「はぁ…はぁ…はぁ……!!」
地面が焦げた戦場の跡を走る。その時来ている服は数回しか着たことがない
「た、助けてくれ!!」
片手に同じく数回しか撃った事のない13.2mm重機関銃を握りしめ、荒地を必死に逃げている自分。その背後には無数の<レギオン>の機械仕掛けの虫の集団が追っていた。
「あっ……あぁ!!」
しかし全力で走っているにも関わらず<レギオン>との距離は縮まるばかりだ。
「う、うわぁぁぁあああ!!」
そして近づいてきた<レギオン>はリノの真後ろに立つと、彼の目の前に砲口を向けていた。
「っ!!」
そしてその瞬間、体を起き上がらせると、そこでは朝日が差し込み。時計のアラームが小さく病室に鳴っていた。
「…夢か……」
最近では毎日別々の夢を見る。まともに寝れる日はいつなのだろうか……。
星暦二一四六年 七月
二〇三高地での激戦より数ヶ月。怪我の回復や各所への根回し、準備などでバッタバタな日々を過ごしたリノは正装を纏って席に座っていた。
今日は名誉勲章の授賞式だ。その為に入院していた病院から式典会場に移動していた。
『私も開戦当初は似たような事をされた。いざとなったら体調悪くなったと言って逃げなさい』
ありがたい
あの時のノリと勢いで二つ返事したことは今でも後悔していた。
『リノ・フリッツ少尉』
「はっ……!!」
マイクで呼ばれ、他の数名の軍人が既に授賞を終えて席に戻っており、リノは最後に呼ばれていた。
右目には医療用の眼帯をつけたままの参加に記者や他の人々は『名誉の負傷だな』などと言っていた。ふざけんな、こっちはよくわかんない状態だからこの後も病院に行って検査だよ。
『リノ・フリッツ少尉は史上最年少の十八歳での名誉勲章授賞です!』
記者は映像越しにそう語ると、その様子を裏で眺めていたクラウ達は飲み物片手に呟く。
「けっ、臭い物に蓋しただけじゃないの」
「クラウ、余計なこと言ったら連れてかれるよ?」
「いいわよ、ここにはウチらしかいないんだし」
エリノラの返事に適当に返しながらクラウは準備を進めていると、その時持っていた携帯がなった。
「ん?」
そこでクラウは携帯を手に取ると、電話に出た。
「はいもしもし……え?」
そして電話に出たクラウは驚いた様子で聞き返していた。
「しかしこちらの仕事は……嗚呼、そうですか。はい、分かりました」
「「?」」
このあと病院までリノを乗せる予定の三人はクラウの反応に首を傾げると、携帯を切った後に言った。
「緊急で仕事だって」
「え?」
「誰から?」
いきなりの連絡にクラウ達も驚いていると、エリノラが聞く。
「バーレット中将っていう人から。三人出てきて欲しいそうよ」
「え?でもリノの送迎が……」
「向こうが手配してくれるとさ」
「…そうか……」
テオパルトは少し間を置いた後に短く頷くと席を立つ。
「リノの事は任せよう」
「大丈夫なの?」
リノの右目の一件を知っているエリノラからすると不安なところではあった。この前情報部に移動した彼女は仕事の合間を縫ってリノの見舞いに行っており、そう言う仕事柄リノを他人に預ける事に不安を感じていた。
「ああ、バーレット中将はそれほど問題の無い人の筈だ」
「……そう」
「それより急ぎましょう。緊急の案件らしいし」
そう言うとクラウ達はテントを後にしていた。
式典を終え、胸に名誉勲章を下げたリノはついでに渡された大統領感状やその他諸々の勲章を下げて裏に戻ったが、そこにクラウたちの姿はなかった。
「あいつら、何処行ったんだ?」
そこで軽く首を傾げると、そんなリノの前に数名の軍人が現れた。
「リノ・フリッツ少尉でしょうか?」
「?あなた方は?」
一般的な士官服を身に纏った数名の軍人、その戦闘に立っていた女が挨拶をする。
「お初にお目にかかります。
「……失礼ですが、お名前は?」
「はっ、エリス少尉であります」
「……」
名前を書き、リノは予定外のアレだなと思っていると、一応聞いた。
「あの、元々の予定ではテオパルト・フィッシャー大尉の送迎ではありませんでしたか?」
「はい、ですが直前に呼び出しを受けましたので。代わりに我々が派遣されました」
エリス少尉はそう答えると、リノは納得した様子でエリス少尉を見ていた。
「(こう言うときに異能が使えたらな……)」
事故のショックか、今のリノの人の心を色で表す異能は全く使えない状況だった。それ故に目の前にいる軍人がどんな感情を抱えているのか分からなかった。
「(まあ同じ軍人だし、問題はないか)」
そう考えたリノはクラウ達の代わりに迎えにきたエリス達の乗る車に乗り込んでいた。
その頃、司令を受けて移動していたクラウ達。
「でもこんな場所に呼び出しなんて頭おかしいんじゃないの?」
「バーレット中将ってそもそも何者なの?」
「ん?ああ、中将はある研究所の責任者だったはずだよ」
そこで記憶を辿りながらテオパルトは答えると、エリノラがさらに聞いた。
「何処の研究所?」
「えっと……たしかピョンヤン研究所なはず」
そう答えた瞬間、携帯が再び鳴った。相手はアーノルドからだった。
「あれ、父さん?」
そこでクラウが電話に出た途端、車に怒号が飛んだ。
『貴様ら!何をしておるか!!』
「「「っ!?」」」
突然響いた怒号に思わずクラウは急ブレーキを踏んでしまうと、テオパルトが思わず聞き返した。
「え?どう言う事です?」
『お前たち!任務を放棄するとは何事だ!!』
「ど、どう言う事でしょうか?私たちはバーレット中将に……」
クラウ達は中将から呼び出しを受けたと言おうとした瞬間、アーノルドが電話越しで怒鳴り散らした。
『リノ少尉の行方が掴めなくなった。貴様ら今何処にいる!!』
目が覚めると、そこには強い灯りがあった。その光で目眩しを喰らい、一瞬視界が真っ白になって首を横に動かした。
「……」
そして視界に入ってきたのは白いタイルの手術室のような場所だ。大きめのタンクのようなものもあり、入り口は鉄の自動扉だった。自分は台に乗せられ、体はベルトでガッチリと固定されていた。
「(一体何が……)」
困惑している頭をフル回転させながらリノは今までの出来事を振り返っていた。
エリス少尉に出迎えられ、そのまま乗用車に乗ったリノは勲章やらを整理しようと思っていた。
「では出しますね」
「はい」
これからの予定は病院に向かって右目の検査をする事だった。その後はしばらく休暇で、今後の事をアーノルド少々と話していく予定だった。
「ぐっ…!?」
しかしその瞬間、リノは後頭部を何かで殴られた感覚になり、咄嗟に後ろを向いた。
「お前……!!」
「あら悪いわね。あなたは希少なデータですから」
殴った張本人のエリスは非常に悪魔の様な笑みを浮かべてリノを見ていた。
「安心しな、殺しはしないわよ」
「……」
リノをまるでペットを愛でるような目でエリスは見ていると、不意打ちを喰らったリノはそのまま視界が真っ黒に染まった。
「(そうだ、あのエリス少尉にやられたんだ……あの野郎)」
状況を理解し、リノは体を動かそうとした時、部屋の扉が開いた。
「状況は?」
「問題ありません。全ての数値が安定しています」
入ってきたのは数名の研究者。そのうちの一人を見てリノは叫んだ。
「貴様……!」
「あーら、もうお目覚めちゃん?流石はタフな身体」
白衣を身に纏っているエリスはリノを見下ろすと、彼は叫んだ。
「こんな事をして…ただで済むと思うのか?!」
「ふふふっ、威勢の良い事で」
エリスはリノをまるで動物のようにみており、そこには狂気的な物を感じていた。
「やっと手に入れられたわ。私の可愛いペットちゃん」
「……俺を探しに憲兵が動くぞ」
名誉勲章受賞者が行方不明という前代未聞の事態に確実にアーノルド少将であれば動いているだろう。しかしアリスは余裕な表情でリノに言う。
「あら、私のバックは中将よ?それでも動けるかしらね」
「っ……!!」
「あんたの上司は少将、私の上司よりも下っ端なの。だから動けるかどうか見ものだわ」
その後に軽く笑うエリスは悪魔の高笑いのようだった。
「…お前は何を望んでいる?」
「ふふっ、その美しい右目よ。一体どんな力が眠っているのか……」
そう言うと、彼女は片手に器具を持つと眼帯の外された右目の瞼に手を当てる。
「貴様っ!」
「おぉ、怖い怖い」
咄嗟に噛みつこうとしたところをエリスは慌てて避けると、部下に目をやった。
「このガキンチョを黙らせなさい」
「な、何をする!?」
そこで腕に注射がされると、途端にリノは脳が浮かぶような感覚になる。鎮静剤を注射されたのだ。
「さあ見せてちょうだい!あなたの神秘的な右目を!!」
そして瞼を開けた彼女はそのままリノの銀色の眼を見ると溢す。
「ああ、美しい……このまま取っちゃいたいくらいだわ」
自分を鏡のように反射している右眼は金属をそのまま埋め込んだように見えるが、これでも普通に見えていると言うのだからどんな仕組みをしているのか……
「ああ、なんて羨ましい……貴方以外に居ないのがとても悔やまれるわ」
そう言い彼女の脳裏に思い出すのはリノの報告書を読んだ後にその目を欲してその素材が何たるかを調べ尽くした記憶だ。
「どんな反応をしてくれるのか」
「あぉ…や、め……」
「さあ、行きましょう……ここならどんな悲鳴をあげても助けは来ないわ」
そう言うと彼女は手にとても細いチューブを取り出し、そのホースは部屋にあったタンクに繋がっていた。
「ぎゃぁあああああっ!?!?!?」
そしてその中身である〈レギオン〉の流体金属がリノの右目に流れると、彼の目から銀色の涙を流しながら絶叫を上げた。
そんな彼を見てエリスはこれ以上にないほど興奮していた。
「いい声よ、そのまま声を聞かせて頂戴!!!」
オペレーション・ハイスクールをやるか否か
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やってほしい
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やらなくていい