戦場に閃光が浮かぶーー
その町には屑鉄が街を闊歩し、まるで自分のものだと言わんばかりに街を歩くその姿は無性に腹が立つ。
だからこそ俺達はその戦闘には燃えていた。
「〈グリズリー〉、左四〇に敵集団」
『了解、吹っ飛ばしてやるわ!!』
ドォン!ドォン!
ドガァァァン!!
エリノラの放ったビームが原因の誘爆により一機の戦車型は付近のレギオンを巻き込んで爆炎を起こした。
ダダダダダダダッ!!
ドォン!
シューー……ドォォン!!
持っていたバズーカが火を吹きレギオンの軍勢を丸ごと吹き飛ばした。
「撃ぇっ!」
チュン!チュン!……ボォォォン!!
持っていたビームライフルを撃って戦車型を多数撃破。青色と白色のジェガンは戦車型の残骸を手に取ると砲身の部分を持ってビル屋上に隠れていた近接猟兵型に向けて投げ飛ばしていた。
ガァン!!バキバキッ!ドゴォォォン!!
戦車型が建物に直撃し、建物が崩壊しながら近接猟兵型もそれに巻き込まれて建物の瓦礫の下敷きになっていた。
一連の行動を建物の影から見ていた迷彩色のESMジェガンが苦笑しながら通信をしてくる。
『隊長〜流石にそれは不味いでしょ。ここ一応サンマグノリア共和国の領土ですよ』
「別に良いだろう。ここに人は居ないし、誰も見ていなければ問題にはならない。それにこれは戦闘中の損壊だとすれば良い」
『うわぁ、ブラックや〜』
そんな事を呟くのは街中でメガ・ビーム・キャノンとエクス・キャノンを放っているエリノラだった。
「グリズリーも同類だろ。通信機回線が開きっぱなしだったぞ」
『うっ、恥ずかしぃ……』
通信機越しにそんな声が漏れる。実際、第一一二MS小隊は特別偵察任務の為にサンマグノリア共和国方面へ武力偵察を行っていた。
今回の偵察任務は補給が不安定と言うことから食糧が優先的に配給される為、武装の使用に制限が掛かっており、充電が可能なビーム兵器を優先的に使用していた。
『全く、あなた達が暴れるからこっちは誤射しそうよ』
通信機からクラウの不満げな声が聞こえ、所々で煙の上がる街を眺めていた。
「戦闘は終わった。これから残骸を集める。制御系統が生き残っている機体があれば、中身を剥ぎ取れ」
『まーた面倒な作業か……』
『なんか、これの繰り返しだよね……』
『今のところ敵の増援は確認できず。隊長、作業は可能です』
「了解、優先して制御系統の鹵獲を頼む」
そうして先の戦闘で倒した〈レギオン〉の残骸を一箇所にまとめているとエリノラがふと呟く。
『ウチみたいな国でも最近はレギオンの資材を使うんだものなぁ……』
『そりゃ十年近く戦争してたらなりふり構って居られないってことよ』
残骸を纏めて堆く積まれたレギオンの残骸を見て全員が思わず呟く。
「戦争も変わらざるを得ないと言う事だな」
『なんか……戦争で色々と変わっちゃったね……』
〈レギオン〉の残骸を回収した小隊メンバーは相変わらずテルミットで焼け焦げた制御系を見ながら小さくため息をつく。
アストリアでは鹵獲に成功した〈レギオン〉の重戦車型から制御系統の取り出しに成功し、現在旧式の履帯式戦車〈M61〉に搭載して試験運用されていると噂されている。
四機の〈ジェガン〉は〈レギオン〉の残骸の山に集まると〈ホーンドアウル〉が一機の〈レギオン〉の残骸を見て呟く。
『あれ?今回実弾使った?』
『いや、実弾は隊長の撃ったバズーカ一発だけよ』
『何かあった?』
『いや、これ見てよ』
そう言い〈ホーンドアウル〉が見せたのは一機の戦車型についていた弾痕だった。
『これバズーカの弾痕じゃないですよね』
「そうだな……穴は90mmサブマシンガンよりも弾痕が小さいな……」
『と言うかこんなので戦車型倒せるの?』
『いや、それよりもっと気になるところあるだろう……』
〈ホーンドアウル〉のツッコミで、全員が気付いた。
「と言うことは、この弾痕は合州国のもではない……とすれば……」
『まぁ……共和国のものじゃない?』
〈オストリッチ〉の当然とも言える推測に〈グリズリー〉から疑問が出た。
『でしょうね。でも、この貫通痕は60mmくらいよ。戦車型を倒すには不十分、最低でも90mmはないと……』
『これ狙撃銃で三キロ先のアルミ缶を撃つくらい難しいわよ』
「だが、これで分かった事が幾つかある」
『何です?隊長』
するとリノは器用に指を三つ立てながら言う。
「一つは共和国が60mm以下の砲弾で〈レギオン〉に対抗している事。
二つ目は共和国軍がここで戦闘をしていた事。
三つ目は弾痕が比較的新しい事からここ数日までここで戦闘が行われていたと言う事だ」
たった一個の弾痕でここまで判断できる事に隊員達は驚きの声を漏らした。
その時……
ドンドンッ!!ドォォン!!
市街区のほぼ反対側から爆発音が聞こえ、阻電攪乱型の埋め尽くす空に赤色の光が反射していた。
『あれは……』
「偵察だ、ホーンドアウル。確認を、マイクロドローン展開」
『りょ、了解。マイクロドローン展開、ESM起動。ドローンとの有線接続良好。映像を回します』
〈ホーンドアウル〉から飛ぶドローンの光学映像が映し出され、爆炎の広がる市街地を映し出していた。
サンマグノリアの市街地では〈レギオン〉に相対する戦闘機械がいた。
それはとても華奢な脚部にボロボロの白いコックピット。そして小さな弾倉式の滑空砲。
見るからに弱そうな戦闘機械が廃ビルを駆け回っていた。
『戦隊、攻撃を開始して下さい』
「了解」
機体性能の限界を引き出して動き回るのはサンマグノリア共和国が開発した
だが、実際は実用レベルの戦闘用AIの開発に失敗し、人ではないと共和国から迫害を受けた有色種……通称、エイティシックスが動かす有人式搭乗式無人機である。
戦時急造の突貫品で、事あるごとにアルミの棺桶と言われる欠陥機である。
そんな機体を動かすのはまだ年端もいかぬ少年少女達だ。
そして今ここで戦っているのは東部戦線第一線区第一防衛戦隊スピアヘッドである。
「ブラックドック。方位一二〇、距離五〇〇ビルを超えてくる。顔を出したところを叩け」
「了……解!」ドォン!
ジャガーノートの主兵装の57mm滑腔砲は近接猟兵型に命中し、〈レギオン〉は一気に擱座した。
そして死の間際の戦闘は確実に〈レギオン〉の数を減らし、戦闘も終盤に差し掛かった時、戦場に異変が起こった。
「っ……!?」
シンは風を切る音と共に落ちてくる
「総員散開。大きいものが落ちてくる」
『大きい物!?』
『何だよそれ!!』
そう言いつつも散開したジャガーノートは空から落ちてきた物に驚愕した。
『レ、戦車型!?』
『何で上から……っ!?』
一人が落ちてきた戦車型に驚いていると戦車型は誘爆し、大きな爆炎を起こしていた。一体何事かと思っていると変わり者指揮官から通信が入った。
『〈アンダーテイカー〉、報告を!何が起こったのですか!?』
「上から破壊された戦車型が飛んできました」
『そ、それはどう言う……』
困惑する指揮官に淡々と答える。
「文字通りです。ですが、レギオンの部隊も撤退を開始したので問題ありません。損害ゼロ、これより帰投します」
『ま、待ってください!まだ、状況報告を……』
指揮官が言い切る前に〈アンダーテイカー〉と呼ばれた少年は耳に指を当てて通信を切っていた。
『いいのか?通信を切って』
「問題ない。声もしないし、帰っても良いだろう」
『帰るって……お前なぁ……』
通信機の先から別の少年の声が聞こえ、呆れたような声が聞こえた。
すると少年は一人搭乗機を動かしてその場から移動し始めた。
『おい、シン!』
『何処行くんだよ!!』
『チッ、追いかけるぞ!』
少年に続くように他の機体も少年の機体を追いかけ始めていた。
『おい!何があったんだよ!!』
「この先で
『まじか……』
『声が消えたって事は……』
『鴨以下ってことだ!!』
若干興奮気味に聞こえる声を横に戦闘機械は〈アンダーテイカー〉が止まったところで一斉に止まった。
『ここか?』
「ああ」
『んま、さっさと終わらせっぞ』
「まて」
〈アンダーテイカー〉がそう指示をするとさまざまな建物の影に隠れながら様子を伺っていた。
『あれを見ろ』
〈アンダーテイカー〉は指を差した。その先を全員がカメラで確認をする。
『何だこれ……』
『ねぇ……ここに私たち以外誰かいた?』
そこには崩壊した建物群に焦げ臭い匂い、至る所で煙が立ち込めていた。
『何…これ……』
『おいおい、新型のレギオンかよ……』
一直線に抉り取られたように窪んだ道路、よく見るとその道路も所々が赤くなっていた。恐らくはアスファルトが融解したのだ。そう、融解。
『あっ、あれ!』
少女の声がした先には堆く積まれた〈レギオン〉の残骸があった。
『レギオン……の残骸?』
『そのようね……でも誰が……』
その時、後ろからだった。聞いた事ないモーター音と重い足音のような音が一瞬だけ響き、咄嗟に振り向くとそこには幼い頃テレビで見ていた青と白色の巨大なロボットが手に銃を持ってこちらを見ていた。その大きさは街にあるビルと同じくらいで、まるで自分達が虫の様に思えた。さらにその後ろでは赤と白色のロボットが肩に担いだ太い銃身を向けていた。
『敵っ!?』
『クソッ!罠か!!』
『あのでっかいの何!?』
『知るかよ!!』
即座の機体を回転させ、砲身を向け、引き金を引こうとしたが……
『所属不明機に警告。三分以内に何かしらの返答をしなければレギオンと見なし、速やかに攻撃を開始する』
突如、青年の声がスピーカーから響き、それが作り物の声ではないと分かった。しかし……
『ふざけんな!訳もわかんねぇこと言ってんじゃねえよ!!』
『大体あんた何者よ!!』
そう言った文句の声が聞こえ、ほぼ全員が同じ気持ちであった。
そして全員の緊張が最高潮が高まった頃、コックピットの開く音が聞こえ、一人が外に顔を覗かせた。
『『『シン!?』』』
外に出た少年に全員が同じような声を出した。しかし少年はコックピットを降りるとそのままロボットに向かって話した。
「サンマグノリア共和国東部戦線第一戦区第一防衛戦隊スピアヘッド戦隊長シンエイ・ノウゼンだ」
そう名乗り出るとロボットはしばし無言をした後。人で言う胸の辺りが開き、そこから一人の白いウェットスーツのような服の上にさらに青い線の入った白いジャージのような物を羽織り、頭にはスモークガラスのヘルメットをつけたいかにも怪しい人物が降りてきた。
その青年はヘルメットを持つと頭からそれを外した。ヘルメットからは金髪碧眼の青年が顔を出し、青玉種のようであった。
するとその青年はシンを見て言った。
「先ほどはすまない。私はアストリア合州国陸軍第一一二MS小隊小隊長リノ・フリッツ少佐だ」
『アストリア……』
『合州国……?』
聞いたことない名前に疑問を呈しているとシンはリノに質問をしていた。
「貴方方がここにいるのは何故だ」
「何故だ、って……君は敬語という物を軍学校で習わなかったのか?」
「習ってない、それに学校にも行ってない」
「……まぁ、この際こっちが悪いだろうからいいか」
リノはそう呟くとシンはリノの後ろにあるロボットを見ていた。
「リノ少佐殿、後ろのそれはなんですか?」
「これか?これは我が軍の装備、人型機動兵器……この話はまた後でしよう」
そういうとリノはシンに聞いていた。
「さて、事前通告なし、パスポート無しの越境をした我々は何処に連れて行かれるのですか?」
リノの問いにシン達は、えっ、と言った様子で困惑した。そもそもそんなことを一切学んできていない自分達にどうすればいいのだろうか。ここは上の白豚どもに聞くべきなのだろうか。
返答に困っているとシンは答えた。
「……取り敢えず貴方方の保護をさせて下さい」
「ほぅ?」
シンの返答に疑問を持つとシンはその訳を話す。
「貴方がどんな人物かは分かりません。どうしてここに居るのかも知りません。しかし、貴方が〈レギオン〉ではないのは確かですから」
「……」
ポカンとした様子のリノは後ろを振り向き、何かしらの合図をすると奥にいた赤色のロボットが持っていた大きな銃と肩に担いでいた大砲の銃口を降ろした。
「ここは前線です。〈レギオン〉がいつ来るかもわかりませんから」
「……分かった、君の言う通りにしよう」
そう言うとリノはヘルメットを被って再びコックピットに戻るとロボットは動き出した。
普段のシンからは考えられない行動に他の仲間達が疑問を投げかける。
『ねえ、いつものシンらしくないよ』
『どうしたんだよ』
投げかけられた疑問にシンはこう答えた。
「あのロボットがどうやってこの共和国に来たのか。それに……」
『『『それに?』』』
「外の話を聞けるかもしれない」
『『『……』』』
シンの話に全員が一瞬だけ同じ気持ちになった。
知らない国だが、ここまで迷い込んだと言う事はそれだけ運がいいか、実力があるかのどっちかと言うことだ。
答えがどっちでも、外の世界を見てきたと言うことだ。
案外、面白い話が聞けるかもしれないと思っていた。
オペレーション・ハイスクールをやるか否か
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やってほしい
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やらなくていい