盲目の少女 作:torinikuyakiyaki
諸々忙しくて、やっと投稿できました!!
今回、ついにデルフィーニはスリザリンの継承者と対峙することに…。
デルフィーニはどうなるのか。
次回も鋭意制作中ですので、是非お楽しみください!
クリスマス休暇も終わり、生徒達がホグワーツに戻ってきた。生徒が戻ればまた襲撃が始まるかと思われたが、襲撃はひとつも起こらなかった。
犯人はわからない。
だが、もしかするとクリスマス中に先生達が捕まえてくれたのかもしれない。
そんな期待を生徒達は持ち始めていた。
だが、私は犯人は何か大きなことをするために行動を控えているのではないかとにらんでいた。
生徒達、そして教師達の油断が高まったときに何かをしてくるはずだと。
ハーマイオニーも私と同じ考えだった。
何らかの理由で襲撃できないだけで、その状態が改善すればすぐに襲撃が始まる。次こそ、死人が出るかもしれない。だから、今のうちに犯人を見つけなければならないと。
二人で図書館に向かい、今までの襲撃を一度おさらいすることにした。
まずは、襲撃された人たちは皆石になっているということ。そして、その石にしている方法は魔法によるものではない。
ここから考えられるのは、何らかの毒物かもしくは道具を使った方法によるものではないかということ。もしくは、魔法生物を使用した方法か。
人を石にする方法の候補が多すぎる。
だが、もうひとつの情報である程度絞り込めるかもしれない。それは、犯人はスリザリンの継承者を名乗っているということ。スリザリンは純血思想を持ち、この学校にふさわしくないと考える者を排除しようとしていた。
その思想を継承している者=スリザリンの継承者と考えることも出来るが、血縁者、つまり子孫に当たる人物のことだと私は考えた。
ただ、この考えはハーマイオニーが否定した。
「スリザリンの血縁者を探したら、魔法界にいる純血と半純血のほとんどが該当するわよ。彼の子孫はかなり多いし、その筋だけだと絞りきれないわ。」
「じゃあ、彼の血縁者であり、彼の能力を受け継ぐ者で絞ってみよう。つまり、純血と半純血の中で、蛇語を話せる人物が犯人だ!」
名推理だと思ったが、これもハーマイオニーに否定された。
「蛇語を話せるホグワーツ生は、私の知る限りあなたとハリーだけよ。そして、あなたとハリーは絶対にマグル生まれを襲わない。振り出しに戻るわね。」
「なら振り出しに戻して考えてみよう。被害者がいた現場ってどういう状況だった?」
最初の被害者…被害猫のノリスへの襲撃はハロウィンの日に起きた。そしてハーマイオニー達が第一発見者だった。
「そうね…私たちは絶命日パーティーに誘われて、その帰り道に発見した。ハリーがいきなり声がするって走り出して、追いかけていくとノリスが石になっていた。」
「現場に何か気になるものはなかった?」
「あったのは血文字と、えっとそれから………水。水溜まりがノリスの側にあったわ!」
水溜まり…。そしてポッターの声がするという発言。ポッターが聞こえたという声はハーマイオニー達には聞こえていなかった。つまり……
「確認なんだけどさ。他の被害者達の状況って…」
次の被害者はカメラを構えたまま石に。その次は、側で首なしニックが浮かんでいた。これらを繋げると
「ポッターだけに聞こえる声を出す生き物。そして全員何かを通して攻撃を受けた…?」
「もしそうなら、考えられるなかであり得るのは…!?」
ハーマイオニーは席を立ち、図書館の魔法生物に関するコーナーに飛んでいき、ある本を掴んで戻ってきた。
彼女はページを勢いよくめくっていき、あるページで指を止めた。私はそのページに指を這わせ、文字を読み取った。一番あり得ない、でも一番可能性のある生き物。
「「バジリスク。」」
とてつもなく危険で、現在では確認されることもなくなった伝説の生物。人為的に産み出すことも可能で、そして……蛇である。
「毒蛇の王とも呼ばれ、その瞳に捕らわれた者は即死する……蜘蛛が逃げるのは前触れ…。ハーマイオニー。ノリスの時に蜘蛛は逃げてた?」
「蜘蛛が行列を作って逃げていたわ。みんなを石にしていたのはバジリスクで間違い無さそうね。」
巨体だと思われるバジリスク。その移動方法はどうやって行われたのか。私が考えていると、
「パイプ…?そうよパイプよ!」
ハーマイオニーがその疑問を解決した。パイプなら城中に張り巡らされている。ここまで推理できたら、あとは先生に報告するだけだ。そう考えて図書館から出たとき、微かに誰かがささやく声がした。
『殺してやる…殺してやる…』
本能が逃げろと警告する。私はハーマイオニーの腕をつかみ、
「目を閉じて!」
と彼女に指示を出して、走り出した。
声はどんどん近づいてくる。パイプを這って追っているのならトイレ等の水回りは近づけない。
声は私たちの行く手に先回ろうとしてくる。
どうやら先生達の方に行かせたくないようだ。上階に行く階段を塞ぐように移動している。
それならば。
上階に逃げるのではなく、いっそ地下に逃げてしまおう。
スリザリンの寮か魔法薬学の教室か。
魔法薬学の教室ならスネイプ先生に会えるかもしれない。しかし、いなかった場合は行き止まりだ。スリザリンの寮なら、周りに大層非難されるだろうが、確実に誰かがいるし、スリザリンの継承者がスリザリン寮で大暴れするリスクは少ない。
私達は、一気に階段を駆け下り、そして地下にあるスリザリンの寮に駆け込んだ。
声はもう聞こえなかった。
「どうしたんだ!?そんなに慌てて寮に入ってくるなんて……ってなんでグレンジャーがここにいるんだ!?」
ドラコだ。彼はわたしたちの様子に驚いていた。
「廊下で誰かに追いかけられたんだ。もしかすると例の犯人かもしれない。」
私の言葉を聞いて、慌てたのはミリセントだった。
「そんな!パンジーとダフネに会わなかったの!?あなたが心配だから探すって言って外に出ていったのよ!!」
私はミリセントの言葉を聞いて、慌てて外に出た。
外は何一つ音がしない。
さっきまで私たちを追いかけていたあの声もしなかった。
少し待てば、パンジー達が戻ってくる。
そんな気がしていた。
そしてそれは大きな間違いだった。
スネイプ先生を呼んで、何者かに追いかけられてスリザリン寮に逃げ込んだと言って、ハーマイオニーをグリフィンドールに送ろうと考え、彼を呼ぼうとした時、彼は少しの焦りを見せながら、寮の扉を開いた。
「ミリセントとデルフィーニは、我輩と一緒に来なさい。グレンジャーは、マクゴナガル先生が来るまでここに待機していなさい。」
嫌な予感しかしない。
歩みが重くなる。
スネイプ先生に連れられて来た場所は、医務室だった。
もしかして、あの二人が襲われた…?
あぁ…嫌な妄想であってくれ。
私の思い違いであって欲しい。
医務室に入ると、真っ先に薬品の匂いがした。
石になったのなら、薬品はマンドレイクを使った薬以外は意味がない。でも、この匂いは止血や傷を治すための薬の匂いだった。
スネイプ先生の後をついて医務室の奥へと進んだとき、隣にいたミリセントが息をのんだ。そして、前へと走り出し、ベッドに横たわる人物の側に行った。
「パンジー…ダフネ…いったい誰がこんなことを…。」
二人は大怪我を負って、医務室のベッドに運ばれたのだ。それも、私とハーマイオニーが犯人と思われる人物から逃げている時間の前後に。彼らを襲ったのは私たちを追いかけた人物と同じであろう。石にされなかったのは、彼らが純血だったからだ。
純血だった彼らをバジリスクは襲わなかった。
(もしくは襲えなかったのか?)
だが、犯人は違った。犯人は魔法を用いて、二人を激しく攻撃した。
私たちをターゲットにしていたが、それを逃がしてしまった腹いせか?それとも何か理由があるのか?
なんにせよ、犯人は私の大切な友人を傷つけた。絶対に許せない。見つけ出して、その代償を払わせてやる。
ホグワーツで、多くの生徒が石にされ、そして純血名家の生徒も襲われたことによって、何故か森番のハグリットが魔法省に連行された。何でも、50年前に秘密の部屋を開けたのはハグリットだとされている。ただ、証拠不十分でその時は退学処分だけで済まされていたらしい。
そして、その責任を取るかたちでダンブルドア校長も理事会に解任されかけているらしい。
でも、ハグリットが犯人ではない気がする。
お世辞にも彼は知恵が回る人ではないし、何よりもバジリスクが従うとは思えない。
パンジー達はあの襲撃から3日後に目を覚ました。犯人についての聞き取りが行われたが、二人とも犯人の顔を覚えていなかった。それどころか、なぜ自分達が医務室にいるのかもわかっていなかった。つまり、記憶を消されていたのだ。
こんな高等な事をホグワーツを退学になってまともに魔法を学んでいないハグリットに出来るはずがない。ならば、いったい誰がこんなことをしたんだ?
そして、ついにダンブルドア校長が解任される日が来た。夕食の席でドラコは得意げに、グリフィンドールに聞こえるように話題にした。目が見えなくても分かるほどの敵意をグリフィンドールから感じる。
もし、私が犯人だったら大きな事をするのに、今日を置いて他にはないと考えるだろう。
そして、犯人に報復するなら今日しかない。
犯人の目星はついていないが、バジリスクを操るのならばその声を聞けば、犯人を見つけることが出来るはずだ。
私は、周りの音をよく聞くために、人があまり立ち入らない場所へと向かった。
ホグワーツで一番静かな場所……それはあまり人が立ち入らない場所。私は3階の女子トイレに向かった。
3階の女子トイレには、嘆きのマートルというヒステリックに喚くゴーストが住んでいる。前にスリザリンの女子生徒たちが、彼女をからかって遊んできたという話をしているのを耳にしたことがある。
そして、なぜ3階の女子トイレに人が近寄らないのかというと、嘆きのマートルのヒステリックに耐えられないからだ。つまり、彼女をからかって遊んできたスリザリンの女子生徒達は、ヒステリックに耐えられる、ある意味鋼の忍耐を持っているといえる。
3階の女子トイレに入ると、思ったより静かな空間だった。……何かが周りを飛び回る気配は感じるが。
『あなた……とてもきれいな顔をしているのね。なんか不思議ね。私、あなたに似た人を見たことがある気がする。』
「あなたは誰なんですか?」
『私は嘆きのマートルよ。見ればわかるでしょう?』
「……すみません。私、目が見えないんです。」
マートルは私の周りをクルクル廻るのをやめて、私の正面に立った。
『どうりであなたと目が合わないわけね。キャハハハハハ!』
マートルは、面白いものを見たというように甲高い声で笑った。私は少しムッとしながら、さっきの言葉で気になったことを聞いた。
「私に似た人とはいったい誰のことでしょうか?」
『それは………。!?』
トイレの戸が開く音がした。マートルはその音に反応して話を止めた。私も杖ホルダーに手を伸ばし、いつでも杖を抜ける状態にした。
足音が誰もいない女子トイレに響く。
私は緊張に耐えられず、杖を抜いて構えた。
「誰だ!?」
「わ、私よ!ハーマイオニー!」
入ってきた人物はハーマイオニーだった。
私は、警戒を解いて杖を仕舞った。
「ハーマイオニー。どうしてここに来たの?」
「あなたがここに一人で入っていったからよ。あんなことがあって、犯人も捕まってないのに一人で行動するのは危険よ。」
「そうだね。でも、犯人が狙っているのはマグル生まれの生徒だけだから私は大丈夫。」
私は、このまま犯人を待つのはハーマイオニーを危険にさらすと思い、彼女を寮まで送ることにした。彼女の手を取ったとき、後ろの方でマートル小さな声で、
「こんなところで見せつけないでくれる?」
と言っていたが、無視をして外に出た。別に見せつけているわけではない。いや、目の見えない私に対して、嫌みを言いたかっただけなのかもしれない。
廊下に出歩いている人はいないようで、とても静かだった。その静かさが不気味すぎるくらいに。犯人は捕まっていないのに、ダンブルドア校長が更迭された事をみんなが不安に思っているのだろう。食事のあとに生徒達はみな、寮に戻ってしまったようだ。二人とも早歩きになりながらグリフィンドール寮へ向かった。
「きゃっ!」
あと少しで寮につくという曲がり角で、誰かにぶつかりその人物を転ばせてしまった。私はすぐに、
「ごめんなさい。大丈夫?」
と、声をかけて手を差し出した。
「あ……デルフィーニさん…。」
声に聞き覚えがある。
どうやら転ばせてしまったのは、ウィーズリーの妹のジニーらしい。
ただ、様子がおかしい。前に感じていた気味の悪い感覚が、異常なまでに私に逃げるように警告してくる。
私はその雰囲気に後ずさりをした。その瞬間、ジニーは突然私の腕を掴んだ。
「デルフィーニさん…ごめんなさい。そんなつもりじゃ…私は…。『やっと会えたね。』」
背筋に針を通されるような寒気が走った。目の前にいるのはジニーだけどジニーじゃない!!!
彼女の手を振り払おうとするが、しっかり掴まれてて放せない。
ジニーではない目の前の人物は、杖を私の胸に当てて何かを唱えた。
その瞬間、私の体は硬直し床に崩れた。
体が痺れて動けない。声を出そうとするも、かすれた変な息が漏れるだけだった。
こんな呪文は聞いたことがない。
ハーマイオニーは倒れた私に駆け寄り、
「デルフィーニ!どうしたの!?」
と声をかける。逃げてと伝えたいのに…
『君がグレンジャーだね。君には僕と一緒に来てもらうよ。ステューピファイ。』
ハーマイオニーが吹き飛ばされ、壁にぶつかる音がした。
このクソが…動けたらあいつを八つ裂きにしてやる……!
あいつは動こうとあがく私のそばに来て、耳元に口を近づけてささやいた。
『君と僕でちょっとしたゲームをしよう。hide and seekさ。君が僕を見つけて、お姫様を救い出せたら君の勝ち。僕を見つけられず、お姫様を助けられなかったら僕の勝ちさ。じゃあ、準備が出来るまで寝ててもらうよ。』
頭に何か衝撃を受けると、そのまま私の意識は急速に沈んでいく。
『あ、そうそう。バジリスクの気が変わらない内に見つけないと彼女はエサになるからね。あはははははは!!』
あいつの高笑いが耳に反響するなかで、私の意識は完全に落ちた。