Fate/HF もし始まりが違ったなら   作:はしゅまる

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今更ですが初めましてそしてお久しぶりです
執筆中だったダンまち×Fateに関しては言い訳しません投げました
結構詳しく書き溜めた設定がミスで消えてしまい現在一から拾ってるのでかなり時間かかるなーと思っていたら突然頭に閃いたので書きはじめました
完結したいなぁ



1 ~冬の日~

寒さが厳しくなる2月の冬の朝、顔にまだ幼さが少し残っている青年が土蔵の中で眠っていた。

 

 

「..........」

 

 

周りには工具が散らかっており、おそらく作業の途中に眠ってしまったのだろう。

 

そんな青年に近づく少女がいた。

 

 

「...先輩、起きてください先輩」

 

 

先輩と呼んだ青年の軽く肩を揺らす。

 

 

「...ん...桜?」

 

 

青年は完全に意識が起きておらず、焦点が未だ合わないが、自分を先輩と呼ぶ人間は一人しかいないため少女の名を口にする。

 

 

「はい、おはようございます先輩」

 

 

少女は微笑みながら挨拶をする。

 

 

「おはよう、桜」

 

 

そして青年も挨拶を返す。

 

こうして一日は始まった。

 

━━━━━━━━━━

──居間──

 

 

「ごめん桜、遅れた」

 

 

台所からトントンとリズムの良い音が響く中、障子が開き赤髪の青年、衛宮士郎が入ってくる

 

 

「あっ、先輩もう来ちゃったんですか?」

 

 

台所にいる、桜と呼ばれた紫髪の少女は、包丁の手を止め士郎の方を向き答えた。

 

 

「手伝うよ」

 

 

「いいえ、先輩は座っててください」

 

 

「でも...」

 

 

「でもじゃありません、気づいてないだけで先輩は疲労が溜まってるはずなんですから、私に任せてください」

 

 

そう言われると士郎は何も言えなくなる、なぜなら極寒である冬の土蔵で寝落ちるのは、疲労がありますと言っているのと同義だ。

 

 

「なら任せていいか?」

 

 

「はい!」

 

 

桜は再び台所の方を向き、トントンと音が鳴り始める、その音を聞きながら士郎は座卓に向かい、朝ご飯が完成するのを待つことした。

 

明日こそは早起きしてやるぞと心に誓いながら。

 

それから時間が経ち座卓には、ご飯と味噌汁、焼き魚にとろろと和え物というThe朝ご飯の献立が並ぶ。

 

 

「「「いただきます」」」

 

 

日本特有の挨拶をして、各々朝ご飯に箸を伸ばす。

 

 

「うん美味しい」

 

 

士郎は味噌汁に口をつけ、その味に舌を打つ。

 

 

「...藤村先生ご飯時に新聞は」

 

 

「そうだぞ藤ねぇ、飯の時は新聞は置くもんだ…もしかして昨日のことまだ気にしてのか?」

 

 

と士郎の前に座っている女性のことを窘めながら醤油(・・)に手を伸ばし...た瞬間、新聞から少しはみ出て見えている目がキラーンと光ったように見えた。

 

それを見逃さなかった士郎は少し考え醤油ではなくソース(・・・)を取り、とろろご飯にかけ、かきこむ。

 

 

「え?先輩!?」

 

 

「なぁ!?」

 

 

驚く2人の声を聞きながら、口に入れたとろろご飯を飲み込み、目の前にいる女性...藤村大河に一言。

 

 

「そう易々と引っかからないぞ、藤ねぇ」

 

 

「くっそぅ!なぜわかった!醤油とソースのラベルを入れ替えたことに!」

 

 

「目線から訴えてくるウキウキでバレバレなんだよ」

 

 

「のぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」

 

 

敗者が決まり、藤村大河は大人しく食事を再開...することはなく。

このイタズラを成功させるために採点を後回しにしたため急いで学校に行かないといけないらしく‪、ものすごい速さで朝ご飯を食べて出勤して行った。

 

 

「あれで担任教師なんて言うんだから世の中どこかで間違ってるんじゃないのか」

 

 

「藤村先生は先輩以外にはしませんよ」

 

 

「全く...」

 

 

と呆れながらも、士郎の顔を笑みを浮かべていた。

 

2人は朝ご飯を食べ終え、食器を洗っているとつけていたテレビからあるニュースが流れてくる。

 

 

「また新都でガス漏れ事故か...最近多いな」

 

 

「......はい...先輩のバイト先も新都でしたよね」

 

 

ここ最近の朝のニュースでは必ずと言っていいほど聞くフレーズだ。

 

 

「あそこは小さな店だから大丈夫だと思うけど、うちも気をつけないとな」

 

 

「はい!ガスの元栓はちゃんとチェックしてます」

 

 

「いやそういうことではなくてな...ってそろそろ時間か」

 

 

「もうそんな時間なんですね」

 

 

士郎が時計を見ると既に2人が学校に行く時間へと近づいていた。

 

______________________

───登校中───

 

そういえば、と桜は士郎に聞く。

 

 

「先輩、今日のお帰りは何時ですか?」

 

 

「少し遅くなるかも...桜は?」

 

 

「私はいつも通りです」

 

 

「そっか...最近物騒だからな寄り道するなよ」

 

 

「はい大丈夫です、あと私の方が早いと思うので晩御飯の下準備は済ませておきますね」

 

 

「助かるよ、俺もできるだけ早く帰るよ」

 

 

と微笑ましい会話を交わしながら学校へと向かう。

 

 

______________________

───学校───

 

桜は弓道部に所属しているため、校門で別れ、士郎は生徒会室へと向かう。生徒会役員ではないが、友人であり生徒会長である柳洞一成に故障しているストーブを直して欲しいと頼まれたからだ。

 

 

「いつもすまんな、衛宮」

 

 

「別にいいよ、俺が好きでやってるんだから...じゃあ一成ちょっと外に出てくれるか?」

 

 

「うむ...邪魔はせん」

 

 

そうして他に誰もいなくなった生徒会室で士郎はストーブに手を当てて魔術(・・)を行使する。

 

視覚を閉じ、ストーブの中身を視て、どこが壊れてるかの解析をする。

 

 

(断線しかかってる電熱線がふたつ...電熱感が...いやまだ持つな)

 

 

父親から教わった、衛宮士郎が魔術師としてできること。

 

だからこそ物の修理を得意としている。

 

 

「これで...よし」

 

 

ストーブを直し終わり、外にいるであろう一成を呼びに行く。

 

 

「一成、直ったぞ...」

 

 

生徒会室の扉を開けるとそこには一成と他に黒髪の少女が居た。

 

 

「ん...悪い...頼んだのはこちらなのに任せてばかりだ」

 

 

「気にするなよ、次はどこだ?」

 

 

「あぁ視聴覚室だ」

 

 

「了解、急ごう」

 

 

一成と喋りながら、少女を見る。決して士郎と仲がいいという訳では無いがこの学校では有名人なのだ。

 

 

「朝早いんだな、遠坂」

 

 

だからこれはなんでもないただの挨拶だった。

 

 

「衛宮!行くぞ」

 

 

「おう」

 

 

士郎と一成は視聴覚室へと向かっていった。

 

 

「............」

 

 

───教室───

 

ストーブを直し終え、HRに間に合った2人は教室に入る。

 

 

「いやはや間に合って良かった、これで衛宮を遅刻させては友人失格だった」

 

 

「何言ってるんだよ、俺より一成が遅刻した方が問題...だろ?生徒会長」

 

 

「うむ全くだ」

 

 

2人で雑談していると、士郎の目に青髪の青年が視界に入る。

 

 

「おはよう慎二」

 

 

慎二と呼ばれた青年は、士郎の方を向き。

 

 

「やぁ衛宮、朝からまたつまらないお節介?暇なの?」

 

 

「あぁ暇だからな...まぁ何かあったら言ってくれ、できることがあったら手伝うからさ、弦の張りとか苦手だったろ?」

 

 

「衛宮はさ、もう弓道部とは関係ないだろ、部外者なんだからあまり首つっこまない方が自分のためなんじゃない?ま...何かあったら頼むことにするよ」

 

 

そう投げやりに間桐慎二は言葉を放ち自分の席へと向かう。

慎二と入れ替わるように一成が話始める。

 

 

「全く間桐のヤツめ...衛宮もよくつるんでいられるな」

 

 

「まぁ慣れだよ慣れ」

 

 

「なるほどな...っといかん衛宮、藤村先生が来てしまう」

 

 

「おぉそうだな」

 

 

そうして今日の学校はいつも通りに終わった。

 

 

______________________

 

───衛宮邸───

 

 

「ただいまー」

 

 

学校が終わり、士郎は家へと帰ってきた。

 

居間へと向かえば既に夕飯の支度がされている。

 

 

「おかえりなさい先輩、ちょうどご夕飯の準備が終わったところなんです」

 

 

「あぁありがとう桜」

 

 

お礼を言った士郎は自分の場所へと座る。

そしてその前には、お腹を空かした獣が一人

 

 

「もう士郎、おーそーい!こんな時間に帰ってきちゃダメでしょー!最近物騒って話をHRでしたのに、あれ士郎に言ってたんだよ!あと私お腹ペコペコなんですけどー!」

 

 

「先に食べてれば良かったじゃないか」

 

 

「え?どうして?」

 

 

「どうしてって...」

 

 

「だって士郎が言ったんじゃない1人だけで食べたくない(・・・・・・・・・・・)って」

 

 

「はぁ?俺がいつ...」

 

 

「んーと...小さい頃だから覚えてないのかな?あの頃は可愛かったのになー」

 

 

とからかうように弟をいじる姉の姿があった。

 

 

「ふふっ先輩って昔は甘えん坊だったんですね」

 

 

「桜まで...」

 

 

「そうよー、昔の士郎ったら人助けばっかりしててね、お姉ちゃんは心配になったもんよ」

 

 

少し懐かしむように、「切嗣さんに似たのかなあ」と呟く。

 

 

「...あの切嗣さんって先輩の」

 

 

「そうお父さん、あの時の士郎は切嗣さんに憧れてたからね...正義の味方になるんだーってね」

 

 

「先輩、すごい子供だったんですね」

 

 

「............」

 

 

「でもいつからだったかな、うんと年上のいじめっ子相手でも自分の力で何とかしようとしてたのにね...ある日に、藤ねぇ!力を貸してくれ!って私を頼ってきた時はもうびっくりしちゃったのよ、ねぇ士郎?」

 

 

「......別に...ただ俺が怪我すると、悲しむ人がいるって気づいただけだ」

 

 

「全くそれに気づくまでが遅いのよ、おかげで何回私が泣いたことか...およよよ」

 

 

「............あぁもう終わり終わり!早く食べないと桜が作ってくれた飯が冷めちまう」

 

 

「それもそっかじゃあ改めていただきます!」

 

 

再び箸を動かし始める二人。その傍らに一人、髪に着けたリボンをいじりながら桜は、少し考えていた。

 

 

「............悲しむ...」

 

 

━━━━━━━━━━

───夜の道───

 

士郎と桜は2人で歩いていた。

 

 

『士郎、こんな遅い時間だから桜ちゃんを送って行ってあげて』

 

 

と物理的に逆らえない姉の命により、桜を送ることになった。元々送るつもりでいたので何も問題はないのだが。

 

 

「先輩」

 

 

「どうした?」

 

 

突然立ち止まり白い息を吐きながら、桜は自分の後ろを歩く士郎に声をかける。

 

 

「もう弓道部には戻らないんですか?」

 

 

「あぁ...多分慎二が嫌がるんじゃないか?」

 

 

そう答える士郎に、桜は首を横に振る。

 

 

「兄さんは、先輩が苦手なんです、けど他の人よりずっと好きなんですよ、素直じゃないから嫌いな人が好きなんです、兄さんは」

 

 

「えっとそれは返答に困る意見だな」

 

 

「はい、先輩が羨ましくてちょっとだけ困らせちゃいました」

 

 

そんな話しているうちに間桐邸に着く。

 

 

「先輩、今日は送ってもらって嬉しかったです」

 

 

「礼なんていいよ、こんなんでいいなら毎日だって...」

 

 

士郎は何か恥ずかしいことを言ってる気がして下を向いてしまう。

 

 

 

「........!........じゃあ先輩...またお願いしますね」

 

 

「え...?」

 

 

士郎が、桜を見るとそこには顔を赤らめて。

 

 

「だって私、先輩の家じゃないとご飯を美味しくいただけなくなっちゃったんですから」

 

 

「....!」

 

 

「ふふっ...それじゃあ先輩また明日、おやすみなさい」

 

 

桜は門を開け間桐の家へと帰る。

 

その間も士郎は動けなかった、理由はただ1つ、見惚れていたのだ、桜の笑顔に。

 

 

「はぁ.........帰るか」

 

 

そう言って歩き出す、今の彼の顔がどうなっているかは、桜しか知らないことである。

 

 

______________________

───帰り道───

 

 

「それにしても」

 

 

夜というのは、ここまで静かなものだったのだろうか。と士郎は思う。

 

季節は冬、その時期は虫も居なく、鳥の鳴き声も聞こえない、ただ静かだ、まるで世界で一人だけ取り残されような......。

 

そんなことを考えながら歩いていると前に人影が現れる。

 

別に気にすることじゃない。

 

ただ先程まで考えていた、取り残されたという妄想が掻き消える、ここまでセンチメンタルになることは切嗣が死んだ時ぐらいだろう。

 

前から来る人とすれ違う時。

 

 

 

「早く喚び出さないと──死んじゃうよ お兄ちゃん」

 

 

 

「えっ?......」

 

 

後ろを振り向くとそこには誰もいなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

運命の日まであと一日




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