女神たちのために 作:まるでダメな作者
新米
道中に何度か戦闘は発生したものの、合流予定だった部隊のラピとアニスとの合流が完了し、その後のラピの提案に乗り市街地まで移動してきた。
「本当に昨日、任官されましたか」
「その通りだ。君らにとっては残念ながら、になるが」
「そのようなことは……。死亡した指揮官の代わりにやってきたのが、新人の指揮官……何を考えているのやら」
「……はい?」
思わず、といった具合にラピが呟いたことにマリアンは何か言いたげだが、ラピの心の中にあるであろう様々な思いは察するに余りある。俺も同じような状況に置かれたら”ふざけるな”と思うだろう。とりあえず、これからの行動について聞いておかなくてはならない。
「君らの分隊の支援ということで派遣されたんだが、作戦の進行状況はどうなってる?」
「それが……前指揮官が死亡された為に継続出来ない状態です」
「どういうことだ、目標の座標を聞かされてないのか?」
「そう、あの指揮官の頭の中だけってわけ」
さすがに前任の指揮官に一言物申したくなってきた。秘匿作戦というわけでもない、むしろ部隊員が座標を知らなければ捜索も何もないだろうに……。問題の座標については輸送機でのブリーフィングでマリアンから聞いているからまだマシだとは思う。
しかし、それはそれで
「座標については聞いている。マリアン、先導を頼めるか?」
「任せてください。それと、ラピでしたっけ。自分の指揮官も守れなかったくせに、新米だの「マリアン」―」
それは決して大きな声ではなかったが、その場に居る者の背筋を伸ばすには十分な迫力があった。
「それ以上は言うな。……確かにラピの態度は上官に対するものとしては褒められたものではなかったが、その心情は良く分かる。この状況でやってきたのが使えるかどうか分からない新人だったら、不満の一つや二つは出るだろう」
精鋭部隊として知られる部隊に配属されたときも上官にそんな目で見られていた。その上官は「この世界では、新人だろうと命を預ける相手だからな。信頼できるヤツか見極められないと、そのツケを払うことになる」と言っていたことを思い出す。
「それとラピ、俺に対していろいろと思うところがあるのは分かる。しかし、俺も『指揮官』である以上はそれを表に出されるとそれなりに対応しなきゃならんくなる。来たばかりのヤツにアレコレ言われて煩わしく思うだろうが、せめて俺の見えないところで吐き出してくれ」
「いえ、私の失言でした。申し訳ありません、指揮官」
「まあ、あまり重く受け止めなくてもいいが、心には留めておいてくれると助かる」
言ってから、新米のくせに説教じみたことをしてしまったな。と反省していると、アニスが珍しいものを見るような目でこちらを見ていた。
「どうした?」
「いや、怒らないのかな?って。こういう時はニケに怒鳴ったりする指揮官も多いのに」
「さっきも言ったが、気持ちは分かるからな。締めるところで締めてくれれば良い」
「ふーん……。指揮官様って変わってるね」
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この指揮官を『変わっている』と形容したのは我ながら鋭かったと思う、今だってそうだ。
周辺の警戒をしておく。と言って、
「指揮官様」
「終わったのか?」
「まだもうちょっとかかるみたい。……ねえ、何でニケのことなんて気にしてるの?やっぱり
今までの指揮官たちはニケのメンテナンスなんてどうでもいいって感じが大半で、たまに
だから正直に言って、指揮官がいるからってメンテナンスを渋るニケはともかくとして、そのニケに配慮するような指揮官がいるなんて信じられない。というのが本音だ。
「地上にいるのにそんなことを考えていられるほど、俺は自信家じゃない。それに他人が着替えているのをジロジロ見ない、なんてごく普通のマナーだろう」
”ごく普通のマナー”。確かにそうだ、でもそれは『人間同士』の場合で『人間とニケ』には適用されないのが
「指揮官、メンテナンスが終了しました。いつでも移動できます」
「だそうだ。アニス、移動再開だ」
やっぱり変わっている。―でも、悪い気はしないな。そう結論付けて、歩き出した