86-エイティシックス- 獅子の来訪   作:Aa_おにぎり

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ちょっと題名を映○の世紀っぽくしてみました。もしくはイグルー


ーザ・ヤング・エラー
外伝#13 その日、大陸は業火に包まれたⅠ


「うわぁぁあああっ!!」

「逃げろー!」

「痛えよぉ……」

 

顔中にアザや傷のできた子供達が涙目になって散り散りに逃げていく。

そしてその反対側には一人の少年が片手にバットを持って立っていた。

 

「……」

 

そして野球バットを持っていた少年に一人が声をかける。

 

「よぅ、終わったか?」

 

そこには少年と同じようにやや疲れた様子の同じ少年達が立っていた。

 

「ああ、終わった」

 

少年は答えると、他の少年たちは驚いた様子を見せる。

 

「ウヒョー、あの数を一人で?」

「流石だなぁ」

 

そう言うと、その赤い目が特徴的な少年は野球バットを持ったまま路地裏を後にしていった。

 

 

 

 

 

「ただいま〜」

 

門を潜って家である孤児院に帰った矢先、リノは脳天をぶっ叩かれた。

 

「こんの馬鹿息子!」

「ぎゃあっ!!」

 

頭の上から湯気が出そうなほど強めに殴られて悶絶しているリノはそのまま殴られた場所を抱えながらうずくまった。

 

「痛ってぇな、何すんだよ!!」

「これはこっちの台詞じゃバカモン!!この野郎また喧嘩しやがって!うちに抗議の電話があったんだよ!」

 

そう言い、ここの孤児院の長であり自分をここまで育てたアイダは帰って来たリノに怒鳴り散らしていた。

 

「向こうが仕掛けてきたからやり返しただけだっての!」

 

リノも反論するとアイダは呆れも混ざった表情で彼を見る。

 

「ああそうかい。でも向こうの子供は全治二週間の大怪我負ったって?」

「……」

 

アイダはリノを睨みつけると、そのままリノを通す。

 

「文句言われるこっちの身にもなって欲しいものだわ……」

 

そう言うとぶつぶつと文句をこぼしながらアイダは去って行った。

 

 

 

 

 

「いててて……あのババァ、強めに殴りやがって」

 

いまだにガンガンする頭を抑えながら氷を探していると、リノは後ろから声をかけられた。

 

「はい、氷」

「あ、ああ……ありがとう」

 

そう言い、リノは布で包まれた氷を受け取るとそれで殴られた場所を冷やしていた。

 

「また喧嘩したの?今度は何処?」

 

そう聞いてくる少女、幼馴染で自分と同じく赤ん坊の頃からここで育ったクラウにリノは答える。

 

「隣町の悪ガキ。喧嘩売って来たからボコボコにしただけ」

「ふーん、アイツかぁ……」

 

リノの横に座ったその少女は興味なしと言った様子で答える。

 

「まっ、余り暴れすぎない事ね。流石にアイダさんを困らせちゃダメだよ」

「へいへい」

 

頭を冷やしながら適当に答えると、そのままリノはキッチンを去って行った。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

リノ・フリッツ、現在十二歳。

まもなく中学生となる彼は幼馴染のクラウ・フリッツと共にこの寂れた孤児院にて赤ん坊の時から暮らしていた。

ここの孤児院は至る所の設備が古くなって来ており、今いる孤児は自分を含めても六名ほどしかおらず。今度何人か抜けるので、人数はさらに少なくなる。

 

「……」

 

ピピピッピピピッ

 

目覚ましのアラームが聞こえ、使い古されたベットからリノは起き上がる。

ここの孤児院は時々寄付された新品があったりするのだが、そう言うのは大体おもちゃだったりするのでこう言うベットには誰がいつこぼしたかもわかんないコーヒーのシミがついていたりする。

 

「ったく、ベットも買い替えて欲しいんだけどな」

「仕方無いでしょう。うちは貧乏なんだからさ」

 

リビングで朝食を摂りながらぶつぶつとリノは言うと、横に座っていたクラウが言う。

 

「ああ、昨日の氷ありがとう」

「どういたしまして」

 

そう言い、二人は朝食を摂り終えるとそのまま鞄を持って学校に向かう。

 

「そろそろ卒業式だね」

「ああ、もう少しで中学生だな」

 

通学途中、迎えに来たスクールバスの中でリノとクラウは話す。

現在小学六年生のリノは小学生から中学生という大人の階段を登っているような感覚に喜びを覚えていると、前の方に座っていた同級生から声をかけられる。

 

「リノ、今日のバスケの試合なんだけどさ。ちょっとヘルプで出てくれない?」

「ん、いいぞ」

 

二つ返事で答えると、その同級生は嬉しそうにする。

 

「サンキュー、今度なんか奢るよ」

 

そう言い、同級生は席に戻るとそのままバズは学校に到着した。

 

 

 

 

 

「えー、この前の定期テストの成績ですが……」

 

教室にてテスト返しが行われる中、教師が非常に嫌な顔をしながらテストを返す。

 

「今回も満点でリノ・フリッツくんが一番です」

 

そう言い、頭の痛い様子で教師はリノにテストを返す。

すると周りの同級生達もいつも通りと言った様子でリノがいちばんの成績である事に驚く様子もなかった。

そしてテストを受け取るとその教師は呆れも混ざった表情でリノに聞く。

 

「全く、どうして君は成績がいいのにあんなことするのかね?」

 

そんな問いにリノはテストを受け取りながら答える。

 

「特に大した意味はありませんよ。ただやりたいからやるだけです」

 

そう答えるとリノはテストを受け取ってそのまま席に着いた。

リノの返答に担任の教師は限界が来たのか、腹に手を当てていた。

 

 

 

 

 

「オーライ!」

 

体育館ではバスケットボールでドリブルをしながら試合をする。

 

「何っ?!」

 

ドリブルですり抜けられ、リノはその瞬間にゴールにボールを投げ入れていた。その瞬間にアラームが鳴る。

 

『試合終了!』

 

そして試合が終わり、リノの入ったチームがこの日は勝利した。

試合後、ヘルプを入れたお礼にジュースを奢ってもらったリノはそこで同級生から聞かれる。

 

「リノってなんでそんな頭良いのにチンピラやっての?」

 

そんな同級生の問いにリノは少し考えた後に答える。

 

「……つまらないから。かな?」

「つまらない?」

 

その疑問に彼は頷く。

 

「あぁ、パッとしない生活に息が詰まると言うか。何と言うか……」

「あー、刺激が欲しいと?」

「そんな所」

 

そう言うと彼は座って居たベンチから立ち上がる。

 

「まっ、今度もよろしく頼むぜ」

「はいよ」

 

そう答えると彼は体育館から出て行った。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

放課後、孤児院から飛び出たリノは図書館に向かう。

喧嘩三昧と言っても勉学に励まないわけではなく、今日は図書館に行って高校の内容の勉強をする予定だった。

 

「おい、お前がリノ・フリッツか?」

「ん?…ええ、そうですが……何か?」

 

バス停で図書館行きのバズを待っていると、不意に彼は声をかけられる。

顔を上げると、そこには片手に野球バットを持った学ランを着た一人の男が立っていた。

 

「昨日は俺の弟が世話になったらしいじゃねえか」

「あぁ……」

 

昨日、隣町から喧嘩を売りに来たあのヒヨッコかと思い返しているとその大柄な中学生はリノに抑えきれない殺意を抱きながら言う。

 

「ちょっと面貸せ」

「いやですよ。こっちは今から図書館行くんです。それに喧嘩を売ったのはあっちですよ?」

「来いつってんだろう!!」

 

小馬鹿にした様子のリノにその中学生はどなり散らすと、リノもやれやれと言った諦めも混ざった様子で立ち上がる。

その手には参考書やノートの入った鞄が下げられていた。バスの時間を考えながらリノは持っていた単語帳を持って前を歩く中学生の脳天目掛けて思い切り殴りつけた。

 

「うごっ?!」

 

不意打ちされ、頭に強い衝撃の加わったその中学生は持っていたバットを手放しながら地面に倒れる。

 

「知ってます?単語帳の角って、どつかれると痛いんですよ」

「き、さま……!!」

「すみませんねえ、こう言う方法じゃないと勝てない人間なものですから」

 

最後にそう言い、気絶したその中学生を軽く軽蔑して見下ろした後。鞄を持ってそのままその場所から退散していた。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

刺激を求めて不良グループに入ったのが確か二年前だったか。

初めは興味本位だったが、次第に喧嘩と言う非日常に徐々に楽しくなっていた。まだ小学生という弱い立場ゆえに活動範囲も狭かったが、それでもここら辺では一番喧嘩強い小学生だった。

そしてその噂は周辺に広がり、時々ちょっかい掛けに来る事もあった。

 

小学生だから喧嘩も年下でなければ大体向こう側が悪くなる事が多かった。その点、小学生という立場は最強とも言えた。

 

「……」

 

喧嘩はほどほどにしておきながらリノは高校範囲の勉強をする。自分は孤児で孤児院を出たら自分で食い扶持を見つけなければならない。おまけに初めは手堅い首にならない職場……そう、公務員だ。

自分たちの喧嘩は小学生の喧嘩と言うことで警察がしゃしゃり出てくることもないので、ゆっくりさせてもらっていた。

警察官に注意されることはあっても補導程度で問題はなかった。

 

中学生に上がると流石に喧嘩三昧では問題になるので、ここいらで喧嘩はやめようとも考えていた。

 

「……」

 

図書館で勉強をしていると携帯が鳴り、そろそろ帰ってこいという連絡があって時間をみる。すると時刻は午後七時を示していた。

 

「もうこんな時間だったか……」

 

予想以上に熱中していたのかと思いながら数学の参考書を借りて帰宅の途につく。

 

 

 

 

 

自分を産んだ親は自分がまだ赤ん坊の時に教会前に俺を捨てて行った。

理由は定かではないが、俺はその時警察が俺を捨てた両親は帝国に向かったと言うのを聞いている。ついでにその時の写真も、常に懐に入れていた。

もう十二年にもなる上に家族というものを持った事がない以上、今更会ってどうすると言うのがあった。

 

おそらく自分は一生をこの国で過ごす事になる。そしてそのままどこかで死んでいくのだろうと思っていた。このまま大学まで出て、そこから公務員になって独り立ちして。静かに暮らすものだと、この時は思っていた。

 

 

 

 

 

そう、この時までは

 

『臨時ニュースを申し上げます。臨時ニュースを申し上げます』

 

帰宅途中、持っていた携帯や街頭テレビが一斉に切り替わって放送される。その画面は赤のテロップで、明らかに異質な空気が画面から漂っていた。

 

『先ほど、ギアーデ帝国より宣戦布告があったと報告がありました』

 

誰もがそのニュースを見て唖然となる。

 

『繰り返します。先ほど我が国はギアーデ帝国より宣戦布告を受けました。既に国境線では戦闘が始まっているものとされ、山脈以北全域に緊急避難命令が発令されました』

 

緊急の国営放送が至る所で放送され、アラート音が鳴り響く。

それが緊急事態であると皆が気づくのに時間はかからなかった。

 

『避難命令が出ているのはマッキー山脈以北全域、該当地域に住む住民は直ちに避難してください。繰り返しますーーーー』

 

平穏が破られ、大陸全土を包む業火に火が付けられた瞬間だった。

 

 

 

 

 

オペレーション・ハイスクールをやるか否か

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