86-エイティシックス- 獅子の来訪   作:Aa_おにぎり

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#27 瞬殺

作戦開始すぐ、エリノラ率いる第二MS小隊は中央駅舎のメイシャフト上部で援護射撃をしていた。

 

ボォォォォォォォォォォォォ!!!

ドンドンドンドンドンドンッ!

チュンッチュンッチュンッ!!

 

準備砲撃で下にいるレギオンに向かって弾幕が打ち下ろされ、最後に落とされたグレネード型燃料気化爆弾が爆発し、恐ろしい突風と地響きを起こした。

 

『ひぇぇ……』

『これ、下のレギオン全滅してない?』

『声はまだしている』

『じゃ、まだ居るな』

「グリズリーより全体へ、突破口を開いた。気をつけて行ってらっしゃい」

 

エリノラの声が聞こえ、シン達は返事をする。

 

『了解』

『行って来まーす』

 

ワイヤーアンカーを引っ掛けてシン達は建物に侵入をする。

 

「弾薬がなくなったら上から下ろすわ」

『モビルスーツって便利だな』

『本当本当、あの電車といい、攻撃と言い、何でもできるね』

 

カイエとクレナがそう言いながら上で待っているMSを見る。

彼等ではトンネルを通れないと言うことから上で待っているが、即席でレギンレイブを下ろすための簡易昇降機を作ったり、上り下りするための金属ロープを持ってきて引っ張ったりとその万能さに舌を巻いていた。

降りる途中、先の準備砲撃でやられたのだろう、レギオンの対戦車砲兵型や近接猟兵型、斥候型などの軽量級のレギオンばかりが残骸となっていた。

大佐の予想通り、戦車型や重戦車型は取り回しがしずらいと言うことから一切いなかった。

既に下では高周波ブレードの切断音や重機関銃の射撃音が聞こえ、簡易昇降機から飛び降りたシン達が戦闘を行なっていた。

 

「もう……焦ったい!グリズリー、落として!!」

『ダメよ、機体がぶっ壊れる』

 

クレナがそう言うもエリノラが却下した。現在、二十四機ある戦隊のうち、十六機が降ろされて戦闘を始めていた。

焦ったく思っていると同じ昇降機に乗っていたセオがワイヤーアンカーを引っ掛けて簡易昇降機から降りて行った。

 

『じゃ、お先ー』

「あ!セオ待ってよ……!」

 

昇降機が揺れる中、他の三機も同じ様にワイヤーアンカーをくくりつけて降りて行った。

 

『……ったく、落ち着きのないガキンチョ達が……』

 

知覚同調越しにエリノラの愚痴が聞こえてきたが、そんな事も気にせずにクレナ達は戦闘の真っ只中に突っ込んでいった。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

スピアヘッド戦隊が戦闘を介した頃、地上では爆炎が起こっていた。

 

ドォォン……!!ドォォン……!!

ガラガラガラッ……

ブォォォォォォォオオオ……!!

ダダダダダダダダダッ!

バキバキバキバキ……ッ!!

 

瓦礫が頭上を飛び、土煙があたりに広がる。

それを見てノルトリヒト戦隊のベルノルトはため息をつく。

 

『全く、少しはコッチのことも考えてほしいもんですよ……』

 

そう言い、本部まで飛んでくる瓦礫の破片を避けながら呟く。

確かにレギオンを全てやってくれるのはありがたいが、破片が飛んできで滅入ってきていたのだ。

 

幾つか大きめ瓦礫も吹っ飛んできており、指揮車であるヴァナビースを動かさなければいけない事態もあった。

一番すごかったのはビル一個丸々を潰してレギオン部隊を潰していた事だった。

視線の端では青と白に塗装されたMSがビームを放っていた。

 

チュォォォォォンン!!チュォォォォォンン!!

 

『すげぇ火力だ……』

 

同じノルトリヒト戦隊のメンバーが呟き、目の前にはレギオンの残骸で構成された簡易的なバリケードが出来上がっていた。

すると知覚同調越しに通信が入った。

 

『こちらスピアヘッド戦隊。第一層の攻略完了しました』

『了解です』

『第一層の攻略が終わったなら。私も行くわね』

『アスハ少尉です。予定通りファランクス隊も移動します』

『アスハ、阻電撹乱型も多い。気を抜くなよ』

『大丈夫だ。()()、警戒を怠る気はない』

 

アスハは小さく笑いながらそう答えた。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

アネットは作戦本部から少し離れたかつてのオフィスビルに足を運んでいた。

救援派遣軍の部隊がここで知覚同調が知らない誰かと通信をして付いたり消えたりを繰り返していたそうだ。

B級オカルト的な話ではあるが、通信が途切れたと言うことに変わりはないので調査に来ていたのだ。

ーーーアネットの様なまともな研究者が他にいないと言う悲しい現実もあるのだが……

 

オフィスビルに入り、アネットは念のため護衛のファランクス戦隊にも異常は見られなかった。

この知覚同調は分からない事だらけだが、取り敢えず作動はする程度の代物なのでその点では共和国も連邦も変わりはなかった。

と言うか、これを改造して一日万単位で出荷する合州国がおかしいのだ。

戦前から帝国と真っ向勝負できるだけの国力は伊達じゃないと思うのも道理であった。

そんな事を思いながら白衣を着ているアネットはビルのエントランスを歩き、ある一角を覗き込んだ。

 

「ーーーーあぁ、成程」

 

暫しの沈黙ののち、アネットはそう呟いていた。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

同じ頃、車両基地ではガンタンクが射撃を行なっていた。

 

「撃て撃て!この砲ならヤツラも簡単に吹き飛ばせるぞ!!」

 

ドンドンッ!!

ドォォン!!ドォォン!!

シューーー……ドォォン!!

 

クラウの持っていたハイパーバズーカが火を吹き、爆発を引き起こしていた。

レギオンの吹き飛んだ足がガンタンクに当たる。

 

『まるで台所のアレだな』

『ああ、春になったら出で来るところもそっくりだ』

『ちょっと!私その話嫌なんですけど!?』

 

ドミトル達の話にクラウが文句を言ってくる。

だが、そんな軽口を叩けるくらいには余裕があった。

現在彼等は車両基地でやってくるレギオン相手に攻撃をしていた。

 

『こちら歩兵部隊。支援砲撃を要請する!』

「了解した。巻き込まれない様に注意しろ!」

 

ドンドンッ!

 

ガンタンクから二〇〇ミリ砲弾が飛び、大きな土煙を上げる。

街への損害はいくらでも出していいので彼等が思う存分滅茶苦茶にしていた。

 

『ヒャッハー!!』

『最高だぜぇぇぇ!!』

 

イカれた声が響き、ドミトルは残弾数を確認しながら砲撃をする。

現在リノは街中で戦闘を行なっているだろう。それまでレギオンの攻撃を抑えるのが自分の任務であった。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

リノは街中で戦闘を行なっていた。

襲来してくるレギオン相手にビームを撃って焼き払い、撃退をする。

この攻撃で今まで五個ほどのレギオン部隊を殲滅してきた。

 

「……」

 

しかし、リノは嫌な予感を感じていた。

勘とも言うべき不思議な感覚を感じていると突如、未来視の能力が発動し、咄嗟にニークラッシャーからビーム・サーベルを抜き、右斜め後ろにサーベルを向けた。

 

ギィン!!

 

金属が当たる音が聞こえ、視線の先には青いセンサーが灯り、ガンダムをじっと見つめていた。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

同じ頃、地下にいるシン達は自動工場型の制圧を行なっていた。

 

「アンジュ、ダイヤ。二〇秒後に通過するガントリークレーン。右から三番目のクレーンの陰。おそらく自走地雷だ。近接榴弾で叩け」

『『了解』』

 

二人はそう返事をしていた。同じ部隊にダスティン・イェーガーと言う白系種の男が入隊したが、彼はアンジュに好意を寄せていたが、ダイヤがいたことで身を引いた様子であった。

 

「セオ。戦車型の陰に敵機群。時期に出てくるぞ」

『了解……あ、チラッと見えた。近接猟兵型だね。リト、撃ち漏らした分はよろしく』

『りょーかいです』

 

榴弾が天井で炸裂し、人の形をしたものの破片がバラバラと降る。

組み立て中の戦車型の残骸を乗り越え、飛びかかろうとする近接猟兵型の一団に薙ぎ払ったアンカーが叩きつけられる。

爆炎の下を二十四機の《ジャガーノート》は走り抜ける。

その走り抜ける最中、シンは強く通った声を聞く。

 

ーー助けて

 

「地上……か」

 

眉を顰めて一瞬だけ視線を送る。

 

なんて事だ。レーナのいる……作戦本部の近くじゃないか。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

ザザと、ファランクス戦隊を近接猟兵型が囲う。

 

「一体どこから……」

 

タイガは舌打ちをしながら戦闘状態に入る。アネットを〈エストック〉に乗せ流よう指示し、一旦引こうとする。

今から駅舎にいるMS隊に援護を要請できるか?

そう思いながら通信をする。

 

「グリズリー、援護射撃を乞う」

『こちらグリズリー援護射撃は了解した。どこに撃てばいい?』

「ポイント……」

 

射撃位置を指定しようとした刹那。

 

()()()()()()()()()()()から閃光が走った。

 

「……え?」

 

閃光の先に居たのは火花を散らして擱座する〈エストック〉だった。

 

「なっ……!!」

 

近くに近接猟兵型以外は確認されていない。兵装も同じだ。

なのに次々と切られていく仲間達。

 

『くそっ、何が起こっているんだ!!』

『アイナ、アイナがっ!!』

『ーーあっ、』

 

悪い冗談のように首が飛ぶ。

タイガは最後に視線の端に映る黒色の刃を見ていた。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

ガタッ!

 

指揮通信車でフレデリカが席を立つ。

 

「今……ファランクス隊が……」

「一体何が……」

 

狼狽する少女にレーナは足早に近づく。

ファランクス隊といえばそう遠くない所にいて……

 

 

 

 

 

アネットの護衛をしていた筈だ。

 

 

 

 

 

オペレーション・ハイスクールをやるか否か

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