盲目の少女 作:torinikuyakiyaki
もうすぐホグワーツの新学期が始まる。そろそろ新しい教科書を用意する時期だ。お母様は忙しいらしく今回は付き添えないらしい。少し寂しく感じていたとき、ちょうどハーマイオニーからいっしょにダイアゴン横丁に行こうというお誘いがあった。最近の手紙の内容にはモヤモヤしていたが、やはり私は彼女といっしょにいるのが楽しいのだ。
そう思っていたが、当日になってゲンナリすることになる。というのも、ハーマイオニーが私を誘った日はあのロックハートのサイン会の日で、彼女はサインを貰いに行きたかったのだ。ただでさえ、闇の魔術に対する防衛術の教科書があの男の著書ばかりで、今年は去年よりも悪夢だと思ってたのに、学校が始まる前からこんなに嫌な思いをしないといけないなんて。
本屋につくとあの男の撮影会が始まっていた。ハーマイオニーは私を置いて前の方に走っていった。
ムカつく……
ハーマイオニーに薦められて彼の本を読んでみたけど、ただの自慢話じゃないか。どこがそんなに面白いんだ?
そんなことを考えながらハーマイオニーを待っていると突然、
「そこにいるのはもしや…ハリー・ポッターではないか?」
ロックハートがそう叫び、私の後ろに向かって走っていった。そして、私よりも後ろの方に立っていたポッターの腕を掴んで前に引きずっていった。ポッターはご愁傷様だな。そんな事を思っていると、ハーマイオニーがサインを貰えたらしく、私の方に戻ってきた。
「やっとロックハートさんのサインを貰えたわ!!本当に彼って素敵よね!」
嬉しそうなハーマイオニー。私は苛立ちを圧し殺して笑顔で、
「よかったねハーマイオニー。」
と彼女と喜びを共有するふりをした。そして彼女の手を取り、出口へと向かった。
ハーマイオニーとあの男だけに意識を向けていたせいで気づかなかったが、どうやら店内にはドラコもいたようだ。ドラコは急いで店内を出ようとするポッターを捕まえてからかおうとしていたようだった。私たちがその場に着いたのはまさにドラコがポッターとそのとなりにいる少女をからかったときだった。
「ポッター!ガールフレンドが出来たのかい?」
私は思わず、
「ドラコ。そういう言葉は紳士らしくないと思うよ。」
と言ってしまった。ドラコは、
「デルフィーニ。君もいたのか。まさかロックハートが好きなのか?」
私がハーマイオニーの手前、否定も肯定も出来ずにいたとき、後ろからウィーズリーの声がした。
「ジニー、ハリー。どうした…ってマルフォイか」
ポッターと一緒にいた少女は、ジニーと言うらしい。ウィーズリーの様子と少女の雰囲気から、妹なのかな?
ジニーと呼ばれた少女は兄に声をかけられて、ポッターのそばにいることを恥ずかしがったのか、ウィーズリーの後ろに隠れようとした。その時持っていた鞄を落として、中に入っていた本が散らばった。
ウィーズリーとポッターが本を拾っていると、
「これはこれは。ウィーズリーの子供と…そしてハリー・ポッター。」
ルシウスさんの声が聞こえた。彼は、ジニー・ウィーズリーが落とした本を拾って、
「教科書を買うだけで、ウィーズリー家は明日のご飯も食べられなくなるだろうな。」
と嫌みを言いながらジニーの鍋に本を入れた。
「ルシウスさんお久しぶりですね。」
彼がこれ以上嫌みを言う前に私は声をかけた。
「これはデルフィーニ。久しぶりですね。そして隣にいるのは……」
「彼女はハーマイオニー・グレンジャーです。」
「あぁ…マグル生まれの…」
ルシウスさんの言葉は、表面上は出さなかったがマグル生まれをバカにしているように感じた。
そして運が悪いことに、この場にウィーズリーの父親が参戦してしまった。二人は仲がとても悪いらしく、売り言葉に買い言葉、そして殴りあいへと発展していった。いい年をしたおじさん二人が人目を憚らず暴れる姿は本当に醜い。そして、そんな醜い姿を自分の子供に見せて彼らは恥ずかしくないのだろうか?
私はハーマイオニーの手を引いて店を出た。
店を出てすぐにルシウスさんの非礼をハーマイオニーに詫び、一緒にアイスを食べに行った。
フローリアン・フォーテスキュー・アイスクリーム・パーラーは、本当に最高のアイスを出してくれる。アイスを受け取り、ハーマイオニーと一緒にテラス席に座った。
「そういえばデルフィーニ。髪を切ったのね。とても似合うわよ。」
「ありがとうハーマイオニー。…これからは短い髪で過ごそうかと思っているんだ。髪が長いと色々と不便だから。」
そんなことを話しながらアイスを食べた。
「……本当にかっこいい…。」
ハーマイオニーが小さな声で何かを呟いた。私が聞き返したが、彼女はなんでもないと言って話を切った。何にたいしてかっこいいと言ったのか聞こえ無かったが、どうせあのロックハートのことだろうと思い、それ以上深くは聞かなかった。
もうすぐ新学期が始まる。今年はどんな学校生活が待っているのだろうか。