ーーー轟音が轟く
ーーー闇夜の空に一筋のビームが貫き、赤い炎と衝撃波をもたらす。
ーーーその青い機体は空を縫うように飛び、青い尾を引きながら飛んでいく。
ーーーその後ろを赤い機体やMSが追いかけるように飛び、地上ではカタカタと音を立てながら走る巨大な履帯式戦車とその先を走る多脚式戦車がいた。
星暦二一四九年 二月十八日
フォートン・ブラック総合基地 基地司令官執務室
「喜べ!新部隊が創設だ!」
そんな声と共にマルゼイの声が執務室に響く。
張りのある声に耳を目一杯塞いだ後にリノが聞き返す。
「新部隊、ですか?」
「ああ、そうだ。詳しい内容はそれに乗って居る。少佐の操る新型ガンダムをお披露目するのにこれ以上いい場所はないはずだ」
「そ、そうでありますか……」
リノは苦笑しながらマルゼイの渡した紙を受け取る。
そこには新部隊創設とそれに関する部隊名も記されていた。
『第八二次陸軍再編成における新部隊に関する情報
部隊名:《ストライカー戦闘大隊》
構成部隊
MS中隊
第一一二MS小隊/第二二〇MS小隊
(ハミング・バード×二機
EWACジェガン×二機
ジェガンSC×二機
リゼル×二機)
戦車部隊
第四八戦車小隊(RXー75ガンタンク×三機)
第〇八八四戦車小隊(XST−4×二機)
歩兵部隊
第五五四歩兵小隊(一三.二重機関銃×二十四丁)
なお、上記の部隊にはベースジャバー四機を後日配備する』
半ばかき集めの部隊のようにも見えるが、リノはその中で戦車部隊に目がいく。
「司令官、この第〇八八四戦車小隊と言うのは……」
「ああ、見てわかる通り試験部隊だ。例によって
「もう二人は卒業したのですか……」
「ああ、MSの操縦技術は素人だが、フェルドレスの操縦はピカイチだった。そんな訳で
「あぁ…なるほど……」
リノはアバティーンに居た頃にその機体を見たことがあったので思わず苦笑する。
アバティーンの科学者達ですら《狂気》と言わしめたその試作機は今まで満足に操縦できないと言うことから余剰パーツだけが倉庫に山積みにされていた。
その機体を彼等が乗るのだ。どうなるか少し楽しみでもあった。
「と言うわけでよろしく頼むよリノ・フリッツ
「……はっ」
マルゼイは愉快そうにリノを見て、リノはため息を吐いた。こんな短期間で昇進かいなと言う驚きと呆れが混じり合い、これから忙しくなること間違いなしだと感じていた。
新部隊創設にあたり、齢二一の青年が隊長を務めることに政府は初め疑心暗鬼であったが。彼の今までの実績を見せると納得し、二つ返事で印鑑を押していた。
新部隊創設にあたり本来であれば創設式などを開く必要だあるのだが。本部隊は試験部隊の意味合いもあり、戦時下と言うことでそのような式典は時期を鑑みて行われることとなった。
新部隊の名は《ストライカー戦闘大隊》、合州国各戦線のエリートで構成された多目的任務に対応可能な、ようは特殊部隊である。
新部隊創設にあたりアーノルド少将が口出しをしたのは言うまでもない。
リノ中佐が共和国から持ち帰ってきった情報によればレギオンによる大攻勢が行われると推測されている。
その攻撃に耐えるためにも合州国では現在急ピッチでジークフリート戦線の地下要塞化工事と合州国の要塞《ルナツー》と一年戦争時に独立戦争を起こしたジオン公国がかつて誇っていた要塞《ア・バオア・クー》と《ソロモン》の要塞近代化工事を行なっている。
工兵十二個師団を使って行われているこの大工事はレギオンに悟られないようにするため、内部のみで工事が行われていた。
そしてハルトが持ち帰って来たレギオンの位置が書かれた地図は合州国作戦本部によって解析が行われ、EWACジェガンの偵察もあいまり、帝国領までの侵攻路を選定しつつあった。
合州国はいつ来るかわからないレギオンの大攻勢に備えていた。
現在の最前線は合衆国旧国境線であり、帝国領と国境を接していた。
バグラチオン作戦において国境までレギオンを押し戻したが、それでは国民の怒りは収まらない。
やられたらやり返せ!敵が強いならなおのこと叩き潰せ!
それが合州国の国民性であり、原動力である。
基本的に外の事に介入をしてこなかった合州国だが、自国が巻き込まれるのであればやり返し、叩き潰すことで超大国として名を馳せた。
それは今次レギオン戦争にも当てはまり。現在、反抗作戦の準備を着々と続けていた。
星暦二一四九年 五月十一日
アストレア合州国 サヴァーク州 ノリントン群国境地帯
そこでは戦闘が行われていた。
数多の砲弾がレギオンに向かって飛んでいく。
後方に控える重戦車型の攻撃を避けながら、肩に乗せられる二本の大砲は照準を合わせる。
『目標、敵重戦車型!距離一千、撃ぇ!』
ドォォン!!
ボォォン!!
遠い場所で小さなキノコ雲を確認し、四本の履帯を持つ大型の戦車は戦果を確認した。
『戦果確認、敵重戦車型撃破。大隊長殿、次の目標指示を』
新たに配備された通信機に手を当て、男が聞く。
すると通信機に返事が返ってくる。
『レオーネよりタンク01。敵戦車型三両、座標G4、三三〇,四五一。対戦車榴弾を装填』
『タンク01了解。砲撃を開始する』
『〈バーンドテイル〉、〈ファルケ〉は後退しろ。リゼル01は〈オストリッチ〉と共に前進し、残りの重戦車型を叩け。他は後方で〈ホーンドアウル〉の情報を元に各自自由攻撃』
『『『『了解!』』』』
リノの指示の元、侵攻してくる〈レギオン〉に対し攻撃を開始する。
戦線の奥では後方からの燃料気化弾薬の攻撃で円形の爆発が起こり、〈レギオン〉は撤退を開始する。
『戦闘終了、帰投する』
上空からレギオンの撤退を確認すると青と白に塗装されたガンダムはウェイブライダー形態となり、南方に帰投する。
バグラチオン作戦終了後に帝国と合州国に挟まれる形で存在するヴァルト盟約同盟の生存も確認し、現在は国交が再開している。
二か月後に行われる《コテージ作戦》では帝国領侵攻作戦が遂に行われる。
十年の歳月をかけてようやくここまで来たと兵士の戦意は高揚であった。
その作戦において、合州国は全長約八〇〇キロのジークフリート線に合州国軍が誇るモビルスーツを大量配備。
機械化装甲兵士も順調にジークフリート線に集まりつつあった。
「もう少しで侵攻作戦か……」
「もう十年になるのね……」
「あんときゃ、俺はケリフォルニア基地に居たな……」
前線基地の食堂で、そう呟く金髪の男と黒髪の女性とエリノラは互いに冷水を飲んでいた。
エリノラの反対側に座る金髪の男はドミトル・ノイマン大尉。
ストライカー戦闘大隊の戦車小隊隊長を務める三二歳である。戦争序盤から生き延びた歴戦の戦士であり、ガンタンクを動かすプロである。
その横に座るのはアノラ・シェミット中尉。
ストライカー戦闘大隊の歩兵小隊隊長を務め、現在二八歳である。戦争で夫を亡くし、従軍して多大な戦果を上げて来た歩兵である。
ガンタンクから斥候型に対し攻撃を行うのが主任務である。
アノラはため息を吐きながら呟く。
「本当,時間がかかったわね……」
「前回のバグラチオンでアレだけの損害だ。合州国も腹ぁ括ったな」
「今回はどれだけ損害が出るのでしょう……」
「さあね……」
三人はそんな話をしていた。
三月に編成されたストライカー戦闘大隊は一か月の集団訓練の後、先月から戦線をたらい回しに移動して防衛をしていた。
その適応能力と戦果の高さから特殊部隊としての意味合いを遺憾なく発揮し、数多の戦果を上げて来ていた。
そして今度発動されるコテージ作戦では先行して帝国領に侵攻することが既に決まっていた。
「けっ、後から追いつくとはいえ俺たちだけ突撃ってのも気に入らねぇ」
「まぁまぁ、良いじゃないか。武勲を上げれると思えば。アンタは死なないだろうし」
「フンッ、こんなガキを先に逝かせられる訳ねえだろうが」
「私はガキ扱いですか……」
エリノラは苦笑しながらドミトルを見ていた。
戦闘大隊結成の時、リノが隊長である事に訝しんでいたが、初陣で単独でレギオン四個部隊を殲滅していた実績から彼を上官として認め、戦闘で足りない部分をドミトルが戦闘中に教えると言う面白い関係が出来上がっていた。
アノラはアノラでエリノラの婚約指輪を見て過去に夫を失った経験からエリノラに退役を進めていたが、それでもリノに寄り添うと決めて動かないエリノラを見て諦めた様子で最後まで見届けると誓っていた。
そんなエリノラは現在外作業をしている婚約者を見ていた。
現在、彼のガンダムにはある特別な補給がされているはずだった。
中佐となったリノは前線基地である機体を見ていた。
「これが試作戦闘機械か……」
「みんなハイブリットフェルドレスって言ってたけどな!」
「デカくてジャガーノートより動かしづらいわね」
「そりゃそうだろうな」
そう言うのはハルトとレッカであり、戦時士官学校を出た後、二人は少尉の階級をもらいこの合州国が試作した戦闘機械を見る。
《XST-4》
正式名称はないが、ハイブリットフェルドレスや、フランケンシュタインとあだ名されるこの機体は、砲塔に合州国の旧式戦車M61A5の砲塔を改修した一五五ミリ連装砲が乗せられ、足元は撃破したレギオンの戦車型の土台をそのまま乗せるという、まさに使えるものはなんでも使うを体現したような機体である。
合州国は撃破したレギオンを必ず全て回収している。
理由は簡単、無料で資源が手に入るからだ。
MSを作る資源を採掘をするにもお金がかかる。それをなんとか減らしたいと政府は考えた末、どうなったか。
簡単だ、目の前に大量の資材供給をしてくれる機械があるではないか。
特に戦車型や重戦車型なんかは中にタップリと金属が詰まっている。斥候型のセンサーなんかも流用すればMSのヘッドマウントに使えるのではないか?
そんな考えが浮かび上がり、戦争序盤から合州国は〈レギオン〉の残骸を改修して再利用をしていた。
事実、斥候型のセンサーはMSのヘッドマウントに使用でき、更にその精度は合州国の物よりも良いと来た。
斥候型なんかは大量に撃破されるので、センサーは大量に分捕っていた。
中には鹵獲ができた機体もあり、弾切れを起こした斥候型の制御系をテルミットで焼かれる前に取り出す事に成功。
プログラムは消去されてしまっていたが、合州国科学者の技術の推移を集めて今では固定砲台としての役割ほどは果たせる様になっていた。
XST-4はそんな撃破された戦車型の足元を合州国規格に直し、その上に戦車砲塔をポン付けした即席戦闘機械である。
ジャガーノートと性能は比べる必要もないが、戦車型の土台に一五五ミリ連装砲というのは少し無理があるようにも感じ取られ。搭載できる弾薬も少ない上に一発でも当たれば誘爆の危険があると言う危険極まりない物であった。
この問題は重戦車型の土台にはめる事で解消されるのだが、なにぶん重戦車型の数が少ないと言う問題から撃破数の多い戦車型でテストをするしかなかった。
車体は合州国特有のオリーブドラブ色に塗装され、砲塔側面には二人の共和国時代からのパーソナルマークが塗装されていた。
これは本人たちの希望で彼等から託されたことをすると言う思いからきていた。
「ジャガーノートの時みたいに建物の上に登れないのは辛いわね」
「だな、隠れることもできないし。一発でも当たったら危ないって言うのが優秀なアルミの棺桶だな」
「その分攻撃力は無類よ」
そう言い、レッカは連装砲を使い戦車型二両を一撃で撃破したことを話す。
一五五ミリの徹甲弾ともなれば戦車型を真正面から貫くことができ、当たればなんとかなると言うのは彼等にとっては救いだっだようだ。
そんな彼等の話を聞き、リノは合州国初のまともな戦闘機械を見て、今後の戦局がどうなるのかを予測していた。
コテージ作戦・・・・結果はどうなるんでしょうねぇ・・・・
あと、ガンタンクはさんぼるのガンタンクです。
理由は作者がさんぼるのガンタンクが好きだからです。
オペレーション・ハイスクールをやるか否か
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やってほしい
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やらなくていい