【剣聖の追想譚】   作:ゼクス神楽

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EP(エピソード).5 【最強(アル)最恐(アクト)

アクトとアルが老神(ウラノス)と裏で手を結ぶ条件として、2人に出した冒険者依頼(クエスト)は24階層のモンスターの大量発生の原因の調査…正史世界でアイズが黒衣の魔術師(フェルズ)から受けた依頼でありその知らせを聞いたロキがベート達に追跡する様に指示を出した件…つまり、白髪鬼(ヴェンデッタ)オリヴァス・アクトの事件である。

 

ちなみに私はオリヴァスが嫌いである。名前被ってるし。などと言う話は置いておいて依頼を受けた後、二人は24階層へ向かうための準備を済ませ24階層へ向かった。

 

「アクト、今何階層?」

 

「16階層。時間無いから縦穴使って時間短縮(ショートカット)すんぞ」

 

「りょーかい」

 

16階層から17階層への縦穴を見つけそこを直下(ダイレクト)に降りる。着いたのは、17階層【嘆きの大壁】。中層に出現する階層主ゴライアスが出現する階層の壁。

 

「ここまで来たらもうすぐそこだ」

 

休憩(レスト)は?挟んでいく?」

 

私はふっと笑い最高の相棒に問う。

 

「いるのか?()()()()()

 

その問いに相棒は。

 

「いーや、いらないね!」

 

その答えを聞いた後に私たちは嘆きの大壁を突破し18階層に突入しそのまま19階層の通路を目指す。

 

「アクト〜今あっちどれぐらい?」

 

「レヴィスがオルヴァスの魔石奪い取ったところら辺だと思う」

 

アクトは原作知識(きおく)を頼りに現在の状況を予測する。恐らく、ヘルメス・ファミリアの何人かが死亡している可能性があるため、更に加速を強める。

 

「まあ、()()()()()()()()()()()だと思うけど」

 

「あぁ、アクトが作ってた魔術具(あれ)か…」

 

そうして話している間に到着したのは24階層【大樹の迷宮】。下層域一歩手前…つまり中層の終わりの階層である。そして、詠唱が聞こえる。妖精の女王が扱う灼熱の魔法。そして、女王以外に唯一この魔法を扱う人物。【千の妖精(サウザンド・エルフ)】レフィーヤ・ウィリディスの召喚魔法(サモン・バースト)である。

 

「ッッッ──【我が名はアールヴ】ッ!!!」

 

泣きじゃくりながら詠唱を紡ぎおわりその莫大な魔力を解き放つ。

 

「ッッ【レア・ラーヴァテイン】!!!」

 

妖精女王が持つ攻撃魔法の第二階位の灼熱魔法。それで全ての食人花を焼き滅ぼす。そして、妹の方も決着がついたようだ。妹の愛剣(デスペレード)が剣ごと怪人(レヴィス)を両断する。魔石には届かなかったもののかなりの深手を負わせることができたようだ。本来なら、これでレヴィスがプラントの柱を破壊し決着するはずだがそうならないのを見るに、恐らくもうこの知識はあまり当てにしない方が良いだろう。レヴィスはモンスターに最後の指示を出し撤退した様だ。

 

だが今は目の前の問題を皆生越することに専念しよう。【レア・ラーヴァテイン(女王の魔法)】を持って焼き尽くしたにも関わらず、ルームの食人花は溢れてくる。先ほどの怪物の宴(モンスター・パーティー)の比にならないほどの数。その数()()()()()体。更にその中の三割ほどは少し前にアイズが倒した巨大花(ヴィスクム)にその強化種の姿があった。

 

「あぁぁ」

 

ああ。誰かがそんな声を出した。そして絶望した。第一級冒険者(アイズとベート)がいるにしても通常の食人花のポテンシャシャルがLV.3〜4。巨大花のポテンシャルは推定LV.5。そしてその強化種のポテンシャルは、()()()()()()。都市最高位の力を持つ怪物。アイズ達は逃げ切れるだろう。だがきっと弱いものからあっさりと死んでいく。

 

どうしようも無い絶望。ここは死の箱庭へと変わった。

 

 

・・・・・・・・・・

 

・・・・・・・・

 

・・・・

 

・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、()()が来た。

 

「間に合ったか」

 

「「「「「「「「「「ッ!?」」」」」」」」」」

 

驚愕。絶望の淵にあった冒険者は驚愕とともに彼らを見る。ローブを纏わない2人の少年。そして金髪の剣姫によく似た少年は白髪の少年に言った。

 

()がやるからお前は全部癒やせ」

 

彼はいつものことの様に答える。

 

「了解」

 

「あぁ、()()()()()()()

 

ドサドサと言う音とともに空間の歪みから出てきたのは死亡したヘルメス・ファミリアの死体だった。

 

「ッな!?」

 

驚愕するのは、ヘルメス・ファミリアの団長、アスフィ・アル・アンドロメダ。死したはずの団員を見て驚愕するのも束の間、彼…アルは詠唱を開始した…

 

 

「──炎の魔剣よ(ウルス)】」

 

そのたった一言(ワン・ワード)の超短文詠唱から生まれたのは紅の炎の付与魔法(エンチャント)。そしてアルはその魔法の()()を発揮する詠唱を紡いだ。

 

「──【紅い空、消えた刻、降るは灯火、終わりの雨】

 

()()()()。超短文詠唱の付与魔法(エンチャント)から長文詠唱の魔法へと昇華させる式。アルの紅の炎が輝きを増していく。

 

【始祖の魂、原初の記憶。朽ちる唄声、原罪(つみ)の烙印。それは希望、命の調べ】

 

アルが詠唱をしている中。アクトは周りに一切のモンスターを近付けない圧倒的な剣の腕と実力を見せつける。

 

「綺麗……」

 

レフィーヤは呟く。この危機的な状況であったとしてもアルのどこまでも紅く、綺麗な炎に。そして自身が尊敬しているアイズに程よく似た少年の剣技に。

 

【答えの(かいな)を紡ぐ祝音(おと)。だからここで生きるのです。罪を背負い、意思(おもい)を受け継ぎ生かすのです】

 

紡がれていく長文詠唱に炎の魅了から覚めたレフィーヤと、小人族(パルゥム)の魔導士メリルは驚愕していた。あり得ない…と。レフィーヤの怪物的な魔力量の遥か上をいく魔力。もはやそれは、御伽噺に出てくる精霊のごとき魔力だった。

 

【答えはここに。始祖の記憶の残り火よ。神炎(かみ)の権能よ。罪の証に贖罪を。もう失わない様に謳うのです】

 

そして莫大な魔力を込めた詠唱が完成する。

 

【──聖癒(いやし)の名の下、願うのです】

 

最後の一節。そしてその魔法名の名のもと権能(まほう)は効力を発揮する。

 

 

 

 

 

「───【ディラ・ベルユフィス】

 

 

 

 

 

「えッ…?」

 

その時、アスフィにはその光景が理解できなかった。いや、声に出さないだけで他のやつも理解できていないだろう。ルームにいる全てのものにアルが与えた権能は神焔の加護(ディバル・エウロギア)。神たる焔の加護。その真価は言わば"全癒"の権能。傷を、毒を、呪いを殺す炎の付与魔法(エンチャント)。そして、その炎の加護を受ける限り何人も加護を受けたものを害すことは許されない絶対的な不死の権能、自動再生(オート・ヒール)

 

そして、もう一つ。都市最高位の聖女(アミッド・テアサナーレ)女神に黄金を賜ったの魔女(ヘイズ・ベルベット)ですら届かず、魔法大国の元賢者(フェルズ)神の写し身たる娘(シル・フローヴァ)と同じ天の法典を逸脱した埒外の大魔法。その効果は【蘇生(リザレクション)】。天の理から外れたまさしく下界の未知にして奇跡の所業である。

 

【ディラ・ベルユフィス】。アルが扱う第二魔法【イグニス・ウルカヌス】に発展アビリティ【連撃】と【聖癒】の効果を適応させ詠唱連結により効果を追加した魔法。

 

その詠唱連結は二つあり、今回使用した魔法は、【全癒再聖魔法】。その効果は全ての傷を癒し、毒を解毒し、呪いを殺す全癒の効果とその効果を精神力(マインド)の続く限り持続し続ける【自動再生(オート。ヒール)】。そして、定められた時間内なら、世界の理に背き、魂すら再生させる【蘇生(リザレクション)】。これらを炎の付与魔法(エンチャント)から介し対象にまさしく不死の権能たる加護を授ける長文の詠唱連結からなる魔法である。

 

そして、発動された焔はアイズにベートにレフィーヤにフィルヴィスにヘルメス・ファミリアにそして、キークス達死したヘルメス・ファミリアの者達を包み込む【不死の神焔(ディバル・エウロギア)】。

 

約束された結末。全員が蘇生待機時間ないである30分以内死亡した者達のみ。もたらされた結果は、"死者は居らず傷一つない冒険者達"と言う事実のみがそこにはあった。もう絶望そこに存在しない。有るのは希望という光のみ。

 

 

「かなり早かったな」

 

とアクトはモンスターを切り払いながら後ろに跳躍し着地する。

 

「死者は"0"。あとは頼むぜ相棒」

 

アクトは先ほどまで使っていた剣を黄金の亜空間にしまい新たに刀を取り出す。

 

「まかせろ」

 

その言葉とともにアクトは己の魔法を取り出した刀に使用した。

 

「【霊刀 エアリアル】付与(エンチャント)荒れ狂え(エア)】──【暴帝の剣(ゼファー)起動(キャスト)──」

 

吹き荒れるのは、大精霊の風。都市最高位魔導士の弟子(レフィーヤ)に"異常"と言わしめたアイズの風の出力を遥かに上回る暴風。それをアイズの魔法と同じ名の刀に付与し起動鍵で硬質化し強化する。規格外の魔力が凝縮された硬質化の風に異次元の魔力を込めた特殊武装(スペリオルズ)の霊刀。それをアクトは己が持つ技に乗せて食人花たちに解き放つ。

 

 

 

──【天空界撃(ロスト・エーテル)】──

 

 

 

()()()。たった一撃で第一級冒険者ですら絶望した光景が全て風に吹き飛ばされた。

 

迷宮都市が誇る双璧の最強派閥が一角【ロキ・ファミリア】の都市最高位の魔導士リヴェリアの放つレア・ラーヴァテインの魔力を仮に1000としよう。そしてその弟子であり後釜であるレフィーヤのヒュゼレード・ファラーリカの魔力は700、主人公ベルのファイアボルトはチャージ無しで100前後である。ならアクトの【天空界撃(ロスト・エーテル)】は?

 

 

 

 

答えは、()()()()。自身の規格外魔法種族(マジックユーザー)たる精霊の力を遺憾なく発揮した一撃は同じ先天的魔法種族(マジックユーザー)王族妖精(ハイエルフ)妖精(エルフ)の魔法を軽く超える威力を叩き出す。

 

 

「ガギャァァァァァツ"アアアァァァァ──ッ!!!」

 

第一級冒険者(都市最高位)と同等の力を持つ怪物にもたらされた結果は消滅。

 

 

 

たった一人の最恐存在(イレギュラー)に全ての怪物は誅滅された。

 

たった一人の最強存在(イレギュラー)に全ての死を傷を覆された。

 

 

大精霊の風を纏い数多の剣を使いこなすその"最恐"の名は、【剣聖】 アクト・ヴァレンシュタイン。

 

大精霊の力を使い精霊達の加護を受け、死さえも超克する"最強"の名は、【騎士(エウロギア)】 アル・クラネル。

 

 

今日、この日を境に迷宮都市に二人の最強と最恐(英雄候補)が名を広げるきっかけとなった。

 

 

─────────────────────────────────

 

 

「アル、被害は?」

 

「死者は0。怪我人は一応軽症でも治したからこっちも0。だけど【凶狼(ヴァナルガンド)】の魔法靴(ブーツ)がイってたりアイテムが少なそう」

 

「そうか。【万能者《ペルセウス》】アイテムの手持ちはどれくらいある?」

 

戦闘が終わった後、アクトは被害状況を把握する為ヘルメス・ファミリア団長のアスフィに聞いた。

 

「あぁ、えっと手持ちのポーション系はもう殆ど手持ちがありません。爆裂薬(バーストオイル)の残りも後二つだけです」

 

アスフィは目の前で『死者蘇生』などと言う奇跡を目の当たりにして放心しつつも聞かれた質問にキッチリと答える。

 

「わかった。ならこのメンバーで18階層まで抜ける。準備しろ」

 

アクトは状況を判断しすぐに18階層に抜けること決めた。だがその意見に異を唱える者もいた。

 

「おい待て、テメェが勝手に仕切ってんじゃねぇッ!」

 

ここに異を唱えたのはロキ・ファミリア一の暴れ馬(狼?)のベート・ローガである。彼の性格からして撤退には賛成だがいきなり出てきたアクトが仕切るのは気に食わないのだろう。

 

何より誰よりも弱者を嫌うベートが自分より弱いものに言われるのを彼は嫌がった。

 

だがその異に重ねるように言葉を発したものがいた。

 

「ッッまって!!()()()ッッ!!!」

 

そう、アクト・ヴァレンシュタインの実の妹であり、第一級(都市最高位)の冒険者である【剣姫】アイズ・ヴァレンシュタインである。

 

 

 

 

 

「へ?」

 

「は?」

 

「えッ」

 

「ふえ?」

 

・・・・

 

・・

 

 

 

「「「はあああああ!?!?」」」

 

 

そして、そんなド天然系妹(アイズ)の兄発言で少し似ているなー程度に思っていたレフィーヤ達は絶叫した。普段取り乱すことをしないベートですらその事実に驚愕するのだった。

 

 

 

EP(エピソード).5 【最強(アル)最恐(アクト)




【ディラ・ベルユフィス】

付与魔法(エンチャント)

・全癒再聖魔法

・焔属性

自動再生(オート・ヒール)

蘇生(リザレクション)


詠唱連結 【紅い空、消えた刻、降るは灯火、終わりの雨】

【始祖の魂、原初の記憶。朽ちる唄声、原罪(つみ)の烙印。それは希望、命の調べ】

【答えの腕を紡ぐ祝音(おと)。だからここで生きるのです。罪を背負い、意思(おもい)を受け継ぎ生かすのです】

【答えはここに。始祖の記憶の残り火よ。神炎(かみ)の権能よ。罪の証に贖罪を。もう失わない様に謳うのです】

【──聖癒(いやし)の名の下、願うのです】

情報

超お手軽すぎる治癒再生と蘇生魔法。【イグニス・ウルカヌス】発動時に追加で詠唱をすることで連結され、チートガン盛りのエンチャント効果を与える魔法。

平たく言うとアルの焔に燃やされている間は無敵モード。傷は即全快、呪毒系は即解呪解毒され、即死系の効果でも持っていないと攻略不可の簡易不死要塞が爆誕する。

まあ仮に即死させたとしてもその後蘇生効果が待っているので進むも地獄猿も地獄のまさに前門の虎、後門の狼後門の狼状態。

唯一幻術的な攻略方法は精神疲労(マインドダウン)に追い込む事だが精霊の加護による魔力強化+スキル諸々の強化でまあちょっとやそっとではダウンしないため実質攻略不可。

魔法本体の燃費はものすごくいいがこの魔法は燃費がゴミ悪く精霊関連のスキルとその他がなければ使えないゴミ魔法と化している。

匿名食人花「どうしろと?」
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