ある場所、そこでは多数の艦艇が離陸準備を進めていた。
「離陸用意!」
場所は合州国、山脈南側の安全区域。
そこではアイリッシュ級戦艦やエンドラ級軽巡洋艦、サラミス改級巡洋艦、クラップ級巡洋艦やラー・カイラム級などがミノフスキー・クラフトを起動して離陸を始めていく。
すべての艦艇に連邦軍のグレーの軍艦色と赤色で塗装された艦艇は離陸を行うと、輪陣形を組んで北に飛行を開始する。
「急げ!時間はないぞ!」
推進剤を補給し、次々と離陸を始めていく艦隊。中には量産の行われているジェガンD型やキャノンガン、EWACジェガンの搭載がされていた。
「ったく、屑鉄め」
「ぼやくな」
「何で俺たちが白髪の救援しなきゃならねえんだよ…」
「命令だ。従わんとぶっ飛ばずぞ」
戦艦に乗り込んでいく乗組員達のぼやきに上官が言う。
無論、彼らの思う気持ちも理解できるが、主な任務は取り残された仲間の救出。それは連邦軍の教本にも記された当たり前の軍隊の行動規則。
ましてや共和国に取り残された部隊の中には合州国国民も混ざっており、救出をしない問い選択肢はなかった。
「進路啓発。共和国への誘導路設置、歩哨。やる事に事欠かねえんだぞ」
「はいはい」
「分かってますよ」
「やりますってば」
パイロット達も文句を呟きながらも自分の乗り込む機体を見る。
ゲタに搭乗しての出撃であるため、格納庫ではその準備も進められていた。
彼らの心象を悪くしていたのは、その味方部隊救助の後に出来る限り多くの共和国市民を救助し、彼らを南方のコロニーに移送する任務があるからであった。
「すでに陸軍が戦艦飛ばして屑鉄を吹っ飛ばして共和国まで進んでいる」
「誰が指揮しているんです?」
そして進撃を開始した陸軍部隊だが、あまりのその進撃即その速さにジャブローが唖然となって慌てて『頼むから止まれ!』と文を送るほどの速度だった。
「パットン将軍だよ」
「げっ、パットン将軍ですかい…」
電撃戦を得意とする将軍である人物が陣頭指揮をとっていると聞き、その勇猛果敢で司令官にもくってかかるほどの豪胆さを持ち合わせた人気将軍の名を聞いて彼らは思わず言う。
「ほら、分かったらいくぞ。そろそろ離陸だ」
「はい」
「わかりましたよ」
警報が鳴り、アナウンスが入ると一斉に準備を進めていた戦艦は離陸を始める。
「俺たちの仕事は民間人を満載して返すんだからな」
「なんだ、この船は客船ですかい?」
「客船よりも乗り心地は最悪だぜ?」
「違ぇねえや」
パイロットはそう言うと、ゲラゲラと笑っていた。
同時刻、南方のストーンヘンジ砲台。
「オーラーイ!オーラーイ!」
赤い誘導灯を二本持って歩兵が誘導を行う。
誘導していたのはゆっくりとした速度で角を曲がって入ってくるサムソントレーラー。本来はザクなどのジオン系モビルスーツなどを輸送可能な巨大車両であるが、連邦軍のオリーブドラブ色に塗り直されてトレーラーには巨大な布を巻きつけた砲弾が積載されていた。
「物資搬入、開始しました」
「うむ」
その様子を見ていた砲台司令官は小さく頷く。
「まさか、こうも早く使う羽目になるとはな」
そしてゆっくりと進入し、同時に<レギオン>やスパイによる偵察や襲撃を警戒して通常貨物に偽装していたり、上空にサラミス改級が展開していた。
「よーし、クレーンだ!」
そしてサムソントレーラーにクレーンが近づくと、兵士たちは布を外すと、したから現れた砲弾を持ってクレーンに接続すると、そのままゆっくりと持ち上げていく。
「しかし量産が始まったばかりです。届いた数も一斉射分のみです」
トレーラーに乗っている砲弾の数は八つ、ここに設置された巨砲と同じ数が用意されていた。
「届いたのは先行量産品だ。まあ、これでも無理を言ってお願いしてもらったんだ。一部は試作品の流用だぞ?」
クレーンに吊り上げられる砲弾はトレーに乗せられ、装填装置に挿入される。
「しかし、着弾時に起動するでしょうか?」
「その為に部隊を派遣している。一発でも起爆すれば問題ないように起爆装置はなっている」
装填される砲弾は黄色と黒の警戒色に塗りつぶされ、周りの兵士たちの緊張感もあって少々不気味な雰囲気であった。
「すべての砲台に装備し終えるまで、後どれくらいかかる?」
「予定では八時間ほどであります」
「了解した…」
サラミス改級のインディアナポリスから下ろされた荷物を前に思わず少し息を呑みそうになる。
「哀れだな…共和国は」
司令官はそう呟き、北の方角を見て静かに目を閉じた。
「どうか恨まないでくれ」
そしてこれから合州国で実施される作戦書を前に神に祈りを捧げ、同時に赦しを乞うた。
「突撃しろ!」
そんな怒号と共に全ての物を薙ぎ倒して艦隊は前進する。
ビッグトレーなどと同じ迷彩色のグラン・ザンドレル級で構成される艦隊は激しい砲撃を行う。
「前進しろ!障害物は轢き潰せ!!」
「撃ぇっ!」
戦艦の砲撃により、襲撃に気がついた<レギオン>も起動して反撃を行うが、陸上戦艦の砲撃力を前にあっという間に潰されていく。
そこに追い打ちをかけるようにギャロップ級の砲撃も叩き込まれ、圧倒的な火力投射がされていた。
「敵部隊発見!」
「叩き込め!!」
そして砲撃の穴を埋めるように周囲を護衛しながら進むジムⅢやギラ・ドーガが持っていたビーム・ライフルを発射する。
指揮をとっているパットン将軍は『俺に命令があるなら、先頭を突っ走っている機体に寄越せ!』と叫ぶほど過激な進撃速度で前線から突出して進軍していた。
「閣下!ジャブローより伝令です!」
艦橋に立ち、どのモビルスーツや艦艇よりも突出して侵攻を行うパットンの元にレーザー通信が届く。
「何と言ってきた?」
あらかた予想はつくものの、彼は総司令部から届いた通信を聞く。
「宛第三陸上打撃部隊。部隊はただちに停止し、後続部隊と共同歩調をとれ。です」
「停止だと?!」
命令文を聞き、パットンは言う。
「馬鹿を抜かすな!あと少しで首都が見えてくるのだそ!?」
派遣先である共和国首都のグラン・ミュールが見えてくるまであと少しの時点でジャブローから停止命令が届いた。
「しかし、後続の補給部隊が取り残されています」
「部隊にも護衛隊がいるはずだ」
「しかし最低限しかおりません」
グランペルリで構成された補給部隊はあまりの陸上戦艦の進撃速度の速さに後方に取り残されたままで、このまま進撃を続ければ後方部隊との分断される可能性があった。
「ならこちらから部隊を飛ばして戦域を確保しろ!」
「将軍!?」
しかしパットンの命令に参謀達は驚愕する。
「将軍、いくら何でも護衛部隊を後続に回すのは危険です!」
直掩のモビルスーツがいない場合、<レギオン>の物量と
「なら海軍に催促しろ!はやく護衛機と艦艇をもってこいと!!」
パットンは今も共和国の首都で徹底抗戦をしているであろう味方部隊の為に一秒でも早く目的地に到着をしたがっていた。
「俺の名前で催促文を出せ!」
「分かりました」
先頭を突き進むパットンは言うと、また新たな砲撃が飛んでいく。
「ミノフスキー粒子、戦闘濃度散布中!」
「後続艦はちゃんとついてきているか!?」
「問題ありません!」
そうして地上部隊はジャブローからの指示を半ば無視して進軍していた。
「あの突撃馬鹿が…!!」
地上のパットンからの催促文を受け取った上空の艦隊で、艦隊司令官は毒吐く。
「どうされますか?」
地上部隊の圧倒的な進撃速度を前に艦隊司令はため息を吐く。
「パットンに艦隊ごと死なれたら敵わん。止まる気配は?」
「ありません。進撃速度変わらず」
ミノフスキー粒子を展開しながら進軍中の部隊。その中でもパットン将軍率いる部隊は最前線を突出していた。
ジャブローから停止命令が出ても届いてないふりをしやがったか馬鹿野郎と内心毒吐く。
「直掩機を飛ばせ。第三巡洋戦隊は加速して、街道に沿って展開しろ」
「了解。巡洋戦隊に下命!」
そこでサラミス改級四隻が加速を開始する。そしてアイリッシュ級からゲタに乗ったジムⅢやジェガンD型が発艦を始める。
「護衛機、カタパルト発艦!」
「発艦用意!」
二本のカタパルトから順に飛んでいくモビルスーツ。
「それから、パットンに伝えろ。それ以上進めば直掩機の護衛は困難とな!」
艦隊司令官は最後の方は怒声になりながら叫んだ。
「アイツめ、隕石は共和国に落ちてないのを忘れたか?」
そこで先の<レギオン>による衛星砲弾の落着が、共和国のみなかった報告書を思い返す。
不気味なほど一発も落着しなかった共和国に対し、ジャブローでは『共和国は裏で<レギオン>と繋がっているのではないかね?』と言われていた。
無論、彼らにそのような取引ができるはずもないことは重々承知しており、それを知らぬジャブローの将官ではないのだが、当時の混乱や疲労具合からそう言う目線を向けたくもなってしまっていた。
「各艦に通達しろ、予定より速度を上げる」
「はっ!」
だがパットンはそのことを忘却したかのように戦場をこじ開けており、後続の補給部隊を置いてきぼりにしていた。
「長官、新たな敵部隊を確認」
「砲撃で叩き潰せ。それから、直掩機には敵の列車砲に注意するように言え」
指示を出すと、展開中のEWACジェガンが熱源探知と金属反応で隠れている<レギオン>の捜索を行い、偵察に出ていた部隊を破壊する。
「グズ鉄のザクもいやがる」
「潰せ。奴はジム・ライフルでも貫通できる!」
地上を歩くジムⅡで誰かが言うと、持っていたジム・ライフルが発砲。砲撃をしてきたザクを簡単に破壊した。
「移送部隊はどうなっている?」
「問題ありません。輸送隊にギャロップの護衛があります」
「多少の戦闘はありますが、全て掃討に移行しています」
参謀達からの報告を聞き、艦隊司令は軽く息を吐いた。
そして同時に大規模な反撃のない現状に不気味さを感じていた。
オペレーション・ハイスクールをやるか否か
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やってほしい
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やらなくていい