2年連続でトレーナー試験に落ちた男とトウカイテイオーの話 作:キンニャモニャ
そろそろ肌寒くなってきた頃の話である。
いつものように施術を終えた2人がリビングでティータイムと洒落こんでいると、テイオーがふと思い出したように口を開いた。
「服が欲しい。落ち着いた冬服」
「どうした急に」
ついさっきまで今週発売されるブルーレイの映画の話をしていたのに、脈絡もなく話題が変わった。だが男は動じる様子もなく、相槌を打った。
「だってさ、はちみー飲みに行ったときも、センセーの家族にご挨拶したときも、みんな温かい目で見てたじゃん。なんか違うんだよねー」
ムムムと眉間にしわを寄せるテイオー。
「今更なに言ってるんだよ。てか数カ月前の話をなんで今頃するんだ?」
「だってずっと菊花賞の準備で忙しかったじゃん。ようやく一段落ついたから、いろいろやりたいなーって」
「忙しいって、週4で俺の家に来て、2回に1回は映画見てただろ?」
むしろ練習後に疲れが気になると男に連絡をして、急きょ施術を行った回数を含めればいつもより多いと男は計算した。ちなみに、突然のアポではあったが、よく連絡したと毎回テイオーを褒めていた。
「そ、それはそれ! お出かけは別物でしょっ」
「まあいいけど。それにしてもヤケに落ち着いた服にこだわるよな。似合ってればいつも着てる系統で良いと思うけど」
あんな元気な色をしたオフショルダーネックはテイオーにこそピッタリな服だと、男は感心すらしていた。
「ボクだってラフな方が動きやすくて好きだよ。でもさ、大人っぽく雰囲気を変えたい場面ってあるでしょ。それ用の服が欲しいんだよ」
「テイオーってお嬢だろ? だったら、その系統の服はたくさん持ってるだろ?」
白のブラウスに寒色系のスカートを合わせれば酷いことにはならないだろうに、と男は言った。
「もちろんあるよ。でも新しい服がほしい。ボクだって日々、成長しているんだよ。去年のボクよりももっと大人な服がほしいの」
「はあ、なるほどねー」
本日のおやつであるホットケーキを口に放り込みながら男は言った。
「気のない返事だなあ。例えば……カレンチャンみたいな、カワイイ系だけど落ち着いた印象のある服も良いよね」
「カレンチャンかあ。まあ、いいんじゃね?」
カレンチャンはデビュー前ということもあり、今後が期待されるウマ娘なんて扱いだったが、男も目にしたことがあるくらい話題に事欠かないウマ娘であった。
とはいえ、やはりデビュー前はデビュー前。期待されてるというわりに、自撮り写真しかないんだけど、と男はニュースサイトやスレにツッコミを入れていたことを思い出した。
「あれ? カレンちゃんだよ。ウマスタで有名な子」
「知ってるよ。#カレンチャンだろ?」
「すごいね、何故かそれでわかるよ」
「自撮りの女神って呼ばれてるんだよな」
男は自撮りよりも走っている姿に興味があった。そのためトレーナーに必要な一般常識としてウマスタを使っていたが、トレーナーを諦めてからはすっかりウマスタを使わなくなっていた。今では、うろ覚えの知識しかない。
「そうなんだけど……なんか反応が薄いなあ。……あ、そっか。あの子、実はスタイルすごく良いよ。カワイイに目が行きがちだけど、すごく……すごいよ」
テイオーは探るような目で男の様子をうかがった。
「ああ、なんとなくわかる。でもスタイルよりもカワイイにこだわっているんだよな」
男は甘くなった口を紅茶で流した。
「あれ? 胸の大きい子、好きじゃないの?」
「好きだよ」
なんでもないように返す男。
「……じゃあカレンチャンは?」
「あの子はアレだろ。スタイルは良いけど、ただの学生じゃん」
「……スーパークリークは?」
「あれで学生は無理があるだろ」
「たしかに」
男は学生がキャッキャとSNSで楽しんでいる姿と、慈愛に満ち溢れた微笑みで同期のウマ娘を見る彼女を一緒にはできなかった。
「マルゼンスキーもだけどさ。たとえカレンチャンがご両名に匹敵するスタイルだとしても、やっぱり別かなって」
「う、うん。なんかわかる気がする」
男はミホノブルボンの勝負服を見ても、ころんだ時にケガをしないか心配するような人間だった。なお、水着で出走するマルゼンスキーのレースは複数のデータで保存している模様。
「しかしカワイイか。なんか昔もそんなことあったな」
「なにが?」
「いつだったかな、遊園地で迷子になってる子どもがいてさ。その子の母親を探してあげたことがあったんだよ。その子の夢もたしか“日本一カワイイ”だったな」
芦毛色の髪であること以外はなにも覚えていないが、きっとあの子はモデルとかアイドルになろうと頑張っているんだろうなと男はほっこりとした気持ちになった。
「へー。センセーも子どもに優しいころがあったんだね」
「まさに今現在もガキンチョに優しくしてるんだけどな。……あれ? 宇宙一だったけかな?」
「まあでも安心したよ。センセーが若くてスタイルが良ければ誰かれ構わず手を出すような人じゃなくてさ!」
青筋を浮かべたテイオーが仕返しとばかりに棘のある言葉を放つ。
テイオーが椅子の背もたれから伸ばした尻尾をヒュンヒュンと振った。
慣れたもので、男はチラリとテイオーの尻尾を見ても眉1つ動かさない。ただ、その動きからテイオーの調子が良さそうだと思い、心の中で安堵した。
「なんだよ。お前からケンカ売ってきたんだろ。そんなことよりどうだ? 無敗の3冠バ達成のご褒美だぞ」
「すっごく美味しいよっ! 紅茶もバッチリ合うね!」
テイオーの尻尾がリズミカルな動きに変わった。
今回のおやつであるホットケーキは男の手作りであった。菊花賞のご褒美ということで、テイオーがはちみつを使った手作りお菓子をリクエストしたため、あまり料理をしない男でも失敗せずに作れるものを選んだのだ。
「なら良かった。はちみつが美味いなら、ホットケーキで直球勝負は有りだな。メチャクチャ甘いけど、たしかに品がある」
はちみードリンクに付き合わされて以来、男は少しだけ、はちみつに詳しくなった。
「でしょ! それにクドすぎないから、たくさん食べてもおいしいよね!」
好きなモノを共有できて嬉しさが隠せないテイオー。
「はちみードリンクは狂気の沙汰だと思うけど、これは普通に美味いな」
「ね! はちみつだけじゃなくて、センセーが焼いてくれたホットケーキもすごく美味しいよ!」
上手く出来たとはいえ、店で食べるほどには至っていないホットケーキだったが、とても嬉しそうにテイオーは言った。
それを聞いた男も笑みをこぼした。
「それは良かった。それで最後だから味わって食えよ」
「えー! もうないのー!?」
「いや、3箱まるごと使ってるからな。袋じゃなくて箱だぞ。6袋分あるはずだ」
一緒に食べた男は1袋分で大満足だった。
「ちっちっち。これくらい女の子なら一瞬だからね。次はもっとたくさん用意してくれたまえよー」
テイオーは腰に手を当てて胸を張って言った。
「体重管理とかあるだろうから、さすがに菓子を食べさせまくるわけにはいかないだろ」
「大丈夫。食事管理もしてるし、これくらい誤差のうちだって。生まれてから一度も太ったこと無いしね」
「いや、少しプニってたぞ」
自信満々に言うテイオーに、男が表情を変えずにバッサリ切った。
キョトンとするテイオー。
「……いやいやいや、ボクは太らない体質だから。そんなんで騙そうとしてもムダだよ!」
先ほど鏡で見た自分の姿を念入りに思い出した後、テイオーが反論した。
「そう言って食い過ぎたんだろ。太り気味ってほどじゃないけど、油断はあったぞ」
男はカルテに、太り気味の恐れがあるので経過注意、と書き込んでいた。
「うそ……」
「こっちは1日おきに触ってるんだから、違いくらいわかるって」
週4で確かめていれば、違いはすぐにわかると男は言った。
男にからかうつもりが無いのを理解したテイオーが少し慌てた。
「だ、ダイエットしたほうがいいかな?」
「それくらいなら必要ない。むしろまだ成長期なんだから、少し栄養が余分な方がいい。自分でも明らかに太ったと感じるまではセーフ」
もし相手がウマ娘でなければ、男はむしろもっと肉を付けろと言った。
体脂肪率が少ないということは体のパフォーマンスを最大限に高めるものだが、成長に使うための栄養を考えると適切ではないと男は思っていた。
「そ、そうだよね」
「ああ。どうせ一回練習したら消える程度だ。むしろ、成長に栄養が行き届いているってことだから、ちょうどいいんじゃないか? レース前にやらなきゃ大丈夫だ」
だから間違ってもご飯の量を減らしたりするなよと男は言った。
「良かったー。それなら気にしなくていいや」
「これ以上はおやつの暴食はするなってことだからな」
「わかってるよー。……次もこのくらいならセーフだよね」
「他に間食しなければな」
「任せて!」
ドンと胸を叩いたテイオーは、最後の一切れを美味しそうに食べた。
おやつタイムが終わり、紅茶のお代わりで胃を落ち着けながら2人はいつもの様にレースについて話した。
「無事に無敗の三冠バを達成したわけだが次の目標は?」
話題はもちろん次のレースだ。
テイオーはデビュー前からの夢であった無敗の三冠バを達成した。これまでは三冠バになりたいという思いが強かったため、その後の目標を話すことはなかったが、そうも言ってられない。
「うーん。有マ記念に出ないかってお誘いがあるんだけど、それは来年かなー」
「回避するのか? テイオーならシニア相手でも勝ち目が有りそうだけど」
シニアには強いウマ娘がいる。だが、男はそれでもテイオーが遅れを取るとは思えなかった。
「ボクも出走するなら負ける気はないよ。でも、それよりも出たいレースがあるんだ。実はそのことでセンセーに相談があってさー」
「相談? 言ってみな」
「マックイーンと戦いたいなーって思ってさ」
メジロマックイーン。テイオーの1学年上の生徒で、デビューも1年早かった。皐月賞や日本ダービーは回避したが、菊花賞に天皇賞春と名立たるG1レースに勝利した強いウマ娘である。
当然、男も注目しているウマ娘であり、それ故に適性や強みをかなり正確に理解していた。
「メジロマックイーン? だったら有マに出てくるんじゃないか?」
メジロマックイーンはシニアの中でもトップクラスの実力を持ってるが、それでも有マで競えばテイオーが勝つだろうと男は思った。
だがテイオーは首を振った。
「ううん。戦うと言ってもマックイーンの得意な距離でやりたいなーって」
「……おい、まさか」
「天皇賞春とかどうかな?」
「反対だ」
男は語気を強めて言い切った。
テイオーはたじろいだが、引かない。
「……出たい」
「あのな、菊花賞後にどれだけ負担が大きかったか忘れたのか? 観戦しに行った俺がレース直後にその場でテイオーの様子を確認して、そのまま控室まで直行して急いでケアしたほどだぞ。事実、そうしなければウイニングライブに出られなかった」
テイオーとトレーナーが微妙な関係にある以上、男は公の場でテイオーとの関係を示唆するような行動には特に注意を払っていた。だが、それを覆してでも直ぐにケアが必要だと判断したのだ。
それほどまでに、菊花賞後のテイオーは消耗していた。
「……でもさ、ボク、有マだったら絶対に勝てると思うんだ」
傲慢さは見えない冷静な顔でテイオーは言った。
「俺もテイオーがメジロマックイーンに2500mで負ける姿は想像できない。だからこそ有マでいいじゃないか」
「違うんだよ。そうじゃなくてさ……マックイーンは友だちだよ。それでもってトレセン学園に入学して以来の1番のライバルなんだ。絶対に負けたくない相手。でもだからって、自分が絶対に勝てる距離で挑むのも違うって思うんだ」
認めている相手だからこそ、全力の状態の相手を倒したい。そのためにはどうすればいいか。テイオーの答えは、相手の得意な距離に乗り込むということだった。
「その気持ちはわかるけど、だからって自分がケガする可能性がある距離で戦うのも違うだろ。あの菊花賞の状況を見た以上、医者としてOK出すわけにはいかないぞ」
「センセーはボクの無敗の3冠バの夢を応援してくれたじゃん! 無理かもしれないのに、ボクの挑戦に手を尽くしてくれたでしょ! 今回もマックイーンに勝ちたいっていう挑戦なんだよ!」
「テイオーの夢が3冠バだから菊花賞に勝てるように協力したさ。だが、それと長距離で戦い続けることを容認するのは別の話だ。あの消耗した様子を見たら、普通は止める」
非常に不本意ではあるが、レースに負けるのなら男は納得する。G1ともなれば、出走するどのウマ娘も才能があり、努力をしてきた子しかいない。そりゃあ負けることもあるさ、と考えられる。
だが、ケガはダメだ。それをさせないために男は全力を尽くしてきたし、これからもそのつもりだ。
それを踏まえて、今回は分が悪いと男は判断したのだ。
「全力のマックイーンと戦いたいんだ。そうじゃないと……きっとカイチョーにも勝てない」
「……ここでシンボリルドルフがくるのか」
テイオーの憧れであるシンボリルドルフ。その強さを男は、自分が学生の頃から研究していた。
当たり前だがテイオーは弱くない。なんといっても無敗の3冠バだ。弱いわけがない。だがシンボリルドルフは別格だ。今すぐにテイオーとシンボリルドルフがレースした場合、恐らくシンボリルドルフが勝つと男は思っていた。
もしテイオーも同じ考えで、シンボリルドルフと勝つための経験を積みたいと言うのなら、全力のマックイーンに競り勝つ意味はあると男は思った。
「ボクの考えだけど、今のトゥインクルシリーズにいるウマ娘で、カイチョーと肩を並べられるのはマックイーンだけだと思ってる。だったら、ボクがカイチョーに勝とうと思うなら、マックイーンは倒さないといけないんだ。それも彼女の得意な距離でね」
「本気なんだな?」
いつになく圧をかけて確認する男に、テイオーが頷いた。
「長距離はこれが最後の挑戦だと思ってる」
男が1つ息を吐いた。
「無茶を挑戦って言葉でコーティングするんじゃない。……ったく、言っても聞かないヤツだな。それなら仕方ない」
「な、なにさ」
「言っても聞かない子は尻叩きだ。わかってるだろ?」
「や、やだー!!」
男が席を立つや否や、テイオーが席から立ち上がり、テーブルの反対側へ回りこんだ。
男はごく普通に歩いてテイオーへと向かう。
「ほら、後ろ向け」
「だから、それセクハラだってばー!」
男が進めば、テイオーも同じだけ進む。テーブルを軸にして2人は回り始めた。
「たとえセクハラと言われても、お前のためを思ってやるんだ。それくらいリスクとして背負ってやる」
「ボクのためを思ってるなら走らせてよっ!」
「俺だってお前が走りたいレースに出してやりたいさ。だが、それが3200mの長距離で、相手がメジロマックイーンともなれば別だ。彼女がいるなら、この前の菊花賞とは比にならないぞ」
シンボリルドルフとの距離を詰めたい気持ちは理解した男だったが、それはそれ、これはこれ。自分の信念に従って、テイオーの尻へと向かって歩みを進めた。
「それでも出たいの!」
「それはわかった。でも俺は医者として出走させたくない。だから尻を叩いてわからせるんだ」
「暴力反対! 暴力反対! 暴力反対!」
回りながらも、器用に手を上げて主張するテイオー。
「これも愛故だ。許せよ」
「愛ってなにさ!?」
「(ときに暴力を)ためらわないことだろ」
「そんな歪んだ愛はいやだよー! ボクは褒められて、なでられて、甘やかされたい!」
「いや俺の愛はそんな甘い恋人的なものじゃなくて、父とか兄が持つヤツだから。勘違いしないでくれ」
「もー! 絶対にボクのお尻は叩かせないから! それと天皇賞も出るんだいっ!」
反抗を続けるテイオーに、男は埒があかないと机を持ち上げて、脇へと寄せた。
男とテイオーの間には数脚の椅子がポツポツと置いてあるだけだ。
「ふふっ。久しぶりだ。俺の弟も昔はヤンチャしてたからな。夜中に悪い友達と集会しているところに乗り込んで、片っ端から全員の尻を真っ赤に腫れ上げさせたものだ」
一歩進む男。
「昔からそんな無茶してたの!?」
二歩下がるテイオー。
テイオーが壁に追い詰められた。
「ケガすることなく、確信を持って普通に遂行できることは無茶って言わないんだよ。だからお前の挑戦に反対してるんだろうが」
一歩進む男。
「ボクも抵抗するからねっ! ウマ娘の力を舐めてるとケガするよ!」
後が無いテイオーが耳を絞って威嚇する。
男が立ち止まった。しかしテイオーを警戒する様子はない。
「なに言ってるんだ、お前は」
「え?」
「お前がケガをして、レースどころかその後の生活が左右されるのが怖いから出走を止めろって言ってるのに、自分がケガする可能性があるくらいで躊躇するわけ無いだろ。そんな覚悟でウマ娘の数少ないG1出走チャンスを諦めろなんて、俺がそんな薄情なことするヤツだと思ってるのか?」
男はどこまでも誠実にテイオーを見つめる。
「そ、そんなこと思ってないよ! センセーがボクのことを真剣に考えてくれてるのはわかってる! ボクだって無茶をしたらセンセーに悪いなって思ってる。でもさ、どうしてもマックイーンと戦いたいんだ!」
友だち、そして更に先にいる憧れの存在。その人たちを思ったテイオーの決断がそれだった。
男にはこれがテイオーの思いつきではなく、よく考えた上での選択だと理解した。
「テイオー……」
「センセー、お願い……」
絞られた耳は、いつの間にかフニャリとヘタって力がない。
男と出会ったときと同じ、救いを求める少女がそこにいた。
「本気、なんだな?」
「うん」
男は複雑な顔のまま目を閉じて、1つ息を吐いた。
そして、ゆっくりと目を開く。
男はいつもの仏頂面に戻っていた。
「じゃ、続行だな」
「……え?」
テイオーの感情が追いついていない。
男は拳をゴキゴキと鳴らした。
それを見たテイオーがすぐさま退避を始めた。
「確かにお前の一撃が入れば、俺は割とシャレにならないケガをするかもしれない。でも俺は尻を叩き続けるぞ。お前が、天皇賞を諦めるって言うまで、尻を叩くのをやめないッ!」
「な、なんでえー!! 今のはセンセーが折れてくれる流れだったじゃん!!」
「流れとか、中学生がなに知ったかぶってんだって話だよ」
「今、バカにしたでしょ! それと、もうすぐ高校生だから!」
「なお悪いわ。もう高校生になるって子が、未だに尻を叩かれてることを恥ずかしく思え」
「叩こうとしてるのはセンセーでしょっ!!」
結局、泣きが入って駄々っ子状態になったテイオーに男が折れて、テイオーは天皇賞春に出バすることになった。
ただし、レースまでの間に長距離用の練習で調子を崩すような兆候があれば、即刻ドクターストップをかけること。レース本番では限界の力を出さずに走り切ること。その上で出走するからにはメジロマックイーンに勝つこと。それらが条件として提示されたが、テイオーは自信を持って承諾した。
なお、弧を描くように部屋中を逃げ回るも、わりとすぐに男にとっ捕まって絶体絶命の状況に追い詰められたテイオーだったが、男を傷つけるような抵抗をすることは決してなかった。
男もこれに気づいたからこそ、テイオーのワガママに折れることにした。
スタミナが20上がった
体力が50回復した
やる気が上がった
トウカイテイオーの秘められた力が覚醒した!
「弧線のプロフェッサー」を覚えた