86-エイティシックス- 獅子の来訪   作:Aa_おにぎり

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86-エイティシックス-
#1 偵察


荒野に吹き荒れる砂ーー

 

 

 

 

 

そこ遠く轟く火薬の音ーー

 

 

 

 

 

そこにロケット燃料に火がついた音が響くーー

 

 

 

 

 

特徴的な桃色の爆炎が幾つも上がり、砂丘の裾野からロケット弾攻撃が行われていた。

 

シュゴーッ!ドォォォオン!!

ドドドドドォォン!!

ダダダダダダダダダッ!

キィン キィン!

シュォォォォォオオ……ドドドドォォォンン!!

 

そして裾野には砂漠色に塗装されゴーグルのようなカバーのついた丸い頭部、角ばった金属製の体。大きさは18メートルもあるであろう機動兵器であった。その機動兵器の中である人物が頭部のカメラから送られてくる映像を見ていた。

 

「隊長機より各機、これより作戦行動を開始。レギオンの残存兵力の排除を開始せよ」

 

『『『了解』』』

 

「スナイパーは後方から援護。デカイ的から撃っていけ」

 

『了解』

 

通信を終え、男は持っていたレバーを動かすと機械音と共にコックピット全体が動いて画面が推移し。視線の先に映る履鉄達を捉えた。

 

「さて、今日も仕事しますか」

 

ドォォン!!

 

レバーで持っていたライフルからピンク色の光線が放たれ、地面に虫のように近づいてくる斥候型レギオンを焼いていた。

 

『ヒーハー!!』

『撃て撃て撃て撃て!!』

 

ギィン!!

 

通信機越しに聞こえてくる狂ったように声を上げる仲間の声が聞こえ、自分も画面越しに燃えていき、撤退するレギオンの残党を見て通信機の電源を入れた。

 

「戦闘終了。いつも通り追い討ちはするな。後で戦果を確認する」

『『『了解』』』

 

そしてレバーを動かして男は自分の分身を動かして現在の最前線を他の部隊と交代した。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

レギオン戦争

こう呼ばれる戦いは星暦二一三九年にギアーデ帝国が開発した完全自立型無人戦闘兵器〈レギオン〉を使い周辺各国に戦線を布告。それに伴う戦争である。

周辺国家間の国交は断たれ。人も物の行き来も分断され。地面にはレギオンの機械軍隊が街を、人を、何もかも襲っていた。

この戦争が始まる前。俺たちの国ではある自治州が独立をかけた戦争が行われ、そこでさまざまな新兵器や技術が投入され。世界各国が多脚式戦車を開発する中、俺たちの国では〈モビルスーツ〉と呼ばれる有人式人型機動兵器を開発していた。

 

 

 

 


 

 

 

 

星暦二一四八年 三月十日

アストリア合州国 カロライナ州 フォートン・ブラック総合基地

 

多数の軍用トラックと軍服を着た人員が基地内を走り回り、整備員は機体の整備をしていた。

そんな騒がしい基地内の一角。《第112兵員宿舎》と書かれた二階建ての宿舎では四人の男女がポーカーをしていた。

 

「ストレート」

 

金髪碧眼の青年がカードを見せると反対側にいた赤目赤髪の少女がニヤリと笑ってカードを見せた。

 

「悪いわね。フラッシュよ」

「何!?」

「だぁー、負けたー」

「賭けは私の勝ちね」

 

少女が満面の笑みでカードを片付けていると少女の右隣に座っていた銀髪赤目の青年は悔しそうに呟いた。

 

「今回はエラが勝ったかー」

「今日の買い出しはドベのテオね」

 

そう言いエラと呼ばれた少女にテオと呼ばれた青年は席から立ち上がると宿舎の部屋を出ていき。部屋には青年一人と少女二人が残った。

すると白髪緑目の少女が部屋の明かりを見ながら文句を言っていた。

 

「流石に三日間連続戦闘なんて聞いてないよ」

「そうね、流石に疲れたわね」

「二人ともお疲れ様でした」

「そう言うリノが一番疲れたんじゃないの?私たちの隊長だし」

「ほらほら、リノは休んで休んで」

 

リノと言われた青年はそう言われ、どうしようかとボーッとしていると持っていた携帯から着信音が響き、リノは電話に出た。

 

「はい、リノ大尉であります!」

『リノ・フリッツ大尉、今すぐに第七会議室に出頭を命じる』

「・・・了解しました。すぐに向かいます」ピッ

「何?また仕事?連勤明けは無理よ、私」

「そうだな、それだけは勘弁してほしいものだ」

 

リノは命令通りに宿舎を出て迎えの4WDに乗り込むとそれを見届ける二人の少女は夜なのに明かりが灯っている基地を見て呟いていた。

 

「はぁ、上も面倒ごとを押し付けて酷いわよね」

「全くよ、忙しいったらありゃしないわ」

 

そんな事を呟きながら夜中なのにどんどん着陸してくる輸送機を眺めていた。

 

 

 

 

 

「特別任務ですか?」

 

会議室に呼ばれたリノは渡されたタブレットを見て思わず呟く。

するとライトグレー色の軍服を着た上官は頷く。

 

「そうだ。先の《バグラチオン作戦》にて我々合州国は国境まで国土を解放する事ができた」

 

「伺っております……そこで新型のレギオンを確認し、その新型がを半個軍団を壊滅させたとも……」

 

その時、レギオンの掃討を行っていた自分達はその様子を見ていた。

着弾した砲弾は衝撃波と共に爆炎を起こし、夜だったのに眩い光を灯らせていた。

その時の参加戦力は一五〇万人、戦車・自走砲二五〇〇両、火砲三〇〇〇門、機動兵器七〇〇〇機を投入した一大作戦だ。

そのうち戦死者数は分かっているだけでも二三万人ほど、負傷者数は一〇万ほど。

この時の死者数の八割がその新型レギオンによるものだった。

結果的に作戦は成功し、元々の国境までレギオンを押し戻すことに成功し、現在は国境線に旧時代の要塞、ジークフリート線の再構築を行なっている。

そして新型レギオンの攻撃は着弾跡から八〇〇mmのレールガンだと推測されている。

そして射程距離は四〇〇キロ、打ち出す速度は時速二〇〇〇キロ。過去の大戦でギアーデ帝国が開発した八〇センチ列車砲〈グスタフ〉の近代化であると決定づけている。

そして今回渡された任務は……

 

 

 

 

 

「《レギオン支配域への偵察》……ですか」

「そうだ。正確には君達にはサンマグノリア共和国方面への偵察だ。交戦国のギアーデ帝国には既に偵察隊を送っている」

「そうですか……」

 

リノはそう呟くと上官は気持ちを察して話しかけた。

 

「君達の気持ちもよく分かる。だが……」

「大丈夫です。私は軍人です。上からの命令には従います」

「……迷惑をかけるな」

 

上官、マルゼイ・A・ノリンコ中将は命令を受諾したリノを見ていつも通りの言葉をかけた。

 

「必ず生きて帰って来なさい。君達はやるべき事がある筈だ」

「分かっています。あの子達のためにも……()()死ぬ気はありませんよ」

 

そう言い残すとリノは命令書を持って部屋を後にした。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

命令を受諾したリノは宿舎に戻ると早速小隊全員を集めた。

今の所モビルスーツ四機しかいないこの小隊は整備班含めて二十人ほどしか居ない。

 

「参謀本部から命令が降った」

 

リノがそう言うと文句の声が少々出たが、作戦開始日が遅いと言う事でとりあえずはホッとした様子だった。

 

「なお、作戦開始日までの期間は明日受領される新型モビルスーツの訓練に充てる」

「新型?」

「そうだ、明日午前十時の貨物便に乗せられてやってくる。受領した後、明後日九時から訓練だ。整備班は明日明後日は大忙しだ」

 

そう言うとリノは命令書を机に置くとそのまま部屋のある方に向かった。

 

「じゃあ、俺はそろそろ寝させてもらうよ。おやすみ」

「「「おやすみなさい」」」

 

そう言い残った三人も部屋に戻って行った。

命令書には参加する部隊の名前と隊員名が書かれていた。

 

《第112MS小隊所属隊員

 

小隊長

リノ・フリッツ少佐

年齢:20

生年月日:星暦二一二七年 五月一四日

階級:大尉(三月十一日を持って少佐に昇進)

搭乗機:スタークジェガン 注意:当該機は三月十一日に受領予定

 

副隊長

エリノラ・マクマ

年齢:20

生年月日:星暦二一二七年 十一月二日

階級:中尉

搭乗機:キャノンガンDX 注意:上記に同じ

 

隊員

テオパルド・フィッシャー

年齢:20

生年月日:星暦二一二八年 二月十一日

階級:少尉

搭乗機:ESMジェガン 注意:上記に同じ

 

クラウ・フリッツ

年齢:20

生年月日:星暦二一二八年 三月四日

階級:少尉

搭乗機:ジェガン・スナイパーカスタム 注意:上記に同じ》

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

この時はまだ彼らが歴史の目撃者となるとは思っていなかった。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

星暦二一三八年 三月十二日 午前一二時一五分頃

フォートン・ブラック総合基地 第七屋外演習場

 

総合基地の中にある演習場の一角、平原地帯を想定した演習場では多種多様な音が響いていた。

 

キィィィィイイ!!

ダダダダダダダッ!!

ドォォン!

ザザザザーーッ!!

ドンドンドンッ!

 

左肩には112の番号が書かれ、少し角張った印象の人型機動兵器が、与えられたフィールドをペイント弾で試し撃ちをしていた。

 

『こちらオストリッチ 狙撃成功 ホーンドアウル、次の目標を求む』

 

右肩に走るダチョウの絵が描かれ、深緑色の塗装のされ、両手に超砲身のスコープ付き狙撃銃を持っているジェガンが通信をする。

 

『了解、こちらホーンドアウル。オストリッチ、座標A4 230,441 距離四万メートル』

 

少し離れたところで山陰に這いつくばるように映像を流す右肩に枝に止まる木菟の絵が描かれた迷彩色のジェガンがオストリッチに返信をする。

 

『確認、射撃開始』ドォォン!!

 

演習場の反対側ではまた別の二機が隠れながら指示を行なっていた。

左肩にはさっきと同じく左肩に112の数字が塗装され、右肩には青い目の黒い獅子の絵が描かれ、青と白の塗装がされた機体がモノアイを連動させて映像を凝視し、横にいる機体に指示をした。

 

「レオーネ・ネロよりグリズリー。攻撃を開始せよ」

『了解、グリズリー。発射を開始する』ドォン!ドォン!

 

右肩に熊の絵が描かれた赤色に塗装され、肩に太い特徴的な四本の砲身を持った特徴的なジェガンが二本ずつ光線を放っていた。

それぞれの攻撃は何キロも先の的に当たり、視線の先では爆発が起こっていた。

 

「命中。隊長より各機、演習終了。撤収せよ」

『『『了解』』』

 

通信を終えたリノはコックピットで今後の予定をふと口に出していた。

 

「この後は実践で慣れるしかないな……」

 

リノはそう呟くとレバーを動かしてジェガンを動かした。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

数ヶ月後、第112MS小隊は特別任務の為、サンマグノリア共和国方面に偵察任務に向かった。

オペレーション・ハイスクールをやるか否か

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