盲目の少女   作:torinikuyakiyaki

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本当に遅くなり申し訳ありません!!!!
いや~繁忙期ってえぐいんだなぁってしみじみ思う今日この頃です。今回もぜひお楽しみくださると共に、感想や評価などお待ちしております。


Ⅱー7

大広間から逃げ出してしまったものの、この後の事は考えていなかった。寮に戻ろうかとも考えたが、寮に戻ってしまえばいずれ寮生が戻ってきたときに、スリザリンの継承者だと崇められる可能性がある。

 

もうハーマイオニーに会えないのかな……

 

あの場所にはハーマイオニーも居た。

 

ハーマイオニーの目に映る私はどうだったんだろう…

 

きっと、ハーマイオニーに隠れてマグル生まれを襲っていた異常者に見えていたんだろうな。

 

私は足の方向を変え、寮のある地下ではなく上の階に向かった。

 

3階の愚かな男がトロールにバレエを教えている絵の前に来たとき、私は足を止めた。

 

結局、どこにも逃げられない。

 

どこかに隠れてしまいたい。

 

そう思いながら壁に寄りかかったとき、壁は私の体を受け止めることはなく、私は後ろに倒れてしまった。後ろに転がった私は、腕の中の蛇を庇いながら慌てて立ち上がり、左手に持っていた白杖で床を叩いた。音は周囲に響き、そして反響して自分に返ってきた。

 

どうやら今自分がいるのはかなり広い部屋のようだ。…でもこんな場所に部屋なんてあっただろうか?

 

『大丈夫ですか?美しい人。』

腕のなかに抱えていた蛇が私に話しかける。この子は元いた場所に返してあげないと。杖を振ればすぐだ。

あぁ…でもこの子を元いた場所に返してしまえば、私はこの部屋から出る勇気を失くすかもしれない。

 

私は出来るだけ優しい声で、

『大丈夫よ。あなたを家に返してあげる。今日の事は、夢だったと思えばいい。』

と言って、杖を振った。

 

腕のなかにあった重みはなくなり、あの子が家に帰ったのだとわかった。

 

私は部屋の壁を背に足を抱えて座った。

 

 

 

 

どれくらいの時間が経っただろうか。

 

さすがにここに居続けるわけにはいかない。

学校内で行方不明になったと連絡がいけば、お母様に無用な心配をさせてしまう。

私は立ち上がり、ドアノブに手を掛け、扉を開いた。

 

 

外は思ったより静かであった。

私は他人に会わないように、気を付けながら寮に戻った。寮に入った瞬間、

 

「今までどこにいたのよ!?」

 

とパンジーが叫びながら、私に抱きついてきた。身長は私の方が高いとしても、体格の面で劣っていたため、パンジーの力強い抱きつきで背骨から嫌な音がした。

 

 

「…パンジー…説明する前に死んじゃう……。」

 

パンジーはすぐに離れてくれた。

そして、私が逃げ出したあとについて説明してくれた。曰く、あの場にいたスリザリン以外の寮生は、すぐに私のことを犯人だと決めつけ、教師陣に私を拘束するように訴えたのだと。しかし、スリザリン寮生はその訴えに抗議した。

私の友人や同学年のスリザリン生は、マグルを嫌っていない私が継承者だとは思っていなかったし、その他は、スリザリンに継承者がいるとなれば、マグル生まれを廃絶してくれるはずだと思い込んでいた。そこで奇妙な一致が起こり、スリザリン寮生一体となった抗議に繋がった。

 

そして、極めつけはスネイプ先生の意見だった。

 

『蛇と話せるというのは状況証拠であって、物的証拠ではない。それをいえば、頭に稲妻模様のある小僧だって何か特殊な力がある可能性だってある。今回は要観察という事で、どうでしょうかな?』

 

と進言したらしい。彼の言うとおり、デルフィーニが蛇語を話すからといって犯人だと決めるのはさすがに尚早すぎた。そしてスネイプ先生だけではなく、ダンブルドアも疑わしきは罰せずという態度だったのも後押しになった。

校長もスネイプ先生も、少しはまともな大人なのかも知れない。

 

ただ、一応要観察という形の放免となったといっても、生徒たちからデルフィーニへの疑いは晴れたわけではなかった。

 

それでも、スリザリン寮の友人たちは、私が犯人だということは絶対にあり得ないと信じてくれた。それだけで私の心は少し嬉しかった。

 

ハーマイオニーはどうなのだろう。

私を……信じてくれるかな。

 

あの決闘クラブから3日経った。ハーマイオニーには会えなかったし、スリザリン以外からは、廊下ですれ違うだけで犯罪者扱いされた。それに拍車をかけたのは、決闘クラブのすぐ後に被害者が出てしまったことだ。被害があった日に、私は寮から出ていなかったが、それ自体を完全に証明するのは難しかった。

事情聴取を受けることにはなったが、私が被害者の生徒と面識がないこと、名前を聞いてもどこの寮の生徒なのかわからない私を見た先生たちに、

「もう少し、他人に興味をもって生活するように。」と言われて、聴取を終えた。

 

それでも、スリザリン以外の生徒たちはなんとか私を犯人だと思い込みたかったようだ。

 

私を犯人だとすることで、自分に降りかかるかもしれない襲撃の恐怖をまぎらわそうとしているのだろう。

 

私が犯人じゃなかったら、また憶測し合う疑心暗鬼に包まれた生活に戻ってしまう。

それが、未熟な生徒にとっては恐怖だったのだ。

 

最後の襲撃から1週間が経ち、やっとハーマイオニーと会うことができた。

魔法薬学の授業終わりに、廊下で彼女を呼び止め、話をしようとしたとき、ウィーズリーが間に割り込んできた。

 

「私はハーマイオニーと話がしたいのだウィーズリー。邪魔をしないでほしい。」

私は邪魔された苛つきを押し殺しながら、落ち着いた声で彼をなだめようとした。だが、威圧されたように感じたウィーズリーは、

 

「そんな風に言っても無駄だぞ!!ハーマイオニーを物陰に連れていって石にするつもりか、それとも上手く言いくるめるつもりだろ!?そんなことさせるもんか!!」

 

「私がハーマイオニーに危害を加えるはずがない!」

 

「口では何とでも言えるよ!君は、同じ寮の先輩を半殺しにしたんだろ!?みんな言ってるよ!デルフィーニ・ブラックは残酷で冷酷だって!!」

 

「私は残酷じゃない。幼稚な理由を並べ立てるのはやめろウィーズリー。そんな噂話を信じているなんて、本当にお前は典型的なグリフィンドールの愚か者のようだな。」

 

「それに君の父親のことを、誰も知らない!君の父親はアズカバンにいる闇の魔法使いなんじゃないか?もし、そうなら君の母親も最低な奴なんだろうな!!」

 

こんなことするつもりはなかった。

ハーマイオニーの目の前で、私とお母様を侮辱されたように感じて、怒りのままに杖を構え、呪いを掛けようとした瞬間、ハーマイオニーが私の腕にすがり付いて、杖を振らせなかった。

 

「やめてデルフィーニ!!お願いだから…やめて…。」

ハーマイオニーが涙声でそう叫んだ。

私はハーマイオニーに釈明するどころか、彼女を悲しませ、泣かせてしまった…。

 

私は父と一緒だ。怒りのままに行動すれば、どうなるかなんて明白だったのに。

 

私は、杖をしまい、ハーマイオニーに、何も声をかけることなく身を翻して足早に立ち去った。

 

 

ウィーズリー達とあった出来事は、グリフィンドールとスリザリンの確執をより深めてしまう結果となった。二つの寮は、学校内で顔を会わせるだけで嫌味を言い合う仲だったのが、悪化して呪い合うことが増えていった。

グリフィンドールの言い分は、スリザリンは犯罪者を匿っていると。スリザリンの言い分は、グリフィンドールが難癖をつけていると。

 

そんなこと、今の私にはどうでも良いことだった。

もう、ハーマイオニーに顔を合わせることなんて出来ない。

私はより、図書館にこもって勉強するようになった。最近、ハーマイオニーが図書館に来なくなっていたのも功を奏して、私の勉強はさらに捗っていった。

 

 

 

 

 

 

「君も見ただろう!!彼女の狂暴な姿を!!」

 

魔法薬学の後、デルフィーニとロンが言い争い、怒ったデルフィーニは杖を握りしめ、今にも呪いを飛ばす寸前だった。あの場で彼女が杖を振っていれば、彼女の立場はさらに悪くなってしまう。私はそう考えて彼女にすがりついて止めた。

そして、彼女はこの世の終わりのような、悲しさと怒りが混じったような表情をした後、その場から走り去ってしまった。

 

「あいつが秘密の部屋を開けた犯人に違いない!そしてマルフォイとつるんでマグル生まれを襲っているんだ!!」

 

ロンは鬼の首を取ったように騒いだ。元はと言えば、ロンが彼女と彼女の母を侮辱したせいよ。

 

「あなたが、あんなことを言わなければ…」

 

私は怒りを隠せなかった。

 

「あなたが、彼女の母親を侮辱しなければあんなことにならなかったのよ!私は、もうポリジュース薬を作るのをやめるわ!デルフィーニを騙すのも、隠れてこそこそするのもやめる!」

 

私の言葉を聞いて、ハリーは焦った様子だった。ハリーはデルフィーニのことを、マルフォイよりはましな奴だと思っていた。だから、ロンがデルフィーニの母親を侮辱したことを聞いて、自分もダーズリー家で貶されてきたことを思い出していた。

ただ、それとは別にハリーは秘密の部屋を開けた人物へのとても強い興味も持っていた。そして、今回はその興味が勝った。

 

「ちょっと待ってよハーマイオニー。君が抜けたら、デルフィーニの無実を晴らせなくなるよ!君だって本当は彼女を疑っているんだろ?じゃなきゃこんな計画に最初から乗らないはずだよ!」

 

ハリーはなんとか引き留めようとした。

 

そして、私は彼女を少しだけ疑っていた。

デルフィーニ自身の完全な意思のもとではなく、マルフォイや他のスリザリン生の指示で行っているのではないか?

 

そして、最悪の考えは、彼女が率先してマグル生まれを襲っているのでは…と。

 

そして、もしそうならなんのために…。

 

小さな疑惑は、私の周りに纏わりついて離れない。あり得ないことだとはわかっている。でも彼女の父親のことを思うと、絶対に無いなんて思えなかった。

 

私は結局、ポリジュース薬を作り続けることにした。

 




次回、百合要素を詰めるつもりです…
よろしくお願いします…!
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