女神たちのために 作:まるでダメな作者
勝手な作者で申し訳ありません。
マリアンの先導を受けて、時にラプチャーと交戦しながらも目標の座標へ移動していると、それまで沈黙し続けていた端末が突然通信を受信し始めた。
『アークから地上へ!聞こえますか?ラピ、アニス!』
「こちらラピ。シフティー、聞こえる?」
どうやら通信の相手は俺とマリアンが合流する以前からこの捜索作戦を担当していたオペレーターらしい。―召集を受けてから有無を言わさず輸送機に詰め込まれたせいで、『行方不明の分隊の捜索にあたっている部隊の支援』ということしか聞かされていないから、もちろんオペレーターについても知らない。
……やはりこの作戦にはおかしなところが多すぎる。新米が戦場に送られるというだけなら、この世界の状況から見ればまだ納得できなくはないが、今回の作戦において情報を伏せておく必要性を感じられない。それに輸送機のこともある。
『該当する地域に対空火器を装備したラプチャーはいません。だから、輸送機を送ったのですが……』
図らずも俺の予想を裏付けるような発言が聞こえてきた。
「オペレーター、こちらは現在分隊04-Fの指揮を執っているデイヴィット・ジョンソンだ。今の情報は確かなものか?」
『え?は、はい。現在捜索中の分隊が行方不明になる前に送ってきた情報です』
これで確信が持てた。つまり、
何が目的だ?少なくとも俺やニケ個人を狙う意味はないだろう、となるとこの作戦が失敗することを望むものがいる。ということか?
「オペレーター、この作戦は誰が立てて、誰が承認したものだ?」
『……本作戦は軍司令部が正式に承認したものです。現在の指揮官にそれ以上を知る権限はありません。……あの』
さすがに詳細を知ることはできないか……。
もう一つ、対空火器持ちのラプチャーがいないということは、やはり輸送機が墜落する原因となった爆発は内部から起きたものということだろう。あの輸送機の後部キャビンには俺たち以外にも積荷が有った。アレなら輸送機が墜ちるような爆発を起こせるだろうが、そうであるなら尚更事故とは考えにくい。
……俺はアレの起爆コードを知らされていない。そして、地上に出れば電波はエブラ粒子とやらの影響を受ける。もちろんこの通信のように特別な処理を施した電波か単純でも大出力の電波を使えばアークから起爆出来るだろうが、そんな目立つことをすれば通信をモニターしている情報部にバレる。となると、確実かつ露見する可能性が最も低いのは
『あの、指揮官!』
「―どうした、オペレーター」
『いえ、その自己紹介をさせていただきたいのですが』
「そういえば名前も聞いていなかったか、すまない。改めて、デイヴィット・ジョンソンだ。よろしく」
『私は情報部オペレーターのシフティーです。こちらこそよろしくお願いしますね』
そうしてシフティーとの通信を終えてから、マリアンに聞こえないように二人に声をかける。
「ラピ、アニス、少しいいか」
「何でしょうか?」
「二人ともマリアンから目を離さないでくれ。それから、拳銃を貸してくれないか?」
「……どうして?それに指揮官様、拳銃を何に使うつもり?まさか、ラプチャーを撃つつもりじゃないわよね?」
「……」
アニスが信じられないものを見る目で疑問を投げかけてくるが、この状況で部隊内で疑心暗鬼になるのは避けたい。それに、俺自身あまり口に出したい内容ではなかった。
ラピはこちらをジッと見つめている。さっきの通信ではシフティーに解析したブラックボックスのデータを要求していた。もしかすると俺が何故こんな事を言っているのか薄々感づいているのだろうか。
「……了解しました。では、こちらを」
ラピがホルスターごと差し出してきた拳銃を受け取る。ホルスターを身に着けてから拳銃を取り出し、マガジンを抜いて装弾数を確認してからマガジンを元に戻し、スライドを軽く引いてチャンバーをチェックし、安全装置を掛ける。……かつて愛用していた拳銃とは違うものだが、この一連の動作はもはや魂に染み付いているのかもしれない。
あの頃はこうしていると覚悟を決められていたが、今はむしろ心がざわめく原因になってしまった気がする。
何かあったんですか?とこちらに近寄りながら尋ねてくる
可能性は高いと思いながらもどうか