86-エイティシックス- 獅子の来訪   作:Aa_おにぎり

32 / 186
色々と忙し過ぎてまだエイティシックス最新刊が読めねぇ……
それにどんどん積み上がっていく未読ラノベの山……

意訳:読んでないからネタバレ許さんぞ。


#32 一角獣の城

車に乗り、しばらくした頃。車は巨大な石造りのロータリーに到着をする。

そこで車を降りるとリノ達はそのまま連合王国の一角獣の城に入って行く。

煌びやかな装飾に散りばめられた金の装飾は合州国では珍しい雰囲気を放っていた。

 

流石は大陸に残った唯一の専制君主国家……

 

リノ達はその城の一室に入ると改めてリノは持っているタブレットを起動して本国から送られてきた調査結果を見ていた。

 

「(先の作戦で見つけたザクは他の地域で少数が確認か……量産にまだ至っていないのか……?)」

 

今現在、合州国ではレギオンの制御系の鹵獲に成功している。

プログラムも連合王国第五王子ヴィクトール・イディナローク殿下がネット上に公開したマリアーナ・モデルを元に現在は改良が進み、レギオンの機体を判別して砲撃を行う程成長をしていた。

共和国北部で撃破したザクは戦争史博物館から持ち出されたもので、現在は戦線の一部で確認されているそうだ。しかし、ただ制御系が甘いのか歩く的と化しているそうだ。しかし、ザクが鹵獲された事に上層部の表情は渋いと言う。

他にも、共和国で量産化された羊飼いを放牧犬と称する事や、シンが戦った新型レギオンを高機動型と呼称する事などが書かれていた。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

リノは本国からの報告書を読み終えると正装の堅苦しさに若干の苦言を呈す。

 

「面倒なものだな。正装というのは……」

「それは仕方ないわよ。それに、リノの勲章もいっぱいあるってよく分かるし」

 

そう言い、リノの左胸に大量につけられた略綬と佩用された夥しい数の勲章であった。

そこら辺の将官と同じくらい大量につけられたリノは若干のため息をつく。

 

「あの時は色々と忙しかったな……」

 

リノはそう呟き、初陣で前線を張っていた時のことを思い出す。

 

あの時、旧式のジム単機でレギオン相手に互角にやっていたその光景は救援に駆けつけた部隊から信じられないといった様子で驚かれ、ジムは倒れていたものの、あたりに山積みになっていたレギオンの残骸から一人で全線を張っていたと推測され。治療を終えた後に色々な人物から勲章を大量にもらっていたのだ。

 

その中でも合州国で最も名誉ある勲章、名誉勲章を18歳で受賞した事はニュースになっていた。

その他に殊勲十字章やレジオン・オブ・メリット、シルバースターなど他etc……を受賞し、その中で歴史ある勲章パープルハート章までもを一気に取ってしまった事には苦笑せざるを得なかった。

 

そんな訳でリノは初陣の活躍もあり大量の勲章の他に二階級特進と若獅子と言う愛称をもらったのだった。

戦時中は階級が滅茶苦茶になりやすいとは言うが、二二歳で大隊長とは……

 

まぁ、共和国は一八の子が大佐の階級で指揮官しているんだが……

 

一応隊員達も先の作戦でレーナの指揮に一目置いたようで、彼女を見る目が変わっていた。

追加で送られてきた増援の隊員たちはまだ何も知らないので、心配をしているようではあった。

増援の人員はリノの功績を知っていたようで、俺に相応の信頼を置いているようだったのでそこはホッとしていた。

そんなことを心配していると部屋の扉が開き、そこに共和国と連邦の軍服を着たレーナ達が入ってきた。

 

「よぅ、思ったより遅かったじゃないか」

「あ、あぁ……ちょっと道が混んでいてな……」

 

ライデンが苦笑気味に答えるとエリノラが早速、シン達の足元に居た幼女に近づいていた。

 

「わー、フレデリカちゃん。久しぶり〜」

「何が久しぶりか!この前まで一緒だったであろう!わっ!や、やめ、やめぬか!!」

 

エリノラがギャーギャーと文句を言うフレデリカに気にもせずに膝に乗せる。

エリノラがフレデリカを可愛がっていると、リノ達はそれを優しい眼差しで見る。

 

「其方ら助けぬか!」

 

フレデリカが文句を言うも、リノ達は思わず呟く。

 

「だって……」

「ねぇ……」

「エリノラさんが気に入ったんだし……」

「助けるってねぇ……」

「そのままでも良いのでは無いでしょうか?」

「……」ガックシ

 

レーナの最後に放った一言でフレデリカは撃沈し、諦めた様子で大人しくエリノらの膝の上に座っていた。

孤児院でフレデリカのような年の子の面倒を見ていたエリノラはこういった子供の扱いには慣れており、常に落ち着いた様子だった。

だが、フレデリカの内心は気が気でなかった。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

それはリノとエリノラが二人だけで連邦に来ていた時の事だ。

フレデリカを見たエリノラが真っ先に『可愛い子ね』といってヒョイっと持ち上げられ、その時に何かしらの能力で自分の正体を見破られてしまったからだ。

おろした後、エリノラがフレデリカにこっそりと

 

 

「こんなに可愛い()()様がいたなんて思わなかった」

 

 

と言われ。その時には心底肝が冷えた。

 

 

 

 

 

後日、リュストカマー基地で二人きりになったところで、フレデリカはエリノラに聞いていた。

 

「其方は何故我のことを知っているのだ」

 

そう問うとエリノラは端的に話した。

 

「私の異能よ?触れた相手の記憶を見る事ができるの」

 

警戒心を露わにしながらフレデリカはエリノラに聞く。

 

「……何をする気じゃ?」

「別に?私にこんな幼子を殺す趣味は無いわよ」

 

エリノラはそう答えるが、フレデリカはそれでも警戒を解かなかった。

合州国の国民性上、帝国に仕返しをすると言う前提がある。

そんな時に帝国の皇帝が生き残っていると分かればどうなるか。それは火を見るよりも明らかだった。

フレデリカは冷や汗をかきながら再度エリノラに聞く。

 

「其方は何を考えておる。妾の秘密を知った上で。何を望む?」

 

そう聞くとエリノラはため息を吐きながら先と同じように答える。

 

「はぁ……言ったじゃない。私はこの事を誰にも言う気は無いし、幼女を殺す趣味は無いって」

 

そう言うとエリノラは更に詳しく話す。

 

「私はレギオン戦争で、両親を失った」

「!?」

 

いきなり特大級の爆弾を落とされた気分になった。

 

レギオンで両親を失った??

 

そんなの帝国に一番恨む理由ではないか。

 

それだけでフレデリカは戦慄しているとエリノラはポツリと呟く。

 

「でも、私はそれが良かったんじゃ無いかって思ってる……」

 

そう言うとエリノラは今まで歩んできた事を呟く。

 

「私…この異能のせいで父親に暴力を振るわれていたし……周りからも嫌われていたのよ……」

 

咄嗟にフレデリカは自分の持つ異能を使うと、その光景に戦慄した。自分と似たような異能を持つ彼女。その過去は悲惨とも言うべきものだった。

 

ーーー父親らしき男からの暴言と暴力の嵐

 

ーーー学校ではヒソヒソと悪口を言われ、『気色悪い』『近づくな』と大々的に言わる光景

 

ーーー傷だらけの体に、冷水でシャワーを浴びる光景

 

それはもう悲惨と言うべき光景であった。

フレデリカもそれ以上のことを見るのを思わず辞めるとエリノラがフレデリカに言う。まるでフレデリカの異能を知っているかのように……

 

「分かったでしょ?それで、レギオンが進行してきた時。奴らは全員消息不明になった……」

「……」

 

それはさぞ興味なさそうに、虚な目で言った。

 

このエリノラ・マクマと言う人物はこんな闇を抱えていたのか……

フレデリカは人は見かけによらないものだと感じているとエリノラは更に話し続ける。

 

「それで、私だけ一人別の所にいたから死ななかったけど、それで私は軍に保護されて戦災孤児になって孤児院に入れられた。

でもそこでもこの髪が原因で陰湿なイジメにあった……」

 

そう言い、まとめ上げられた赤髪を触る。

確かに赤髪は帝国の象徴とも言える色だ。だからこそ身寄りもなく、孤独であった彼女は格好の的だっただろう。

フレデリカはそんなことを簡単に予測するとエリノラはなつかしい様に言う。

 

「でも、そんな時に私を庇ってくれたのがリノだったのよ……」

「彼奴がか……」

「ええ、そう…いつも喧嘩早くって。それでいて強くて……喧嘩で負けたのなんか、見た事なかったかも……」

 

彼女はそこで初めて()()()というものに触れたと言う。

そこでフレデリカはエリノラはリノに一瞬の依存をしていると言うのがわかった。

 

婚約者となったのも、彼がいなければ彼女は自分を認識することができないと言う病的なまでに精神が衰弱しているという事だ。

その彼も彼で中々の闇を抱えているように見えるが……

 

そんな話を聞き、彼女も記憶からも誰にも話していない事が分かり、本当に話していないのだと理解した。

警戒を解く事はないだろうが、フレデリカはエリノラを見て一応の信頼を置いていた。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

「(此奴の考えている事はサッパリ分からぬ……こちらの気も知らぬで……)」

 

エリノラの腕の中でフレデリカは不満げにエリノラを見る。エリノラはそんな事気にもせずにフレデリカを愛でていた。

 

フレデリカとしては今この部屋にいる中でリノとエリノラに関しては底の見えない恐ろしい人物という印象であった。

特にリノに関しては余りにも不可解な情報が多く、異能を使って興味本位で覗いたことを深く後悔していた。

 

そんな感じでリノ達が部屋で待っている間、ライデンやシデンはリノの左胸に付いている勲章や略綬を聞いていた。

 

「すげぇ勲章の数だな」

「これは何の勲章だ?一番でっかいなぁ」

 

重ねられて付けられた勲章を見て、ライデン達は興味深そうに見ていた。

リノも若干面倒臭そうになりながらも勲章の説明をしていた。

 

すると後ろで待っていたレーナとシンは声がすると言って二人だけでだけザワザワしていた。

 

「あまりにも近すぎます。少なくとも王都にはいる上に、この王城の中にも。浸透しているにも無理がある」

 

「ーー当たらずとも遠からず。危険はない、無視してくれて構わない」

 

そう言うと部屋の扉が開き、一人の青年が入ってきた。

その青年は連合王国特徴の紫黒の軍服を羽織り、十代後半の少年の細い体躯。

連合王国の習慣である長い髪を切り捨て、透き通る雪肌と吊り上がった双眸。繊細と酷薄を併せ持つ、やや中性的な面差しがいかにも貴族的だ。

 

けれど、その姿にリノは蛇を連想した。

 

人の情を解さない、冷血の瞳。

 

帝王紫の、宝石の様に冷ややかな眼を細めて、冷然と笑んだ。

 

「待たせたな諸君。私はヴィークトル・イディナローク。今日から卿らの同僚だ。……まずはようこそ、我らが一角獣の居城へ」

 

鎖蛇と称される連合王国の王子、ヴィークトル・イディナロークは自己紹介を行なった。

オペレーション・ハイスクールをやるか否か

  • やってほしい
  • やらなくていい
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。