星暦二一二二年(海上世紀〇〇七九年)一月三日
増えすぎたアストリア合州国の人工問題解決のために合州国の沖合に作られた七つの水上人工都市群の一つ、《サイド3》はジオン公国と名乗り、合州国に戦線を布告。独立戦争を仕掛けた。
のちに一年戦争と呼ばれるその戦争はさまざまな新技術の開発を促進させた。
戦争序盤でジオン公国は最新兵器《モビルスーツ》を使用し、圧倒的優勢に戦局を推移させていた。
この時、合州国軍の通信や作戦を混乱させるために開発されたミノフスキー粒子は通信妨害やレーダーを使用不可にさせ、合州国軍を大いに混乱させた。
そしてこの時の教訓が現在のレギオン戦争にも生かされていた。
戦争序盤にジオン公国は悪魔の計画《ブリティッシュ作戦》において合州国の所有する人工衛星全てを合州国軍司令部ジャブローに落とす計画を発動。しかし予想は外れ、落とされた人工衛星は合州国各地に落下。そのうち最大の人工衛星であったアイランド・イフィッシュは大陸南方の都市セドニーに落下し。五〇万人の犠牲者と直径五キロのセドニー湾を形成した。
特にサイド5《ルウム》近海では史上最大規模の海戦が行われ、そこで公国軍のモビルスーツ相手に敗れ、この時の経験から合州国軍は反撃の為の『V作戦』を立案した。
合州国本土の約七割を占領された合州国軍であったが、『V作戦』で設計、開発された合州国軍の傑作モビルスーツ《ガンダム》や量産型の《ジム》の活躍もあり、オデッサ作戦において大陸からジオン公国軍を南端に押し込む事に成功。
その後、ジオン公国が南端に設置した要塞ソロモン攻略を行い、これを攻略。
その勢いのまま合州国軍は、ジオン公国最後の要塞、ア・バオア・クー要塞を攻略し、陥落。
一年戦争は星暦二一二三年(海上世紀〇〇八〇年)一月一日にジオン公国の敗北で幕を落とした。
今日、これらの要塞はジークフリート要塞戦線に移設され、レギオン相手に国防の任に付いている。
それ以降、合州国は他国のフェルドレス開発競争には参加せず、モビルスーツと言う全く別の技術の開発に勤しむのであった。
合州国にとって幸いだったのはジオン公国はギアーデ帝国との折り合いが非常に悪く、モビルスーツに関する情報が諸外国に一切流出しなかった事だろう。
星暦二一四九年 十二月二〇日
アストリア合州国 ルイジーナ州沖
人工水上都市群 サイド5《ルウム》 テキサスコロニー
一年戦争時に、ジオン公国によって破壊されたこの場所は戦後に修復が行われ、現在は合州国本土に畜産物、農作物を提供する重要な生産拠点であった。
ルウムは大陸南端にある世界一巨大な島、ルナリス島に存在するMSの生産工場フォン・ブラウン、グラナダと同程度に重要視されている。
年の瀬も近くなってきたこの日、ここテキサスコロニーではリノとエリノラが休暇で遊びに来ていた。
先の回廊作戦の後、怒涛の書類仕事を終えて戦闘大隊には二ヶ月の休暇をもらっていた。
「ここに来るのも意外といいねぇ」
「ああ、そうだな。仕事を忘れられて、いい場所だよ」
そう言いながら二人はテキサスコロニーの宿で海を眺めていた。
保護されたエイティシックスは共和国にたどり着いた連邦と合州国の間に結ばれた協定で、軍属する者は連邦へ、市民として生活する者は合州国の国籍が与えられ、それぞれ市民として迎え入れられた。
今でも軍属に所属するエイティシック達に対し『子ども達に戦争をさせる愚か者』と政府を糾弾する者達もおり、問題はまだまだ多い。
共和国に行き着いた事で西方のその他周辺国の生存もいくつか確認でき、共和国の愚行も世の知れ渡ることとなった。
特に合州国はMS強奪に関して共和国政府に対し批判を行い、その証拠を大々的に公開。
一部では共和国政府高官と掴み合い殴り合いになったと言う情報もあり、合州国国内の世論は反共和国一色に染まっていた。
現在、合州国は共和国から得たエイティシックスたちの戸籍情報を元に市民生活をする者たちに一定の教育を行う為のプログラムを実行。数多のボランティアがソレに賛同し、募金活動も行われていた。
リノは紅茶片手にため息を吐きながら呟く。
「ハァ〜。この休暇が終わったら連邦に移動ですか……」
「そこは仕方ないわよ。上層部が考えた事ですもの」
リノのため息にエリノラが諦めたように言う。
独立機動部隊の創設
ギアーデ連邦とアストリア合州国が主体となって編成される国際的な枠組みで構成される特殊部隊である。
今回の編成で名簿表を見たリノ達は驚きと苦笑を混ぜ合わせたような表情を浮かべ、ハルトやレッカに関しては名簿表を見て涙を溢してしまっていた。
そしてその独立機動部隊に合州国からはストライカー戦闘大隊が送り込まれることが決定した。
各戦域のエースが集められているのにいいのかと思う部分もあったが。上の考えていることはよくわからないもので、休暇明けには連邦に向かう準備が行われることが決定していた。
「しばらく国には帰れないか……」
「手紙とかは送れるから問題はないと思うわよ?」
「そうか……」
リノは若干諦めたようにつぶやいた。
回廊作戦で合州国は共和国と連邦に物理的に繋がった。
その後、連邦と共和国に貨物列車の行き来が行われるようになり、すでに物資や人の行き来が行われるようになった。
その様子はニュースでも流れており、リノ達もそれを基地で見ていた。
十年ぶりの再会を果たし、涙する市民の映像は見ていた者に印象を与えていた。
貨物輸送の中には郵便物も入っており、連邦から合衆国へ手紙の郵送なども行われていた。
そのため、リノは連邦から合州国の孤児院に手紙を送ることもできるのだった。
「ソレに、リノは連邦に行きたがっていたし。ちょうど良かったじゃない」
「……そうだな」
エリノラはリノを優しい目で見るとリノも少し間を置いて、どこか思うような目をする。
「やっと…連邦に行けるのか……」
リノはそんな言葉を紡ぎ、海風の吹くバルコニーで空を眺める。
エリノラはそんなリノを見て手を優しく握る。
「大丈夫、きっと見つかるよ」
「ありがとう……そう言ってくれるとホッとするよ」
リノはそう言うとエリノラに優しく微笑む。
エリノラは彼の婚約者として、彼の
「辛かったらいつでも言ってね。私に出来ることは少ししか無いけど、出来る限りの事はするから」
「俺は、エリノラが常に隣にいてくれるだけで十分だよ。ありがとう」
そう言い、二人はお互いに微笑むと出していた紅茶セットを片付けて火の沈む夕陽を背に、部屋の中に戻って行った。
この後、二人はチェックアウトするまでヤル事をヤッていたと言う。
星暦二一五〇年 二月二〇日
ギアーデ連邦のとある場所
そこにはガラスの棺に囲われて佇む、一機のスカベンジャーと七機ジャガーノートが鎮座していた。
その建物には本来国立墓地にあるはずの石碑もあり、そこには名前が彫られていた。
その石碑の前で四人のライトグレー色の軍服を着た男女が目を閉じて黙祷を捧げていた。
「隊長達はここまで来たんだ……」
「ようやく…辿り着いたのね……」
そのうちの二人がそう呟き、懐かしそうに首のない死神の描かれたパーソナルマークを見る。
残りの二人も他の機体に書かれたパーソナルマークを見て懐かしそうに見ていた。
「俺たちはここまで来たぞ」
「ええ、そうね」
四人は思い思いにジャガーノートを見るとそのままガラスの部屋を後にする。
外では量産品にスーツに身を包んだ男性が四人を待っていた。
「こんなところにいて良かったのですか?エルンスト大統領閣下」
「僕がいなくても政府は成り立つからね。問題ないよ」
そういうエルンストに四人は思わず苦笑せざるを得なかった。
するとエルンストはわざとらしく四人を案内する。
「それじゃあ、これから君たちと行動を共にする隊員達の紹介をさせてもらうよ」
「ええ、よろしくお願いします」
黒髪にサングラスをかけた中佐の階級章をつけた青年がそう言い、四人は草原の先に立っている七人の連邦の軍服を着ている少年少女達を見た。
「ーーーで、俺達はなんで呼ばれたんだ?」
「エルンストが呼んでいた」
「いや、そこはもっと詳しく教えてよ……」
「今度の部隊で一緒にお世話になる人と挨拶だってよ」
草原で四人の青年達が呟く。
「あーあ、休暇中に呼ばないで欲しかったなー」
「それはそうだな」
「私も、同感ね……」
その横で少女達も同じように不満を言いあっているとエルンストが見慣れない軍服に身を纏った四人を連れて歩いていた。
「見慣れない軍服だな……」
鉄色の髪の青年が服装を見て疑問に思う。
「どこの人?」
次に赤髪の少女が疑問に思う。
「あれは……」
青みがかった白髪の少女が彼らの服装を見ると隣にいた黒髪の少女が答える。
「合州国の軍服じゃないか?」
「あぁ……ハルト達の行った国だな」
金髪碧眼の青年が呟く。
「じゃあ、レッカの事知っていたりするかな?」
「いや、分かんないでしょ。あの国広いみたいだし」
赤髪の少女の疑問に金髪緑目の青年が答えた。
そして話していると近づいてくるエルンストを見て七人は一斉に敬礼をする。
エルンストの案内で四人は七人の前で敬礼をする。
すると七人の内、黒髪の少年が一歩前に踏み出し、名前を名乗った。
「初めまして。ギアーデ連邦軍大尉ーーシンエイ・ノウゼンです」
そう名乗ると相手の二十歳であろう黒髪にサングラスをかけ、合州国のライトグレーの軍服を着た青年士官は懐かしそうに、穏やかに言う。
その後ろでは金髪赤目の青年と茶髪緑目の少女が手を若干震わせていた。
ん?震わせていた?
「初めまして……ではないかな。
「?」
すると青年士官と他の三人は帽子を取るとサングラスやカラーコンタクト、それぞれ付けていたであろうカツラを取ってその素顔を見せた。
「「「「「「「!?!?!?」」」」」」」
その素顔を見た七人は驚きのあまり声も出なかった。
後ろに居た赤髪の青年が満足げな笑みを浮かべ、その横で茶髪の少女が呆れたようにため息をつく。
するとサングラスとカツラを取った金髪碧眼の青年は改めてシンに敬礼をする。
「お久しぶりです。アストリア合州国陸軍中佐ーーリノ・フリッツです。また会えて光栄ですよ。ノウゼン大尉」
「……」
シンは思わず、唖然としていると後ろに居た六人がいきなり驚いた声をあげた。
「「「「「「ハルト!?(レッカ!?)」」」」」」
そして六人はそれぞれ飛びつくように二人に近づいた。
その目には涙が浮かんでおり、ほぼ二年ぶりの再会にハルト達も涙を浮かべていた。
その様子を見てリノはやれやれと言った様子で小さくため息をつく。
「はぁ……サプライズというのもなかなか大変なものだ」
「でも、面白かったわね。今のあの子達の表情」
リノの後ろでエリノラがそう言い、リノは頷くと再会で盛り上がっている彼らを優しく見つめていた。
その時、再会を祝福するかの如く平原の大地に花びらを纏った風が吹いていた。
合州国の技術レベルは大体ユニコーンくらいの時の技術だと思ってて下さい。
それと宣伝です。
試験的にオリジナル作品を書いてみました。
感想を書いていただけるとありがたいです。
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オペレーション・ハイスクールをやるか否か
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