86-エイティシックス- 獅子の来訪   作:Aa_おにぎり

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個人的に思う。86の世界は大陸しか存在しないなら陸上戦艦とかが戦前に建造されていそう。
どっかの国が本来は海軍などに回す資材とかを使って建造していそう。


外伝#3 南方見聞録その3

四月になり、特別士官学校を卒業したハルトとレッカはそのままとある場所に到着する。

 

「これは……」

「大き過ぎない?」

 

そう言い、目の前に佇む二機の巨大な戦闘機械を見る。砲塔は連装で、〈ジャガーノート〉なんかよりも圧倒的な大口径であった。

 

「主砲でっか!」

「これ何ミリ?」

 

少なくとも合州国で見てきたネモの一七〇ミリカノン砲くらいはありそうだと感じると、横に居たエリノラが教える。

 

「主砲は二連装一五五ミリ滑腔砲を装備。それ以外には主砲同軸の一三.二ミリ重機関銃を一基と上部にRWSとして更に一基ね」

「はぇ〜〈ジャガーノート〉の三倍近い主砲かよ。でっけえなぁ……」

「〈ジャガーノート〉より扱い悪そうなんだけど」

 

そう言い、レッカ達は目の前に佇む試作フェルドレスを眺めていた。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

ドドンッ!

 

演習場で二機のフェルドレスが駆け抜け、砲声が轟く。その先には的があり、フェルドレスがその的を吹き飛ばしていた。

 

『ーー試験終了!』

 

スピーカーのアナウンスが響き、周りでは研究員が観測したデータを見てあれこれ話していた。そんな中、試験を終えたハルトとレッカはフェルドレスから降りると軽くため息をつく。

 

「何だよこいつ。すっごい動かしづらいんですけど!?」

「〈ジャガーノート〉より動きが遅いわ」

 

文句を垂らす二人に、様子を見にきていたエリノラは苦笑する。

 

「仕方ないわよ。試験機だし、そもそも合州国は今までまともにフェルドレスを作ったことが無いんだから……」

 

そう言い、二人が乗った試験機〈XST-4〉を眺める。

この〈XST-4〉は合州国におけるフェルドレスの研究にあたり、既に大量に鹵獲していた戦車型の車体を丸々使っていた。いわば苦肉の策で生まれた機体だ。

 

 

 

 

 

現在、我が合州国のフェルドレス開発は茨の道を歩んでいた。何せ資料が戦前までのものか〈レギオン〉の機体しかなく、それはもう奇妙奇天烈で奇怪な試作品ばかりが爆誕していた。

 

自然の動物を参考しにたフェルドレスの中でも、特に奇怪だと思ったのは馬をモデルにした試作品で、見た目は完全に首を胴体まで刈り取られた金属馬そのもの。あまりにも不安定な形状と、顔丸出しのコックピットにハルトやレッカまでもが乗りたくないと搭乗拒否をしていた。事実、制動試験の際に何人かのテスト要員が骨折や首を痛めた。

他にも牛、犬、猫、更には蜘蛛や蜥蜴を模した作りのフェルドレスが作られていたが、そのどれも試乗したハルトや他のテストパイロット達からも大不評を買っていた。

 

そこで技術者達は既にフェルドレスとしては完成し、鹵獲した〈レギオン〉の戦車型の中から状態の良いものを選び、中身を魔改造&改修作業などで余っていた首だけの〈M61A5E3〉の砲塔を改修し、操縦から発射まで全て一人で出来るようにした物をターレットリング拡張した戦車型の車体にそのまま魔改造連結させていた。元々一人乗りだった〈M61A5E3〉の砲塔の改造は簡単に終わり、なんなら他の試作機より圧倒的な速さで完成していた。

 

そして、試作された〈XST-4〉の番号をもらった試作機の性能は『まぁ妥協できる』と言うものだった。ある程度の速度と装甲を持ち、それでいて絶大な破壊力を持つ攻撃力を有する。動きがややもっさりという点を除けば実戦で使えない事はないと言うレベルだった。

 

「あのワイヤーアンカーって意味あるの?」

「建物登らないから意味ないんじゃねえの?」

 

機体には後付けでワイヤーアンカーがあるのだが、そもそもワイヤーアンカーを使って建物を登ることをこの機体は想定していないから当たり前だ。このワイヤーアンカーの役割はあくまでも泥などにハマった時に抜け出すようであり、日常的に使うのは想定外だ。

 

「当たり前でしょ、そもそもワイヤー使って飛び回るあんたらの方がおかしいんだよ」

 

エリノラがそう突っ込んでしまうと、ハルト達は〈XST-4〉を見て、やや嫌そうな顔をしながら言う。

 

「今まで乗ってきたのよりはましだけどさ……」

「と言うかモビルスーツ作れるのになんでフェルドレス作れないのさ」

「むしろモビルスーツしか作ってこなかったから、フェルドレスを作れないのよ」

 

元々、合州国はフェルドレスの役割などを〈ファンファン〉や〈ブラッドドック〉で行ってきたわけだ。そもそも、陸軍はフェルドレスの役割は戦車と同じ運用で良いと考えており、モビルスーツが開発された初期の頃と同じような運用方法にすべきなのか。その時点でまず迷走していたのだ。運用方針が纏まらないために試作機も迷走し、奇天烈な機体ばかりしか生まれてこなかった。

 

「攻撃力は段違いだけど如何せん速度がなぁ……」

「まぁ、そこは仕方ないわよ。パワーバックはM61の物に換装してあるからまだましな方だけどね……」

 

そう言い、エリノラは補給物資を確認していると、ハルト達はこれからお世話になる機体にややげんなりしていた。

 

「なに、暫くしたら正式なフェルドレスが来るから。それまでの辛抱よ」

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

特別士官学校を卒業とほぼ同時期に結成された特務部隊〈ストライカー戦闘大隊〉に俺達は配属されることになった。ハルト達は当然その中では最年少であり、何かと子供扱いされることが多かった。

 

「おい、坊主!これ、食っといてくれよ。食べ盛りだがら行けるだろ?」

「嬢ちゃん、ちと手伝ってくんねえか?」

 

若いからと何かと捌き回される日々。ハルト達はあの戦場より過酷かもしれないと感じてしまう。

 

「「はひ〜……」」

 

今の本拠地である前線基地の食堂でハルトとレッカは机に頭をぶつける。新部隊に組み込まれて、リノの目の届く範囲に入れることはありがたい事だが、この扱いには慣れないものだ。

送られてくるプレゼントもあるそうだが、リノ達が分別してくれていた。一応中身の確認はするのだが、明らかに年齢設定を間違えたような物しか届かないからハルト達はその全てを寄付に回してもらっていた。

 

「今日何やった?」

 

思わずハルトはそう聞いてしまう。

 

「荷物運びに掃除、自機の補給物資確認に報告書に顛末書の提出……」

「やになっちゃうなぁ……」

 

少なくとも書類関係は全部適当でよかったあの戦線が懐かしいと感じてしまう。今の仕事場はとにかく書類だらけだ。いくらデジタル化しているとは言え、サインを書くのが非常に面倒だった。

 

「軍人になったの……やになりそう……」

「何言ってんのよハルト……」

 

そう言い、机に突っ伏していると二人の前に誰かが座った。

 

「ずいぶんお疲れのようだな」

「ん、あぁ…そんな所」

 

座ったのはリノだ。階級が上がって中佐になり、新しい部隊を率いていた。書類が多そうだなと直感的に思うと、リノはタブレットを触り、話しかけてくる。

 

「お前達はまだ良いじゃないか。試作品を回されても報告を上げるだけでいいのだが」

 

リノは新部隊再編に際し、新たな機体を与えられていた。それも、合州国の傑作モビルスーツであるガンダムを。

 

「こっちは性能試験のために戦闘記録を事細かく書かなきゃいけない上に補給物資の確認まで来た。これからの予定も合わせないかんから今も仕事だよ」

 

そう言って、仕事の愚痴混じりにリノはタブレットを触っていた。それを見て、忙しいんだなと他人事として片付けていた。

 

「この後もしばらくはこの戦区での戦闘だ。補給物資も受け取ったから……」

 

その瞬間、基地に警報が鳴り、リノ達は一斉に基地の外にかけ出す。

 

「またかよ、今週何回目だ?」

「良いじゃない、これがウチららしいってもんよ」

 

そう言って外に出て、他のモビルスーツやガンダンクが出て行く中。ハルト達も〈XSTー4〉に取手を伝って上のキャノピーから入り、通信のためのHMD付きヘルメットを被る。

 

「ったく、これを毎回被るのも面倒だな」

『仕方ないわよ。モビルスーツみたいに全天モニターを搭載できないんだから』

 

レッカがそう言うと、エンジンを起動して〈XSTー4〉は起動し、全身を始める。

 

「……うーん、このもっさり感」

『やっぱり慣れないわね……』

 

移動中、思わずそう溢してしまうと知覚同調にリノの声が聞こえてくる。ヘルメットには知覚同調が搭載されており、被るだけで通信が可能だった。

 

『敵の数は戦車型を中核とした斥候部隊と推定。数は戦車型四〇、近接猟兵型二〇、斥候型一〇』

「『『『了解』』』」

『戦闘方法は好きにやってくれ。但し、第一防衛ラインを越えさせるな』

 

そう言うと同時にレーザー通信でハルトの視界に地図が映る。ヘルメットは音声認識で弾種変更や画面変更を行える。主砲の旋回も同様にヘルメットと直接連結されたコードが感知し、自動で動く。

画面は機体各所に取り付けられた映像による有視界映像、暗視映像、赤外線の映像に変更が出来た。

 

『ミノフスキー粒子が濃いな……こいつは楽勝だな』

 

うっかり知覚同調を繋いだままのリノが呟く。

 

 

 

ミノフスキー粒子。

 

 

 

今まで合州国がレギオン相手に圧倒的優位に立って戦闘ができる理由。それがミノフスキー粒子。一年戦争以前にその存在が確認され、既存の電子機器を全て機能不全に陥らせることの出来る、今の合州国の技術の根幹。

ミノフスキー粒子は〈レギオン〉のセンサーの能力も低下させ、濃度が高いと戦車型のセンサーは使い物にならなくなると言う。そんなんチートやんと思いたいところだが、『戦争に正義クソもあるか!戦いは有利な方が勝つんだよ!ましてや屑鉄相手にはな!!』とストライカー戦闘大隊のパイロットが言っていた。

確かにそうなのかもしれない。ただ、自分達エイティシックスには戦い抜く誇りというものが()()()。それを何だか侮辱されたような気がしてしまった。

 

 

 

 

 

今回編成されたストライカー戦闘大隊の隊員達は、俺たちがエイティシックスである事を事前に聞かされている。だから初めは同情の目を向けられ、それが何とも言えない不快に近い感情を抱いてしまった。

 

俺達には『皆より長い時を生きて、そこで見てきた景色を皆に伝える』と言う新しい使命を帯びている。実際、此処での出会いは毎日が新鮮だ。休暇の時に行こうと毎回予定を練っているが、そこで見た景色も忘れていない。あっちの世界に行く時には何も持って行けないから、あえて記録は残さない。紙にも写真にも。

 

 

 

そして今日も、生き残って明日という景色を観るために。〈レギオン〉と戦っていた。

 

 

 




昨日のガンチャンのイグルー全編公開はマジでありがたかった。やっぱイグルーは最高やな。

オペレーション・ハイスクールをやるか否か

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