「ーーなるほど、これはみんなが着たがらない訳ねぇ」
アンジュがツィカーダを引っ張りながら呟く。ここはコックピットだからいいもののこれは流石に人目を気にしてしまう格好であった。
『これ、レーナも着ているんでしょ?よくこんなの着たね・・・・』
知覚同調でクレナがそう言い、どこかソワソワした様子で言う。今回、スロゥネの起爆の際に電磁射出機型の為に着たとは言え恥ずかしいものがあった。
『帰ったらあの王子に絶対雪とかぶつけてやる・・・・』
クレナはこれを開発した張本人に恨み言を呟きながら次の指示を受けていた。その次の瞬間、アンジュとコート渡しに来たダイヤとダスティンの悲鳴が上がっていた。
「・・・・リノ、四回目の射撃が終わったわ。次の砲撃は必要?」
『いや、十分。後はこっちでなんとか出来る』
ハミングバード二号機のコックピット。その中でエリノラがアンジュ達と同様、ツィカーダとノーマルスーツを着て通信をする。元々合州国軍のノーマルスーツでこう言うぴっちり系のスーツには慣れている彼等はツィカーダを着た上で慣れた手つきでジャージを着ていた。そしてそのまま通信を開いていた。
「進路、啓開完了。いつでも行けるわ」
『ーー了解しました。挺身部隊。進発を』
レーナの声が通り、部隊は進撃を開始した。事前の無差別攻撃に息を飲んだ将兵が多い中、部隊は焼け焦げたレギオン支配域に向けて進発を開始した。
◇◇◇◇◇◇◇◇
まさか、空から攻撃をするとは・・・・
おかげで前線部隊は壊滅。虎の子の重戦車型までも通信が途絶えた。警戒管制型の最後の映像は真っ白になった映像だけだった。だが、他の戦域の機体の映像が空から降り注ぐ光の柱を見て生前の記憶が思い返される。
合州国がいる事は分かっていた。
連合王国が攻勢に出なければならない事は分かっていた。
後者に関しては財も民も湯水の様に使う事は想像していた。だから・・・・
詮無いことだと、複合センサを振る。もう意味がない。何故〈レギオン〉を作ったのか。
今の自分はレギオン指揮官。識別名〈ミストレス〉。
そうでしかない。
《ミストレスより、梯団各機》
《迎撃準備。ーー突出する敵を殲滅しなさい》
願わくば、直接会って過去の贖罪をしたい。
ーーー過去の自分の過ちを。
生前の唯一の未練を思い出しながらミストレスは指示を出していた。
重装甲トラックの荷台から
MSは片手にビールライフルや実弾銃を持つと動き始めた。
「総員、所定の指示に従い作戦開始。数機のジェガンは俺と共にレギオンの拠点に侵入する」
『『『了解』』』
今回連れて来たのは先の戦闘で抜けてしまった分を再編成して組み合わせた特別混成部隊。その為、機体はバラバラでリゼルやジムⅢ、ジェガンなどごちゃ混ぜになっていた。
「スピアヘッド戦隊の援護を開始する。総員、撃てぇ!!」
チュォォォォォンン!!チュォォォォォンン!!チュォォォォォンン!!
今回連れて行くMSは自機を含めて四機、残りは司令部の護衛をする事になっている。俺のガンダムとテオのEWAC、それからジェガンA型二機である。
ピンク色に近いビームが戦隊の両翼を貫き、増援のレギオンを両断する。
「続け!後方の部隊には援護射撃を要請。戦車も前に出せと言え!」
そう言うとMSは一気に前進を開始し、攻撃を行う。スピアヘッド戦隊の後方八〇メートルの位置でEWACに映る敵情報と共に射撃をする。
「三時方向 距離四千 重戦車型および重機甲部隊を確認」
『こちらも確認。砲撃を行う』ドォォン!!ドォォン!!
シュゥンッ!! ドンドォォン!!
後方のM61戦車から155mmの砲弾が届き、小さく無い爆炎と共にレギオンは粉々になっていた。
『後方は任せな。退路の確保はウチらでしておくよ』
「よろしく頼みます」
そう言うとリノ達は後ろで響く砲撃音を横目にシン達の後を追って拠点内へと走って行った。
視界にはゴツゴツとした岩の壁を歩くレギオンの姿を見た。
そこには重戦車型の姿も確認でき、まさに堅牢という他なかった。
「ーーー構造はだいたい把握できたか・・・・」
オートパイロット機能で拠点入り口まで向かっているリノはコックピットで拠点内部の構造を見ていた。
見て来た映像を記憶に叩き込むと拠点の入り口を見た。
「大きな洞窟だな・・・・」
そこにはMSが入れそうな程の大きな穴が空いており、それはリノのハミングバード一号機でも通れる大きさだった。入口では足元に白煙が広がり、スピアヘッド戦隊の面々が文句を言っていた。
『チャフだ!!』
『くそっ、前が見えねぇ!!』
「落ち着け」
混乱する彼らを軽く一喝するとコックピットに映る警告を見た。
「気をつけろ、外気温が高くなっている。ある程度時間が経ったら撤退しろ」
『『『『了解!!』』』』
リノの言葉に全員が返事をするとリノは後ろにいるMSに指示を出す。
「ホーンドアウルとジェガンAはここで待機」
『た、隊長はどうされるのですか?』
ジェガンに乗る一人、コロン・バード中尉が聞くとリノはふっと笑みを浮かべる。
「ちょっと気になることがあったんでね。拠点のレギオンを相手してくる」
そう言い残すとリノは単機で拠点内に進んで行った。
◇◇◇◇◇◇◇◇
拠点内を進むリノはギリギリ動かせる肩の砲身を前に向ける。右肩には修理の終わった球体砲塔を取り付け、左にはどこか艦砲を思わせる連装砲に改修を加えたビームガンが前を向いた。
「・・・・来たか!!」
視線に先に見えたのは金属的な色に青いセンサーモノアイが特徴的なレギオンザクが現れた。両手に戦車型の砲塔の様な120mm砲を取り付け、不恰好な様相を見せていた。
リノは接近戦のため、右ににビーム・スマート・ライフル。左にビールサーベルを持った。少しの睨み合いのうち、先に相手が仕掛けた。
ダンッダンッダンッダンッダンッ!!
半自動砲特有の間のある発砲音が聞こえ、リノに向かって120mm弾が飛ぶ。それを避け、持っていたビール・スマート・ライフルの引き金を引く。
ーーーチュォォォォォンン!!
一発の青白いビーム光線はレギオンザクの胸部を過貫通。さらに後続のザクをも貫通させた。バチバチッ!と青白い過電流と共にザクはショートを起こして崩れ落ちる。報告通り、主電力は核融合炉ではなくエネルギーパックと充電された電気。スラスターすらない貧相なものであった。
「雑兵が・・・・いくらでもかかって来い!!」
コックピットでリノはそう叫んでビームサーベルを振り回していた。
◇◇◇◇◇◇◇◇
《ーー来たのね》
拠点内最奥、その場所で待機状態のミストレスは拠点内第一層の鹵獲したザクⅡの待機場所で戦っている一機のガンダムを見た。肩に描かれた左右の目の色が違う獅子のパーソナルマークとその機体を見て、ミストレスはその機体に誰が乗っているのか思い出していた。ただでさえ重戦車型より生産性が低く、量産が難しいザクを易々と倒してしまうその動き回りはまず彼で間違いないだろう。
レギオンの要注意戦力には載らないが、彼女にとっては重要な相手。
あの頃はまだあんなパーソナルマークなんて持っていなかった若い兵士。
そしてーーーーー
《もう少しか・・・・》
ミストレスは
◇◇◇◇◇◇◇◇
同じ頃、スピアヘッド戦隊は間欠泉から噴き出る蒸気や、マグマを見ながら思わず呟く。
『うわ、こんなの当たったらオーバーヒートしちゃいそうだ』
『とっとと抜けようぜ』
今まで何機もの重戦車型などのレギオンを見ては撃破するのを繰り返している。しかし、ここは火山の中。マグマが近くを通り、気温はぐんぐん上昇して冷却設備は悲鳴をあげそうだった。
そんな通路を歩いていると何処からか地響きの様なものが聞こえた。
・・・・ズシンッ!!・・・・ズシンッ!!
『ねぇ、この揺れってなに?』
『結構近いわね・・・・重戦車型?』
『いや、こんな揺れないでしょ。多分、別のだと思うけど・・・・』
全員が警戒を強めている中、地響きはドンドン大きくなっていき、そして・・・・
ドガァァァァァァンンンン!!!
岩で出来た壁から爆音と土煙を立てなから二機のMSが出て来た。
『何だ!?』
『う、後ろに下がれ!!』
『も、MS・・・・!?』
挺身中の部隊が驚く中。飛び出て来たMSの内、銀色の青いセンサーを持ったMSに白いガンダムが片手に桃色のビームサーベルを持ってザクの胸の部分に突き刺していた。
ジュオォォォ・・・・
ビームサーベルが金属を融解し、真っ赤になるとゴゴゴと金属音とスパークを起こしてザクは停止した。
ザクの停止を確認したガンダム・・・・リノの乗るハミングバードはビームサーベルをしまっていた。その時、シンは思わず知覚同調で乗っているであろうパイロットを呼び出す。
「・・・・何をやった?」
『いや、拠点にMSが入れるのが不思議だったから調べたんだ。そしたらこのザマよ』
レギオンの奴ら、拠点にザクを隠していやがった。と言い残して沈黙したザクを見ていた。確かに声はしていたが、まさかザクだったとは・・・・。
性能的にはレギンレイブの主兵装の88mm砲でも撃破出来るらしいが、背中のバッテリーか制御系を撃ち抜かないと完全には止まらないと言うまさに自走地雷の超大型バージョンといった様子だと言うザクⅡ、一年戦争では傑作だったこの機体は今ではただのお古。つまりリノのガンダムで負ける事はないと言うことだ。
だけど派手にやりすぎだと文句の一つは言いたかった。お陰で行軍が停止してしまったと言うと『それは悪かった。今から退かせるから待ってろ』と言ってザクの残骸を持って崩れた岩を退かすと開けた穴にザクを放り込んで詰め込んでいた。
『ほい、道は開けといたぞ』
そう言って簡単に片付けた道を見て全員がポカンとしているとリノはそのまま俺たちに道を開けた。
とりあえず目標の場所まで向かおうとした時、その声が聞こえた。
『・・・・奴か』
その声は繋いでいたリノにも聞こえた様で、全員が頷いた。
オペレーション・ハイスクールをやるか否か
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やってほしい
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やらなくていい