86-エイティシックス- 獅子の来訪   作:Aa_おにぎり

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途中からざっくりとした合州国の歴史を挟みます。

それと来週から毎週投稿になります。(多分)


ー死よ、驕るなかれー
#31 雪国へ


その日、リノ達は車上の人となり列車に乗っていた。

ボックス席の客車では隊員達がおもいおもいの事をしていた。

 

「ロイヤルストレートフラッシュ!」

「「「何ぃ!!」」」

 

リノ達はポーカーをして今現在クラウに惨敗をしていた。

 

「がぁぁぁ……」

「そりゃないよクラウ……」

「ヘヘッ、じゃあ今日の奢りはエラで」

「ダー、負けたぁ……」

 

四人はつなげられた客車の中で、後ろを振り向く。

 

「長い列車だなぁ……」

 

そこには複線の上にドンとMSや戦車が乗せられた多数の貨車が連なる光景であった。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

二週間ほど前、リュストカマー基地にいるリノ達に連絡があった。

 

『先の戦闘を踏まえ、ストライカー戦闘大隊に追加戦力を送る』

 

この通信にリノ達は疑問に思ったが、よく考えれば増援も納得がいった。

現在、ストライカー戦闘大隊は大隊と言ってもMS三個小隊と歩兵小隊のみ、これでは一個中隊も良いところである。

むしろ、その戦力で今ままで戦ってこれたのが不思議なのである。

国の威厳としてもあるのだろうが、送られてくる戦力は大隊としては十分な戦力であった。

 

「リゼル六機にジェガン十機にetc…大隊二〜三個中隊が編成できるか……?」

 

リノはそう呟きながら列車内で編成を考えていた。

やってきた増援と挨拶を済ませ、短期間だが、訓練を終えたリノは編成で悩んでいた。

 

現在の戦力

ハミングバード×二機

ジェガンD型×四機

ジェガンA2型×四機

ジェガンSC型×二機

キャノンガンDX×四機

ジムⅢ×四機

EWACジェガン×二機

ロト(8インチロングキャノン搭載型)×二機

リゼル×八機

ガンタンク×四両(現在乗り換えのための訓練中)

M61A5E3 Mod.7戦車×八両+予備機一両

装甲歩兵×二四名

 

この戦力の内、歩兵部隊とガンタンク、M61戦車はセットで運用が決まっているので、残りの兵力で編成を行う必要があった。

戦力が書かれたデータを見ながらリノは頭を抱えているとエリノラが聞く。

 

「困っているの?」

「ああ、四機一個小隊の編成はそうだが……」

 

基本的にMSは四機一個小隊を編成する。その為、四機纏まっているジェガンA2型、D型、リゼル、キャノンガン、ジムⅢ、ガンタンクは確実なのだが。二機ずつしかいないガンダム、ジェガンSC、EWACジェガン、ロトは混成二個小隊にするか、機種毎で分けるか。それで迷っていたのだ。

 

「その時は実戦で組み直せばいいんじゃない?」

「…取り敢えず混成二個小隊にしておくか……」

「それで良いと思うわよ?」

 

二人はデータを見ながらそんな事を考えていた。

クラウもその編成に賛成し、編成が組まれていた。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

合州国と連合王国の線路幅は同じである。

 

これは過去の歴史上、合州国と連合王国は何かと友好関係にあるからだ。

戦前に合州国が行なっていた帝国包囲網と呼ばれる国家間同士の結束。それ以前に行われていた大陸戦争において、帝国の南北に位置する両国はお互いに結託することが多かった。

 

 

全ては対帝国の為に……。

 

 

その影響もあり、合州国と連合王国の物資を行き来し易くするために多くの物の規格が同じになっていた。線路幅が同じなのもその一環である。

 

連邦がまだ帝国だった頃、連合王国と合州国を繋いでいた路線は第三軌条方式への工事を行い、列車の積み替え無しで線路を走れるようになっていた。

リノ達ストライカー戦闘大隊は今回この路線を使い、連合王国まで列車を走らせていた。

現在、連邦ではこの線路幅に合う貨車の製造を行うかどうかを議論しているそうだ。

 

ただ、この線路幅の路線はここしか無く、メリットも薄いのでおそらく作られないだろうと予測していた。

 

……と言うか帝国時代も同じような結果になっていた。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

五複線、十本のレールは全てが三線軌条方式となっており、列車はその内二本の路線の上を爆走していた。

MS運送用に開発された四両二編成の大型機関車が並列で先頭を走り、後ろに大量の貨物を繋いでいた。

これでも半分しか運んでおらず、残りの半分は午後の便で運ばれてくる事になっていた。

合州国の北部からノンストップでここを走る連合王国行きの定期便はMSの他にも連合王国が輸入する貨物をコンテナに入れて運んでいた。

その影響で、この貨物も五千メートル級の長大貨物列車と化していた。

 

「はぁ……このまま列車は首都近くの貨物ターミナルまで行くんだっけ?」

「そうだ。そこで俺たちはMSを移動させて場所を開ける。午後の便に間に合うようにしろ」

 

リノは確認を取ると全員が頷き、貨物列車は連合王国の鷲氷ルート、龍骸基底トンネルを通り、運転速度時速一六〇キロで走り抜ける。

一時間ほどして列車がトンネルを抜けると、そこには雪で覆われた白い大地が待っていた。

 

「「「「おぉ……」」」」

 

四人は連合王国の雪景色に驚きながら見ていた。

列車は雪を掻き分けながら途中、荷物の積み替え駅で停車している連邦の軍用貨物列車を見た。

 

「連邦の……()()()()

 

貨物に書かれたコンテナを見ながらリノはそう呟き、一瞬で列車は駅を通過して行った。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

同じ頃、駅で通過していく列車を見ながらライデンが思わず呟く。

 

「なっげぇ貨物……」

「何両繋いでるの?」

 

横にいたセオも永遠と繋がれている貨車の数を見て数えるのをやめてしまった。

雪を舞い上がらせながら永遠と続くコンテナを見続けるセオ達はそこに乗せられている貨物を見ていた。

 

「わぁ……すっごいMS」

「前よりも数増えてねえか?」

 

ライデンがそう呟きながら布で覆われているMSを見ていた。二四メートルの貨車に乗せられている数多のMSやM61戦車、大量のコンテナ貨車、客車が目の前を通過していった。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

貨物ターミナルに到着したリノはそこで客車を降りると下ろされて行くコンテナを見ながら呟く。

 

「寒いな……」

「ね、本当に」

「なんか、冬のニューフォーク見たいね……」

 

貨物ターミナルでMSをトラックに移送するのと、第八六独立機動打撃群と合流をする為にリノとエリノラは連合王国が用意した佐官用の車に乗り込んだ。

 

現在、合州国にはおよそ六千人ほどの元エイティシックス達が暮らしている。

元は百万人ほどいたはずの有色種達の内、わずか一万人しか生き残れなかったのだ。なんという悲劇だろうか、この六千人は戦えなくなった者や、戦えないくらい幼い子、戦いを拒否する子達であった。

それもそうだろう。共和国の強制収容所の記録映像がマスコミに流出したが、自主規制で一切その内容が報じられることはなかったくらいだからだ。

それほどまでのことをしている共和国に対し、国民の怒りは恐ろしいものとなり。合州国内に移住してきた元共和国市民、一部の白系種に白い目が向けられていた。

前者は当たり前だが。後者に関しては完全なるとばっちりであり、続々と苦情が寄せられているそうだ。ひどい時には生卵を投げつけられる事があったそうだ。

政府の苦悩も理解できると思いながらリノは車内で今回の作戦内容について読んでいた。

 

「今回の目標は《無慈悲な女王》の鹵獲、および龍牙山脈拠点の破壊か……」

「だいぶ大変ね……」

「やるしかないさ」

 

車内で二人は作戦書を読んでいた。本来であればエリノラがここに座ることはないのだが、リノの副官ということで特別に許可されていた。

現在二人は正装を着た状態で車に乗っており、作戦書を見終えるとスモークガラス越しに見える連合王国の街を見ていた。

恐らく、今の連合王国の国力を見せる為だろう。

 

まだ、連合王国は死んではいないと。

 

その為にわざわざ遠回りしてジックリと街を見せている。

だが、合州国からの輸入品を見れば連合王国の現状が分かってしまうのも悲しい事実である。

 

現状最も広い国土を持ち、最も国力があるのは間違いなく合州国だろう。

でなければ全国土の解放などと言う偉業はどうなってしまうのだ。

ジークフリート要塞戦線は大攻勢以降、レギオンの襲来が減った影響で予定が少しだけ早く進み、間も無く工事を終える予定である。

マッキー山脈周辺には人も戻ってきており、合州国政府はジークフリート要塞戦線の事を『国境線はレギオンの残骸で舗装されたり』と宣伝して豪語していた。

大攻勢で抜けられた場所には追加で砲塔が設置され、砲撃陣地が完成していた。

砲台は隠匿式の物も多く、さらに戦艦に使われている砲塔までもが設置されていた。

 

レギオンの阻電錯乱型の電磁波はあらゆる通信を妨害するが、一年戦争でミノフスキー粒子を使われ、指揮が大混乱した合州国軍はこれに対処できる実績があった為、戦争序盤では比較的早期にレギオンを食い止めることに成功した。

それでもマッキー山脈まで後退せざるを得なかったが……。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

マッキー山脈は合州国最大最強の防御壁であり、自然が生み出した天然の要塞である。

 

およそ二百年前……合州国がまだマッキー山脈以北の領土を手にしていなかった時代。ここにはマッキー山脈要塞と呼ばれる要塞があり、アストリアが未だ小国であった時代からここは南部地域を守る要所であった。

 

アストリア合州国は元はマッキー山脈以南に存在した小さな小国、『フェノール公国』で起こった民主化革命からだった。

星暦一七四四年に民主化革命が起こったフェノール公国はその勢いのまま周辺諸国、及び南方地域を瞬く間に併合。南方地域一帯に革命を起こした主導者の名を取って『アストリア合州国』と名乗った。

 

アストリア合州国政府は建国当初から対ギアーデ帝国を意識していた。

それは元より南方地域一帯の懸念事項でもあり、アストリア合州国が南方地域を瞬く間に併合できた要因でもあった。

合州国という名前なのは元が小国の集まりだったからだ。行政を円滑に行う為に国を州に置き換え合衆国政府管轄下に置き、国家間の行き来に対する制限を撤廃し、国籍を変えただけと言う非常に簡単な政変であった。

 

もちろん反発する国や人物も居たが、そのような国は編成された最初期の合州国軍に鎮圧された。

その時の動乱に併せて併合した小国の貴族達はその殆どが処刑された。

 

 

合州国は対帝国のために様々なものを規格化した初の国でもあった。

 

ボルトから各種パーツ、さらには当時はまだ最先端の技術であった薬莢式銃弾、鉄道までもが規格統一の影響を受けた。

そのお陰か、一日に夥しい数の武器。製品が作られるようになり、合州国に技術革命を起こした。

そして合州国政府はマッキー山脈に対帝国用の要塞を建設し、いつ帝国が襲ってきても構わないように備えていた。

その為に密かに連合王国とも軍事協定を交わしていた。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

そして星暦一九四〇年、帝国がついに合州国に侵攻をしてきた。

 

ティーガー戦車やストゥーカなど、質で勝る帝国に対し。合州国はM4シャーマン戦車やB-29など、量で戦争をしていた。

幸い、規格化された合州国製品は実に様々な工場で作られ、一度はマッキー山脈以南に侵入を許すも、それを物量で押し返し、逆に帝国領に侵攻をした。

その結果後に《ギアーデ・アストリア戦争》は事実上、合州国の勝利で終わった。

この事は世界に衝撃をもたらし、歴史上初めてギアーデ帝国が明確な負けをした大規模戦争となった。

合州国はこの戦いでメール河以南の帝国領を得た。

この時、烏合の衆とあだ名されていた合州国は一気に超大国まで名を馳せ、資本主義の怪物と言われるようになった。

 

この戦いで世界中の国々がこれからは質よりも量で戦争の勝敗が決まると実感したのだ。

 

この時、合州国はほぼ無制限で他国からの移民を受け入れており、合州国に職を求めて様々な人種が移民を行なった。

そのおかげで合州国は人口が瞬く間に増大し、経済は活性化していた。

 

 

 

 

その後、二回ほど合州国は株価暴落などを経験したが。持ち前の経済力で立て直し、星暦二〇八〇年頃にはついに国内で人口問題が起こり、政府はその吐口として合州国各沿岸地域に水上フロート《コロニー》を建設。

星暦二一〇〇年……二十一世紀最後の年に第一水上都市群 サイド1《ザーン》が完成、その後もサイド2《ハッテ》、サイド3《ムンゾ》と数多の水上都市群が建造され、最終的に戦争前に七つのサイドが完成した。計画では八個目のサイドを建設する予定であった。

 

この水上都市群は各国の注目を浴び。さらに移民希望者が増えると言う悲劇をもたらしたが、それでも合州国は人口問題を解決したかのように思われていた……。





MS輸送用の機関車はIORE型機関車をイメージしています。
あやつ時速八〇キロまでしか出ないけど……

どこの国でも峠区間の路線と重い物はなぜ化け物を生むのだろうか……
EF200とQ2型とかビックボーイとか……

知らん人はググってみてスペック見て。

オペレーション・ハイスクールをやるか否か

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