盲目の少女   作:torinikuyakiyaki

2 / 18
デルフィーニはとても複雑な人物です。今は母親を守る力を身につけたいという思いが、一番強いですが、自分の気づいていない欲望として目が見えるようになりたいという思いがあったり、目が見えないことによって心の奥に抱いてしまった劣等感から人を打ち負かす強さや絶対的な権力といった力への憧れを持っていたりします。
さらに、彼女の見た目はザ・若いころのトム・リドルなので、ダンブルドアなどからはかなり警戒されています。ちなみに現時点での彼女の身長は164㎝ですが、最終的には178㎝の高身長女子になる予定です。
ではよろしくお願いします。


賢者の石 編
Ⅰ‐1


待ちに待ったホグワーツ入学の日。デルフィーニは、前日から数えてもう30回目の荷物チェックをして、ベラトリックスと一緒にキングズ・クロス駅に向かった。道中でホグワーツは4つの寮で成り立っている事、お母様はスリザリンの出身で、デルフィーニが入るならスリザリンが一番だと言われた。逆にお母様はグリフィンドールという寮が嫌いらしく、あの寮だけは絶対にありえないと力説された。お母様にしては珍しい、『グリフィンドールは節操なしで野蛮』『我が家ではグリフィンドールは恥だった』などの強い言葉を何度も繰り返していた。お母様は過去にグリフィンドールに嫌な思いをさせられたことがあるのだろうか。もし私がグリフィンドールに入ったら、それはお母様を悲しませることになるのではないだろうか。駅に向かいながらそんなことを考えていた。

 駅にはもうたくさんの人が集まっていた。早めに乗らないと席が無くなりそうな様子だった。デルフィーニは、

「お母様、席が無くなりそうだから、もう行きますね。クリスマスにまた会いましょう。」

「えぇ。行ってらっしゃいデルフィーニ。多くの学びがあなたにありますように。健康にも気を付けるのよ。」

 お母様とハグをし、列車の空いているコンパートメントを探す。デルフィーニは、目が見えないが、中からする声を聞いて人の有無を確認し、声がしない場合はノックをして確認し、そうして、空いているコンパートメントを見つけた。コンパートメントの棚に魔法でトランクを持ち上げて押し込むと、席に座りやっと一息つくことが出来た。ホグワーツでの生活は本当に楽しみ。友達もいっぱい作れるといいなぁ。組分けは少し不安だけど、何とかなるはず…。そんなことを考えていると誰かがコンパートメントの戸を叩いた。

「デルフィーニ。ここにいたのか。」

 ドラコだった。ドラコの後ろに誰かいる気がする。

「えぇ。人が多くて先に座っちゃった。」

「それならよかった。僕は後ろにいるクラッブとゴイルと座らないといけなくて、そうすると君が窮屈だろうと思ってたんだ。じゃあまたホグワーツで。」

 ドラコはそういうと後ろの二人を引き連れて前の方に向かった。後ろの二人はクラッブ家の子とゴイル家の子か。どちらも親が有名な死喰い人だったはず。あまり積極的に関わるべきではないと思った。裁判ではどちらも服従の呪文で例のあの人に従っていたと証言して罪を逃れたというから、積極的に私を生け贄にお父様復活とかは考えないだろうから今のところは大丈夫だと思うけど。

そんなことをぼんやりと考えながら、上級魔法薬学の本(本来は必要ないけどどうしても読みたかった)を開こうとしたとき、またコンパートメントの戸を誰かが叩いた。

「すみません。そこの空いている席に座ってもいいかしら?どこも空いてなくて。」

「もちろん。どうぞ。」

 今度は女の子のようだ。彼女は自分のトランクを棚に上げた後、私の正面に座った。

「私はハーマイオニー・グレンジャー、ハーマイオニーって呼んで。あなたは?」

「私はデルフィーニ・ブラック。私もデルフィーニでいいですよ。」

「ブラック…。ブラックって魔法界の有名な純血一族の名前よね?マグル生まれが嫌いだったりする?」

「ブラックは確かに純血ですけど、私は分家の方の出身です。純血の一族には、マグル生まれやマグルを差別する人が多いらしいけど、私は違います。」

「そうなのね!安心した!私は両親がマグルで、魔法のある世界が初めてで、マグル生まれが差別されるって聞いていて少し不安だったの。」

 ハーマイオニーは安心した様子だった。彼女がここで会う同い年の魔法使いが私じゃなく、ドラコとかだったら確実に彼女は悲しい思いをしただろう。ドラコは私に対してはいい子だけど、それがマグル生まれに対してもというわけではない。

 ハーマイオニーは好奇心旺盛なようで、私の長い杖と、そして今読もうとしていた上級魔法薬学の本に視線を向けていた。そして、

「あなたの持っているその長い杖は何かしら?魔法に使う杖は別にあるようだし、私すごく気になっちゃって。」

「この杖は、私の目の代わりになる杖です。私、生まれつき目が見えないから、この杖で床を叩いてその反響を聞いて周りの様子を探ったり、足元の確認をしたりするのに使っています。もちろん、さっきハーマイオニーが言っていた通り、魔法を使う杖とは別です。」

「そうなのね。あと、その上級魔法薬学の本は?一年生は使わないよね?それにどうやって読んでいるの?点字の本ではなさそうだし。」

「これは私の趣味です。いろんな本を読んで知るのが好きで。この本…というか魔法界の本はほぼ点字化されていないのですが、インクから文字を読み取る魔法を使って読んでいます。それにしてもハーマイオニーは点字についても知っているなんてすごいですね!」

 私はすごく興奮してしまった。本当は魔法を使って本を読むより、点字を使って読んだ方が疲れない。点字自体の話題が魔法界では出てこないけど、ハーマイオニーからは出てきた。

「私の両親は歯科医なの。だから、目が見えない人が使う字とかについて少しだけ教えてもらっていたの。でも、読むことまではできないわ。」

「ううん!知っていてくれただけで本当にうれしい。魔法界にはそんな人いないから。魔法で何でも解決するって側面が強いから、マグルの点字なんて取り入れられないだろうし。」

 

 ハーマイオニーは本と勉強が大好きなようだ。入学前から教科書の内容を全部暗記し、何個かは使えるように勉強してきたらしい。私が読んでいた上級魔法薬学の本も自宅に置いてきているようだが、その内容だってほぼ覚えていた。二人でこれからの授業について何が一番楽しみか、本で読んだ以上の知識への期待を語った。汽車がいつの間にか走り出していた。汽車の速度以上の速さで私たちの会話は弾む。

「ねぇハーマイオニー。私と友達になってくれませんか?私こんなに話していて楽しいと思ったのは初めてなのです。」

「もちろんよデルフィーニ。あなたは私が魔法界で出会った初めての友達よ!もう敬語は無しね!」

私にとって、初めての友達が出来た喜びをかみしめながら、いろいろな話をしていた。私たちは少し早めに制服に着替え、組み分けについて話し始めた。

「デルフィーニは、自分がどこの寮に入ると思う?」

「私は、お母様がスリザリンだから多分スリザリンじゃないかな。」

「お母様?デルフィーニのお父さんはどこの寮だったの?」

 私は噓をついた。

「あー。お父様は外国の人だったからホグワーツ出身ではないらしいんだよね。」

 私のお父様がだれなのか、誰かに知られたらと思うと怖くて本当のことが言えなかった。初めてできた友達に、マグル出身者やマグルを殺害していた人の娘なんて思われたくなかった。もし、知られたらどうなるのか。私の父親に関してはドラコだって知らない。だから余計に他人が知ったらと思うと怖かった。

「私は、どこの寮に入ってもデルフィーニと仲良くしたいな。」

「私もだよ、ハーマイオニー。どこの寮に入っても仲良くしたい。」

 二人でそんな話をしていた時、コンパートメントの戸を叩く音がした。そして、男の子が戸を開けて、

「いきなりごめんね。僕のカエルが逃げちゃったんだ。見てないかな?」

 私もハーマイオニーも見ていないと言うと、男の子は肩を落とした。ハーマイオニーが男の子と一緒に探しに行ってくると言い、私はここで待つことにした。もうすぐホグワーツにつくかなと思い、読んでいた本を片付け、いつでも降りられるように準備をした。しばらくしてハーマイオニーも帰ってきた。カエルは見つからなかったようだが、代わりにハリー・ポッターに会ったと言っていた。ハーマイオニーが言うには、普通の男の子だったと言っていた。ハリー・ポッターは、もし私の父親がだれなのかを知ったら、私に恨みを持つのだろうか。

 

 汽車が駅についたようだ。ハーマイオニーが手を引いてくれたおかげで、乗る時よりもスムーズに降りることが出来た。一年生を呼ぶ男の声がする。ハーマイオニーと一緒に声の方向へと向かう。引率の男性と共に、一年生は小道を歩く。真っ暗らしく周りの生徒はつまずいたりしながら歩いていた。私は杖を使って足元の確認をしながら歩いたため派手に転ぶことはなかった。そして、湖にたどり着き、4人一組でボートに乗る。ハーマイオニーと二人の女子と一緒に船に乗り、船着き場についた。先ほどの少年のカエルがいたらしく、少年がカエルの名前を呼んでいた。その後、男性の引率から、マクゴナガル教授と呼ばれる先生に引率が代わり、大広間の前に来た。私は目立たないように後ろの方にいたけど、周りは私が杖をついていることに興味があるようで、ちらちらと見られているような気がする。マクゴナガル先生が組み分けの儀式と寮について説明し、説明が終わると大広間の扉が開かれ、一年生から驚嘆や歓声がした。大広間は驚くほどに広いらしく、全校生徒が集まっていてその視線をすごく感じる。ハーマイオニーが天井について、本当の空に見えるように魔法がかかっていると説明してくれた。私の目には何も見えないけど、きっと素晴らしい景色なんだろう。集団についていき広間の中に入る。前の方では何かが歌っている声が聞こえた。ハーマイオニーに聞くと、どうやらボロボロの帽子が歌っているらしい。歌の内容は、勇敢なグリフィンドール、忍耐強いハッフルパフ、賢いレイブンクロー、狡猾なスリザリンという寮の説明といったところだった。

 組み分けが始まり、ABCの順番に名前が呼ばれていく。緊張で他の子がどこの寮に入ったのか頭に入ってこない。そして私の番が来てしまった。

「ブラック・デルフィーニ!」

 ブラックという名前が呼ばれたとき、周りがどよめいた。改めてブラックという名前がどれだけ大きいのかを知った。緊張で震える手を押し殺し、杖をついて周りを確かめながら椅子へと向かう。椅子に座ると組み分け帽子が頭にかぶせられた。

『ふむ…。君はとても強い野心を持っている。確実にスリザリンだろう。だが、過去にスリザリンへ組み分けされ、闇に落ちたあの少年と同じ道をたどる可能性が高い。私は子供を闇の道に落としたくない。幸い君は野心に匹敵する勇気もある。それでもスリザリンがいいのかね?』

『どこへ行っても私は私でいられます。ならば、お母様を悲しませない道に行きます。』

『そうか、ならばスリザリン!』

 スリザリンから拍手が聞こえる。これからは、ブラックという名前で父親のことは隠し続けていかなくては。スリザリンの先輩が私の手を取り、空いている席を教えてくれる。

「ブラックは絶えたと思ったが、君は純血で間違いなさそうだな。」

「そうですね先輩。これからよろしくお願いします。」

 

 何人かの生徒が組み分けされていき、ハーマイオニーの番が来た。帽子は少し悩んだ後、彼女をグリフィンドールに入れた。彼女に会うには、少し工夫が必要になった。グリフィンドールの事はスリザリン出身のお母様が悪口を言っていたことなどから推測して、仲が悪いというか犬猿の仲だといえるだろうし、用心するべきだろう。私がグリフィンドールのハーマイオニーと仲良くしているのを見られたら、私だけがいじめられるならまだしも、ハーマイオニーまで寮で孤立してしまう。そうはさせたくない。

そんなことを考えていると、ドラコの名前が呼ばれた。帽子を被るか被らないかの所で、彼はスリザリンに組み分けされ、私の隣に座った。

「デルフィーニ!僕たち一緒だね。これからもよろしく。」

「そうだね。ドラコこれからもよろしく。」

 ドラコは、自分と私がスリザリンにいるのは当然だと言わんばかりの表情をしているのだろう。先輩方はマルフォイとブラックがスリザリンに入った事を歓迎していた。

「ポッター・ハリー!」

 ハリー・ポッターの名前が呼ばれた。ハリー・ポッターが上ずった声で返事をする。あの洋裁店で出会った少年がポッターだったのか。ポッターは、組み分けにかなり長い時間がかかっているようだった。そして、

「グリフィンドール!」

 グリフィンドールからは割れんばかりの歓声が上がる。『生き残った男の子』がグリフィンドールに入り、『ヴォルデモートの娘』がスリザリンに入る。見る人が見れば、喜劇にも悲劇にもいくらでも想像が膨らむ構図だ。でも、私は仇討ちとか考えていない。お母様を守る力を身につけるためにホグワーツに入った。だから、ポッターとは関わらないように生活しよう。関われば、私の父親についてみんなに知られてしまうかもしれない。真実を知ったポッターが何をするのかわからない。私は下を向き、組み分けが終わるのを待った。

 

 組み分けが終わると、校長の挨拶があった。…何かよくわからない呪文を校長が唱えると、テーブルの上に大量の料理が現れたようで食事が始まった。ドラコに、どこに何があるのかを聞き、杖を振って食事を自分の皿に取った。実家で食べていた食事も美味しかったが、ホグワーツの食事も美味しかった。食事自体は美味しく楽しかったが、職員の席から私に対して品定めをするような嫌悪感をむき出しにしたような何とも言えない視線をずっと感じていた。ドラコはポッターと話したときに、あまり良い関係になれなかったらしく、彼の悪口を一生懸命話していた。食事も終わり、監督生に連れられて寮へと向かう。寮は地下にあり、私の部屋は4人部屋だった。ミリセント・ブルストロード、パンジー・パーキンソン、ダフネ・グリーングラス。見事に聖28一族で固められていて、私は少し息苦しさを覚えた。挨拶をし、自分は目が見えないことを説明した後、初日の疲れもありすぐに眠りについた。

 

 次の日から授業が始まった。スリザリンは学年で固まって授業へ向かうため、道に迷う事がなかった。多くの授業があったが、どれもワクワクする楽しい授業だった。妖精の呪文を教えるフリットウィック先生は、教え方もとてもうまかった。彼は元決闘チャンピオンらしく、将来彼の教えを請いたいと強く思った。変身術は少し苦労をした。私は色に関してわからないため、形がいくら完璧でも色まで完ぺきではない気がして、何度もやり直した。それを見た先生が、色を自在に変えることが出来ているとほめてくれて、加点をしてもらうことが出来た。

 変身術や妖精の呪文学が楽しかった一方で、一番楽しみにしていた闇の魔術に対する防衛術だけは、期待外れなレベルで面白くなかった。先生はニンニク臭いし、あの教室にいるだけで頭が痛くなる。おどおどしていて何を話しているのかもわからない。これなら本を一人で読んだ方が多くの事が学べるだろう。ほとんどの授業が難なくこなすことが出来たが、飛行術だけは学校との協議によって見学とレポートによる代替処置に変更してもらった。さすがに目が見えない私が箒に乗るのは教員としても対応が追い付かなかったのだろう。授業はグリフィンドールとスリザリンの合同授業が多かったが、スリザリンとグリフィンドールの確執は私が思っていた以上で、ハーマイオニーとは全く話せなかった。

 

 その代わり、相部屋になった三人と少し仲良くなれた。三人とも純血思想が強く、マグルの事をあまり良くは思っていなかったようだが、私がマグルの教育によって文字を読んだり歩いたりできるようになった話を聞くと、興味津々な様子でいろいろ聞いてきた。少しはマグルに対する偏見も解けたのではなかろうか。三人の中で面白かったのはパンジーだ。彼女はドラコの事が好きらしく、はじめは私をライバルだと思ったようだが、ドラコと私がいとこ同士だと知ると、ドラコの好きなものを私に聞くようになった。ミリセントは、体を動かすのが得意らしく、私が飛行術のレポートを書いていると、私の手足をとって実演してくれた。ダフネは、おっとりとした性格をしているようで、グリフィンドールとスリザリンが喧嘩をしている場面に出くわしても、それらを無視して目的地に向かうようなマイペースさを持っていた。三人とも、世話好きなところがあるらしく、私は三人の助けを借りながら学校生活を楽しむことが出来た。

 

 そして、魔法薬学の授業の日が来た。魔法薬学の教授はスリザリンの寮監のスネイプ教授の担当だった。彼は、扉を勢いよく開けて入ってきた後、魔法薬学とは何かという演説を行った。

「この授業では、杖を振ったりばかげた呪文を唱えたりはしない。魔法薬の繊細な調合と芸術的な技を諸君が理解できるとは思わん。我輩が教えるのは、名声を瓶詰めにし、栄光を醸造し、死にさえふたをする方法である。ただし、我輩がこれまでに教えてきたウスノロたちより諸君がまだましであればの話だが」

 沈黙が教室を包む。この演説を聞いて先生の話を聞かないで愚かなことをする生徒はいないだろう。

「ポッター!」

 いや、愚かなことをしていたか、もしくは先生の癇に触れた人がいた。

「アスフォデルフィアの粉末にニガヨモギを煎じたものを入れると何になるか?」

 先生も酷な質問をする。魔法界で魔法薬学が好きでたまらないような生徒なら答えられるかもしれない質問を一年生にしたところで答えられるのは私かハーマイオニーくらいだろう。ポッターに答えられるわけがない。ハーマイオニーならこの空気の中でも手を一番に上げているのだろうな。

「ポッター、もう一つ聞こう。ベゾアール石を見つけてこいといわれたら、どこを探すかね?」

 たまらず助け舟を出してあげたくなるような嫌な沈黙が続く。上級生でも答えられない質問だ。

「教室に来る前に教科書を開いて見ようとは思わなかったわけだな、ポッター、え?」

 教科書を開いて見たからって、内容を理解できるような生徒はスリザリンにもいませんよ先生。私は下を向き黙っている。

「ポッター、モンクスフードとウルフスベーンとの違いはなんだね?」

「わかりません先生。」

「ポッター、授業に対する態度がなっていないな。グリフィンドール一点減点。」

 スネイプはポッターに何か恨みでもあるのだろうか。そんなことを考えながらぼんやりと教科書の表紙をさすっていると、

「では、ブラック!君はこたえられるかね?」

…なぜここで私に飛び火するのだ。

「アスフォデルフィアとニガヨモギは生ける屍の水薬といわれるくらいの強力な睡眠薬になり、ベゾアール石は山羊の胃にある石でたいていの解毒剤になります。モンクスフードとウルフスベーンはどちらも同じ植物でトリカブトの別名です。」

「またはアコナイトとも呼ばれている。諸君はなぜメモを取らない。」

 スネイプが生徒にメモを取るように命令をした。減点されたポッターは気の毒だが、だからと言って私をにらみつけるのはお門違いでは?

 

 その後、授業はネビル・ロングボトムが鍋を爆発させて、その責任をポッターが取らされる形でグリフィンドールが減点されて終わった。私はドラコと組んで魔法薬を完璧に作った後、先生にとある質問をするために教室に残った。

 

「先生。質問があります。」

「何だね?ブラック。吾輩の忙しさがわからないわけでも無かろうに、質問があるとすればそれだけ重要な質問であってほしいですな。」

「先生は、魔法薬を使って人の視力を回復させる方法を知っていますか?」

私の質問にイライラとした空気をまといながら、スネイプ先生は私の方に歩いてくる。

「視力の回復ですと?視力を回復させる魔法薬は、元々視力があった者に使ってこそ効果がある。それがわからぬわけではあるまい。」

「では、質問を変えます。私の目が見えない原因を教えてください。教えていただけたら、すぐにここから立ち去ります。」

先生は私の顎をつかみ、上を向かせた。しばらくして手を離し、

「きわめて興味深い事例ですな。ブラックの目には何か強力な魔法が掛けられている。しかし、吾輩はその魔法を解く方法も知らないし、手伝う時間もない。わかったらとっとと教室から出ていきたまえ。」

 

 私は、教室から飛び出してまっすぐに図書館へと向かった。ホグワーツの図書館は数百年前から最新のものまで膨大な数の本がそろっている。目や身体能力を制限する何らかの魔法に関する本だけでも数を数えられないくらいにある。全部読み終わるまでには相当な時間が必要だろう。私は、目に関する本をとりあえず数冊取り、奥の方の席に座った。

しばらくして誰かが私の隣に座った。

「久しぶりね、デルフィーニ。」

 ハーマイオニーだ。図書館なので小声でしか話せなかったが、授業の内容や近況についてお互いに話すことが出来て本当に楽しかった。彼女はこの学校のあらゆる授業が楽しいという話をし、私も最近のビックニュースを共有したくてたまらなかった。

「ハーマイオニー!もしかすると私の目が見えるようになるかもしれないの。さっきスネイプ先生に聞いてみたら、私の目が見えないのは魔法が関係しているかもって」

「それは本当なの?私にできることがあれば何でも協力するわ。」

 ハーマイオニーは、まるで自分の事のように喜んでくれた。二人で図書館が閉まるぎりぎりまで一緒に調べものや勉強をした。図書館の閉館時間が近づき、マダム・ピンスが残っている生徒たちを追い出していく。私たちはマダム・ピンスに追い出される前に図書館を出た。それぞれの寮に戻る前に、ハーマイオニーとまた図書館で会う約束をすることが出来た。スリザリンとグリフィンドールという関係でなければ、もっといろんなところで会えるのにと思いつつ、それでも図書館という共通の場所が出来たことを幸運に思って寮に戻った。

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。