因みに三式十二糎高射砲の最大射程は20.5kmなので、これくらいが妥当じゃないかな……。
アル・ギザⅡの修理期間を丸々休暇になっていたリノ達だが。帰ってくると早々にある命令がテオパルトから下された。
「んで、俺たちは研究所送りと」
「うん、そう言う事になるね」
「「はぁ……マジかよ」」
命令を聞いて苦笑するテオパルトや呆れて額に手を当てるクラウとエリノラ。
もはや何も言うまい。理由は言われなくともなんとなく予想できていた。
「ケリフォルニアベースで君が起こしたあの一件で色々と検査確定だよ」
「だよなぁ……」
そう、ケリフォルニアベースで起こったあの一件。一回は棚上げされていた問題が降りかかっていたのだ。
ちなみに後の調査でかつてMS格納庫があった場所に〈レギオン〉の工場や発電施設が発見され、そこで大量に鹵獲した部品や機体などは研究に回されていた。
それからマスドライバーも使用した痕跡があり、その方でも調査が進んでいた。
「行き先は?」
「喜ぶと良い。行き先はアバディーンだ」
「「「げっ」」」
様々な兵器の性能試験を行うための実験場だが、その本質は変態どもの集まったような研究所だ。ピョンヤンのようなヤバさではなく、どちらかと言うと紅茶をしこたま飲んだ連合王国のイメージに近い。
「そこでマルコさんにの元で色々と調査をするから」
「あぁ……マルコならまだ安心だな」
「ウチら知ってるしね」
アイダの息子であるマルコの元に行くという安心感にクラウ達も特段嫌がることはなかった。
「今、中佐だっけ?」
「大出世だよな」
「年齢的にもね」
大学院を出て技術士官として働いているとはいえまだ二〇代で軍属佐官と言うのもかなりの出世株というのは予測できた。
「てな訳で、これから僕達は後方に飛びます」
「了解」
通りで士官服を着ているわけだ。普段はあまり着る機会の少ない士官服。リノの略章には名誉勲章も含まれていた。
「てま、何でお前らも来るんだよ」
「リノの護衛って事で親にゴリ押した」
「お前まじかよ」
「大丈夫、向こうじゃあテストパイロットの仕事請け負ってるから」
彼はそう答えると、空港に降り立ったディッシュの前で立つ。やったぜ、よく将校とかが乗る特別機だぜ。
「んじゃ,行きましょうか」
リノの言葉にエリノラ達は頷くと機上の人となった。
星歴二一四七年 十二月
『Taxi to holding point B1,Runway10』
『Runway10,Cleared for take-off』
無線の通りに野戦飛行場からダガーフィッシュが飛び立つ。僚機で電子戦機のクインビーも離陸しており、その野戦飛行場には着陸したミデア改からマラサイが降ろされていた。
「オーライ!オーライ!」
そして別の集積所ではサムソントレーラーが誘導員の案内に従って停車すると荷台からガルスJが荷解きを受けていた。
前線に大量の兵器や物資が大量に運ばれている理由は簡単だ。これから始まる作戦に向けての準備であるからだ。
「いよいよか……」
そんな中、リノはコックピットでそう呟くとそこで水を差すようにクラウが話す。
『ウチらは後方だけどね』
『ちょっと、水指さないでよ』
『事実そうだから何も言えないや』
するとエリノラとレオパルトもやや苦笑気味に答える。
そう、この前のケリフォルニアベース奪還作戦に参加した兵士は、今回は後方従事が主な任務であり、本来の所属のアル・ギザⅡには別の人員が搭乗していた。
なので今回乗る機体は今では一.五戦級のネモに搭乗していた。まじで短期間の乗り換え多すぎるんよ。
「まあ、それ以外にも理由があるがな」
リノがそう溢すと他の三人は何とも言えない表情を浮かべていた。リノの言葉には意味があり、それは彼の右目関連の話であった。
〈レギオン〉の流体金属を入れられて、それが右目の役割を果たしているリノはケリフォルニアベース奪還の際にレギオン数機を攻撃する事なく撃破していた。その事でマルコ達の研究チームのおかげである事実が判明していたのだ。
「まさか流体金属を操れるとは思わなかった」
『あんた、精神感応的な異能でも目覚めたの?』
「知らん。俺に聞くな」
リノはそう答えるとグローブ越しに自分の右目を軽く触った。
体力的な疲労が激しくなるが、この異能は流体金属を意のままに操れ、その影響で〈レギオン〉の血液たる流体金属を貫通させると言う芸当が出来ていた。
『話題に欠かなくていいわぁ』
「余計な話題だよ。勘弁してくれ」
リノはそう答えると上空を飛ぶアッシマーを眺めていた。
今回の主な任務は後方の補給部隊の護衛と取りこぼしの撃破だ。
今回のバグラチオン作戦に参加する兵力は一五〇万、戦車・自走砲二五〇〇両、火砲三〇〇〇門、機動兵器七〇〇〇機。
宇宙戦艦六隻、宇宙巡洋艦二二隻、空母六、駆逐艦六、戦艦四隻と言う大艦隊が参加予定だ。ルウム戦役と同規模の艦隊を率いての一大作戦に兵士の士気旺盛となっていた。
「すげぇ…」
『流石はオデッサの再来と言われるだけあるわ』
確かに、ルウム戦役だとその後に負けそうで縁起が悪いか。オデッサ作戦は成功しているから、宣伝するにはこっちの方が良いだろうな。
山脈の南側では今回参加する宇宙艦艇等が準備を整えて物資の積み込みをしているはずだ。
かくいう自分達の補給部隊もグランペルリの後方に十両のカーゴを繋いで発進予定であった。場所は国境東部の砂漠地帯、燦々と太陽が海を照らしていた。前にエリノラが配属されていた地域でもあった。
「しっかし暑いな」
『仕方ない。ウチら砂漠にいるもの』
『現状、一番戦線が押されている地域だからね』
数ヶ月前は西に今度は東に、東奔西走な日々を過ごしているリノ達はその移動距離にもはや苦笑いするしかなかった。
作戦前の準備でガンタンクⅡの部隊を誘導すると、視界の先に巨大な影を見た。
『今日はかなりでかいな』
その正体は砂嵐。この地域の名物的気象であり、敵味方関係なしの天敵であった。
「避難しますか?」
『いや、このままでいい。作戦をずらすわけにはいかんからな』
作戦は戦線全体の同時攻撃から始まる。全戦線で攻勢をかけて敵の戦力集中を避ける目的があった。
今回の作戦の目的は合州国の全領土の奪還。その後の帝国領侵攻作戦の前に国境全体の地盤固めをするためであった。
『後ろからよろしく頼んだぜ』
「ええ、そちらもご武運を」
ガンタンク部隊の隊長とそんな話をしながら作戦まで待っていた。
数日後 深夜
始まりは戦線に控えたガンタンクⅡの砲撃から始まった。
「撃てぇ!!」
120mmライフル砲の長距離射撃が入り、最前線で眠っていた〈レギオン〉は機械の命令に従って行動を開始する。
「作戦開始しました」
司令部では固唾を飲んで戦況を見る。目覚めた〈レギオン〉は迎撃を始めるも、大量に戦線に現れるMSを前に一方的に撃破される。
元々〈レギオン〉の機体単体ではそれほどMSに損害を与えるほどの能力は存在しない。
斥候型の武装は論外として、近接猟兵型の76ミリ多連装ロケットランチャーも当たっても損害はほぼ皆無だ。
戦車型の120ミリ砲も元々ザクマシンガンと言う同口径の機関銃があって、ガンダリウムγやチタン合金セラミック複合材を装甲材としているMSであると真正面から攻撃を受ければ耐えられるほど頑丈な装甲を有しており、これもある程度は耐えられた。
重戦車型などの155ミリ砲は流石に何発も撃たれると撃破される。
なので要注意するのは自走地雷と一応戦車型と155ミリ砲装備の機体と言ったところだった。自走地雷は炸薬量に物を言わして平気で脚を飛ばすくらいは出来る上に速いので一番の天敵と言えるかもしれない。
ちなみにホバータイプの陸戦艇は吸気口に近づく為には高度を下げなければならず、誰かが必ず気づくので敵側は諦めた可能性が高い。
「各部隊前進を開始。予定通りです」
「全艦隊も発進完了。攻撃を開始しています」
前線では山脈より飛び出した海軍のアイリッシュ級などの戦艦はメガ粒子砲の攻撃を加え、海上からはジュットランド級の砲撃が飛ぶ。
その砲撃に巻き込まれるように銀色の集団は軽く吹っ飛ばされる。
『ヒィハッハッー!!』
その光景を前に前線司令官は高笑いする。
『押し出せぇ!!利子は倍にして返してやろうぜぇ!!』
その瞬間、戦線をジムⅡがジム・ライフルを持って射撃をすると前進してきた〈レギオン〉は90ミリ弾を喰らって撃破される。
高貫通力を誇る90ミリの実弾を一気に何発も喰らって無傷な〈レギオン〉は重戦車型くらいだ。戦車型ですら損害を被る。貫通できない場合はビーム兵器か対艦ライフルを撃てば良い。
そして戦車型の斉射をギラ・ズールは避けると持っていたビーム・マシンガンを撃って戦車型の集団を纏めて一掃する。
別の戦域では河の如く接近してくる〈レギオン〉の集団に無数のビーム光線が上から降り注ぐ。その正体は闇に紛れるように塗装されたアイリッシュ級やサラミス改級の砲撃であった。
それと同時にベースジャバーのメガ粒子砲も飛び、集団に攻撃を徹底的に叩き込む。
これら艦艇は前線にミノフスキー粒子を散布する役割も持っていた。
先のケリフォルニアベースの損害はMS三六機、航空機四八機が撃破された。制空権は敵が優勢ではあるが航空機による攻撃は無いので防戦一方の敵に航空団が爆撃を加えていた。
『全機投下!!』
ダガーフィッシュで編成された爆撃隊が空爆を加えると、〈レギオン〉の対空自走砲型が対空砲火を加える中を投下していくと地面が赤く燃え上がる。
「各戦線において順調に進撃中」
「陸上第五打撃部隊に敵トーチカの砲撃を確認。これを排除中」
「第四四MS師団の進撃が停滞。敵の抵抗を受けている模様」
「近くに第二艦隊がいる筈だと連絡しろ」
司令部では多くの将官が集まって指示を出す。マッキー山脈という天然の要塞に囲まれた古きこの司令部は何百年とこの国を守り続けた永久要塞だった。
「敵防衛戦は瓦解しつつあります」
「うむ、八年ぶりの意図返しと言ったところだ」
アーノルドはそう答えると開戦時に奇襲を受けたあの頃の景色が蘇る。あの時の乗艦だったベッカムは共和国側の国境地帯を進撃していた。
「(やはりいつの時代も奇襲攻撃は強い)」
今回の作戦も電撃的侵攻を目的とした攻勢であり、前線部隊は旧国境線までの迅速な攻撃を目的としていた。
「後続部隊の調子はどうなっている」
アーノルドは近くの下士官に聞くと分かっている範囲での戦況情報を聞いていた。
オペレーション・ハイスクールをやるか否か
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やってほしい
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やらなくていい