女神たちのために 作:まるでダメな作者
大変励みになります。更新はまちまちになってしまうと思いますが、お付き合いいただけると幸いです。
「クソッ……」
思わず悪態がついて出る。
どうやら今の俺は幸運の女神に嫌われているらしい。あれからビルの陰やら高架の下やら方々から地上型や飛行型が現れて戦闘が長引き、それを凌いでからも
その上―
「ここのはずだよな?」
「間違いないはずですが……」
「……墜落で死んだと思われて移動されたのか……?」
当初の合流地点に到着したが、いるはずの部隊が見当たらない。このままでは本当に生き残る可能性が絶望的になってしまう。と、あまり考えたくないことを考えていた時、二人の耳にニケ用火器の銃声が聞こえてきた。
「!―マリアン」
「行きましょう」
―――――――――――――――
そこではベレー帽を被ったブロンドのニケ二人が
「もう、いつまでここで待てばいいの?」
「合流するまで」
と、すげなく返される。
「死ぬまでじゃないよね?」
「合流するまでよ」
ロングヘアのニケは少し前から繰り返される同じような
「さっき見たでしょ!輸送機が墜ちていくとこ!あれで生きてるはずないよ!」
確かに今から数十分前、連絡にあった後任の指揮官が搭乗しているはずの輸送機が突如空中で爆発を起こし、どう見ても機体の制御が出来ているとは思えない状態で立ち並ぶビルの陰に消えていく様を二人揃って確認している。
端から見ていても順調に飛行していた輸送機がなぜ爆発を起こしたのかは不明だが、人間の指揮官があの状況から生き残っているとは考えにくい。
しかし―
「まだ死亡報告は入ってきていない」
「その報告があるまでずっとここで待つの?」
例え”あれは死亡しただろう”と思ったとしても自分で確認していない以上、死亡報告も作戦変更の連絡も無い状況で迂闊に動くと作戦をダメにしてしまう可能性がある。そう伝えると
「すでにダメだと思うわ!」
そう言いつつ、グレネードランチャーのチャンバーに入っている擲弾を確認して交戦に備えている辺り仲間を置いて移動するつもりも無いようだ。
そこへ―
「合流します!」
「君らが合流予定の部隊か?」
瓦礫の陰から一組の男女が辺りを警戒しながら合流した。
「うわ!びっくりした」
「マリアンです!指揮官と共にランデブーポイントに到着。合流しました」
マリアンと名乗った女の方はマシンガンを持っていることと服にあるエリシオンのマークからニケであることが推測出来るが、もう一人の男の方は服に多少の汚れや露出している顔や手に擦り傷があるくらいで普通の人間に見える。
「あの爆発から生き残ったの?……あなた人間よね?」
「見ての通り人間だ。」
「……怪しい、ホントに指揮官?」
「士官学校を出てはいる。……ここで問答するのは得策ではないと思うぞ」
男は二人が残骸に変えたラプチャーの方を見ながら言うと、ロングヘアのニケが「ちょっと失礼します」と男に近づき、ジッと見つめ始めた。
「指揮官認識コード、アクセス―分隊04-Fの指揮権、変更完了」
「ラピ!こんな正体の分からない人間と、軽率に……」
ボブカットのニケが抗議しようとするが、
「現時刻をもってあなたが私たちの指揮官となります。前指揮官は命令を下せる状況にない為、別途の命令権引継ぎプロセスはありません」
「……了解した。とは言え後で説明してくれると助かる。それから、君らの名前を教えてくれ」
「ラピです。こちらはアニス」
「
それから二人の武器の装弾数などを簡単に確認し、前方のラプチャーを見る。
「それじゃあ、お客さんを歓迎するとしようか。ラピはあそこの車の陰に展開して地上型を頼む、アニスは密集している連中を優先、マリアンについては基本は二人のカバーだ。必要なときに指示は出す」
確認の意味を込めて全員を見るが、反対意見は無いようだ。
「では、各員行動開始」
―――――――――――――――
「戦闘終了、報告を」
「損傷無し、問題ありません」
「私も同じ。楽勝だったわね」
やはり人数が増えるだけでやりやすさが段違いだ、リロードや移動のカバーが出来るというだけで安心感も大きい。と、戦いにおける数の重要性を噛みしめているとラピが礼を言ってきた。
「急な要請に応じていただき、ありがとうございます」
それに応じつつ、聞かなければならないことを聞いておく。
「構わない。それで前任が引継ぎを行えないというのはどういうことだ?まさかとは思うが……」
「そう、前の指揮官は死んだわ。「ラプチャー!人類の敵!」とか言って対人火器をぶっ放したの」
……ラピとアニスの二人の戦闘の跡が自分たち以外守っていたようなものではなかったから、ある程度察してはいたが、まさかそんな状況だったとは。自分が戦えないことに忸怩たる思いがあっての行動なのか、それとも衝動的に動いただけなのか、俺としては前者であって欲しいと思うが、もう知るすべは無いし軽率な行動だったことは否定できない。
「……守れなかったんですね。お二人は」
マリアンがどこか責めるような口調で言うが、この場合は一方的に責めることは出来ないだろう。
「違うわ。私たちは指揮官様を守る、命に代えてもね。でもね、自分から死のうとする人を守るのは無理」
アニスの言うようにそんな奴を止めるのは難しい。例えその場では止められたとしても、目の届かない別の場所で知らぬ間に死んでいて、それを後から知るということもあった。
「失礼ですが、お名前をお伺いしてもよろしいでしょうか」
「ああ、デイヴィット・ジョンソンだ」
「アニス」
「どれどれ……―うん?」
どうやら俺の名前を検索していたアニスが
「とりあえず、近くの市街地に移動しましょう」