86-エイティシックス- 獅子の来訪   作:Aa_おにぎり

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近況報告:作者、日曜日に初コロナ。現在隔離中。


ー明けねばこそ夜は永くー
#39 ギリギリまでの撤退


その日、リノ達ストライカー戦闘大隊はトラックに乗り込んでレーヴィチ要塞基地を後にする。

 

「やはりこうなったか・・・・」

 

トラックの車内でリノは呟く。先の奪還作戦で外壁の至る所に穴があき、基地としての機能を失ったあの要塞を連合王国は放棄することを決定。物資、装備など全てを持って撤収が行われていた。

 

「損耗はどうなっている?」

 

リノは隣にいたエリノラ聞くと彼女はレポート用紙を見せながら言った。

 

「ジェガン一機が融合炉停止で、リゼル二機、キャノンガン一機はフレーム破損で本国に回収される予定よ」

 

「了解。怪我を負った隊員は?」

 

「現在、王国内の病院にて治療中です。数日後には本国に送還される予定です」

 

そう言い、リノの顔を見て少しハッとした表情を見せると彼の頬を触った。

 

「リノ、()()()いるよ」

 

そう言われ、ハッとしたリノは咄嗟に懐から手鏡を取り出すとうっかりしていたような表情を浮かべた。

 

「ありがとう」

 

そう言い左目に手を当てたリノは指を動かして指先に()()()()()()()()()()()を取り出した。このトラックには自分とエリノラ、クラウやテオの知り合いしか居ないのでホッとしていた。

 

「随分見慣れたわね・・・・」

 

「そうだね。でもやっぱ僕は前のリノの方が違和感がないなぁ・・・・」

 

クラウとテオがそう言い、エリノラも頷いていた。リノが『そうか?』と言うとクラウが言った。

 

「そりゃあ、ずっと一緒だとまだ違和感あるわよ」

 

「それもそうか・・・・」

 

リノは()()()()を見せながらそう言う。懐から新しいコンタクトレンズを取り出すと左目にはめて両目ともに同じ青色となった。リノは何事も無かったかのようにレポートを読んでいた。それを見ているエリノラ達の怪訝な視線も気にせずに・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「先の作戦で合計四機のMSが戦線離脱。おまけに機甲軍の作戦域の失陥・・・・これは不味いな・・・・」

 

ホログラムに映された映像を見ながらリノは呟く。同時に同じ部屋にいた部下達が頷く。ここは戦闘大隊が間借りしている一室。そこではホログラムを囲うように全員が地図を覗き込んでいた。

 

「うん、南方地域に今重戦車型からなる重機甲部隊がいるそうだ」

 

おそらくは戦線突破用だろう。

そう呟くテオにリノ達は内心ハッとしていた。そういえば重機甲部隊は戦線突破用だったなと・・・・。

なぜそう思っているのか。それはもはやジークフリート要塞戦線に来るのは重機甲部隊なのが当たり前だからだ。だから失念していた、合州国以外では戦線突破用の常套手段だという事に・・・・。戦線に着く前に後方の自走砲にズタズタにされてしまう現状は本来ではあり得ないのだという事を忘れてしまっていた・・・・。

 

何せ二千万人という一個の小国を作れてしまう程の人数の軍人が常時配置についているのだ。おまけに弾薬に関しても規格化の影響で恐ろしい程低価格で前線に供給されている。

ある戦区では鹵獲した戦車型の120mm弾薬を詰め込んだザクマシンガンが使われていると言う。それに、あの時の大攻勢で大量の重戦車型を手に入れた合州国は遂にフェルドレスの開発に成功し、量産が始まった。

・・・・と言ってもそれは重戦車型の車体に改修したM61戦車の砲塔をポン付けしただけだが・・・・それでも合州国初の正式フェルドレスである事に変わりはないのだ。経過は良好のようで、早速前線で活躍していると言われている。

 

 

閑話休題

目下の作戦である竜牙大山拠点攻略の作戦に関して、リノは上進したある計画書の返事を待っていた。通信を待っていると外にいたEWACジェガンの搭乗員が叫ぶ。

 

「来ました!本国からの返事です!!」

 

そう言い、搭乗員は印刷された感熱紙の文字の羅列を読んでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ーーーさて、我々の目的は変わらず竜牙大山拠点の破壊なわけだが」

 

王城の一室、軍議などを行う広間ではヴィーカ、レーナ、リノの三人が席に座っていた。机の上には戦況図が投影され、いくつかのホロウィンドウを映し出していた。彼らの後ろにはそれぞれの副官が立って話を聞いていた。

 

「機動打撃群の損耗は作戦に支障はない程だな。俺も連隊も許容範囲だ」

 

その代わりシリンが犠牲となり、シン達の士気はダダ下がりだというが・・・・。

メンタルケアは必要ないと言うが、それでも心配というものはある。しかし、そうも言っていられないのが現状だ。

 

「こちらは一個小隊分の損耗が出ましたが、問題ありません」

 

「補充はどうなっている?」

 

「難しいでしょう。何せ、今の本国は新型フェルドレスの生産で手一杯なはずです。何とか上と掛け合っていますが・・・・」

 

「ああ、事情は察した。『無い袖触れない』という事だろう?」

 

「おっしゃる通りです」

 

合州国の新型フェルドレスという単語にレーナ以外の全員が『あぁ、あれか・・・・』と少し残念がった様子で少しだけ顔を下に向けていた。そのことが理解できずにレーナは少しだけ疑問に思っていた。が、ヴィーカは話を続けた。

 

「問題は我が国の本隊だ。補充を含めても戦力の抽出は難しいだろう。つまり、初期の作戦案はオジャンだ」

 

そう言い、全員が渋い顔をするも、ヴィーカは淡々と現状を言う。

 

「<レギオン支配域>、七〇キロ・・・・いや、今は九〇キロか。それよりも奥の竜牙大山奥に行くにはどうするべきか・・・・」

 

そう言うとホロウィンドウに新たな表示が出され。そこにはレギオンの種類、および総数が刻まれていた。

 

「まさに軍団か・・・・」

 

リノがそう呟き、全員が忌々しげに見る。するとレーナが提案をする。

 

「航空機ーー空挺は?」

 

「対空砲兵型が配備されているのは連合王国も同じだ。それに、阻電錯乱型の展開は一番きつい」

 

「ロケットエンジンはーー」

 

「挺身部隊を運べる機体は連合王国には無い。合州国のベースジャバーだといけると思うが・・・・」

 

ヴィーカはどこか思うようにリノを見るとリノは答える。

 

「はっきり言って危険極まりありません。ベースジャバーは確かにロケットエンジンを搭載していますが燃料タンクに装甲はないに等しく、おまけに剥き出し。一発でも弾が当たれば一瞬で火だるまです」

 

実際、要塞奪還の時に何個か燃えましたし。

 

そう言い残すリノに全員が『そんな危ないのか』と思ったであろう。ぶっちゃけ危険度で言えば核融合炉を搭載しているMSの方が断然危ないのだが、情報の錯綜を懸念してこの情報は一切伝えられていない。

サブフライトシステムの欠点をいい、当然却下されるとヴィーカは連邦の持っていた地面効果翼機、の話を持ち出すもこれも予備機がないと言うことで却下。その他にも多数の案が浮かび却下され。レーナの提案が採用された中、リノはあるファイルを取り出してヴィーカの前に置いた。

 

「殿下、これを見て頂きたく・・・・」

 

「ん?これは・・・・」

 

それは赤色のファイルに閉ざされ、『最重要事項』と書かれた数枚の紙が挟まれていた。『中を見てほしい』とリノが言い、ヴィーカが中を見ると目を見開いた様子で思わずリノを見てしまっていた。

 

「卿・・・・これは許可はとってあるのか・・・・?」

 

「・・・・はい、すでに本国に使用許可は貰っております。あとは連合王国の最高責任者の署名があれば、すぐに準備を始めます」

 

そう言うと連合王国の将官達が一斉にざわめき出した。一体何が書いてあったのか、レーナは疑問に感じていた。ヴィーカや他の将官たちがざわめくほどのものとは一体何なのか。そんな中、ヴィーカ達連合王国側と、リノたち合州国側の軍人達だけ残り、レーナたちは部屋を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

レーナが去り、会議室で話を終えたリノは帰り道、街のパブでブランデーを飲んでいた。

 

「やれやれ、今の彼らも忙しいな・・・・」

 

「それは仕方ないわよ」

 

グラスを一飲みしたエリノラが呟くとバーテンダーにカクテルの注文をして話し続けた。

 

「ふぅ、あの作戦でシリンが積み上がっていくのを見て何か思ったみたいよ?書類もミスが多いって・・・・」

 

「難儀なものだな。幼い頃から過酷な環境で生きると言うのも・・・・」

 

「当たり前よ」

 

そう言い、二人はため息混じりに酒を飲むとリノはさっきの会議のことを思い出していた。

 

「てっきり渋るかと思っていたが、まさかすぐ決まるとはな・・・・」

 

そう言い、国王陛下の署名の入ったファイルを渡されたことを思い出していた。

 

「そこまで余裕がないのよ。少なくとも合州国の()()()()を使いたいくらいには・・・・」

 

「一部威力を見てみたいと言う殿下の様な人がいそうだがな・・・・」

 

「それは・・・・そうね」

 

否定できないことにエリノラは若干苦笑してしまっていた。まぁ、あの兵器はかの一年戦争で猛威を振るった兵器であることに間違いはないからだ。ただデカすぎると言う点を除けば・・・・

自然の恵みを兵器にすると言う一部の人間が自然の冒涜であると叫ぶその兵器は連合王国の許可をとり終えて現在発射のための準備が進められていた。

 

「大体一週間で準備が完了するそうよ」

 

「そうか・・・・」

 

リノは小さく呟くと仕事の話を終えてその日は遅くまで酒を飲んでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同時刻 合州国西方亜熱帯地帯 アストリア合州国陸海空軍総合基地 ジャブロー

 

そこでは多数の藤色に塗装された合州国海軍の艦艇に数多の物資が補給されていた。

 

「まさか、またこれを使うとは・・・・」

 

艦艇を見ながらライトグレー色の軍服に身を包んだ老将が呟く。その横で副官がタブレットを見ながら報告をする。

 

「閣下、物資の搬入、人員の配置が完了いたしました」

 

「分かった。出港までに間に合いそうか?」

 

「はっ!このまま問題なく進めば定刻通りに打ち上げが可能であります」

 

「よし、作業を進めてくれ」

 

そう言うと老将は昔に比べて弱ってしまった足腰に鞭を打って歩き出す。

 

一年戦争が終結して二八年、思い出すのはルウムで大敗したあの記憶。合州国にとって歴史の転換期となったあの戦いだ。あの戦いを今でも忘れる事はないだろう。

 

戦争が終わり、MSの配備が進んだことを確認し、定年で予備役となった後。余生を静かに過ごしたいと思っていたが、レギオン戦争が始まり私は再び軍に召集された。昔の様に雄弁を振るう余力もないが、こうしてまた戦場に赴くとなるとは・・・・

 

 

 

 

 

久しぶりの打ち上げに身体を壊さなければならないといいが・・・・

 

 

 

 

 

老将、ヨハン・イブラハム・レビル名誉元帥はそう思いながら今作戦の旗艦兼座上艦であるマゼラン級改《アナンケⅡ》に乗り込んだ。




ようつべで見つけたガンダム8bitメドレーがめっちゃオススメできるから聞いて欲しい!!

オペレーション・ハイスクールをやるか否か

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