いんキャン△   作:しじみ酢

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一発ネタです。ゆるキャンはまだ一期しか見てないにわかですので、ご容赦下さいませ……。一期のクリスマスキャンプの寝るところから始まります。


第一話。秘密結社ブランケットVS陰獣

息を吸う度、冬の乾いて澄んだ空気が入って来るのが分かる。

 

「あ、UFOだ」

 

星が瞬く夜、ひんやりとした風が肌に当たって冷たい。

 

「え?どこ?」

 

吐息は白くなって風に揺れるけど、光を放つあの星は決して揺れない。

 

「あそこあそこ。ゆっくり動いてるやつ」

 

彼女達はそんないつも通りの景色に寄り添って話を続ける。

 

「UFOはゆっくり動かんだろ」

 

「ゆっくりUFOかもしれませんよ。リンちゃん」

 

「何だそれ」

 

 

 

 

 

――これは聖なる夜クリスマスに起こった奇跡。

 

 

 

 

 

此処は、真夜中のキャンプ場。~雄大な富士山と満点の星空を景色に添えて~

 

思わずサブタイトルが引っ付くほど幻想的なこの場で、宿泊しているテントからひょっこり顔を出す二人組が居た。

 

ピンク髪が特徴的なのが各務原なでしこ(かがみはらなでしこ)。ちなみによく食べる。本当に食べる。

 

お団子ヘアーが特徴的なのが志摩リン(しまリン)。ちなみにオカルト本を良くお供にしている。

 

彼女達は見ての通り、クリスマスの日に仲良くキャンプを催し中。他にも大垣千明(おおがきちあき)、犬山あおい(いぬやまあおい)、斎藤恵那(さいとうえな)の三人とキャンプを存分に楽しんでいたが、現在は既に就寝中だ。

 

 

 

「ああ、人工衛星だ。あれ」

 

「じんこう……えいせ、ふああああ~」

 

そしてよく食べる方は、もう眠いのか口からビームを撃つ勢いで盛大にあくびを出す。

 

「あれ……? でも、何か……少しずつ光が大きくなってる気がするぞ」

 

一方のお団子ヘアーの方は、神妙な顔つきで満点なはずの星空へ目を凝らす。

 

「ゆーふぉー……? よりサンタ……さんの方がクリスマスっぽい……うへへ」

 

完全に寝ぼけている為か、それとも居心地が良すぎる為か、なでしこは意味不明な寝言を呟く。

 

 

 

 

 

 

 

「……オーロラ?」

 

リンが発したその言葉は、白い息と共にふわーっと浮かんで溶ける。

 

 

 

 

 

――幾つもの幻想的なオーロラで埋め尽くした夜空に向かって。

 

 

 

 

 

もはや視界を覆うどころでは無い、塗りつぶす様な勢いでそれ等は強く強く揺れる。

 

故に、リンのお団子頭で埋め尽くされるは感動よりも絶対的な違和感。

 

「な、なでしこ……? 起きてるか?」

 

思わずオーロラから目を背ける様に、隣で完璧に眠りこけるの彼女の顔へ避難する。

 

「くかー……くかー……」

 

「あ、そうだ。確か、今日読んだ本のタイトルが……」

 

 

なでしこの顔には安らぎを得る効果があるのか、リンは一瞬にして冷静を取り戻す。

 

そしてその直後に思い浮かぶは、何故か今日読んだばかりのオカルト本のタイトルだった。

 

何故なら、全くと言っても良い程同じ出来事がその本で記されていたのだから。

 

「本のタイトルは……異次元との遭遇(ミステリーゾーン)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――現時刻をもって、このキャンプ場に宿泊していた各務原なでしこ、志摩リン、大垣千明、犬山あおい、斎藤恵那、以上の五人は行方をくらます。

 

 

 

 

 

あの二人占めしていたはずの景色は、今誰も居ない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

息を吸う度、居心地が悪い様な感覚がむせ返る様に襲う。

 

「ど、毒かよ……これ」

 

星が瞬く夜、身体と言う身体が熱くなっているのが分かる。

 

「身体、身体からひいいいいい……!」

 

吐息は赤くなって地へ落ちるけど、光を放つあの星は決して堕ちない。

 

「やっぱ、牙に仕込んだ神経毒の利きが悪いな。毒の回りがゆっくり過ぎる。要改善だ、こりゃ」

 

「ぐしゅしゅしゅ。ゆっくり悶え苦しみながら殺すのも一興だぜ?」

 

「何だそれ」

 

彼等はそんないつも通りの景色に寄り添いながら話を続ける。

 

一人の遺体を無様に転がしたまま。

 

「十老頭を敵に回したのが悪いよな。特に陰獣(オレ達)をよ」

 

此処は、真夜中の森。~チンケな死体とドヤ顔のマフィアを景色に添えて~

 

思わずサブタイトルが引っ付くほど狂気的なこの場で、死人に向かってひょっこり顔を出す三人組が居た。

 

ザ・不健康なのが病犬(やまいぬ)。ザ・肥満なのが蛭(ひる)。ザ・サングラスなのが梟(ふくろう)。

 

ちなみに陰獣とは、巨大裏組織マフィア十老頭直属の実行部隊の事を指す。一言で済ますと最強の殺し屋だ。そしてそんな陰獣のメンバーこそ、紛う事無き彼等である。

 

「ふああああ~」

 

そしてザ・デブこと蛭は、なんか眠いのか盛大にあくびを出す。

 

だが口から出るのは、ビームでは無い。数多に湧き出る黒っぽい蛭だ。

 

「おいおーい、死体の処理も蛭に任せちゃうのー? 病犬くんはさ」

 

「へっ、別にいいじゃねえか。遺体の隠蔽にも使えて便利じゃねえか」

 

「ぐじゅじゅじゅ。さあ、ご馳走だ。たんと食べろよ。蛭太郎、蛭之介、蛭太夫、蛭エ門、蛭トエフスキー、蛭ソーマン、蛭ンクス、蛭……

 

これ以上は絵面が色々危険な為、割愛する。

 

そんな訳で病犬と梟は目の前の悍ましい光景から目を背ける様に、星が瞬く夜空へ避難する。

 

 

 

 

「ん、ありゃオーロラか。いや、これは……」

 

 

 

 

病犬は星々に交じって、五つほど空中で揺られる小さな粒を見た。

 

その粒の速度はゆっくりどころでは無く、隕石が落ちる程に素早い。

 

しかも徐々にその粒は“こちら”に向かって、大きくなっていく。

 

「……まさか、あの強大な念(オーロラ)ってさ……あいつ等が起こしてる訳じゃないよね?」

 

思わず梟は装備しているサングラスを下へずらし、まん丸い瞳でその五人組を眺める。

 

 

 

 

陰獣達が観た光景。

 

それは、布(ブランケット)や寝袋(シュラフ)に包まる少女達が天空から落ちてゆくと言うもの。

 

「くかー……カレーめん……美味しいよ、カレーめん……くかー……」

 

 

 

 

 

 

これがキャンプ好き女子高生、秘密結社ブランケットと最強の殺し屋、陰獣の出会いであった――。

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