86-エイティシックス- 獅子の来訪   作:Aa_おにぎり

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外伝#27 眠れる獅子1

あれから六年が経った。

 

戦争が始まって六年が経ち、もはや戦場は日常と化していた。

 

その頃は子供だった孤児達は大人の階段を登りつつあった。

 

 

 

 

 

学校の校門前で一人の男子生徒が携帯を触って待っていると、彼は声を掛けられる。

 

「リノ」

「ん?」

 

リノは声をかけられて顔を挙げると、そこには一人の女子生徒が立って居た。

この特徴的なまでに赤い髪は間違い無かった。

 

「部活終わったのか?」

「ええ、今日は早めに上がってきたの」

「そうか…じゃあ後はクラウだけだな」

 

彼はそう言うと、エリノラは言付けをした。

 

「クラウは今日の帰り遅くなるってさ」

「ああ、そう。じゃあ先帰るか……」

 

そう呟き、リノはそのままエリノラと二人で帰路につき始めた。

 

 

 

 

 

戦争が始まって六年、街には徴募兵のポスターが貼られていたり、ニュースに戦況や戦死者の名前が読み上げられて行く事以外はほとんど変わらない生活を送って居た。

 

「もうそろそろ卒業の時期が来たね」

「ああ、エリノラ達が来た日の頃を思い出す時期だよ」

 

そう話し、二人は路面電車に乗りながらそう話す。

中学校を卒業した彼等は学費の安い高校に進学し、三年間の学生生活を過ごしていた。

本当は中学卒業後に就職でもしようかと思って居たが、アイダが必ず大学まで出ろと口を酸っぱくして言われたので大学進学まで考えて居たのだ。

奨学金を借りて高校生活を送り、途中でバイトもして……それなりに楽しく高校生活を過ごしてきたと思っている。

 

「大学はどこ行くか決まった?」

「ああ、マルコ義兄と同じ大学にな」

「わっ、それって結構大変じゃない?」

「いきたいから行くんだ。それほど苦じゃないよ」

 

そう答え、彼は少し微笑むとエリノラも自分の進路について考える。

 

「私はどこに行こうかなぁ……」

「そろそろ決めないと不味いだろう?」

 

時期的に大学受験を考えているならば進学先を決めないとまずいはずだ。

すると彼女は迷っている事を彼に相談する。

 

「うーん、看護師にでもなろうかなって思っているんだけどねぇ……」

「ああ、誘われているんだっけか?」

「そう、テオのお父さんにね」

 

そう言い、彼女は軽く眉を顰めた。

 

彼女の持つ異能だある、人に触れるだけで対象の記憶が見える異能は軍部には喉から手が出るほど欲しい能力でもあった。

なにせ、尋問を一歳与えずに情報のみ与えることができるのだから。

 

「あれから、色々とこの異能にも慣れて来たしね」

「ああ、そうだな」

 

あれ以降、異能の練習がてら物忘れした時などにその人の記憶を視たりして異能をよく使った影響か、最近は触れば問答無用で記憶が見えるわけでもなく。意識すれば見えるくらいに成長(?)していた。

 

「慣れって怖いね」

「ああ、だが慣れることも大事だってことだよ」

「ふふっ、そうだね」

 

彼女は少し微笑むと、リノも少し笑っていた。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

数ヶ月後。

 

「はい、撮るわよー」

「「「はーい」」」

 

高校の校門の前でカメラを構えるアイダは今にも泣きそうな顔でカメラを持って三人に呼びかける。

三人ともキャップとガウンを羽織っており、先ほど卒業式を終えて最後の写真撮影を行なっていた。

校庭ではどんちゃん騒ぎとなっており、卒業生達はこれからの進路に緊張をしながらも高揚している雰囲気があった。

するとそんな三人を見に来たマルコも嬉しそうな笑みを薄く浮かべてリノに話しかける。

 

「これで三人とも大学生か……いやはや、感慨深いな」

「義兄さんも、見送りありがと」

「いやぁ、三人の門出なんだ。見送りに来ないはずがないだろう?」

 

そう言い、マルコは横で我慢できずに泣き始めてしまったアイダを介護しながら言う。

 

「おまけに三人とも俺と同じ大学なんだ。これで嬉しくないはずがない」

 

そう言い、マルコはリノ達を見る。

大学に進学することが決まった三人はマルコの母校である総合大学に行くことになる。

 

「特にリノは俺と同じ学科だ。知り合いが助教授をしているから紹介してやるよ」

「ありがとう。義兄さん」

 

リノに色々と尽くしているマルコにアイダは少し笑いながら言う。

 

「全く、良いところも悪いところも。よく似ていることで……」

「お袋に言われたくはないな」

「そうそう、特にそのよく殴り飛ばすところとかな」

「「なんだと?!」」

 

リノはつい余計な言葉が漏れたと咄嗟に口を噤む。

 

「まぁ、今日は卒業式に免じて殴りはしねえけどよ」

「次からは気をつけることね」

「ヒエ」

 

そんな三人を見てエリノラやクラウは思わず笑ってしまっていた。

 

 

 

そこには本当に戦時下なのかと疑いたくなってしまう空間が広がっていた。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

高校を卒業するとき、同級生の中には軍に入る者も居た。

 

現在、国中で徴募兵を募っており。<レギオン>を倒すために多くの若者が集まっていた。

今の戦況はマッキー山脈北二〇キロ地点で戦線を構築しており、今は<レギオン>の攻撃を抑え込んで守りに徹していた。

 

 

 

テオパルドは高校から軍のそう言った特殊な学校に入学したらしく。卒業した後、そのまま階級を貰って戦場に向かったとか言っていたか。

 

一年戦争時に大活躍したモビルスーツパイロットが十五歳だった関係で、この国では十六歳から尉官になる事のできる制度が整っていた。

モビルスーツの操縦に適性を見出せれば、それだけ幼くても尉官に慣れると言うのはなんとも恐ろしい話だ。

 

彼は戦後、レビル将軍の推薦も相まって士官学校を出ていないにも関わらず佐官に昇進した。

ただ、十数年前のザビ家復興を狙うアクシズとサイドの完全なる独立を求めるネオ・ジオンとの内紛の後、彼は軍を辞めて忽然と消えてしまっていた。

今は彼の故郷であるサイド7にて生活を送っていると言われているが、真相は不明だった。

 

最前線では旧式モビルスーツを動員してまで戦線を維持しているとも言われており、多種多様な機種のモビルスーツが戦線には配備されていた。

 

中にはジオン系モビルスーツも多く配備され、<レギオン>の攻勢を退けていると言われている。

 

マルコの母校でもある総合大学に進学したリノ・クラウ・エリノラの三人はそれぞれ工学科、物理学科、看護学科に進学していた。

バラバラな学科とは言え、通うキャンパスは同じで。校舎も近いので、三人は近場の学生アパートを借りていた。勿論、三人とも別々の部屋で。

カリキュラムが違うので頻繁に会うことは難しいが、それでも休日は三人で過ごす事が多かった。

 

「もう、毎日のように会うことも少なくなったわね……」

「仕方あるまい。俺たちは別々の学科に進んだんだ」

「それを考えると高校生って意外と接していた時間が多かったんだなって……」

 

リノの借りている部屋に集まったクラウとエリノラはそう話す。

六年も経てば三人の中は深まる一方で、エリノラも初めの頃より数段女性らしい行動をとるようになった。

異能の制御が効くようになってからは更に美容にも気を使う余裕が生まれたのか、クラウと共に高校に入ってからは化粧品を買いに出かけることもあった。

 

ここに来た当時の枯れ枝のようだった腕も、今ではすっかり健康的になっていた。

そして健康的になってからは、その美しさにさらに磨きがかかり。街を歩けば周囲の人間の視線を集めるほどになったわけで……。

 

「(その反動を一番喰らってるのが俺なんだよなぁ……)」

 

そう思いながらリノはクラウが買ってきた好物のオシルコ缶を飲む。

このなんとも言えぬ甘さが美味いのだ。すると、それを見ていたエリノラが苦笑した目で自分を見る。

 

「よくそんな泥水みたいな飲み物を美味しく飲めるね」

「泥水って言うなよ。オシルコって言う東方の国の甘味だよ」

「いや泥水ってのには同感だわ。味は確かにいいかもしれないけどさ」

「え?クラウ飲んだの?」

 

思わずエリノラは聞いてしまうと、クラウは飲んだ感想を呟く。

 

「ええ……ちょっと粉っぽいけど、甘かったわね」

「粉っぽい……」

「でも変な食感がするだけであとはただの美味しい砂糖水みたいな感じだったわね」

「へ、へぇ……」

 

やや苦笑してエリノラは缶を置いた机の上を見ると、そこに書いてある内容に少し興味が湧いた。

 

「ん?何これ?」

「?ああ、これ?」

 

リノも彼女の視線が卓上にある紙に目が入ったのを見ていたのだろう。彼はそれを見て答える。

 

「ちょっとしたMSの設計図」

 

リノの返答にクラウも少し興味ありげにリノの設計したMSを見た。

 

「へぇ、MSの。リノが設計した……」

 

そう言い、設計図を覗き込むと彼は付け加えて言う。

 

「無人機運用を考慮したMSをね」

「へぇ、胸部のユニット化ね……」

「そう、パーツを組み替えることであらゆる任務に対応可能なMSを想像して書いてみたのよ」

 

そう言い、リノは鉛筆で下書きしかしていないそのMSを見ていた。

 

「あらゆる任務を?」

 

エリノラの疑問にリノは頷く。

 

「ああ。現状、最前線にいるMSはその環境に合わせて現地で改修を行なっている。

でもそれじゃあ、補給面で酷だから。あらかじめ小型のコアとなるモビルスーツを製作して。

パズルみたいにパーツを組み替える事でどんな環境下でも戦闘が出来るようにする。それがコンセプトよ」

 

そう言い、リノはそのMSを見ると。そこでクラウが聞いてくる。

 

「でもアンタって工学科よね?こんなこと出来んの?」

「まぁ、なんとかなるだろう」

「なんとかって……」

 

クラウはリノの返答に苦笑していると、彼はパソコンを取り出して二人にある画面を見せた。

 

「まぁ、それらシステムに必要なのがこいつだ」

 

そう言い、リノはパソコンにあるデータを見せた。それを覗き込んだクラウとエリノラは首を傾げた。

 

「何これ?」

「なんかのデータ?」

 

そんな二人の疑問にリノはそれが何なのかを教えた。

 

「これはマリアーナ・モデルって奴。戦前に連合王国が公開した人工知能のモデル」

「へぇ……って、よくこんなの見つけたわね」

 

戦前の情報を仕入れてきている辺り、かなり調べたのだろうと思っていると。リノはこれを見つけた経緯を話す。

 

「いやぁ、簡易的な戦闘用AIを作ろうと思って色々と漁っていたらこいつを見つけてね」

「AIを作るんですか……」

「まぁ、今最も必要とされている技術ですしね」

 

そう言い、エリノラはリノが見つけたそれを見ていた。




Bappa Shotaさんと言う方の動画を見て感動してしまった。
知らない人がいたらぜひ見てほしい。本当のリアルな国際問題がノーカットで送られているので深く考えさせられます。

オペレーション・ハイスクールをやるか否か

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