金髪関西弁の女死神ですけども   作:楓香

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平子誕生日おめでとう!!!!!!!!!!!!!
大遅刻ですね!!!!!!!
本当は誕生日にこれと合わせて続きを上げたかったけど普通に間に合わなかったんですよねチクショウ!!



14話:初めてのお使い(?)ですけど

 

「じゃあアタシ行ってくるから、今日も大人しく家いときや」

「大丈夫ですよマコさん!心配しないで!」

「勉強するだけだし、気にすることなんてないですよ」

「あ、なんやフラグ臭いような」

 

そう言ってマコさんは玄関の戸を閉めた。

そうなると家の中に居るのはあたしとふじ丸だけになる。

マコさんが出かけた後の家は、元々広いのに更に広くなったように感じて少しだけ苦手だ。

 

「よし!じゃあ今日の分の頁やっちゃいますか!」

「張り切るのはいいけど途中で」

 

ふじ丸と話しながら玄関からマコさんにもらった二人の部屋へ歩いていく。

部屋へ戻る時に通る客間の戸を開けて、あたしは机の上になにか置いてあるのを見つけた。

なんだろう、と思って近づくとそれが一枚の紙だと分かった。

 

「どうしたのまつ梨?」

 

急に机に近寄ったあたしを追いかけてふじ丸もこっちへ来た。

置いてあった紙を拾って見ると、ふじ丸も横から覗き込んできた。

書かれている文字はまだ読めない文字ばかりで理解できないけど、書かれている絵に見覚えがある。

 

「ねぇこれ、昨日マコさんが見ていた紙じゃない?ほら、この絵図」

「あ、ホントだね。」

 

「でもこんなところに置いてていいのかな。今日必要な物なんじゃない?」

「えー?でもマコさんがこんな所に忘れ……」

「……そうだね」

 

否定できないのがなんだか悲しいです。マコさん。

 

「どうしよう、これないとマコさん困るわよね。届けたほうがいいのかな……」

「うーん……でも勝手に外に出ないように」

「それは……」

 

そもそも勝手に外に出ないようにとマコさんに言われているから、どうしようと二人で腕を組んで考える。

 

(確かに約束は大事だけど……でも、仕事に使う物なんじゃ……)

 

『あー!アカン、大事な書類忘れてきてしもうたー!』

『困ったなぁ……今日絶対にいるやつやのに、どないしよ……』

 

「……うん、ふじ丸!届けにいこう!」

「え?でも僕たち、マコさんの働いている場所知らないよ?」

「大丈夫!きっと他の死神さんたちに聞けば分かるわ!」

「あ、そっか。マコさん隊長だって言ってたから、みんなマコさんの事知ってるよね」

 

二人だけで瀞霊廷を歩くのは初めてだけど、決めたなら出かける準備をしないと。

紙を持ったまま、ふじ丸と一緒にさっきより駆け足で部屋へ向かう。

部屋の戸を開けて、箪笥に仕舞われた着物の中から1つを取り出した。

出かける時の着物に着替えて、この間買ってもらった筥迫(はこはせ)*1にお小遣いとして貰ったお金と、届ける紙を詰め込む。

あたしとふじ丸が全身映るくらいの姿見で軽く身だしなみを整えて、準備完了!

 

「よし!これで大丈夫」

「まつ梨。準備できた?」

 

隣であたしに背を向けて着替えていたふじ丸が聞いてくる。

大丈夫、と言うとふじ丸はこっちへクルリと振り返った。

 

「あ、そこにさっきの紙入れてるの?」

「そうよ。ちょっと折り曲げちゃうけど、これで絶対無くさないから安心ね」

 

軽く筥迫を叩いてふじ丸に見せる。

ふじ丸も着替え終わっているみたいだし、これで出かける準備は万端になった。

 

「じゃあ行くわよ!」

「うん。行こうか」

 

来た時と同じように、また駆け足で廊下を通り抜けてあたしたちは玄関へ向かった。

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

「……」

「……」

「……迷っちゃったね」

「もう!言わないでよ!」

 

今あたしたちがいるのは瀞霊廷。

……の、どこか。

意気揚々と出かけたはいいものの。あたしたち二人は白い塀で囲まれた、広い道の真ん中で立ち尽くしていた。

ふじ丸が言ったように、有り体に言えば迷子。迷っちゃったみたい。

振り返って来た道を見ても同じような景色しかなくて、ここへ来るまでに何度か分かれ道があったからちゃんと帰れるかどうかも自信がない。

他に人が居ればよかったのにここに来るまで全然誰にも会わないし……

 

「こんなことならお店の人に聞けばよかったのかも……」

 

なんで商業区に寄らなかったんだろうって少し後悔している。

いつもマコさんが出かける方向は同じだったから、そっちに行けば死神さんたちが居ると思ったのに。

ひよ里さんや拳西さんたちに会えれば一番良かったんだけど、やっぱりそう上手くはいかないのかな。

 

「ひとまず、戻れるだけ戻るしかないんじゃない?」

「そうね……運がよかったら人に会えるかもしれないし」

 

来た道を戻ろうと振り返って歩き出す。

 

「あ」

「ん?」

 

人が居た。

来た道の先の曲がり角から丁度人が出てきた。

驚いて声を上げるとふじ丸と被る。

褐色肌をした短い髪の毛の女の人。

マコさんと同じ、白い羽織を着ていた。

 

「なんじゃ?見かけぬ童たちじゃの」

 

どこかの隊士の子供か、と言いながら女の人はこっちに近づいてくる。

女の人――隊長さんはあたしたちの目の前に来ると、腰を屈めて話しかけてきた。

 

「なんでこんな所に童だけで居るんじゃ、親は何処に居る?」

「ぁ、あの!あたしたち、マコさんの所に行きたくて……!」

「マコ?」

「えっと……平子マコさん、なんですけど……」

「おぬしら、平子の知り合いか?」

 

隊長さんが少し目を大きくさせて問いかける。

はい、って答えて首と一緒に動かす。

隊長さんは体を戻すと、顎に手を当てて何か考えているみたいだった。

 

「すると……おぬしらが宮藤兄妹か」

「え。僕たちの事知ってるんですか?」

「ん?まぁの。しかしまさかこんな所で噂の二人に会うとはな……」

 

こっちを見て笑う隊長さんの顔がちょっと怖いと思ったのは何故だろう。

それに噂ってなんだろう。どんな話が出ているのかちょっと怖いな。

どうしたらいいか分からなくてあたしたちは顔を見合わせる。

 

「あの、あなたは……」

「あぁ、言うのが遅れたか。儂は四楓院 夜一。おぬしらと暮らして居る平子真子(まこ)の同僚じゃ」

「白い羽織を着てるって事は、あなたも隊長さんなんですか?」

「そうじゃ」

 

夜一さんは後ろを向いて大きく二って書かれた羽織を見せてくれた。

……誰か死神さんに会いたいなって思ってたら、まさか隊長さんに会うなんて。

 

「しかし平子に会いたいと言うわりには、随分と離れたところに来たの」

「え!?そうなんですか!?」

「ここは二番隊の隊舎近くじゃぞ」

 

二番隊隊舎っていうのがどこにあるのか分からないけど、目的地からは離れてしまっているらしい。

 

「迷子か」

「……そうです」

 

恥ずかしくなって、俯きながら返事をする。

横からふじ丸の乾いた笑い声が聞こえるけど、今はちょっと反論する気分じゃない。

 

「……なら、儂が連れて行ってやろうか?」

「え」

 

驚いて顔を上げて夜一さんの顔を見上げる。

目を細めて笑う顔が、何故かイタズラをする時の猫のようだと思った。

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

「よし、着いたぞ」

「……え?もう?」

 

あっという間だった。

夜一さんに抱えられたと思った次の瞬間、目の前の景色が消えて大きな建物の前に居た。

ううん違う。消えたんじゃなくてあたしが認識できなかっただけだ。

ちゃんと目を開けていた筈なのに、どこを通って来たのかすら分からないほどに速かった。

あれが前にマコさんたちが言ってた瞬歩ってやつなのかな、と地面に降ろされながら思う。

 

「あり、がとう、ございます……その、凄く速くて、どこを通ってるのか、分かりませんでした……」

「え?木の上とか屋根の上通ってたよ?」

 

嘘でしょ。ふじ丸は見えたの?

勢いよく横のふじ丸の顔を見る。

ほぉ、って声を上げた夜一さんは、ふじ丸の頭に手を置いて数回軽く叩いた。

 

「よく分かったな」

「ちょっと見えただけですけどね」

「謙虚なやつじゃ」

 

夜一さんは軽い足取りで建物の中に入っていった。

慌ててふじ丸と一緒に追いかける。

五、と書かれた建物の中は外から見えたままとても広くて、廊下では沢山の死神さんが歩いていた。

 

「四楓院隊長!?お、お疲れ様です!」

「お疲れ様ですッ!」

 

……前を歩く夜一さんを見た死神さんたちが皆立ち止まって頭を下げているけど、特に気にせず歩いているみたい。

頭を下げた人たちが後ろを歩くあたしたちを見て不思議そうな顔で首を傾げたりしているからちょっと気まずい。

二人並んで夜一さんの後ろをついて行くと、夜一さんは1つの戸の前で立ち止まる。

夜一さんはその戸を音を立てて勢いよく開けた。

 

「おーい、平子は居るか?」

「……居るけど、せめて入室許可とかとらん?」

「この童たちがおぬしを探して居っての」

「いや話きいて」

 

聞きなれた声がして夜一さんの後ろから顔を出す。

思っていたとおり、そこに居たのは机に座ってこっちを見るマコさんだった。

部屋にはマコさん以外にも人が居て、ちょっと離れたところの机に男の人も座っている。

……どこかでその人を見たことあるような気がするけど、どこだったかな?

首を捻って考えていると、夜一さんを見ていたマコさんはあたしたちがいる事に気づいたみたいで、ギョッとした顔でこっちを見た。

 

「ハァ!?なんで藤丸とまつ梨が居んねん!?」

 

ふじ丸がマコさんの前へ歩いて近づいていく。

追いかけるようにあたしも歩いて、ふじ丸の隣に立った。

 

「マコさんの忘れ物を届けに来ました」

「忘れ物ぉ?」

「えっと……あった!これです!」

 

持ってきていた筥迫から紙を取り出してマコさんへ渡す。

マコさんが紙を受け取ってそれを見ると、また目を大きくさせてあたしたちを見た。

 

「……これ届ける為わざわざ二人だけで来たんか?」

「はい!」

 

ふじ丸と一緒に答える。

マコさんはそうか、と一言だけ言って顔を伏せてあたしたち二人に手を伸ばした。

 

「アホッ!」

 

額にジィンとした鈍い痛みが広がる。

反射的に仰け反って額を押さえたけど、もしかしてあたしたちデコピンされた……?

 

「いたい!マコさん痛いです!」

「そりゃ痛くしたからな」

「なんで僕たち叩かれたんですか……?」

「叩いてへんわ。デコピンやデコピン」

 

何が違うんですか、と聞こうとしたけど、後ろからの声がかけられて中断された。

 

「おーい。儂はもう帰るからのー」

「あ、おおきに。ホンマ助かったわ」

 

あっ、と後ろを向くけど夜一さんはもうそこには居なかった。

最後にお礼を言おうと思ったのに、ちょっと残念。

そうしたら、今度は後ろ。つまりマコさんがいる方からガタンと何かが動く音がして、そっちへ体を戻す。

座っていた筈のマコさんが立ち上がって、あたしたちを見下ろすように腰に手を当てて立っていた。

 

「で?アタシの為に届けてくれたのは有難いわ。ありがとな。やけどな?それが約束破ってええ理由とちゃうやろ」

「うっ……でも……」

「でもも鴨もないで、約束は約束や。瀞霊廷は広いから迷子になるってアタシ言うたやんな。どぉせ迷子になって運よく夜一に出会って、ここまで連れてきてもらったんやろ」

「正解、です……」

「ほれ見てみ」

 

大きなため息をついてこっちを見下ろすマコさん。

あたしは、何も言えなくなってしまった。

マコさんの顔が見れない。俯いて着ている着物の服を両手で力いっぱい握りしめる。

できることならここから飛び出してしまいたかったし、約束を破ってしまった自分が凄く嫌いになりそうだった。

 

「あの……すみません、マコさん。約束破って……」

「ぁ、あたしも、ごめんなさい……」

 

何も言われなかった。

マコさんが静かなのは不思議な感じで、もの凄く長い時間そのままだったように思えた。

そんなとても静かな部屋で、小さく衣擦れの音が聞こえる。

なんだろう、って思うより先に頭へ軽い衝撃が来て、何か乗ったのが分かった。

 

「分かったならええわ。今度からはアカン言われたことやるなよ?」

 

言われると同時に頭の上に乗っていたものが離れる。

顔を上げるとゆっくり引かれる手と、あたしたちを見下ろすマコさんが居た。

その目を見たあたしは、なんだかすっかり体の力が抜けて大きな息を吐いてしまう。

 

「にしても定時まで二人どないしよかな……なぁ、惣右介ぇ」

「駄目です」

 

マコさんが男の人の方を向いて緩い声をかける。

男の人は顔を上げずに机の上にある紙を見ながらマコさんへ返事をした。

 

「いやまだ何も言ってへんやん。断るの早すぎやろが」

「家に連れて帰ると仰るつもりでしょうが、隊長の事ですしその帰りに甘味屋へ寄りますよね」

「……せえへんよ」

「今の沈黙で信用しろと?」

「やったらどないすんねん。ずっと執務室に居るのもアレやろ」

「隊長の部屋に居てもらったらいいんじゃないですか」

 

隊長の部屋って、マコさんの部屋の事?

マコさんの家の部屋は何度も入ったことがあるけど、ここでの部屋は見たことないがないから、とても見てみたいな。

あたしたち部屋で待ってますよ、と口を開こうとした時だった。

 

「失礼しまーす、平子たーいちょ、藍染副隊長。どうやらうちに四楓院隊長が来ているみたいですよぉ」

 

開けっ放しだった戸の向こうから男の人の声が聞こえてきた。

振り返ると、見たことがない男の死神さんが立っていた。

その人は部屋の中にあたしたちが居るのを見ると、ここに来るまでに会った人たちのように不思議そうな顔をして首を傾げた。

 

「お、丁度ええわ。お前こいつらアタシの部屋に連れてってくれんか」

「……え、いや別にいいけどよ、この子ら誰?平子の子供?産んだ?」

「ンなわけあるかい!」

 

部屋に入ってきた死神さんはこっちへ歩いてくる。

 

「てか四楓院隊長が来てるって話なんだけど」

「夜一なら帰ったわ」

「えはっや」

 

何しに来たんだあの人、と小さく呟いて死神さんはあたしとふじ丸の顔を見た。

 

「よーし、なんだかよくわかんねぇけどこっちだぞチビ共。平子の部屋にあるお菓子一緒に食おうなー?」

「あ、はーい。最中とかありますかね?」

「確かあった筈だし、みんなで分けるか」

「なんでマコさんのお菓子の場所知ってるんですか……?」

「お前らせめて本人の前で話すなッ!」

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

「ったく、なんかどっと疲れたわ……」

 

真子は目頭を押さえながら、音を立てて椅子に腰かける。

机に肘を付いてため息を吐いた時、彼女は自分の副官が先ほど閉じられた戸を見ている事に気づいた。

 

「なに?どないしたん惣右介」

 

声をかけられた藍染は戸から目を離し、彼女へと視線を移す。

 

「いえ。以前見かけた時と彼らの様子がだいぶ違っていたので」

 

そういえば、と真子は二人の子供を拾った時を思い出す。

二人が虚に襲われた現場にはこの男も居たのだった。あの時藤丸は気を失っていたので少年目線では初対面の筈だが、まつ梨は確かに藍染とも出会い少しばかりとは言え会話をしていた。

あの時のまつ梨は兄が死の淵を彷徨い恐怖によって気が動転していたので、現在の活発な様子とは似ても似つかないだろう。

 

「……へぇ、お前があいつらにそない興味持つなんてな」

「興味、というのも違うかもしれませんが……双子の兄妹は確かに珍しいと思いますね」

 

珍しい双子の魂魄。

そうだ、それによってあの二人は虚に狙われてしまったのだ。

――もしかしたら、虚だけじゃないかもしれないが。

 

「ええ子らやろ。あげへんで」

「隊長は僕をなんだと思ってるんですか」

 

いつもの飄々とした笑みで藍染を見つめ、真子は届けられた書類を処理済みの紙束の上へ乗せた。

 

*1
昔の女性たちの間で使われていた小物入れの一種





そろそろ原作の過去篇に突入させたい今日この頃。
というか予定では次から過去篇入ります。
長かったです。

どんな真子ちゃんが見たいですか?

  • お労しや……(別名:砂漠の月√)
  • 計画通り(別名:雨の記憶はいらない√)
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