86-エイティシックス- 獅子の来訪   作:Aa_おにぎり

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友人からサイズ感レイバーじゃんって言われました……(´・ω・`)


外伝#5 南方見聞録その5

書類上は戦災孤児として、フリッツ孤児院に引き取られた子供として登録されているハルトとレッカはこの国に来て初めて家となった孤児院に訪れていた。

 

「痛いよぉ…」

 

アノラと軽く話した後、孤児院を散策していた所。孤児院の庭で遊んでいた所を転んで脚を擦りむいた少年が泣きべそをかくのを見つけた。

 

「え、えっと……」

 

泣いている子供を見て、レッカは少し慌てながら救急箱を持ってきて絆創膏と消毒液を持ってくる。

脱脂綿に消毒液を染み込ませてピンセットで軽く傷口に脱脂綿を当てると、傷口に染みて少年が一瞬悲鳴を上げる。

 

「痛いっ!!」

「あっ、ごっ、ごめん……」

 

少なくとも収容所ではこんな傷は日常茶飯事で、まともに傷の手当てすらできなかった光景が脳裏をよぎった。

 

「少し痛いから我慢してね」

「うん……」

 

そして傷口を消毒した後に絆創膏を貼ると、後ろからリノが少年に声をかける。

 

「フルト、また転けたのか?」

「そう、あそこの段差でね」

 

そう言いフルトと言う少年は庭の端の小さな段差を見た。

 

「はぁ……気をつけろって前にも言わなかったか?」

 

呆れた表情でリノは言うと、フルトは立ち上がってそのままレッカを見て言った。

 

「ありがと、レッカ姉ちゃん!」

 

そう言うと彼はそのまま孤児院の方に走り去っていった。

 

「また転けるなよ」

「分かってるって!」

 

溌剌とした少年はそう答えると、そのまま孤児院の建物の中に入っていった。

 

「……どうした?」

 

少年が走り去っていき、呆然とした様子のレッカにリノは問いかける。すると声をかけられた事でハッとなったレッカは先ほどの少年を見ながらふと呟いた。

 

「いや……あんなこと言われたの…初めてだったから……」

 

それを聞き、リノは納得した上で少し悲しげな目を浮かべた。

 

 

 

 

 

強制収容所の中では最低限の食事しか与えられず、怪我をしても治療させてもらえる環境では到底なかった。

 

喧嘩は絶えず、毎日どこからか怒声が聞こえる毎日だった。

 

そして、その過酷な生活を乗り越えて自分はあの戦場に向かった。

 

だから、強制収容所では常に下の立場ですぐに死んでしまっていたようなあんな年頃の子供に素直に感謝された事にレッカはなんとも形容し難い感情を抱えた。収容所じゃあ、いつも力無い虚な目で自分を狙っているような目しかしてこなかったから……。

 

「嬉しいんだろ?」

「え?」

 

考えていたレッカは軽く首を傾げた。

 

「素直に感謝されて……今までして貰えなかったから。嬉しく思ったんだろう」

「……そう、かもしれない」

 

初めての感覚にレッカはリノの言う通りかもしれないと思った。

 

嬉しい。

 

自分のした行為で小さな子供に感謝された事が。あの戦場で味方の援護をしたときに受けた言葉とも違う、別の重みを感じた。

ただ、この感情をどうすべきかと思っていると。リノは心を読んだようにレッカに言う。

 

「そう言う素直な感情は受け止めておいた方がいい。子供ってのは素直な生き物なんだ」

 

そう言うと彼は少し窪んでいた、庭の地面に敷いてある煉瓦を持ち上げる。

 

「ったく、この前直したばかりなのになんでこうなるかね……」

 

そう呟いて彼は煉瓦の下を覗き込んで下の土を触ると、少し違和感を感じた後に軽く微笑むとレッカに言った。

 

「レッカ、すまないが孤児院にいるみんなを呼んできてくれないか?」

「え?あ、分かった」

 

そう言い、レッカは孤児院の施設に向かって子供達を呼びに行った。

 

 

 

 

 

少しして孤児院から子供達が出て来る。

多種多様な色を持つ子供達が何か何かとリノのいる場所に来た。

 

「どうしたのリノ兄ちゃん」

「ん?珍しい生き物がいたから、みんなにも見せようと思ってね」

「えー何々?」

「見せてー!」

 

リノに子供達が近づくと、リノは手の中に包んでいた一匹の小動物を見せた。

 

「わあ!モグラだ!!」

「可愛い」

 

そこには一匹のモグラが鼻をヒクヒクさせて周囲を見ていた。珍しい生き物の姿に子供達は興味津々だった。

 

「触ってもいい?」

 

一人がそう聞くと、リノは首を横に振った。

 

「ダメだよ。モグラは体温に敏感だから、直ぐに土に戻さないと行けないんだ」

「飼うのは?」

「モグラっていっぱい餌を食べるから、飼うのは難しいかな」

 

どこかの先生のように答えるリノはそのままモグラを抱えると、庭の隅の方の土が剥き出しの場所まで子供達を連れて行くと子供達に言う。

 

「ここら辺を軽くスコップで掘ってくれ」

「「「はーい!」」」

 

そう言い、子供達は庭に置いてあるスコップで地面を軽く掘ると柔らかくなった地面にリノはモグラを置くと、そのモグラは一瞬で地面を掘って消えてしまった。

 

「モグラの手ってね、昔から魔除けの効果があると言われているんだよ」

 

そう言い、リノは逃したモグラについて子供達にわかりやすく教えていた。その姿は本当に教師のようで、聞いている子供達も興味津々だった。

 

「さて、そろそろ夕食の時間だから。そろそろ戻ろうか」

「「「「「はーい!」」」」」

 

そう言い、子供達は一斉に孤児院の建物の中に入っていった。その様子を見て、クラウはいつも通りと言った様子でリノに話しかける。

 

「相変わらず子供の扱い方がうまいわね」

「そうか?慣れるもんだろう」

「私の時はもっと言うこと聞かないわよ?」

 

そんな事を話していると、孤児院の窓からアイダが大声をあげて呼びかけた。

 

「ちょっとあんた達!暇なら手伝って頂戴!」

「はいよー」

「今行く!」

 

そう答え、二人は孤児院の建物に入って行った。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

『『『『『『いただきまーす!!』』』』』』』

 

アイダの先祖の国の文化であると言う、食事前の挨拶をして十二人の子供達は夕食のミートパスタを食べ始める。

 

「い、頂きます……?」

「頂き……ます」

 

そしてハルトとレッカも少し困惑しながらも子供達を真似てパスタを食べる。

 

「よく食えよ、お前ら」

「おかわりあるからね」

 

その傍で柄にもなくエプロンを着ているリノとクラウは配膳を担当していた。

 

「おかわり!!」

 

すると早速、一人の子供がリノに空になった皿を渡す。

 

「はいよ。また食うようになったな。何かあったか?」

 

そう言うと、別の少女がリノを見て答えた。

 

「この前大食いのテレビ見てこれに出たいって言ってた!」

「そうかそうか、食べ過ぎで腹を壊すんじゃないぞ」

「分かった!!」

 

そう言い、その少年はリノからおかわりを貰うと、そのまま席に戻って行った。

成り行きで子供達と共に夕食を摂る事になったハルト達はその光景を見て呆然となってしまった。

 

「……」ニィッ「頂き!」

 

そして手元が疎かになっていた所を横にいた一人の少年が置いていたミートボールを掠め取って行った。するとその瞬間、

 

「お馬鹿。人の皿から盗み食いするんじゃないの」

「痛っ!」

 

クラウの持っていたお盆で軽く頭をどつかれていた。すると掠められたハルトにクラウは注意するように言う。

 

「あんた達も気をつけなさい。他所向いていると直ぐ取られるわよ」

「あ、うん……」

 

レッカは改めて席に座っている子供達を見ると、彼らは初めて見る二人を半分興味、半分舐めた目で見ていた。

おそらく少年が掠め取ったのを見てちょろいと感じたのだろう。

 

「そっちがその気なら……」

 

そんな目を見て、ハルトは先ほど自分のミートボールを掠め取った少年の皿から一瞬で肉を取り返していた。

 

「頂き!」

「え?あれ?!」

 

一瞬で持って行かれた事に少年は驚くと、取り返そうとフォークを向ける。

 

「返せ!」

「やだよ〜」

 

そう言い、調子に乗り始めたハルトに別の少女から文句が出た。

 

「大人気ないぞ!」

「そうだそうだ!」

 

そしてハルトや子供達のミートボールを賭けた争いが勃発してしまった。

 

 

 

 

 

「……んで、言い訳は?」

「大変申し訳ありませんでした……」

 

頭にデカいたん瘤が出来上がったまま正座させられているハルトはリノに説教を喰らっていた。

あの後、醜いミートボールを賭けた軽い喧嘩が勃発し、事の発端であるハルトをリノが締め上げていた。

すでに夕食の片付けに入り、子供達は食堂を出ていたが。叱られているハルトを遠目で『ざまあみろ』や『可哀想』と言った目で見ていた。

レッカはクラウに連れられて風呂の準備をしており、此処には居なかった。

 

「ったく、何ミートボール如きで争ってんだよ。鍋に大量にあっただろう?」

「いやぁ……つい癖で」

 

少なくとも、あの戦場で肉料理が出る時は大体狩りをした時だ。熊やら猪やらを狩りで捕まえては自分たちで捌いていた。

収容所の時なんて、そんな豪勢なものが出て来ることは無かった。

 

「癖だぁ?……はぁ、二度とこんなことすんじゃねえぞ。分かったか?」

「はい……」

 

リノも察したのか、呆れた表情を見せて片付けに入った。

頭がガンガンするほど強い拳骨を喰らったハルトは少しよろめきながら食堂を出ていた。

 

「ったく、肉如きで醜い争いしやがって……」

 

食堂を出て行く直前、リノはそう呟いていた。

 

そう、この国の食事事情はコロニーや海に囲まれた半島国家であるが故にほとんど問題ないと言って差し支えがなかった。

コロニーや本土における大規模農場の運営により、戦時下であるにもかかわらず合成品が出回ることもあまり無い。

合州国沿岸に数百基浮かぶコロニーには農業や畜産を行うプラントや、それら第一次産業に特化したコロニーも存在する。

だから戦闘糧食や普段の食事に関しても本物が満足に食べることが出来る。

 

 

 

そう、ここはあの薄暗い強制収容所でも砲火の飛び交う戦場でも無い。

 

 

 

長年の記憶と経験からだろう、身に沁みてあの戦場の癖が滲み出てしまう。

やはり、自分は戦場に取り憑かれたままなのだろうとハルトは感じていると不意に手を引っ張られた。

 

「ハルト兄ちゃん」

「?」

「こっち来て遊ぼ」

 

突然の提案にハルトは首を傾げると、片付けをしていたリノが言う。

 

「今女子達が風呂に入ってんだ。俺はこっちの片付けで忙しいから、ガキどもの相手をしていてくれ」

「さっ、行こ!」

「あ、あぁ……」

 

腕を引かれて七人の男児に引き連れられてハルトは大広間に連れて行かれた。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

「お兄ちゃん雑魚!」

「弱すぎるじゃん」

「五月蝿ぇ!もう一回リベンジだ!!」

 

そして大広間に置かれていたテレビゲームで年下の男児達にフルボッコにされてハルトは何度もリベンジマッチをするのだった。




ゼーゴックの回って、明らかに『Uボート』意識しているよね。
ノコギリザメとか、ヴェルナー少尉とか。

オペレーション・ハイスクールをやるか否か

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