#47 史上最大の大砲
ここはとある最前線。兵士はそこを灼熱地獄と呼ぶ。
今では真っ黒な炭となってしまった草木と大地。所々では煙が上がり、焦げ臭い匂いが充満していた。
そんな大地の一角。緑の残る場所で数人の人間が双眼鏡を覗き込みながら黒焦げの大地を見ていた。
視線の先には襲来してくる斥候型で囲んだレギオンの重機甲部隊およそ二〇〇。しかし、迎撃するものは確認されていない。
そのうち、ライトグレー色の軍服に似た士官が秒読みをする。
「……着弾まで五秒!……四……」
徐々に近づいてくるレギオン部隊を見ながら、士官達は息を呑んでいた。後ろではストライカー戦闘大隊が即応できるように待機をしていた。
「三……二……一……」
その瞬間、閃光が走る。土が巻き上がると共に衝撃波と風が観測所を襲う。
「うお!!」
「くっ……!」
衝撃波でテントが後ろに吹き飛び、風が強く吹いた。真っ白な視界が元に戻ると視界には巨大なキノコ雲と消滅したレギオンの部隊があった。
「すげぇ……」
純粋にそう感じたリノはガンダムの中でそう呟く。キノコ雲は上空の雲を突き抜け、火山が噴火したような光景を作り出していた。
現在、リノ達ストライカー戦闘大隊は新型兵器の着弾観測と即応部隊として競合区域で観測班と共に行動をしていた。
観測班はすぐさま着弾痕の大きさや被害範囲の大きさなどを確認をすると通信を行った。
同時刻 アストリア合州国 サンサルバシオン州 ヒ・ローイ砂漠
ここは大陸南方に存在する乾燥地帯。草木はほとんどなく、不毛の大地と化していた。一時は緑化計画も発案されたが、レギオン戦争の勃発により計画は撤回されてしまった手付かずの場所であった。
そんな平原には数多の兵士と白衣をした科学者、トラックやバイクが走り。上空には戦闘機が飛んでいた。
ここにいる人員の数は一個師団、およそ二万人が常駐している。
この平原に建造されたのは史上最大の大砲と、世界最大の砲撃陣地である。
そんな砲撃陣地には現在、八つのそれは巨大な大砲が建造されていた。
《一二〇〇ミリ対地対空両用電磁加速半自動固定砲》
通称、ストーンヘンジと呼ばれているその巨砲は。数分前に一号機の試射を行った。解体したサラミス級の融合炉が到着するのに思いの外時間がかかり、届いた頃には予定されていた八号機まで完成してしまっていた。
そして今日。一号機の試写が行われ、先ほどレギオンの重機甲部隊が全滅したと報告を受けた。
バグラチオン作戦において電磁加速砲によって多大な被害を受けた合州国軍は無人戦闘用AIの開発より昔から電磁加速砲の開発を行っていた。
要求性能は大陸の端まで届く射程と、一撃でレギオン重機甲部隊を殲滅できる威力。
いささか無茶がすぎる性能だが、この巨砲はその要求の殆どを呑む性能を有していた。着弾痕のクレーターは直径50m以上あるそうで、十キロ離れた場所では森が吹っ飛んだそうだ。
元々、落ちてくる衛星をミノフスキー粒子散布化で確実に木っ端微塵にするための要塞砲だが、対地用に仰角を増やすとこうも使いやすくなるとは……*1
あの電磁加速砲型の砲身の金属分析とメカニズムから作られたそれは人類最強の大砲であった。
射程距離の関係からそれは大陸南方のこの場所から最長で大陸北方の北の海まで届く計算となっている。
「ソーラ・システムも順調に稼働している影響で要塞戦線は残党狩りになっていると報告があったな……」
視察中のアーノルドはそんな事を呟いていた。退役した名誉元帥を一時的に原隊に復帰させ、戦意高揚を図る。今までの対帝国の思想をなんとかレギオンに向けさせる為の計画の一環だった。
すると砲陣地全体に警報が鳴り響く。サイレンを聞き、一斉に地下に逃げ込む地上隊員達。
『二号機、発射まで三十秒』
どうやらまたレギオンの重機甲部隊を発見したようだ。砲身の仰角が上がる。一二〇〇ミリの徹甲榴弾が装填され、発射準備が整う。
ストーンヘンジはその威力とレギオンへの情報漏洩を防ぐために対外的には八〇〇ミリと称している。
そして全員の退避が完了するとここの司令官が発射のためのボタンを押した。
ドォォォォォォーーーーーーーーーーンンンン!!
衝撃波と共に白煙が上がり、1200mmの砲弾は発射される。
数分後、印字された紙を持って下士官が司令所にやって来る。
「第五戦区、G70にて着弾を確認。誤差許容範囲内。レギオンの消滅を確認です!」
なるほど、消滅か……クレーターがどのくらい出来るのやら……
数年後に来るであろう大攻勢への備え。その準備は淡々と進んでいた。
ソーラ・システムによる上空からの面範囲攻撃。宇宙空間という特殊すぎる環境ゆえにレギオンもここまで上がってくる事はない。
合州国は帝国よりも宇宙工学と物理学の分野に関しては数段抜きん出た技術力を有している。その結果とも言えるのがMSやミノフスキー型核融合炉だ。あれはまさに合州国の技術の集大成と言えるだろう。後者に関しては合州国で起こっていたエネルギー問題を解決してしまうほどの画期的な技術だった。故に合州国はこの技術を独占。決して諸外国に漏らすことはなかった。それが連合王国相手だったとしても……。
「やれやれ、リノくん達も大変な仕事を任されたものだ……」
アーノルドはそう呟くと後一週間で休暇に入るであろう特殊部隊の隊長を思い出していた。
同じ頃、前線基地ではリノのガンダムが集中メンテナンスを受けていた。数十分前にストーンヘンジの砲撃を目の当たりにし、半ば放心状態となっていたリノ達は基地の食堂で休憩をしていた。
「はははまさかあんなにエグいとは……」
リノが思わず乾いた笑いをしてしまっていた。それにはエリノラ達も頷いていた。
「あれで八〇〇ミリってのも頷ける」
ストーンヘンジの光景は一般的に八〇〇ミリと公表されており、諸外国を触発させないようにしていた。それはリノのような一般兵にも同じように伝えられていた。
「観測したけど重機甲部隊が一瞬で消滅してたよ」
「ちょっと私、腰抜けちゃった……」
まるで終末世界のような光景を見させられ、クラウは呆然としていた。
するとリノは一向に終わらないと考え、話題転換をした。
「後一週間で休暇か……」
「いや、実際は子守みたいなもので休暇なの?」
「なんたって賓客の面倒見るからなぁ」
「軍人はまとまった休暇が取りづらいとはいえこれは無いわー」
「まぁ、次の仕事終わったら長期の休みだし」
最後にエリノラがそう言うと四人はコーヒーを飲みきり、カップを捨てると食堂を出た。
現在、ストライカー戦闘大隊は前線にて諸業務を行う為に各地を転々としていた。連合王国での仕事が終わったと言うのにフルメンテナンスと共に雑用係をさせられていた。その殆どがジークフリート要塞戦線の改修工事だと言うから泣けてくる。業務内容な主に空堀をさらに掘る事。幾ら建設師団がいるとは言え途中で襲来してくるレギオンへの対策。掘った土の後始末。対戦車地雷の設置。
特に最近は大攻勢の備えとして
既存の製造ラインではMSの数が足りておらず。急遽旧式機や、ジオン系MSまでも徴用して使用しているのだ。
「なりふり構ってられないか……」
「ん?」
リノの呟きにエリノラが疑問に思うもリノは首を振った。
「いや、何でもない……さて、フルメンテはいつ終わるのかなぁ」
そんな事を呟きながらリノ達は格納庫を歩いていた。
電源がミノフスキー型核融合炉なので完全に電磁加速砲となっております。
オペレーション・ハイスクールをやるか否か
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やってほしい
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やらなくていい