まあ嵐の前の静けさですね。
ちょっと短めです。
月宮明日香、刀鍛冶の里へ行く
遊郭にて上弦の陸である堕姫と妓夫太郎の撃破に貢献した明日香だったが、月の呼吸を初めて実践で使用したからか思っていたより刃こぼれが酷く、刀の作り直しを余儀なくされている。
それに、今まで使っていた日輪刀は柱就任前に打った刀なので、柱の証である「悪鬼滅殺」の文字も刻まれていない。
そして何より、普通の日輪刀では彼女の怪力に耐えられないだめ、特別に質の良い鉱石を使用する必要がある。
そういうわけなので、新品の刀を受け取るために明日香自ら刀鍛冶の里へと赴く事になったのだった。
「お待たせしました月柱様。それでは刀鍛冶の里へご案内いたします。」
「よろしくお願いしまーす。」
「刀鍛冶の里は重要な場所なので、その行き方を知られては行けないのです。ですので、移動の際はこちらの目隠しを付けた状態で、我々が交代で背負ってご案内致します。」
「凄い厳重だなぁ。そりゃ刀がなきゃ戦えないし当然と言えば当然か。」
隠の者が目隠しをつけた明日香を背負ってしばらく歩き、その先で待っていた別の隠がまた明日香を背負って進んで行く。
これを何度も繰り返すことで、ようやく刀鍛冶の里へと到着した。
「到着致しました月柱様。」
「おお!ここが刀鍛冶の里かぁ!思ってたよりも結構広そうだ!さてと、まずは里長様にご挨拶だ。その後は何をしようか…そういえば確かここには温泉があったと聞いた事がある!うん!上弦の鬼との戦いで疲れた体を労わろう!」
まずは里長に挨拶をしに行った。
里の者たちも新たな柱を歓迎してくれた。
移動の時間と挨拶に行く時間で気がつけば夜になっていた。
刀鍛冶の里には温泉があるので、まずはその温泉でゆっくりと体の疲れを癒すことにした。
ちなみに温泉には明日香以外に誰もいなかった。
その後は里の皆様が用意してくれた美味しい夕飯を頂いて一日を終えた。
翌日
「さてと!ようやく本来の目的に進めるね!まずは新しい刀を打ってくれる刀鍛冶さんにご挨拶しないと!そしてその後は噂に聞くあの絡繰人形を見せてもらおうかな!」
噂の絡繰人形。
それは、とある剣士の剣技を元に作られたという修行用の絡繰人形、通称『縁壱零式』である。
担当の刀鍛冶に挨拶を済ませたので、縁壱零式の管理をしている小鉄という少年を探すことにした。
「君が噂の小鉄少年だね?私は月柱の月宮明日香。柱就任に合わせて刀を新調しようと思ってね。しばらくの間この里にお邪魔させてもらう事になったんだよ。そういう訳だから刀ができるあがるまでの間、君が管理している絡繰人形を使わせて欲しいんだ。動かしてもらえないかな?」
「ダメです!この絡繰はもうずっと昔から使っているもので壊れそうなんです!それに今この里の人には直せる人も居ないんです!なのでこれ以上使うわけには行かないんです!」
「おや、それは失礼。それじゃ別の方法で時間を潰すよ。管理頑張ってねぇ〜。」
「話のわかる人だった!」
明日香も自分のために人の物を壊すのは良くないと考え何もせず帰った。
とは言ってもこの後時透無一郎や竈門炭治郎が使用した事で大破するのだが、後の事を考えれば明日香が縁壱零式を使わなかったのは正しい判断だったと言えるだろう。
「はぁ……そうなると一人で特訓するしか無いかな?頭の中で戦闘訓練。この前の上弦の陸との戦いを参考に今後の鬼との戦いを想像してみよう。」
上弦の鬼ともなると、必ずしも敵が一人とは限らない。
堕姫と妓夫太郎は兄妹そろって一体の鬼という扱いであり、二人同時に首を切らなくては倒す事ができない厄介な鬼だった。
それに、妓夫太郎の血鎌の毒は少しでも喰らえば致命傷の猛毒だった。
今後の鬼もそう言った即死級の攻撃を仕掛けてくる事があるかもしれない。
感覚を研ぎ澄ましあらゆる攻撃を確実に防ぐ事が大事になるだろう。
「特に奴が死に際に放った攻撃。あれはホントに危なかった。刀による防御と身体能力を駆使した回避は今後絶対的に必要になってくる能力。それらで他の柱達に後れを取るわけには行かない。柱の称号に恥じない強さにならないと。」
彼女は気がついていないが、恐らく現代の柱達の中でも上弦の陸を相手にほぼ無傷で勝利できる者はいないだろう。
彼女自身がその別格の強さを自覚していないのだ。
ちなみに禰豆子に「毒を受けていない」と言っていたが、実は最後の攻撃の際に一発だけ血鎌を食らっていた。しかし明日香は自力で傷口から毒を吐き出していたので、蝶屋敷に帰った後に腹を壊す程度ですんでいた。
「そういえば、私より少しだけ後に甘露寺さんと時透くんも里に来るって聞いてたな。さすがにいつまでも休んでられないし、ちょっと稽古つけてもらおうかな。」
育ての元で修行をして、柱達から様々な呼吸を教わったが、柱から直接勝負で鍛えられた経験は一度もない。
と言うより、明日香の実力なら上弦の鬼が相手でもない限りこれ以上強くなる必要も無い程の実力なので、今より強くなろうという発想が無かったのだ。
「よし!そうと決まれば甘露寺さんにお土産用意しないと!」
そして数日後、刀鍛冶の里に甘露寺蜜璃・時透無一郎・竈門炭治郎・不死川玄弥がやってきた。
玄弥は何故か態度が冷たかったし、炭治郎はいつも通りの態度だった。
無一郎はまだ明日香の顔を覚えてなかったし、蜜璃は噂通りの大食いだった。
無一郎に修行相手になってほしいと頼んだが拒否され、その次に蜜璃に修行相手を頼んだら快く引き受けてくれた。
特殊な形状の日輪刀を駆使して繰り出される恋の呼吸は、遠心力が乗る刀の先端ほど素早く力強い攻撃になり、独特の動きによって四方八方から攻撃が飛んでくる。
流石に稽古なので実際の日輪刀は使わなかったが、訓練用の木刀でもその動きは凄まじく、常人の八倍の筋線維の密度と、非常に柔軟な体を持つ甘露寺だからこそ使いこなせる技である事は一目瞭然だった。
しかし、明日香も負けてはいない。
稽古の最中、明日香はただの一度も蜜璃の攻撃を喰らうことは無かった。
そそて、一度たりとも息を切らす事は無かったのだ。
そして、稽古を続けていると問題が発生した。
恋の呼吸 壱の型 初恋のわななき
「来た!こちらも反撃を!」
月の呼吸 弍ノ型
明日香は型を繰り出して攻撃を防ごうとした、しかし。
バキッ
明日香の木刀は不穏な音を立てた。
驚いた事に、木刀の柄が明日香の強すぎる握力に耐えきれず、握り潰されてしまったのだ。
「うぇっへぁ!?折れたぁ!?何でぇ!?」
「嘘!明日香ちゃん木刀折っちゃったの!?どうしよう借りてるものなのに!」
「いや、木刀が折れるって…えぇぇ!?」
「はっ、それより明日香ちゃん手怪我してない?折れた木が刺さってたら大変!」
「あ、いや。それは大丈夫です。でも今のは惜しかった感じがする。あと少しで何か新しい場所にたどり着けそうな感じだったんだけど…ごめんなさいこんな形で中断してしまって。」
「こっちこそごめんねぇ!私が強く打ちすぎて木刀が折れちゃったのかも!」
「いやいや、きっとこの木刀が古くなってたんですよ!じゃなきゃいくら何でもこんな折れ方しないですよ!」
ちなみに明日香が使っていた木刀はつい最近作られたものなので、決して経年劣化で折れたという訳では無い。
木刀を握力だけで粉砕するなど、それこそまるで万力のような握力が無ければ不可能だろう。
「いつも通り使ってたつもりだったのになぁ。やっぱこの木刀が脆くなってたんだろうな。」
とにかく木刀が折れてしまっては稽古にならない。
何かを掴めそうで何も掴めなかった明日香は、申し訳なさそうに蜜璃に謝って汗を流しに温泉へ向かった。
そしてまた数日、ようやく刀が完成したとの事なので、早速刀を受け取りに行った。
「新しい刀、心躍るな。いつもは夜になると気分が沈むけど、今日はいい夜になりそうだ。」
今日はいい夜になりそうだ。
その明日香の思いとは裏腹に、邪悪は静かに着実に、明日香達の元へと近付いて来ていた。
大正コソコソ噂話
明日香やシャルロットと同時期に入隊した大男。
名前は朔間 斑尾(さくま まだらお)と言うのですが、同期なのに明日香やシャルロットと共に任務に出向いた事が一度もありません。
柱程では無いにしてもかなりの実力を秘めているらしいけど、よく見ると日輪刀を持っていない。
どうやって鬼を倒しているのだろうか?
その答えは、何と日輪刀と同じ素材で作られた籠手を身に着けて、頭を殴り潰して倒してるそうです。
派手なので映えそうなのに今まで出番がなくて、何時になったら登場するんでしょうね?