86-エイティシックス- 獅子の来訪   作:Aa_おにぎり

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#17 怒声

 

 

一騎当千

 

 

この言葉がピッタリな光景であった。

一機のガンダムが、押し寄せるレギオンを抑えているのだ。

頭のネジが吹っ飛んでいるとしか思えない、その動きは獲物を狩る獅子のようであった。

 

戦車型に喰らいつき、斥候型を踏み潰す。

 

重戦車型には戦車型の残骸を叩きつけ、近接猟兵型は弾き飛ばされる。

 

長距離砲兵型の攻撃は躱し、その砲弾でレギオンが巻き添えになる。

 

圧倒的な強さがそこにはあった。

 

だが、人を辞めたとしか言えないその動きに唖然としていると。副隊長のガンダムが荒ぶる獅子を抑えるように両腕を掴み、二機のジェガンがそれぞれ足を押さえる。

思い切り地面に叩きつけられ、地響きがする。

その状態でも獅子はギギギと音を鳴らして無理に動こうとしていた。

レギオン第二波も食い止める事に成功し、夜明けを迎えたジークフリート要塞戦線だったが、目の前には明らかに異常な光景が広がっていた。

 

『おい!ボーッとすんな!手伝え!』

 

クラウ中尉の怒声が響き、ハッとして行動に移した。

咄嗟に俺は隊長機の肩を抑える。推進器の燃料は無くなっているのか飛び立つこともなく、MS4機で固められると副隊長がコックピットから飛び出し、コックピット脇の緊急停止ボタンを押し、ガンダムの動きを強制的に封じた。

 

『危なかった……』

『さて、馬鹿の機体を運ばないと……』

『やっちまったな……』

 

そう言い、クラウ中尉のベースジャバーに隊長のガンダムを載せると急いで前線基地に戻ることとなった。

 

 

 

 

 

基地では既に何人かの白衣を着た人が待機しており、手には工作機械を持っていた。

基地の到着したストライカー戦闘大隊は戦闘後の後片付けの命令もなく、そのまま基地の宿舎に入れられる。

その後の事はよく分からなかった。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

基地に到着したクラウは連絡して待っていた研究者を確認するとエリノラがコックピットのハッチを開けた。

しかし開いたのは外の機体だけで、中のコックピットにつながる部分は何かつっかえたのか、開かなかった。

 

「チッ、引っかかってる。バールある?」

「ほい!」

 

クラウはテオからバールを受け取る。

 

ガンッ!ガンッ!……ガコンッ!!

 

クラウがバールを突き刺し、こじ開けると中には銀色の結晶柱が折れて下に落ち、コックピットの中央で右目から泣き出すように溢れた銀色の流体マイクロマシンに埋まるように座る、白と青のヘルメットとパイロットスーツを着たリノがいた。

 

「リノッ!」

 

咄嗟にエリノラがリノの意識を確認する。どうやら気絶をしているようであった。

息があることにホッとしているとクラウが今度はツルハシを、テオがハンマーを持ってリノを囲っている金属を叩き割る。

 

ペキッ ペキッ パリンッ!

 

バリバリ

 

ボロボロで穴だらけとなったパイロットスーツとヘルメット。

服についている金属片を落とすとリノはコックピットから引き出され、そのまま担架に乗せられて運ばれて行った。

部隊には待機を命じてあり、いざとなればドミトルに指揮権が渡されているので動くことができるだろう。

 

「さて、私らはあの馬鹿を見ないと……」

「今回ばかりはかなり無茶をしたみたいだね……」

「リノ…」

「エラ、あいつが起きたらまずはぶっ飛ばしなさい。じゃ無いとまたアイツやるわよ」

「う、うん……」

 

そう言い、三人はリノの後を追いかけ始めた。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

薬品の匂いがする。

 

 

 

自分は確かレギオンの大攻勢の時に能力を使って……

 

 

 

そうか、能力を使いすぎたのが原因か……

 

 

 

これはまたコッテリと絞られそうだ。

 

 

 

そう思いながら意識が回復をすると視界にマルコが映る。ハミングバードのとき以来に見た彼の顔は怒りと呆れが混ざった表情をしていた。

 

「おう、起きたようだな大馬鹿野郎が」

「いきなりひどい言われようですね…こっちは病み上がりなのに……」

「阿呆、あれだけ能力は使うなと言ったはずだが?」

「あまりの数だったので……」

 

そう言うとマルコは呆れたように軽く嘆息する。

 

「はぁ、まさかストック分まで全部使うとは……後でエラちゃん達に謝っとけよ。クラウが今回ばかりは本気で怒ってたからな」

「はい……」

 

これは説教四時間コース確定と内心げんなりしていた。まぁ、実際自分がしでかしたことだから何も言えないが……

 

自分が気を失っていた時間は大体十八時間程らしい。レギオンの第二波は誰かが戦線で大暴れしたせいで戦線が後退することなく終わったそうだ。

 

思っていたよりも短い時間だと思っていると治療室の扉が開き、明らかに怒った様子のクラウが入ってきてリノを早々ぶっ飛ばした。

頬を赤くし、リノは殴られた場所を摩っているとクラウが怒号を飛ばした。

 

「馬鹿か!お前、一体何やってんだ!!」

「ク、クラウ……「エラは黙ってろ!」……」

 

クラウはリノをぶっ飛ばした後にリノに向かって叫んだ。

 

「アンタねぇ、自分が何したか分かってんの!?危うく死ぬところだったんだぞ!!それが如何に危険なのかわかってんの!」

「……」

 

クラウの罵声にリノは呆然とした様子で話を聞く。

 

「大体、アンタの能力は右目の()()から体力消耗するってわかんないの!?」

 

クラウの罵倒は止まる事なく治療室に響き渡る。

 

「今回はガンダムに予備の流体マイクロマシンを入れてたから良かったけど。なかったらアンタ、今頃死んでたんだよ!()()()これ以上エラ泣かせないって言ったんじゃ無いの!!ええ?」

「……すまん」

「すまんで済むんだったらねえ、こんな事にならんの。アンタは自分の命が惜しいとは思わん訳?」

 

クラウの追求は終わるところをしらず。どんどん踏み込んでいく。

 

「アンタいつもあの子達のことばかり思っているけどね。アンタもアンタであの子達と同じようなことしているの。自分の命を顧みない所とか特にね!!」

「クラウ、そこまでだ」

 

マルコに制止され、クラウは追及を抑える。

 

「……とにかく、本当は今すぐにでも後送させたいけど、今は緊急事態だから前線に出ずに指揮官しろ」

「緊急事態?」

 

リノが疑問に思うとテオが横で説明をする。

 

「ああ、今日の昼のことだ。ギアーデ連邦にあの超長距離砲が撃ち込まれた。それの影響で合州国軍全軍に緊急配備がかかってる。連邦は電磁加速砲型(モルフォ)と呼称している」

「そんなことが……」

 

リノが驚いているとクラウが非常に不満げにリノにある物を渡す。

 

「今のアンタの目は他の人には見せられないから。これをつけて作戦に参加しなさい。

 

 

 

 

 

外したら許さないから

 

「りょ……了解であります……」

 

リノはそう言い、真鍮の縁が特徴のサングラスを渡され、リノはそれをつける。

 

「これでいいか?」

「ええ…すっごい悪人に見えるけど」

「それは同感」

「私もそう思う……」

「やれやれ…まぁ、見えるから問題はないか……」

 

スモークグラス加工されたそれは外からは完全に目の色が見えなくなるようになっていた。今の彼の右目は消耗した後と言うことこともあり、金属的な銀色に染まっていた。だから人目につくのは面倒な事になる。

ともかく、クラウに怒られ、テオからも静かに目線で怒られ、エリノラから心配をされ、コッテリと絞られたリノは今回ばかりは反省をしていた。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

治療室から戻ったリノは真っ先にハルトとレッカから心配をされた。

 

「何があったの?」

「大丈夫か?てかそのグラサン何?」

「あぁ、大丈夫だし、このサングラスは目をちょっと切ってね。怪我を隠すためさ」

「ふーん」

「そっかー……まぁ、無事ならいいか」

 

そう言い、二人はその場を去ると今度はドミトルとアノラから色々と追求を受けた。

 

 

あの時何があったのか。

 

 

リノが治療を受けていたのはなぜか。

 

 

クラウ達以外全員が宿舎に入れられたのか。

 

 

様々な追求をリノはのらりくらりと躱し、少し疲れた様子で部屋のベットに飛び込む。

 

「数日間はグラサン生活か……」

 

リノはそう呟きながら天井を眺める。クラウのくれたのサングラスはこっち側から見れば特に問題なく色も黒っぽくなく普通に見えていた。

いいのをくれたのだろうか。

そんなことを思いながら記憶を思い出しながら、現在の状況を把握する。

現在、ジークフリート戦線の塹壕を埋め立てたレギオンや撃破した残骸を徹底的に回収中。

 

今回の大攻勢で二万人の程の兵士が英霊となった。

 

やはり、一年かけて急ピッチとはいえ、堅牢な要塞を作れた事が今回被害が比較的軽微で済んだ理由だろう。

 

俺のガンダムはコックピットの入れ替え作業を終えたところで調整がまだ終わっていないそうだ。

終わるまでは最短でも十二時間後。それまでは大人しく管制をするとしよう……。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

同時刻

 

レギオンの大攻勢があったジークフリート要塞戦線では、リノ以外のストライカー戦闘大隊のメンバーはレギオンの残骸を回収していた。

リノが回復をしたと言う事でストライカー戦闘大隊も駆り出されたのだった。

 

『はぁ……すげぇ数……』

 

そう呟くのはストライカー戦闘大隊の歩兵部隊の一人だ。

その理由は目の前の塹壕内にこれでもかと埋まっている斥候型、近接猟兵型の数々である。一部戦域では戦車型が埋まっていたと言う情報もあり、まさに物量の嵐というべき戦場跡であった。

 

現在、ジークフリート要塞戦線前後十キロの範囲内には多種多様の残骸が残されていた。

 

レギオンの斥候型

近接猟兵型

戦車型

重戦車型

自走対空砲型

長距離砲兵型

阻電撹乱型

自走地雷

 

撃破された味方MSの残骸

破壊された砲台

上面が吹き飛んだ隠匿砲台

地面に散らばる銀色の流体マイクロマシン

焼け焦げた味方兵の遺体

 

見るのも嫌になる程大量のモノがそこにはあった。

塹壕内の機体はどうやら他のレギオンが乗り越える際に踏み台にしたようで、所々に傷がついていた。

 

人では絶対に出来ない行為だ。

 

今後また同じようなことがあった時、我々はこの物量に耐えることはできるのだろうか。

 

 

 

 

 

いや、耐えなければならない。

 

ここにいる兵士は家族のため、明日を生きるために戦い続ける。その為に命を賭してその人を全うする。

 

それが今を生きる合州国の理念であり、思想であった。

 

 

 

 

 

現在、遺体の回収が最優先で行われ、次にMS、レギオン、砲台と言った順番で回収が行われていた。

 

俺たちの担当の戦域も最後の遺体の回収を終え、MSは撃破されていないので、次にレギオンの回収を始める。

その夥しいレギオンの数に現在は輸送トラックや輸送ヘリまでもが動員されレギオンの輸送が行われていた。

今回のレギオンは回収する前に一つ一つ制御系を撃ち抜く事が義務付けられている。

軍上層部からの命令てトロイの木馬のようなことがあってはならないと言うお達しがあったからだ。

またいつものコンピュータの判断なのかと、ため息をつきながら斥候型から重戦車型に至るまで全てを撃ち抜いていた。

 

 

すると意外なことに動くレギオンがいた事に驚いた。

制御系を撃ち抜くとセンサーが一瞬だけ作動してショートをする。

それを見た他の面々も隠れているレギオンがいるという事で作業は慎重に行われていた。

 

 

 

ブォォォォォォォオオオンンン!!!

 

 

 

今も、下にレギオンの戦車型の残骸を吊り下げた無数の汎用ヘリが隊列を成して上空を通過していた。

この時回収されたレギオンは分解工場の空き地に収まらず、本来雪を捨てるための空き地に山積みになるという珍事件を引き起こしていた。

 

 

 

 

 

破壊された砲台は中の清掃を行なったのち、上に鉄板を敷いて砲台としての機能を復活させ、新たな人員を配置する。

砲台も汎用ヘリが行きに運び出し、帰りにレギオンの残骸を運ぶ。

 

そんな工程を俺たちは永遠と繰り返していた。

 

例の超長距離砲は大攻勢の時にはサンマグノリア共和国。今はギアーデ連邦に牙を剥き、連邦の巡航ミサイルの飽和攻撃で大破まで持ち込んだようだ。

現在、上層部では通信が可能な各国と共同作戦を行う話し合いが行われているようだが、俺らはいつ狙われるかわからず終始ヒヤヒヤしていた。

 

 

 

 

 

そんな中、空はいつも通り青々とした景色を見せつけていた。




ブルアカでリセマラしすぎてキチィ・・・・

でもイリヤとアコが欲しい・・・・あとチェリノ

オペレーション・ハイスクールをやるか否か

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