アフター・ゾンビパニック   作:オカしぃ

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さらに強くなるゾンビ帝国

かつての希望の地、現人類最後の地と化した地下施設。最早そこにしか希望を抱けないという意味では今も希望の地かもしれない

そんな場所は彼彼女らが元いた場所から高い山脈を越えクソデカ砂漠を乗り越えてきったねぇ河を渡り再び山2つ越えた後に深すぎる谷を攻略した先にある。ゾンビ帝国の手先もそうそうやっては来れない(尚これを強引に突破した為にただでさえ少ない人間の数が更に激減したのだが)

そんなゾンビ帝国、この大陸以外にも足を広げていたのだがあるものを発見した。それは黒く、霧のようでありながら生物を通さぬ壁である意味不明なものだった。密度が濃すぎるのか何か原理不明の理由があるのかはわからないがミミズやホヤも通り抜けることはできないのであった。

また、その壁は大陸からはるか離れた洋上に宇宙まで届く壁となって存在しており、ゾンビ帝国と人類の大陸は黒い籠の中にいると言っても過言ではなかった

実はこの壁、あの希望を託された異世界に活路を見出した集団を送り出した際に出現しており、生物こそ通れないものの異次元に繋がっていると判明していた

…が、言えば無用な混乱に繋がる、最早滅びは必然だし隠せ隠せと人は隠匿してしまっていたのだ

そうとは知らないゾンビ達、つい最近皇帝宣言したあのゾンビハーレム野郎もこの壁に直に触れ、ある一つの策を思いつく

それは生物かどうか微妙なウイルスを送るというもの

そしてゾンビウイルスという正にピッタリなウイルスを定期的に送り続けることとなり、その素材調達にますます人間が狩られることとなったのだった

 

ここでウイルスばら撒き作戦を行う為に必要なゾンビウイルスの調達方法をお見せしよう

まず一般のゾンビは内部は腐り、表面は乾燥し飛び散るぐらいしかしない、というかできないのだが皇帝の支配下に置かれると肌ピッチピチでテロメアも一定以上に維持されるので常に若々しい、夜は明るく見え強靭な生命力と再生力、欠損も勝手にゾンビウイルスで作られた筒の中でパーツが出来上がりいつのまにか再生する。そんでもってゾンビウイルスで表面を覆うと固くなることもできる。おまけに力も強く素早くなりゾンビウイルスが固まったコアと称される部分を持っていれば他個体との通信も可能で連携も可能にするという

『硬くて早くて強い奴が高度な連携持ちながら数の暴力で襲ってくる』

と言った状態がゾンビ帝国である。誰が勝てるんだ

そんなゾンビも精神まで永劫を生きれるようになっている訳ではない。それに溶岩に池ポチャしたりパッキパキに乾燥したりγ線バーストを真正面から受ける等で重症を負うこともある

そんな重症者と生きるのを諦めたゾンビ達を合わせて作られたのが本題の『ゾンビツリー』である

ツリーの名の通り見た目は木、材質は肉、一年を通してさながら春の杉の木の花粉が如く濃密なゾンビウイルスをばら撒き続ける恐るべき生物兵器である。抗体を持つものでもこの木の下で濃密なウイルスを浴びれば感染間違いなしである

それを壁の近くに置き、ひたすら風に任せてウイルスを壁向こうに送り続ける作業を続けることで、いつか帰ってきたウイルスの情報で向こう側に何があるか調べるという気の遠くなる運任せな作業。それが当作戦だった

 

一方こちらは送られた側の世界。こちらも人が生活しており闇の壁の辺りから人を化け物に変える恐ろしい病が広まっていた。そう、ゾンビウイルスである

瞬く間に人をゾンビに変えていったが人以外の生き物は大体感染しなかった!これには驚き桃の木山椒の木といったところだがこれはウイルスが変異して人特攻LV99、人以外弱体化LV50みたいなことになっていたからである

そうこうしてるうちにこの地の人は感染していない動物達を見てこう思った

「そうだ、動物になろう」

何故こうなったのか理解不能であるが彼らは兎や猫、犬、鯱、鰻、ゴリラ、サイ、牛等の要素を持った存在へと進化した。自然選択とかその辺に喧嘩売るどころか殴り飛ばしているがともかく彼らはそのウイルスから身を守り、さらに恐るべき力を身につけた

それはゾンビウイルスの生み出すエネルギーを利用するものである

…そう、ゾンビウイルスはウイルスであるがシアノバクテリアの如くエネルギーを自ら大量に生み出しているのである

これを用い、体内に存在するゾンビウイルスから空中のゾンビウイルスへと命令してエネルギーを自由に使う、早い話がファンタジーによくある魔法である

指先から火を生み出し清潔な水を出し万能の風を発生させ自由自在の土を創り出せる正しく魔法。今は人それぞれ発生可能な魔法が違うがそのうちに大体の人が様々な生物の特徴を持ちながら大体の魔法をつかえるようになるだろう

そしてこんなゾンビ達には思いつかなかった、繁殖の為のエネルギーを火や水を作る為に使うなどという発想はゾンビ帝国に直ちに届—くことはなかった

ゾンビウイルスが帰ってこなかったのである

そして少々変異したゾンビウイルスが壁の向こうからやってきたのはなんと300年後。人類は劣悪環境や短命化等も相まって毎年人口の1%増えるかどうかと言った程度の増加率だったがここ数十年で数を取り戻して再び100万人の大台が見えてきたあたりだった

 

空中のゾンビウイルスを利用した魔法は瞬く間に広まった。皇帝の支配下にあるゾンビはゾンビウイルスが特に集まるコアが複数個ある為に魔法も幾つも並行して発動できたり単純に威力が桁違いだったりしたが特に身体強化、水生成、風発生の3種の魔法はその利便性から特に発展。結果、ゾンビ達は自給自足を可能にしながら矢や弾を逸らしつつ高い身体能力を発揮できるという最早人類虐殺マシーン的な存在と化していた

そして、その為にゾンビツリーが大量に作られその影響によって抗体持ちでも感染することさえ出てきた為に未だ直接対峙していないにも関わらず人類の滅びは確定し始めていた




アフターと言いながら全然事後じゃないんだよなぁ…ゾンビ帝国強すぎる

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