86-エイティシックス- 獅子の来訪   作:Aa_おにぎり

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#37 それぞれの国の戦い方

 

 

 

 

 

ーーーブロロロォォォォォォンン!!!

ーーードドンドンドドドドドォォォォォンン!!

 

 

 

 

 

ーー閃光と硝煙が辺りを包み込む。

 

 

 

ーー猛獣の様なけたたましい音を立てて履帯が動き、エンジンも唸る。

 

 

 

ーー連装砲が今までにない程激しく動く。

 

 

 

ーー発煙筒から白色の煙幕が発射され、白い綿の様に視界を真っ白にする。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

その煙幕はシン達のいる場所まで届き、モニターが徐々に白くなっていく。

 

『すごい……』

 

その光景に思わずクレナが呟く。確かにすごい。

惜しみもなく一五五ミリを撃ち、地面を揺らしている。

八両の戦車は地響きを立てながら大地を疾走する。

その中身混じる様に小型の戦車型MSが走る。おそらく指揮車なのだろう。

旧式の履帯式戦車だが、攻撃力はピカイチ。速度もまあまあ出るので、今でも現役だと言う。

 

 

 

 

 

レギオンの陽動にしては十分過ぎる。

 

 

 

 

 

そう思っていると知覚同調でリノの声が聞こえてくる。

 

『……降下ポイントまで後二〇。総員、上昇を開始。最終ロック解除』

 

上昇?降下ポイント?

 

何を言っているのだろうかと思っているとリノがシン達に言う。

 

『ーーーガキども』

「?」

『よく見ておけ……俺たちの……MSの戦い方ってのを』

 

そう言うと何処からともなくジェット機の様な風を切る音が聞こえ、その音のする後ろを見るとそこにはベースジャバーに乗り込ん多数のMSが周りに単独で飛んでいるMSと共に要塞に向かっている映像であった。

 

『何あれ!?』

『飛んでる……?』

 

そう驚くのも束の間、要塞上空を通り越す寸前、ベースジャバーからMSが飛び降りた。ベースジャバーはそのまま何処かに飛んで行き、その姿が見えなくなる。

 

『全機離脱。これより要塞内に突撃を開始する。……一番槍だ、下手な事して死ぬなよ!』

 

要塞に突撃していくMSのうちの一機、青と赤のオッドアイ獅子の絵が特徴的なMSが要塞の城壁と天蓋の狭間に向かって入って行く。

要塞城壁に長距離砲兵型が迎撃の為に飛び出すも、後方からベースジャバーに乗ったままのジェガンが手に大きなビーム兵器を持って狙撃をする。

ベースジャバーから降りたMSは背中から三つのパラシュートを開きながら城壁内部に向かって持っていた実弾銃を撃つ。

 

ダダダダダダダダダッ!

ダダダダダダダダダッ!

ダダダダダダダダダッ!

 

九〇ミリの銃弾は斥候型や自走地雷にはオーバーキルでズタズタにされており、一瞬で城壁が片付くとそのまま背中のジェット噴射口から勢いよく火を吹かしてそのまま城塞内に侵入をする。

既に内部では戦闘が始まっている様で、時々爆発音が聞こえる。

そして外にレギオンの残骸がゴミを捨てるように空堀に投げられる。

 

 

リノの言う合州国の戦い方……現代の攻城戦と言うものを見た。

 

 

そのことに唖然をしていると一列に並んでいたシリンが呟く。

 

『何とも恐ろしい事をするものです……さすがは要塞攻略の経験があるだけありますな』

 

合州国で起こった内戦……一年戦争については歴史の授業て少しだけしか習っていないが、合州国でMSが盛んに作られる様になった出来事。と言うくらいのイメージしかなかったが、ハルト達の話ではどうも思っている以上にすごい戦いだったようだ。

それ以上のことは聞く気もなかったので詳しくは聞いていないが、今の攻城戦を見て少しだけ気になっていた。

 

 

 

するとレルヒェが何やら呟く。

 

『……さて、我々も急がねばなりませぬな。若獅子殿に遅れをとりますまい』

 

そう言い、アルカノストが崖のギリギリに並んだ。

 

「……?」

 

シリン達の行動にシン達は疑問に思うとレルヒェがシンに言う。

 

『ーー死神殿。貴方は知っておられるでしょう。この体は機械で出来た人形であると』

 

レルヒェはそう言い、段々と呟いていく。

 

『我々はこれ以上人を死なせぬための絡繰であると』

『その為、我々にとってこれは尽くし難い喜びなのですよ』

 

 

その瞬間、

 

 

集結したアルカノストが吶喊した。

 

「なっ……!」

 

それはまるで笛の音に引き寄せられて大河に飛び込む鼠のように……。

 

次々と奈落の谷底に飛び込み。

 

鋼鉄の蜘蛛がひしゃげる音がし、重々しくも異様な音は氷壁に反響する。

 

それが聞こえぬうちに第二列が飛び込む。

 

何の躊躇も無く

 

それどころか少女の笑い声が聞こえる。

 

さらに第三列、第四列と次々に落ちて行く。

 

リノ達が先に吶喊した影響で特に邪魔もなく、次々と飛び込んでいく。

 

落差二十メートルはあろうかと言う空堀がアルカノストの残骸で瞬く間に埋まってゆく。

 

先頭が爆音響く城壁に辿り着き、次の一列がその上に多い被る。

 

まるで煉瓦を組むように自らの機体を建材としながらアルカノストはたちまち上へ上へと積み上がってゆく。

 

 

遥か昔……

 

 

帝国が行った砦攻略の史実の様に……

 

リノ達がなぜ外にレギオンの残骸を捨てていたのかが分かった。

 

 

 

建材とするためだ。それも、この要塞を制圧するために……

 

 

 

 

 

狂気

 

 

 

 

 

そうとしか言いようが無いその光景にシン達は絶句する。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

その光景は要塞内部にいたレーナも見ていた。

 

「ヴィーカ……!」

「同じことをエイティシックス達にやらせる訳にもいくまい」

 

その視線の先、冷え切った視線と表情で笑いながらひしゃげて行く彼女達を見る。

 

「彼女達を惜しんでこれ以上ウィティシックス達を死なせるわけには行かぬ……人は一度死んだら代わりはいない。どこにも」

 

その一瞬、ヴィーカは口を引き結んでいた。その意味はレーナにはわからなかった。

 

「だが、シリンは違う。彼女達は替えが効く。そこに惜しむ必要などない」

 

そこにはただただ冷め切った表情の男が居るだけであった。

 

「ーーーーこれを思い付く彼も彼だな……」

 

ヴィーカの最後の呟きにレーナは疑問に思うのであった。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

駆け上がった最後のアルカノストが前のに対の脚を壁に引っ掛ける。

蒼白の蜘蛛達の死の行軍がこれで終わった。

顔が半分だけとなり、首もコードなどが見えているだけのシリンが微笑んだ。

 

『さあ、お渡りください』

「……っ!」

 

今残ったアルカノストはレルヒェのみだ。

それ以外は皆この道を作るために文字通りこの身を投げ打ったのであった。

 

今要塞内でリノ達が戦っている。

無駄死ににする訳には。

 

奥歯で噛み締めた。

 

「ーー行くぞ」

『そんなっ……』

 

誰かがそう言う中、シンは操縦桿を前に倒す。

 

早く行かなければリノ達が死ぬかもしれない。

 

今ここで彼らに死なれては困る。

 

シンの跡を追うようにスピアヘッド戦隊や他の隊員達もついて行く。

全員が全員泣き出しそうになりながらシリンの残骸を歩く。

 

忘れていた感覚だ。

 

ーー自分たちはあの地獄で生き延びて号持ちとなった。

 

ーーだがそれは数多の死体の上で成り立っていたと言う事実を。

 

ーー生きると言うことは何かを殺すことでもある。

 

 

 

 

 

ーーそうでもしないと生きられなかったから……。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

要塞内部 とある区画

 

そこでは突入したMSが攻撃をしていた。

 

ーー実弾銃を撃ち、ビーム兵器を撃ち

 

ーー斥候型を

ーー自走地雷を

ーー長距離砲兵型を

 

 

 

ーー全て撃ち抜く。

 

 

 

 

脅威となる長距離砲兵型も回転砲塔や装甲を持たないが故に横に回れば簡単に撃破できる。

 

九〇ミリ砲弾は長距離砲兵型が密集しているお陰でまとめて片付けることができ、残骸が出来上がっていた。

 

『数が多いな……』

「後ちょっとだ!行けるぞ!」

 

リノが激励をする中、被害報告も上がっていた。

 

『こちらリゼル06、右脚部損傷、戦闘困難!』

『ジェガンA03、融合炉停止!行動不能!』

「チッ、これで五機目か……」

 

リノは内心冷や汗をかく。ここで砲撃をすれば味方共々吹き飛んでしまう。そうすれば作戦どころではなくなってしまう。

 

「(まだ来ないか……)」

 

リノは作戦通りであれば城壁を登ってくるであろう彼らを待ち望んでいた。

 

「まだか……っ!!」

 

そう叫んだ刹那、建物の影から白い機影が飛び出し、長距離砲兵型の一群を薙ぎ払った。

 

『悪ぃ、少し遅れた』

 

後からハルトの声が聞こえ、リノは一瞬ホッとする。

 

「間に合ったか……」

『うわぁ、ほとんどやってんじゃん。これ俺ら居る?』

『必要でしょ、途中壊れたMSもいたし』

 

次々と聞こえてくる声にリノ達はホッとしてしまった。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

満身創痍になり始めていたストライカー戦闘大隊はここで一旦退却をすることになった。

残存兵力で、地上部分の残敵を相当する予定である。

現段階で脱落したのはジェガンA2型二機とリゼル一機、キャノンガン一機とジムⅢ一機の合計五機であった。内二機は融合炉が止まったので戦線離脱確定である。

 

「思ったよりも生き残ったな」

『死者は誰もいませんぜ。今の所軽傷者二名、重傷者一名です』

「治療の方は?」

『幸い腕の骨折ですので本国に送還するか、王国の病院で治療でしょうね』

「了解した。行動不能となったMSは動かし。戦闘後に修理か、爆破解体する」

 

リノはコックピットから治療を受けているパイロットを確認する。

するとリノにレーナから通信が入る。

 

『リノ中佐、至急応援を。高機動型を確認しました』

「了解、すぐに向かいます」

 

高機動型と聞き、リノは目を細めるとすぐさま移動を開始する。

すでに敵は高機動型のみという事で他の隊員達は戦闘停止を命じた。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

現場に向かうとそこでは既に戦闘が行われていた。

どうやら敵はあの高機動型一機のみのようだ。

多種多様の攻撃で包囲網を敷く中、リノも高機動型に照準を合わせる。

 

チュォォォォォオンン!!チュォォォォォオンン!!チュォォォォォオンン!!

 

三発発射されたビーム攻撃は最後の一発が掠ったのみで、撃破には至らなかった。

 

「ならばこっちだ!」

 

リノは球体砲塔を合わせると容赦無く引き金を引く。

 

チュォン………ドンドォォォォォン!!

チュォン………ドンドォォォォォン!!

チュオン………ドンドォォォォォン!!

 

『点』で高速移動をする高機動型に対し、リノは『面』での攻撃を行なった。

しかし高機動型はその高い移動性能を生かして面攻撃の隙を着いて逃げていた。

 

なかなか撃破できないことに鬱陶しさを感じていると高機動型が形を変えて攻撃をして来た。

自身の持つ流体ナノマシンをフレシェット弾の様に四方八方に撒き散らし、〈レギンレイヴ〉を退かせた後。ガンダムの届かない通路の奥に一瞬で入ってしまった。

 

「しまった……!!」

 

リノは逃がした高機動型に思わず歯軋りをしてしまった。

オペレーション・ハイスクールをやるか否か

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