連合王国 前線基地
そこでは格納庫に山積みになったレギオンの残骸があった。
「うわぁ・・・・クッサ」
様子を見に来たハルトが思わず呟く。それを聞いたリノがハルトを見て納得した表情を浮かべた。
「そういやぁ、タバコは苦手だったか・・・・」
「あぁ、うん・・・・それもそうだけど、これもすごいな・・・・」
そう言ってハルトはボロボロになって山積みになった戦車型の山を指差す。それを見てあぁ、と言った様子でタバコを咥えていた。
「ふぅ・・・・しかし、随分と溜まったもんだ・・・・」
そう言い、戦車型とはまた別の見た目をしたレギオンの残骸を見ると格納庫に叫び声が聞こえた。
「リノ!!リノ・フリッツは何処だ!!」
ゲッと言う表情と共にリノは声を出した。ハルトもよく知るその声にいつの間にかどこかの走って逃げていた。
「は、はい・・・・ここにおります」
そう言って顔を覗かせるとそこには青筋を立てたナッパ服を着た黒髪の親父が立っていた。彼の名はタギア・サカキ、極東黒種の男性で今まで多数のMSを整備してきた事から《整備の神様》と拝められている人で整備はピカイチで、ストライカー戦闘大隊の整備班長をしている。
なお、彼はあのドミトルですら『おっかない』と評する事からストライカー戦闘大隊で最も強い人物としても有名である。なお、ハルト達からは『合州国版アルドレヒトのオッサン』と言っている。
「貴様!またやらかしやがってこの青二才が!!」
「えーっと、何しましたか?」
「こんの大馬鹿が!!あの機体の砲塔をを吹っ飛ばしやがって!!試作品なんだからもっと大事に扱え!!」
補給するこっちの気持ちも考えろ!と、叫んでいた。と言うのも先の行動でリノのハミングバードは球体砲塔をレギオンに破壊されてしまったのだ。ただでさえ試作品だったので、本国に部品を要求しようにも届くまで時間がかかるのだ。
「いやぁ、通常砲塔に戻せば良いじゃないですか。そのための部品はあるのですから」
「ふざけるな!!お前は整備班を殺す気か!大体お前と言う奴はな・・・・」
その後数十分ほど、リノは説教を喰らうのだった・・・・
「うわぁ・・・・まじでアルドレヒトおっさんじゃん・・・・」
「だから言っただろ?」
倉庫の別区画、レギオンの残骸の影からハルト・ダイヤ・セオの三人が顔を覗かせていた。彼らは逃げてきたハルトから事情を聞いて、気になって見に来ていたのだ。タギアの怒鳴り声を聞いた三人は懐かしさを感じていた。
「なんか、こうしてみるとやっぱリノの対応は違うんだね」
「シンだとあんな感じじゃないもんな」
「機体壊すのはにているのにな」
「「本当にそれ」」
ハルトの言葉に二人はハモっていると怒鳴り声と愚痴が止み、二人がいなくなっている事に気がついた。
「あ、もう居なくなった」
「説教は終わったんだな」
そう言いながら残骸を見ているハルトたちは少し疑問に思っていた。
「これ使って何するんだろう・・・・」
そう言いながらセオが撃破された戦車型の残骸を見ると疑問に思っていた。正直、何をするのか想像もつかないのでどんどんゴミのように積まれていく
「本当、何に使うんだろう・・・・」
セオは残骸の山の下でそんな事を呟いていた。
◇◇◇◇◇◇◇◇
「・・・・で、私たちは後方で待機なのね?」
「ああ、部隊の半分を率いて何かあった時に動けるようにしてくれ」
「了解したわ」
作戦室でリノ達が集まっていた。その内エリノラとクラウはリノからの指示で残存するMSの約半数を率いて後方待機を命じていた。今回の作戦に合州国の兵器の試射も兼ねての攻撃が行われるため、二人は観測要員としての役割も兼ねていた。
「作戦開始の一時間前に攻撃が行われる。何せ、一年戦争時の戦略兵器だからな。今回で上手くいけば恐らく今後戦争で使用する子が確実だろうな」
「どうして今まで使わなかったのかしら?」
「友軍を巻き込む可能性があったからだろ」
「でも、威力が大きすぎて撃つならレギオン支配域なのは確実ね」
四人はそう言っていると隊員が入ってきた。
「隊長、時間です」
「ああ、了解した・・・・テオ、行くぞ」
「了解。じゃ、行ってくるよ」
そう言うと作戦室から男達が出ていった。
◇◇◇◇◇◇◇◇
そのレギオンはそれを飛んでいた。それもその筈でそれは現在、連合王国て重層展開をしている阻電攪乱型だからだ。
数グラムの超軽量の機械仕掛けの蝶のさらに上空。高度六〇キロ、俗に中間圏と呼ばれる場所をその機体達は飛んでいた。
『うわぁ・・・・凄い眺めですね』
「気をつけろ。対空砲兵型の砲撃がある可能性があるからな」
『そうそうこんな高さ、電子装備の妨害で当たらないでしょうに』
『そう言う慢心で死ぬやつを何度も見てきた』
そこには一機のウェイブライダーのガンダムと追いかけるジェガンやリゼルの姿が見られた。彼らは重層展開中の阻電錯乱型の層をブチ抜き、上空強行偵察と共にある場所に通信を行っていた。さすがにこの高さでは電波妨害も届かないようで、通常の通信が可能であった。
『通信状態は良好。隊長、艦隊司令から通信が来ている。繋げる?』
「ああ、もちろんだ」
EWACに乗ったテオがそう聞き、リノは頷くとレーザー通信でリニアシートに映像と音声が入った。
『ジジッ・・・・さて。君たちには初めまして、と言うべきだな』
そこに映ったのは白く大きな顎髭が特徴の老人であった。しかし、その気配には今までの経験からよく練られた年相応の威圧が感じ取れた。軍服につけられた階級章を見て偵察隊の全員が目を大きく見開いた。
名誉元帥
それは一年戦争において合州国の歴史に大きく関わり、戦争時には多大な戦果をもたらした実績から彼の為に作られた新しい階級。そして、彼しか認められていない、まさに
『私はヨハン・イブラハム・レビルだ。今回、作戦を指揮する指揮官となった老耄だ』
ヨハン・イブラハム・レビル
それは合州国国民であれば誰もが名前を知る歴戦の老将である。合州国にMSの運用の必要性を説き、一年戦争を勝利へと導いた英雄でもある。戦後、MSの配備を見届けた彼は名誉元帥の称号を与えられ、退役した筈であった。米寿を超えたはずの合州国の英雄はおよそ二〇年ぶりに戦場に戻ってきていた。
その事にリノ達は動揺してしまっていた。まさかあのレビル将軍が指揮をとっているとは思っていなかったのである。咄嗟にリノはれビルに向かって挨拶をする。
「初めまして、レビル元帥。私はストライカー戦闘大隊大隊長。リノ・フリッツ中佐であります」
『ああ、噂は予々聞いている。とての優秀なパイロットだと聞いている』
「光栄であります」
まさかの人に名前を覚えてくれていることに緊張を隠しきれないリノにレビルは話し続ける。
『君たちの作戦は聞いた。私にできることは無いが、君達の活躍に期待しているよ』
「はっ!」
『では、また作戦開始日に話そう。失礼する』
そう言い、通信が切れるとしばらく全員が同様してしまっていた。MSの操縦がおぼつかない程に・・・・
そしてしばらくの沈黙が降りた後、テオがやっと声を出す。
『・・・・・・・・・・ビックリしたぁ・・・・』
本当本当。そう言いたかったが、とてもそんなこと言っていられなかった。まさかレビル将軍が軍に戻ってきていたとは思わなかった。てっきり軍を引退して余生を過ごしていると思っていたからだ。実力主義の叩き上げ将軍は戦後も合州国再建に尽力し、レギオン戦争序盤ではわざわざ家から飛び出して前線を指揮したと言う噂も流れていた。
そんな人が今度の作戦で指揮を取ると言う事にリノ達は困惑と興奮が入り混じった気持ちでいた。
ただただ『とんでもない人が出てきた』と・・・・
その後、リノ達はレビル将軍が来ている事に困惑しながら基地に帰還した。
素朴な疑問:ビーム兵器を撃つ時にマガジン以外の電力を使うのか。知っている人がいたら教えてください。
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