女神たちのために 作:まるでダメな作者
「クリア、非戦闘状態に移行します」
「こちらも周辺に敵性存在は確認できない。……とりあえずの安全は確保できたな」
あれから爆発音につられて集まっていたラプチャーを撃破していったが、その戦闘による銃声や爆発音で更にラプチャーが集まってきた為に周囲にはそれなりの量の残骸が散乱している。
「今のうちに輸送機の状態を確認してくる。悪いが周辺の警戒を頼む」
「分かりました」
大破した輸送機の前半分に近づき状態を確認する。……酷い状態だ、コクピットは機首が瓦礫に突っ込んでしまっているせいで機長側が完全に潰れてしまっている。機長は……言うまでもないだろう。
反対側の副操縦士側はかろうじて原型を留めているが計器や無線機器は完全に沈黙しており、副操縦士も既に事切れてしまっている。
「……私がまだ生きているのは貴方方の懸命な操縦のおかげだ。ありがとう、貴方方に心からの敬意を」
二人に敬礼を行い、
「さて、あっちには使える物があるはずなんだが……」
コクピットから離れて折れたもう一方―後部キャビンに入り、航空機であれば民間だろうが軍用だろうが必ず装備してあるはずの物を探す。……有った、
「外観には異常無し、中身の使用期限切れも無し。と」
……
ラプチャーについて調べる内に、人間が運用出来る携行式のランチャーでは最も効果の見込める角度から当てたとしても連中の表面を煤けさせるのがせいぜいだと知ったときは、”デタラメな存在だな……”と思ったものだ。
改めてキャビンの中を見回してみるが、これ以上目ぼしい物は見当たらない。輸送機に近づく前に燃料漏れが無いことは確認したが、未だに火の手は上がっているし、長居していてはまたラプチャーが寄ってきてしまう。
輸送機から離れてマリアンに近づく。
「マリアン、さっきの戦闘で負傷していただろう。見せてみろ」
「確かに足を負傷、というより故障しましたが行動には問題ありません」
「手当をしよう」
包帯を取り出し、マリアンの足に巻いていく。
「あの、指揮官?ニケにこんな事をしても……」
「それは知っているが、仲間が負傷しているのに何もせずに放っておく、なんてのはごめんなんだ。……まあ、ただの自己満足だが」
「仲間……いえ、ありがとうございます。おかげでもう治ったみたいです。指揮官はお優しいですね」
「……これで良いだろう。マリアン、予定されているランデブーポイントはここからそう遠くなかったはずだな。行けるか?」
「問題ありません」
ファーストエイドキットを肩掛けにし、マリアンと共にランデブーポイントへの移動を開始した。
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倒壊した建物や朽ちた自動車があちこちに見られる荒廃した地上を辺りを警戒しながら進んでいく。
「指揮官、間もなくランデブーポイントです。体は大丈夫ですか?」
「ああ、問題ない」
「ご自分では大丈夫だと思われていても、心肺停止状態から蘇生されたのですから、無理はなさらないでください」
大丈夫だ。というのは
「ありがとう、だが本当に大丈夫だ」
「そうですか……。そうだ、よろしければ私がおんぶしましょうか?」
……はたから見ると、そんなに心配されるような状態なのだろうか。少なくとも、
「私なら大丈夫です。人一人くらいなら全く問題ありませんから。」
「……ラプチャーと遭遇した場合に速やかに戦闘に移行できる状態の方が良いだろう。それにそんな状態で合流したら恰好がつかない。ただでさえ新米指揮官なんだ、ナメられるようなことは避けないとな」
まさか士官学校―あんなところを士官学校とは言いたくないが―を卒業した翌日に地上に上げられるとは思っていなかった。お陰で用意していた戦闘服ではなく礼服のままだ。
「じゃあ、私が支えますね」
そう言って、マリアンは俺の右腕に自身の左腕を組ませた。
「辛かったら、いつでも言ってくださいね」
「ああ、その時は頼らせてもらう」
そう言うと、彼女はどこか嬉しそうに「はい」と返事をした。
「では、ランデブーポイントに移動しま……指揮官」
「こっちも確認した。あの位置では戦うしかないだろうな」
連中はまだこちらには気付いていない。今の内にマリアンには有利な位置に移動してもらおう。
「マリアン、あの瓦礫の裏に移動してくれ。最初に叩くのは車の残骸の近くにいるヤツだ」
「了解しました」
マリアンの銃の弾薬もそう大量にあるわけではない、早くランデブーポイントで味方と合流しなければ苦しい状況に陥ることになりそうだ。この戦闘で引き寄せられるラプチャーが多くないことを願いながら、攻撃開始の合図を出した。