なんだか最近アクセス数やお気に入り登録が多いなと思っていたんですが、どうやらランキングの方に載っていたみたいで本当に驚きました。
拙作を読んでいただき、感謝しかありません。
これからも書き続けたいと思っていますので、どうかお付き合いくださいませ。
「お、丁度ええところに甘味処発見」
「……今気づいたかのように言わないでください。知っていてここを通る経路にしましたね」
「別にええやん。見回りももう終わるし」
「終わりじゃありません。まだ一地区残ってます」
「細かいやっちゃな……優しい優しい
「……自分にちゃん付けするの、きつくないですか?」
「喧しい!」
流魂街の住人は腹が減らない。
正確に言うならば大半の住人は、と補足はつくが。
そんな流魂街にも、瀞霊廷へ近い地区になると食事処は少なからず存在する。
霊力を持った住人や休暇などで流魂街を訪れた死神たちを客として設けられた店。
真子たちが現在いる甘味処もそういった店の1つだ。
「あ、嬢ちゃん。アタシこのわらび餅とほうじ茶頼むわ」
「では僕は大福と緑茶で」
注文を受けた店員はそのまま店の中に入っていく。
真子は店先に置かれた長椅子へ座ってそれを見送り、ほう、と息を漏らして力を抜く。
少し距離を空けて横に座る藍染は眼鏡についた汚れを拭っている最中だった。
「にしても、流魂街に店構えてる割にはええ品揃えしてんな」
長椅子に置かれた品書きを見ながら真子が思ったことを口にする。
「品揃えだけなら瀞霊廷の中にある店と変わらへんちゃう?」
「そうですか」
藍染は綺麗になった眼鏡をかけ、真子の方へ顔を向けた。
「……前から疑問でしたが、隊長はよく甘いものを召し上がってますよね。やはり甘いものがお好きなんですか?」
「ん?いや別に特別好きとちゃうで。甘いもの食った方が頭働くから食べてるだけやし」
「え。好きじゃないのにあんなに食べてるんですか?正直に言って食べすぎですよ」
「え、アタシそんなに食べてるか……?い、いやいや食べてない、よ。普通や普通……」
「よくお茶の中に金平糖を浮かべて、茶菓子と一緒に飲まれてますよね?現に今も甘いものを」
「あー!あー!あー!聞こえへん聞こえへん!何も聞こえてへんよ!アタシはそないに甘いモン食べてないし、最近太ってきてもいない!」
「誰もそんな事は言っていませんが」
両手を耳に当て騒ぐ上官を、藍染は酷く面倒そうな顔をして見遣る。
「てか、そういうお前はどないやねん」
「……なにがですか?」
「甘いもの好きなんかって話。……てか、アタシにばっか聞くなや。たまには自分の事話せって」
「はぁ」
「……気ぃ抜けた返事やなぁ」
「……あまり考えた事はありませんでしたが、特に好き嫌いの区別に入りませんね」
「そこはスッっと普通ですとかでええやん。一々回りくどく言わんといて」
背中を丸くし、膝に頬杖を突いて真子は振り返って店の中へ視線を移す。
今は未の刻を少し過ぎた頃で、甘味屋としては人の書き入れ時が終わった為か食べている人の姿は見えない。
この店にいる客は真子達だけのようだ。
見る物がない真子は視線をスイと横へずらし厨を見る。
特に何があるわけでもないが、漂う甘い匂いと時々食器が合わさる音を聞きながら真子はただ厨を眺めていた。
程なくして盆を持った店員が出てくる。
店員は二人が座る長椅子に品物をそれぞれの近くに置き、そのまま下がる。
真子は自身の近くに置かれたわらび餅の皿を手に取って、黒文字を使い1つ口に含んだ。
「……うん。久しぶりに食べたけど美味いな」
藍染も無言のまま横に添えられた黒文字を掴み、大福を半分に切って口に入れる。
二人は何も言わず、ただ出された食事と茶を嗜んでいた。
そして藍染が大福を完食して黒文字を皿の上に置いた時、隣から落ち着いたように一息つくのが聞こえた。
何気なしに藍染は顔を横へ向ける。
そこには湯呑を手に持ち力を抜いて目を閉じる上官の横顔があった。
ふと、彼女の髪の中に、金とは異なる色が混ざっているのに気付いく。
注視するとそれが一枚の木の葉だと分かった。
先ほどの見回りの時に紛れ込みでもしたのだろうか。
「隊長、髪の中に――」
木の葉が、と声に出しながら藍染は手を伸ばす。
「……なに?」
冷えた声。
ただただ、自分を警戒する女の声。
その声が聞こえると同時、彼の手は高い音と軽い衝撃をもって止められる。
伸ばされた手を真子が掴んだ為だった。
彼女は訝しげに目を細めて藍染の目を射抜いている。
「……失礼しました。髪に塵が付いていたので取ろうとしたのですが、いきなり女性の髪に触れるのは不躾でしたね」
苦い笑みを張り付けた口で謝罪を垂れると、掴まれていた腕は徐々に力を抜いて放された。
伸ばした手を下ろし、笑みを貼り付けたまま彼女を見る。
不満げに彼女は藍染を見返していたが、興味をなくしたように顔を下げた。
真子は後ろに流していた髪を掬って自身の胸の前へ流し、その中に埋もれる緑の葉を見つける。
そのまま髪から指先で摘まんで取り出し、指を離した。
風に乗って葉はユラユラと揺れ、少し離れた場所へゆっくりと落ちる。
「……やったら、何が好きなん」
先ほどよりは険の薄れた声がした。
「はい?」
「……やから、お前甘いもの好きちゃうなら、何が好きなんやって聞いてるんやけど」
この言葉に藍染は暫し答えに窮する。
まさか食の好みの話を続けるとは、思ってもいなかったからだ。
「……そう、ですね。僕は豆腐が好きですよ」
「え、お前豆腐好きなん?こう、揚げ豆腐とか麻婆豆腐とかじゃなくて単体?」
「……隊長が仰ってるのは料理名なんですか。聞いたことありませんが」
真子から出ていた鋭い空気が、言葉と共に掻き消えた。
「いや、豆腐ってどっちかと言うと副菜的な感じやん。主食ではないよな?」
「別にいいでしょう、食べ物の嗜好なんて。誰かに文句をつけられる謂れはありませんよ」
「おぉう……いや、まぁそうやねんけどさ……ちょっと意外というかなんて言うか……」
そんな会話をしていた真子と藍染だが、同時に二人の口は閉ざされる。
「惣右介」
「はい」
二人は手に持っていた皿や湯呑を椅子に置き、軽く身なりを整え立ち上がる。
立ち上がった二人が纏う空気は、紛れもなく護廷隊の死神のものだった。
「嬢ちゃん!ごめん御代ここに置いとくでー!」
真子は懐から金子を自身のこぶし大程の量を取り出し、先ほどまで自身が座っていた長椅子の上に置いた。
「一つ……いや二つか?霊圧絞ってるみたいやし、雑魚じゃないっぽいな」
「どうやら住居付近に現れたみたいですね。どうしますか、一度戻り応援を呼びましょうか」
「いや、先にどんな奴か確認したいし応援は後でいいわ。……惣右介、お前ちょっと見てきてくれん?お前の方が足早いやろ」
「わかりました。では僕が先行して様子を確認してきます」
告げるが早いか、五番隊の副隊長は瞬歩でその場を移動する。
残された隊長は虚の霊圧を感じた方へ顔を向け、副官の帰りを待つ。
「大虚か、それ以上……?なんでこんな時期にこんなデカい霊圧のやつが居るんや……」
額を覆う彼女の姿を見たものは誰も居なかった。
本性藍染さんも難しいけど、猫かぶり藍染さんもなかなか難しいなと最近本当に思います。
というか原作で過去篇の五番隊もう少し見せてくださいよ師匠。
平子、藍染、ギンが居た時の様子が見たいんです私は。
どんな真子ちゃんが見たいですか?
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お労しや……(別名:砂漠の月√)
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計画通り(別名:雨の記憶はいらない√)