白い闇の中、それは動いた。
潜んだ雪の中で。予測された挺進部隊を、確実に殲滅するために配置された場所で、それは動いた。
《ーー再起動。システムチェック》
《戦術データリンクより任務通達》
《任務完了。敵挺進部隊の退路襲撃。襲撃位置確認。移動を開《棄却》《戦術データリンクの指令を棄却》《棄却》《棄却》《棄却》《棄却》《棄却》《棄却》《棄却》《棄却》《棄却》《棄却》《棄却》《棄却》《棄却》《棄却》《棄却》《棄却》《棄却》《棄却》《棄却》《棄却》《棄却》《棄却》《棄却》《棄却》《棄却》《棄却》《棄却》《棄却》《棄却》《棄却》《棄却》ーーー》
《ーーー目標確認。ロールアウト時の初期目標確認》
《初期目標:全敵性存在への優越確率》
《即ち、勝利可能な進化の達成》
《故に敗北は許されない》
それはある意味でシステムを逸脱した異常な存在へと変貌しつつあった。
《故に、撃破未達成の敵性機の撃破は、初期目標達成の為に最優先されると判断》
《任務再設定》
《最優先撃破目標:バーレイグ》
◇◇◇◇◇◇◇◇
『・・・・高機動型だね』
『ああ、ようやくお出ましらしい』
シン達が少々表情をこわばらせる中、リノはコックピットでその機体を探していた。
「ーーーーコイツか」
見えたのは焦土となった雪原を走る光景。見える太陽の方角からしておそらくは北に・・・・
ーー北?
なぜ北に向かっているのだ?退路はもう少しズレているのに。それにこの先は・・・・っ!まさか・・・・
『ーーレーナ!警戒を!高機動型は
その考えと共にシンの声が響いていた。
「・・・・高機動型が、この発令所に?なぜ・・・・」
レーナは高機動型の無意味な行動に疑問を抱いた。
本来撃破するべきは挺身部隊のはず。なのに何故か・・・・
だが、こっちに高機動型が来ていると言うのであればやる事は一つ。
『シデン!』
『おうよ!』
迎撃をせねば。
降り頻る雪の中、漆黒に塗装された〈キュプクロス〉と司令部護衛をしているMSは雪原で待ち構えていた。
敵の種類、行動範囲から来るであろう進路を予測して待ち構えていた。ジェガンのシールドを雪原に突き刺してバリケードを作り、横隊を作って迎撃準備を終わらせた。その足元ではレギンレイブが攻撃に備えていた。
シデンはスクリーンを見ていると一瞬だけ雪原の雪が舞った。高感度センサはそれを逃さなかった。
「撃てぇ!!」
地を這うような高度から仰角ギリギリまで。網を広げるように88mmキャニスター、および60mmバルカン。
その内数発が銀の破片を飛ばし、銀色の獣を見る。鋭い羽状の装甲を見せ、俊敏な四肢を雪原に突き立てる。
もはや見慣れたものだ。
それに、装甲が剥がれればなんて事はない。面で攻めればいいのだ。その瞬間、ジェガンのビームライフルが殺到してグレネードも投げられ、爆発した。
その爆炎に高機動型は巻き込まれ、その獣はーーーあっけなく四散した。
『レーダーの反応消失ーーー高機動型の沈黙を確認。・・・・さすがです』
後方の発令所でレーナが呟く。
しかしシデンは今まで八六区で暮らして来た感が働く。
明らかにあっけなさすぎる。
するとシンが息を詰めた。それと同時にシデンは総毛立った。
『各機、警戒しろ!ーーーまだ死んでない!』
「っ・・・・!」
咄嗟に飛び退いたのは経験と勘からだった。常に死が隣り合わせだった八六区での経験が、殺気を超えた何かを感じた。
その直後、目の前に高周波チェインブレードが突き刺さり、薄くキュプクロスの装甲が剥ぎ取られた。
『ちっ!撃て!バルカンだ!!敵複数!!・・・・うぉっ!』ギンッ!
ジェガンの右腕にチェインブレードが巻き付く。するとチェインブレードは右腕を切り、またどこかに消えていた。
「どう言うことだよ・・・・!?」
その光景にシデンは思わずつぶやいていた。
◇◇◇◇◇◇◇◇
「どう言うことじゃ・・・・?」
その光景は後ろの発令所でも見え、全員が困惑していた。すると先ほど右腕を切り落とされた合州国の兵士が叫ぶ。
『ダミーだ!偽物が紛れてる!ちっ、これじゃ埒が開かない・・・・!』
ダミー?
疑問に思うとグレーテ大佐が言う。
「よく見なさい。攻撃して四散したのは
「あ・・・・」
「本体とダミーが交互に光学迷彩を点滅させて移動しているように見せているの。装甲としての強度があるなら、それ自体がフレームにできると言うことね・・・・」
「何かしらの方法で妨害は出来ますでしょうか?」
「どうでしょう?元々流体装甲には変形機能があるらしいから。ああやってバルカンで面斉射の方が効果はあるでしょうね」
現在、戦況は混乱している。ダミーと本物が混在する中。下手に指示を出すのは難しく、移動予測も立てれない。
現在、応援でクレナ達が追いかけているらしいが、場所が場所なので間に合わないかもしれない。
せめて目的がわかれば・・・・
ん?目的?
そういえばそうだ。高機動型がこんな事しているのに応援に来ないのは何故だ。
何故発令所を襲ったのだ。
まさか・・・・
「暴走・・・・?」
そう思うと一連の行動のも納得がいく。
シンの異能はレギオンにも伝わっているようで、おまけにレギオンも鹵獲したいと考えているはずだ。しかし、味方の増援が来ていない現状、単機で来ることはおかしいのだ。
シンの異能は非常に重要。だから後方に置くと思っている。だが実際はシンは最前線にいる。それは向こうも確認をしているはずだ。だが、こうしてここにいるという事は・・・・
「ヴェンツェル大佐。万が一の時は指揮をお願いします」
「大佐?一体何を・・・・まさか」
「敵をここに引き付けます。観測要員は退避を!」
レーナの提案に全員が愚痴る。
『ちっ、ふざけんな女王陛下!!』
『本気ですか!?』
『おいおい,冗談はよしてくれよ・・・・』
全員が困惑をする中、レーナは高機動型撃破の為に動き始めていた。
◇◇◇◇◇◇◇◇
同じ頃、竜牙拠点内部では・・・・
『撃ぇ!!』
チュォォォォォンン!!チュォォォォォンン!!
ダダダダダダダダダッ!ダダダダダダダダダッ!
ビームライフルと127mmマシンガンを持って射撃をする。今回からブルパップ式の最新型になったこのマシンガンはオプション装備で多種多様な装備が取り付けられていた。その為、中にはグレネード投射機を付けたものまでいた。
ボンッ!・・・・ドォォン!!
発射されたグレネードは爆発し、出て来た戦車型を木端にしていた。
『進路確保。隊長、行けます』
「了解した。退路は歩兵部隊が確保した。これより我々もガキどもを追いかけるぞ」
『『『了解』』』
そう言い、リノは入り口近くで艤装されているM61を確認するとそのまま拠点内に入っていった。レギオンザクを片付けたリノは一旦入り口に戻って戦車を要請して退路を確保したのち、行けるところまでスピアヘッド戦隊に援護に回ることにしていた。
「向こうに高機動型がいる間に何とかこっちは鹵獲を終わらせないとな・・・・」
『そうですね・・・・』
『とりあえず行きましょう』
『冷却機構が悲鳴をあげそうですよ』
そんなこんなでリノ達は拠点内部。シン達にいるであろう場所まで向かう事になった。
「このまま行くぞ。ホーンドアウルはマイクロドローンを飛ばして索敵。周囲を固めるぞ」
『了解であります』
EWACには電源を使用しない実体弾火器を持つ事が義務付けられており、ビーム兵器などは一切持っていない。その代わり、索敵能力は合州国でも一番に近く、密閉空間でも十分その能力を生かしていた。
『周辺に敵影、および熱源を感知できず・・・・火山帯のせいで周りが真っ赤っかですよ』
「そうか・・・・よし、このまま進むぞ。発電プラントや自動工場に関してはすでに制圧が終わったと報告が上がった。残るは指揮官機の鹵獲のみ」
そう言い、拠点奥へと進もうとした時。通信が入った。
『リノ!やられたわ、そっちに高機動型が向かってる!!』
「何?!」
『取り逃したわ。もう少しでそっちに着く!!』
エリノラが出て来たことに少し驚きつつも、リノは対処をする。
「了解。こちらで迎撃をするから、退路の確保を頼む」
そう言い通信を切るとリノ達は拠点内部を走り、シン達との早い合流を図った。
◇◇◇◇◇◇◇◇
時は少し戻り、レーナが囮になるところまで戻る。
公開回線で思い切り通信をしたレーナは上空から駆けつけたエリノラたちの機体で接近してくるレギオンの相手をした。
『まったく、とんでも無いことするねぇ。大佐は』
上空からけたたましいロケットの音と共に周囲の雪を吹き飛ばしながら赤いガンダムが着陸する。それを見たライデンたちは
『援護・・・・というかまとめて吹っ飛ばせるか?』
と高機動型に対する攻撃方法を提案する。『やって見るしか方法はない』と言い、エリノラは全ての砲塔を前に向ける。その間にシンは援護の為に通信を繋ぎ、彼は声を聞いていた。
言い知れぬ緊張感が続く中、シンが叫ぶ。
『ーーーシデン!』
「そぉら来たぁ!!」
チュォォォォォンン!!チュォォォォォンン!!チュォォォォォンン!!チュォォォォォンン!!
ドォォン!!
何本ものビームが飛び、88mm散弾が飛ぶ。ほぼ減衰なしで飛んだそれは威力を落とすことなく着弾した。
その景色の歪へと・・・・
直後に流体金属製のダミーが爆発。装甲片を無差別に撒き散らし、動きが止まってしまった一瞬。黒い影は雪の斜面を南へと滑っていってしまった。
「っ!!やられた!!」
咄嗟にエリノラは通信機に手を当て、リノに注意喚起をしていた。
オペレーション・ハイスクールをやるか否か
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やってほしい
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やらなくていい