!!」
鋼の呼吸 肆の型 地獄送り手刀
地獄に叩き落とす勢いで
鋼の呼吸の中では数少ない鬼の首を切れる技だ。
「地獄で罪を償うんだな!」
斑尾は刃の着いていない篭手で繰り出した手刀で、あっさりと鬼の首を切り落とした。
もはや彼の体その物が武器であり鎧である。
土を操る鬼を倒すと、街の建物の大半が崩れ落ちて、ただの土の山になってしまった。
どうやら街そのものがこの鬼の血気術で作られた物だったようだ。
元々存在した街の住人や、普通の街だと思って訪れた人々が、この鬼に何人食われたか想像もつかない。
「俺がもっと早く鬼殺隊に入っていれば…この街の人々も助けられたのかもしれない…。ええい!深く考えるのはやめだ!救えなかった命よりこれから救う命の事を考えるんだ!よし、次の任務だ!」
その日の夜は、もう二体ほど鬼を倒してから夜明けを迎えたそうだ。
昼間の修行と合わせて、かれこれ三日間ほとんど休まず動き続けているらしい。
月宮明日香とは違う方向性で規格外の強さだ。
大正コソコソ噂話
斑尾は鬼殺隊入隊から一週間と経たないうちに十二鬼月の下弦の鬼と思われる鬼に一度だけ接敵しており、トドメまであと一歩の所で逃げられたのだが、その戦いの際口の中に爆薬を入れられ口の内側から爆発されたのだが、ダメージは口内の皮膚の表面だけで、筋肉や骨には一切ダメージが無かったそう。
その後はシャルロットやしのぶさんの治療のおかげで目立った傷も残らず翌日には復帰したそう。