金髪関西弁の女死神ですけども   作:楓香

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ウエハース何個か買ってるんですけど平子が来ません。
そしてタワレコのこっちに手を差し出してる平子は、何で反対の手で刀抜き身で持ってるんですかねぇ……



3話:死神ですけど

 

そこはデタラメな世界だった。

辺りは夜半のように暗く、空には星の代わりに花が咲いている。

足元には全てを鏡のように反射する一面の水。水の中は白昼のように明るく、空にはない月が浮かんでいた。

水滴の音や風の音も、何も聞こえない。ここは無音の世界に包まれていた。

真子はこの空間に一人、波紋が広がる水の上に立つ。

 

「――あらあら。やっぱりオモシロくない人ですわね」

 

声が。水の中から響くような、くぐもった声が聞こえてきた。聞こえてきたのは、真子の足下から。

視線だけを足元に向けると、真子を逆さまに映すはずの水は真子とは()()()の人物を映していた。

 

「もう少し驚いてくださった方が、(わたくし)としては有難いのですけれど」

 

そしてその人物は真子の足元に溶けるかのように消えたと思えば、最初からそこに居たと言わんばかりに目の前に立っていた。

現れたのはどこかの姫君を思わせる豪奢な着物を身にまとう女性だ。現世で言う十二単に近い着物で、ひと目見れば着物はかなり質のいいものだとわかる。髪も絹糸のように艶のある青髪で、足元まで付くかどうかの長い髪をそのまま下ろしている。

 

「どうかしましたか、真子。なにか私に言いたいことでもないのですか?」

 

彼女はクスクスと笑い真子を愉快そうに見る。

真子は笑い続ける彼女に対して、口を開いた。

 

 

 

「いやお前ホンマにアタシの斬魄刀?」

 

 

 

「……きて、真子(まこ)ちゃん……!」

 

自分の名前が呼ばれる声を聞いて、アタシは目が覚めた。

開いた眼で見えたのは見知らぬ天井……いやちゃうわ。昨日はこの天井見ながら寝たんやったわ。

てわけで、見えたのは見知った天井とこっちを覗き込む、同室になった女の顔。

同室は困り眉になって、何か言いたそうにしては閉口してる。

 

「なんやの……どないしたん、急に大声出して」

「ぅ、あ、あのね……大したことじゃないかもしれないんだけど。起こした方が、いいかなぁって、思ってね……」

「せやから……っぁ、なんやねんって」

 

吃りながら説明しようとする同室に、アタシは寝起きな為に欠伸を噛み殺しながら返事をする。

大した用がないならこのまま二度寝させてほしいわ。

 

「うんっとね、入隊式。もうすぐだよ~って、言いたくて……」

「…………は?」

 

にゅうたいしき。入隊式……

入隊式?

 

「あ」

 

アタシ、死神になったんやったわ。

 

 

――――――――――――――――――――

 

「お前たちが我が五番隊に入隊した事嬉しく思う。だが、霊術院を卒業した事にまだ浮足立っているようでは――」

 

はい。五番隊の新入隊員の平子真子ちゃんですよーってな。

いやあのあとめっちゃ大変やったわ。多分死覇装の早着替え自己記録更新したんちゃうか?

何気に同室はちゃっかり準備万端で先に行きよるし。いや起こしてくれたのはありがたいけども。てか大した用やったやんけ。

平の分際で初っ端遅刻は流石に不味いわ。しかも理由が寝坊て。

 

「はぁ……」

 

周りに気づかれないように小さくため息をつく。

アカンなぁ。ここ連夜、睡眠時間削って剣術と鬼道の訓練してたから眠くてしゃーない。

その訓練の効果はあって、一応強くなってるんやで。霊力も確実に上がってるしな。なんなら席官クラスはあるんちゃうか?しらんけど。

……やねんけどアカンわ。ちゃんと寝る日も作らな。確実に今のアタシは睡眠不足気味や。

そのせいか今日は変な夢見たし。

 

「ぁ」

 

せや、あの夢。

 

『――オモシロくない人ですわね』

 

いやどう考えてもアイツ斬魄刀やん。

ホンマにアタシの刀?って聞いたけどアイツは絶対にアタシの刀や。それくらいは分かってる。

……わかるけど、わかるけどさぁ!

なんかイメージとちゃうやん!?

てか漠然と関西弁喋るの想像してたわ!知ってるのとちゃう!!

 

そう。結局アタシは霊術院いる間に始解は会得できませんでしたと。

いや普通に考えたら当たり前やねんって。

本来なら護廷の死神の中では斬魄刀を始解できた時点でエリートなの。なんなら自分の斬魄刀の名前すら知らずに殉職していく隊士なんて大勢おるわ。

……のはずやねんけどなぁ。

もう始解できそうなフラグ立ったわ。これあれなんかな。院生時代から話しかけてたのが意味あったって事かな。やったら嬉しいなぁ。

 

「――これからのお前たちの活躍に期待している。私からは以上だ。後はそれぞれの業務に励んでくれ」

 

あ、隊長の話終わった。

仕事いうたら……アタシは蔵書整理やったかな。

事前に言われていた職務内容を思い出しながら、アタシは隊舎にある資料室へ向かう。

部屋につくと、同じ新人隊員らしき何人かが既に蔵書整理していて、一人監視役らしき先輩隊士が書物を片手に立っていた。

先輩隊士にアタシの担当場所を聞いて、本を手に取り整理を始めた。

といっても、元々綺麗に整理されているので大した仕事ではないんやけども。

パラパラと中身を捲って、ある程度内容を把握。で関係がありそうなものを同じ棚に並べる、と。

暫くの間、読んでは並べてを繰り返す。ずっと同じ作業。周りは頁をめくる音と書類を直す音ぐらいしか聞こえない。

…………暇やなぁ。

いや暇ではないんやけども。こう、あるやん。しなあかん事あるけど暇やなってなるの。

 

「……ん」

 

と、そこで一つの書物を捲ってたら気になる文章を見つけた。

ちょっと……これは確認した方がええかもな。

 

「あの、スンマセン」

「ん、どうした?何かあったのか」

 

先輩隊士に話しかける。アタシは持っていた本を開いて一文を指で示した。

 

「ここ、うちの隊が担当してる地区での虚の出現数の記述なんですけど――」

 





隊長になるまではサクサク進めます。
隊長になってからが真子ちゃんの本番ですから。
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