86-エイティシックス- 獅子の来訪   作:Aa_おにぎり

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こんなに短い期間で投稿できたとは思わなんだ。(・Д・)
あ、次回はまた未定です。でも、短い期間でできるかも……


#50 休暇

二八年前、アストリア合州国で巨大な戦争が起こった。

 

合衆国沿岸部に多数建造されてきた水上都市群。通称、コロニーと言われてきたその場所は多くは移民で構成され、合州国の爆発的な人口増加に備える為に多数が建造された。

そのうち、ルナリス島の反対側。合州国本土から最も離れた場所に建造されたコロニー、通称サイド3はジオン公国を名乗り、アストリア合州国に独立戦争を仕掛けてきた。

 

開戦と同時に、ルナリス島の主要都市グラナダを制圧した公国軍はサイド1、サイド2を制圧。そして、サイド2に存在していた人工衛星管制局を確保し、周回軌道上に存在していた各国の人工衛星を操作、その半数を合州国軍総司令部のあるジャブロー落下させた。

 

しかし、ティアンム率いる本国艦隊が落下中の人工衛星を多数破壊し、その破片や落とし切れなかった人工衛星は合州国の各地に落下。特に最も大きかった人工衛星、アイランド・イフィッシュは合州国南部の都市、セドニーに落下。巨大な湾を形成し、この攻撃で一四万人の犠牲者が出た。また、この被害は諸外国にも起こり、大陸規模で通信障害が起こり、連合王国に人工衛星の破片が落着したと言われている。

 

甚大な被害が出たのにも関わらず、この結果に不満足であったジオン公国軍は残りの人工衛星を落とす為に、もう一つの人工衛星管制局のあったサイド5ルウムに軍を差し向けた。

水上艦や航宙艦として設計されていたムサカ級を含めた多数の艦艇を有したこの動きに、合州国軍も圧倒的な物量で攻め込んだ。

残存艦艇の六割をルウムに差し向け、後のルウムの戦いが幕を開けた。

 

しかし、結果は合州国側の敗北。ジオン軍の新兵器、モビルスーツは戦力で圧倒的に勝る合州国軍に圧倒すると同時に、ブリティッシュ作戦の失敗を塗り潰す様な大戦果を齎した。残存艦艇は本国へ引き返し、この時レビル将軍も捕虜として捕えられた。

この圧勝にジオン軍は休戦協定を結ぼうとしたが、レビル将軍の奇跡的な生還とその演説により失敗。合州国本土への大規模上陸作戦を敢行。一時的に合州国本土は南北に二分され、国土を跨るように戦力された。

しかし、伸びすぎた戦線は補給を困難とし、ジオン軍も補給限界地点で戦線は一時膠着する事となった。

 

しかし、ルウム戦役においてモビルスーツの有用性を確かに見たレビル将軍は合州国軍にモビルスーツ開発を指示。戦前より開発が急がれていたモビルスーツ開発は完了し、量産体制を整えた頃。

レビル将軍による大規模反抗作戦、オデーサ作戦を開始。作戦は成功し、本土からジオン軍は撤退していく事となった。

 

徐々に陰りの見え始めた公国軍に、合州国軍は次々と主要拠点を叩き始める。

 

グラナダ

 

ソロモン

 

ア・バオア・クー

 

今までジオン軍に占領された地、若しくはジオン軍の拠点を次々と奪還、或いは占領した頃。ジオン公国は降伏を要求。レビル将軍はこれを受け入れ、戦争は終わった。

全てのジオン軍は無条件降伏となり武装解除。なお、この戦争の反省も踏まえ、合州国はさらなるモビルスーツの開発と一時的な自治権をサイド3。ジオン共和国と名を変えた国家に与える事となった。合州国は国民のほぼ半数を失い、各都市には落下した人工衛星の残骸が転がっていた。

しかし、完全なる独立を望む強硬派はジオン残党となり、時折合州国国内でモビルスーツを使った事件を起こしていた。

 

今では建国より敵という刷り込みがされて来た帝国が産んだ機械の獣物と戦争をしているから収まってはいるものの、仕事にありつけなくて合州国に不満を持った者達がジオン軍残党に入ったりと問題になっていた。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

「ふぅ…また、揉め事か……」

 

ロア=グレキア連合王国、ギアーデ連邦、ヴァルト盟約同盟、アストリア合州国を結ぶ俗に言う四国街道のお陰で合州国のニュースが入る様になった中、合州国の国内状況も国外に届く訳で……今ニュース画面には合州国内で起こったジオン軍残党が暴れた様子が映されていた。

 

『えぇ、現在入っている情報では昨日。合州国内のマリナーズ・ベイでジオン軍残党と呼ばれる集団がモビルスーツを用いた軍事行動を行い、死傷者が出たと……』

 

ニュースキャスターもここぞと言わんばかりに叩く様な勢いで報道をする。元々旅客を行うまで制限をしていないとは言え、これは酷いものだ。

 

「向こうは徹底的に叩くつもりの様ね」

 

すると、横から明らかに不満げな様子を浮かべて片手にコーヒーを持って横に座る。一般人の往来は行われておらず、自分達がここにいるのも一部の人間しかない。だから国力に差のある合州国相手にこんだけ叩く様な報道ができるのだろうと思っていると、リノがコーヒーを飲む横でエリノラはレモネードを飲んでいた。

最近やけに柑橘系の飲み物をとっているなと思いながら、リノはふと気にかける。

 

「最近の好みか?」

「えぇ、そんな所」

 

そう言い、エリノラはレモネードを飲んでいるとそんな二人に電話がかかる。リノが携帯を手に取ると、応対をする。

 

「はい…はい。了解です」

 

そう言うと、リノは席を立つ。

 

「仕事?」

「あぁ、行ってくるよ」

「私は?」

「お留守番」

 

そう言うと、リノはホテルを出て行った。

 

 

 

 

 

数時間後

 

演習場に立ったリノのガンダムは地面を眺める。

 

「……来たか…」

 

レーダーでモニターに映る影を視認すると、両手にペイント弾入りの機関銃をもって射撃を開始する。

90mmの最早機関砲というべきか怪しい部類ではあるが……空中で桃色に破裂し、虚空の地面に桃色のインクが宙に浮く様に塗装される。

 

『くっそぉ!!』

 

無線でそう叫び声が聞こえると、リノはレバーを動かして機関銃を乱射する。すると地面に次々と桃色のペイントが塗られ、悲痛な叫び声が聞こえてくる。

そして、しばらく経った頃。辺りには桃色にペイントされたレギンレイブの姿があった。

 

『くっそぉ…やられたぁ……』

『強すぎるわよ……』

 

フリッガの羽衣装備でどれだけ対MS戦闘ができるかの訓練だったが、これでは訓練にもならなかった。

 

『対五で勝つとかまるでうちの死神みてぇだ……』

 

そうダイヤは思わずそう呟くと、リノは一旦汗を拭いでから言う。

 

「いやいや、こっちも結構ギリギリだったよ」

 

そう言い、訓練が終わるとそのままリノの乗ってきたガンダムはガンダムトレーラーに乗せられると、ハッチを開けてリノは出てくる。

 

「ふぃ〜……こっちは休暇だからなるべく休みたいんだがね……」

 

思わずそう呟くと、リノはガンダムを降りてそのまま基地を歩く。ガンダムの物珍しさと、動く巨大ロボットという事で盟約同盟の軍人はやや興奮した様子でガンダムを見ていた。

 

「(あんな報道をしていたのに恐れることは無いのか……)」

 

思わずそんな光景を見てそう感じると、リノは男の欲には勝てないのかなとか思いながらそのまま訓練を終えて基地を後にしていた。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

リノ達が訓練を行っている頃、レーナ達は同盟の地下の拘束室にいた。視界の先には例のレギオンが居座っていた。

 

「俺の声が聞こえるな?〈レギオン〉の女王」

 

分厚い金属のゲートの先にあるその部屋で、シンは呼びかける。呼び掛ける名すら知らないのは不便だと感じながら、改めて思う。

ゼレーネの確証がない今、彼女をゼレーネと呼ぶのは偽られる可能性がある。〈無慈悲な女王〉と呼ぶのも違うだろう。だからこんな風にしか呼べないのが少し、もどかしかった。

今まで名前すら知ろうとしなかったのは異常であると、今では思う。

 

「俺を呼んだのは貴方だろう?貴方のメッセージは見た。『探しにこい』と。だから貴方の元まで行った。伝えたいんことがあるなら聞く。今、ここで」

 

シンは10m程先にいる〈無慈悲な女王〉の金色の光学センサを見る。視界の先のレギオンは瞬きもせずにシンを見る。その目には僅かに焦りの色が見える気がする。

七年もの間使って来た装甲で覆われた殺戮機械が僅かに拘束を鳴らして動く。

 

会ったこともなかったレーナを知り、互いに相手を知った。

会話をしなければ知ることができない。

知らないものは信じられない。

だからそうやって一方的に試めす様な真似などせずに。

 

拘束を鳴らす音が収まり、僅かに白群の装甲が持ち上がる。そして、滲み出る鈍い銀色の流体マイクロマシン。高機動型では無数の蝶と化して飛んでいったが……

 

兄と……〈羊飼い〉にされた兄と同じ掌。

 

最後に触れた優しい手だった。ーーそれこそ、人の手と同じ様に人を絞め殺す事だって可能な……

 

「貴方の事を、俺は何も知らない。貴方が俺を呼んだ理由も、今黙っている意図さえ、俺には分からない。だから、ーーー貴方の手で教えて欲しい」

 

流体マイクロマシンはなおも滲む。溢れ出し、何かの形を取ろうとする。

 

そして恐る様にーーーついに。

 

《拘束室を出よ。ーーー観察室への退避を推奨》

 

劣化して音の飛んだレコードの音声を繋ぎ合わせた様な。人間ではない知性体が、無理に人の言葉を話している様な。酷く聞きづらい機械音声が()()()

オペレーション・ハイスクールをやるか否か

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