星暦二一五〇年 二月十五日
アストリア合州国 カリフォルニヤ州 ビール空軍基地
そこでは現在ギアーデ連邦に向かう貨物便にストライカー戦闘大隊を乗せるための準備が行われていた。
その空軍基地の一角で、ハルトがリノ達に紙袋を持ってきて中身を見せた。
「カツラ?」
「カラコンに……」
「サングラス?」
リノ、エリノラ、レッカの三人は疑問に思っているとハルトがある計画を考える。
「俺が思いついたサプライズ企画!隊長達に会う時にこれを付けていく!」
「大丈夫なの?」
「ああ、これ怒られないか?」
「大丈夫大丈夫。すでに許可は取ったから」
しれっとすごい事を言うハルトにリノは思わす変な声で呟いてしまう。
「嘘ぉ……」
「こういう時だけは仕事早いわね。アンタ……」
レッカが呆れたように言い、エリノラも思わず苦笑してしまっていた。
「へへっ、どうせならあいつらをビックリさせてやりたいと思ってよ」
「まぁ……無表情隊長の驚いた顔は見てみたいわね」
レッカもニヤリとした表情で呟く。
こうして四人は顔合わせの時に合わせてそれぞれ変装をした状態で彼らと再会を果たすのだった。
「みんな久しぶり」
「お前…本当にハルトか?」
「じゃなかったら誰なんだよ」
ダイヤがハルトに絡むように話しかける。
同様にレッカもクレナに泣きながら飛びつかれていた。
「とにかに、ダイヤ達も生きてて良かったよ」
「あぁ……あぁ……!!」
「無様に生き残っちゃったけどね」
「あはは、そう言うところがセオらしいや」
ハルト、セオ、ダイヤの三人は二年ぶりの再会に花を咲かせていた。
「うぅ……レッガァ……」
「おーおー、大丈夫?」
「大丈夫……じゃ無さそうだな」
「クレナちゃん可愛いわね……」
一方女性陣はクレナが号泣しながらレッカに抱きついていたので、三人はクレナを優しい目で見ていた。
「よしよし、元気にしていた様ね」
「ゔん、げんぎにじでだ」
「グズグズじゃないの。ちょっと待って」
そう言って顔面が崩壊したクレナにレッカはハンカチを取り出して彼女の顔を拭っていた。
その大人な対応にカイエ達は特に驚いていた。
「変わったな」
「ねぇ、大人っぽくなったと言うか」
レッカの変わり具合に乙女としての何かが刺激された二人であった。
その後、ハルト達と再会したシン達は丘を降りながら話に盛り上がっていると丘の下で止まっていた車にエルンストともう一人、大佐の階級章の女性士官とリノが待っていた。
「久しぶりの再会はいかがだったかしら?」
女性士官がシンにそう聞き、シンは呆れたように言う。
「……貴方だったのですか?」
「いやいや、これはハルトの提案さ」
「成程」
リノの言葉にシンは全てを理解した。彼らしいと思いながらシンは納得をしていた。
すると女性士官はリノに挨拶をする。
「初めましてリノ中佐。ギアーデ連邦軍大佐、グレーテ・ヴェンツェルよ」
「初めましてグレーテ大佐殿。アストリア合州国陸軍リノ・フリッツ中佐です」
お互いに敬礼をするとグレーテはリノに確認をとった。
「それで、あの子達に確認は取れたの?」
「はい、コチラを」
そう言い、リノは二枚の紙をグレーテに渡し、確認をすると今度は横にいたエルンストに渡す。
エルンストも確認を取ると小さく頷き、紙にサインをしていた。
「確認は取ったよ。後は大統領令で彼らの国籍移動を行なっておくよ」
「こう言う時は簡単で楽ですね」
リノが思わずそう呟くとグレーテはハルト達を向くと二人に黒鉄色の軍服を渡す。
「二人とも、今から連邦市民になったから。こっちに着替えてもらうわよ」
「「「「「「え?」」」」」」
「はい!」「了解です」
そう言い、制服を受け取った二人は驚愕するダイヤ達を見ると面白そうに言う。
「だって、協定で軍属するエイティシックスは連邦の国籍が与えられるじゃないか」
そう言うと納得しつつも驚くダイヤが恐る恐る聞く。
「じゃ、じゃあよ。二人は今から連邦市民ってことか?」
「そう言うことよ」
そう言うと少し沈黙が降りた後、シン達の驚きの声が聞こえた。
ハルト達と再会を終え、連邦内の合州国大使館に戻ったリノは電話をかけていた。相手はアーノルド少将であった。
「閣下、国籍移動は完了いたしました」
『ああ、こちらでも同じような報告を受けた。後はこちらでやっておく』
「はっ」
そう言うとリノは受話器を置き、溜息をつく。
「全く、仕事を押し付けないでほしいもんだ」
今頃街ではシン達が再会を祝して宴会をしているだろう。
そう思い、リノはどうしようかと少し考えていた。
今日のために他の人員や物資、兵器を置いてきて連邦にやってきたが、暇なリノは街に呑みにでも行こうかと席を立ち、部屋を出るとそこではエリノラが私服姿でリノを待っていた。
「これからどこに行く?」
「待っててくれたのか……」
「じゃないと寂しいし」
「そうだな……」
リノは少しだけ微笑むと部屋で私服に着替え、大使館を出て近くの街を歩く。
連邦の首都だけあって人が多く歩き、街は明るく照らされていた。
「合州国と違って落ち着きがあっていいな……」
「そうね、ゆったりとした感じがあって……」
街を歩く二人は連邦の街並みを見てそう呟くとそのまま開いていたバーへと入っていった。
同じ頃、ダイヤの提案で街で食べ歩きをしていたハルト達はバーに入っていく元上官を見つけた。
「あれ?中佐とエリノラさんだ」
「え?どこどこ?」
「ほらあそこ」
「本当だ」
全員が二人を見る中、カイエだけ別の場所を見ていた。
「……指輪?」
「「「「え?」」」」
カイエに呟きに全員が一斉に二人の手を見る。
するとそこには街灯の明かりに照らされて光る二つの指輪があった。
「あれって……」
「ま、まさか……!!」
「あ、そっかみんなは知らないのか」
「どう言うことレッカ?」
クレナに疑問にレッカは言う。
「だってあの二人、婚約者だもの」
「え……」
「「「「「えぇ、ウッソぉ……!?!?!?」」」」」
全員が驚きながら聞き返すとハルトは当たり前のように言う。
「だって、あの二人。仲良いし、幼馴染見たいらしいぞ?」
「そ、そうなのか?」
「おん、俺が向こうにいた時に教えてくれたんだよ」
ハルトがそう言うとカイエがぶっ飛んだ質問をした。
「じゃあ、関係は進んでいたりするのか!?」
「さあ……?でもあの感じだとヤッてそうなんだよな……」
「おお、そうか!じゃあ「カイエはそれ以上言わない!」アッハイ……」
若干興奮したように見えたカイエにクレナが慌ててストップをかけていた。
現在、四次会をしている彼らだが、次に行く場所は必然と決まってしまった。
バーに入った二人はカウンターで酒を嗜んでいた。
「……それで、話す事って?」
「ああ、本国から送られてくる補給品の話だ」
「あら。ここでも仕事の話?」
「酒を飲みながらなんだからいいだろう」
酒にめっぽう強い二人はウォッカをストレートで飲んでいた。
「まぁ、それで何だが。本国からM61戦車が送られてくることになった」
「あの棺桶が?」
棺桶とは合州国軍の旧式主力戦車、M61戦車のあだ名であり、現在は生産が停止している。一年戦争時に既に旧式化していた戦車だったが、余剰パーツが大量にあった。
そんなガラクタが送られてくることにエリノラは疑問が浮かんだ。
「ああ、だがそのM61には試作ではあるが半自立型戦闘用プログラムが入っているそうだ」
「半自立型……」
「ま、今の所は動いているのに向かって撃つくらいしかできない移動砲台の様な物らしいがな」
「もしかして……今度の作戦に?」
「ま、そんな所だ。試験運用のデータと実績を回収するための実験機だよ」
「まだフェルドレスの開発もままならないのに?」
「MSに乗せるためだろうな」
「ああ……成程」
エリノラは納得した様子で頷く。
現在、合州国では膨大な予算をかけてレギオンと同等かそれ以上の性能を持った完全自立型無人兵器の開発に着手している。
理由は簡単だった。
無人機には訓練する時間も労力も要らず、さらに人の居る空間をまるまる装甲に変更できるからだ。『合州国は畑から兵士が取れる』と言われてはいるが、それでも無尽蔵ではない。
もし、無人兵器が実用化できれば前線で兵士が命を落とす事無く、国を守ることができる。
帝国の真似をするのか?と言われても実績がそこにはあるわけで……
『合州国は帝国の教え子である』
誰かが書いた本にはその様な核心めいた言葉が書かれていた。
確かのその通りだろう。過去に行われた帝国との戦争で合州国は帝国の機動戦術を逆手に取って帝国との戦争に勝利した。
それ以降、帝国の技術を合州国が真似るのは十八番であった。
そして今回も合州国は帝国の真似をしようとしていた。しかし今回は少し違う部分もあった。
「MSは帝国にはない合州国のみの技術だ。そこにレギオンの技術が合わされば……」
「悪夢の様な組み合わせね……」
「然り、合州国は昔から帝国の真似をしてきた国だ。今回もそれをするだけと言うことよ」
合州国には帝国からの移民者も多く、その中には没落した貴族も含まれ、技術者として迎え入れられた者もいた。
さらには中央情報局と言うスパイ組織の存在もあり、帝国技術者の書く設計図の横でそれを合州国技術者も見ていると言わせる程に帝国の技術は合州国にも流れていた。
「ま、今回ばかりは時間がかかっているがな」
「まぁ、そればかりは仕方ないわね」
そうして二人はバーで酒を飲んでいた。するとそこに携帯で連絡があり、相手はハルトからのサプライズに関する計画であった。
星暦二一五〇年 三月二〇日
リノとエリノラはハルト達がシン達と再会したあの平原の一角に止まっていた車に背を預けてある人物を待っていた。
「
「そうね、あの頃の可憐な少女はどこに行ったのやら……」
二人は軍服を着たまま待っていると遠くから十人の少年少女とエルンスト大統領やグレーテ大佐などが歩いてきた。
「おっと、お出ましかな?」
「まずは顔合わせですかね?」
そう言い、二人は車の前で近づいてくる黒い共和国の軍服に身を包んだ少女に敬礼をする。
その少女もリノ達に敬礼をする。
「お久しぶりです。ヴラディレーナ・ミリーゼ大佐殿」
「お久しぶりです。リノ・フリッツ中佐」
「おやおや、既に知っておられた様で」
「ええ、名簿を見た時に驚きましたから」
レーナはそう言うとリノは優しく語りかける。
「どうやら、追いつけた様で何よりです」
「はい、中佐に先に越されてしまいましたが……」
「どちらにせよ結果は同じですよ」
そう言うとリノとレーナは顔を合わせる。いつかした約束を果たしたが故の感慨深さ。
「……これからも、よろしくお願いします」
「ええ……彼らと共に戦いましょう」
二人はお互いにあの時の確認を取り合い、同じことを思っていた。
「さぁさぁ!人生最高の記念写真を撮るよ〜!」
「こっちを見るのじゃ!」
ハルトと十歳くらいの少女がそれぞれカメラを持ってみんなを呼ぶ。確かフレデリカと言ったか?
その少女がファイドに掴まれて上に持ち上げられ、片手にインスタントカメラを持っていた。ハルトはハルトで三脚にカメラを設置していた。
「そういやぁ、あっちで写真撮った時もハルトがこんなこと言ってたか?」
「そうだね、その時はこんな事になるなんて思ってなかったけど」
「まあ、いいじゃないか。命あっての物種というじゃないか」
ライデン、セオ、カイエがそんな事を言い、お互いに冗談を言い合った。
これまで紆余曲折あって今ここにいる。
これか先、どんな困難が待ち受けているのだろうか。
これから共に戦う彼らと共にリノは何処か楽しみな部分もあった。
そしてシャッターが切られる寸前、リノの右目が青く輝いたのは誰も気づかない事実であった。
オペレーション・ハイスクールをやるか否か
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やってほしい
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やらなくていい